49 / 59
【番外編】『身長185cmの私が再び出会ったら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜日本での再会②〜』
しおりを挟むカフェの閉店作業を終えたころ。
片付けをしていた私の前に、二人の青年が並んで立っていた。
一人は背が高く、得意げに胸を張り、にやりと口角を上げている。
もう一人は落ち着いた雰囲気で、兄を少し制するように肩をすくめていた。
「……初めまして、って言うべきかな」
背の高い方――その得意げな青年が名乗る。
「俺は羽柴トウジ、18歳。で、こっちが――」
「羽柴ヨウヘイ、17歳です。兄さん、急に押しかけたら困るでしょ」
「兄さん」という呼び方に、思わず胸がざわめく。
兄弟。トウジとヨウヘイ。
でもその響きと同時に、私の頭の中では――別の名前がよぎった。
……ギルヴァント。……イザーク。
私の困惑を見て、ヨウヘイが静かに言った。
「実は……僕らもさっき君を見て、一気に思い出したんだ。前の世界でのこと」
「……前の、世界?」
「僕はイザークで、兄さんはギルヴァントだった」
その言葉に、息が詰まった。
頭では理解できないのに、胸の奥が熱くなる。
トウジは腕を組み、にやりと笑った。
「名前が変わっても俺は俺だ。ギルヴァントだろうがトウジだろうが、魂は同じだからな」
強引な物言いなのに、涙が込み上げる。
彼らは確かに、あの世界で出会った二人だった。
「でも……どうして、私は全部思い出せないんだろう」
つぶやいた瞬間、二人は顔を見合わせた。
トウジがふっと笑う。
「女神様の気まぐれじゃねーの? あの人、絶対楽しんでるだろ」
「兄さん……」ヨウヘイが小さくため息をつく。
「でも、そうかもしれないな。ルミエール様なら、“少しずつ思い出していく方が面白い”って思ってそうだ」
思わず笑ってしまった。
私の涙をからかうような軽口なのに、不思議と心が軽くなる。
その瞬間、カフェの窓から差し込む光の中に、柔らかな影が揺れた。
女神ルミエールは、頬杖をついて微笑んでいた。
「ふふ……気づかれちゃった? だって、一気に全部思い出したらつまらないもの。少しずつ、彼らと一緒に思い出していく方が――ずっと甘くて、ずっと面白いでしょう?」
彼女の声は聞こえない。
でも、確かに心の奥に染み込んでくる。
「……あの、二人とも」
私は震える声で言った。
「今はまだ全部思い出せないけど……でも、懐かしいって思えるの」
ヨウヘイは静かにうなずく。
「それで十分です。急ぐ必要はありません」
トウジは、にやりと笑った。
「ま、いずれ絶対思い出すさ。俺のことを忘れられるわけがない」
「兄さんはほんと自信家だな」
「事実を言ってるだけだ」
二人のやりとりに、思わず笑みがこぼれる。
懐かしくて、少し切なくて、でも温かい――。
そしてこの瞬間が、きっと新しい物語の始まりなのだと感じていた。
26
あなたにおすすめの小説
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
異世界から来た華と守護する者
桜
恋愛
空襲から逃げ惑い、気がつくと屍の山がみえる荒れた荒野だった。
魔力の暴走を利用して戦地にいた美丈夫との出会いで人生変わりました。
ps:異世界の穴シリーズです。
ブラック企業に勤めていた私、深夜帰宅途中にトラックにはねられ異世界転生、転生先がホワイト貴族すぎて困惑しております
さら
恋愛
ブラック企業で心身をすり減らしていた私。
深夜残業の帰り道、トラックにはねられて目覚めた先は――まさかの異世界。
しかも転生先は「ホワイト貴族の領地」!?
毎日が定時退社、三食昼寝つき、村人たちは優しく、領主様はとんでもなくイケメンで……。
「働きすぎて倒れる世界」しか知らなかった私には、甘すぎる環境にただただ困惑するばかり。
けれど、領主レオンハルトはまっすぐに告げる。
「あなたを守りたい。隣に立ってほしい」
血筋も財産もない庶民の私が、彼に選ばれるなんてあり得ない――そう思っていたのに。
やがて王都の舞踏会、王や王妃との対面、数々の試練を経て、私たちは互いの覚悟を誓う。
社畜人生から一転、異世界で見つけたのは「愛されて生きる喜び」。
――これは、ブラックからホワイトへ、過労死寸前OLが掴む異世界恋愛譚。
【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!
雨宮羽那
恋愛
いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。
◇◇◇◇
私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。
元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!
気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?
元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!
だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。
◇◇◇◇
※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。
※アルファポリス先行公開。
※表紙はAIにより作成したものです。
治療係ですが、公爵令息様がものすごく懐いて困る~私、男装しているだけで、女性です!~
百門一新
恋愛
男装姿で旅をしていたエリザは、長期滞在してしまった異国の王都で【赤い魔法使い(男)】と呼ばれることに。職業は完全に誤解なのだが、そのせいで女性恐怖症の公爵令息の治療係に……!?「待って。私、女なんですけども」しかも公爵令息の騎士様、なぜかものすごい懐いてきて…!?
男装の魔法使い(職業誤解)×女性が大の苦手のはずなのに、ロックオンして攻めに転じたらぐいぐいいく騎士様!?
※小説家になろう様、ベリーズカフェ様、カクヨム様にも掲載しています。
異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。
バナナマヨネーズ
恋愛
香澄静弥は、幼馴染で従姉妹の千歌子に嵌められて、異世界召喚されてすぐに魔の森に捨てられてしまった。しかし、静弥は森に捨てられたことを逆に人生をやり直すチャンスだと考え直した。誰も自分を知らない場所で気ままに生きると決めた静弥は、異世界召喚の際に与えられた力をフル活用して異世界生活を楽しみだした。そんなある日のことだ、魔の森に来訪者がやってきた。それから、静弥の異世界ライフはちょっとだけ騒がしくて、楽しいものへと変わっていくのだった。
全123話
※小説家になろう様にも掲載しています。
面倒くさがりやの異世界人〜微妙な美醜逆転世界で〜
波間柏
恋愛
仕事帰り電車で寝ていた雅は、目が覚めたら満天の夜空が広がる場所にいた。目の前には、やたら美形な青年が騒いでいる。どうしたもんか。面倒くさいが口癖の主人公の異世界生活。
短編ではありませんが短めです。
別視点あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる