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最終章 人族編
天空領お披露目会1
しおりを挟む天空領のお披露目会(といってもごくごく内輪)にサーザンランドのルーファス王子に招待状を送ったら、喜んで伺いますとお返事が来た。
リヒト様がまたブツブツ言っていたけれどスルーした。
「フライングで泊まっちゃったけど、レンガのお家、すごく可愛い。リヒト様、ありがとう!」
「良かったな。城の方は俺らが使ってもいいし、ゲストも使える。あっちはホテルでレンガの方は自宅だな。レンガの家は俺たち専用だ」
レンガの家は丘の上にたっていて、見渡すと天馬のための広い牧草地や湖が見えて見晴らしがいい。
窓から寛ぐテト達の様子も見えるはず。
「手付かずの山や川ばかりだ、迷子になるなよ?必ずガキ共を連れていけ」
「え?この中で遭難の可能性があるの私だけ!?」
「お前と、婆さんもか。婆さんの方が力と体力がある分生き残りそうだが」
「母上とアイラちゃんのそばには必ず俺たちが付きますので大丈夫です母上!」
「次期王様と次期公爵様が付人なんて私だけさね!」
お母さんが二人をいっぺんに抱っこしぎゅうぎゅう抱きしめながら言う。
二人とも嬉しいのかキャアキャア高い声が出て笑ってる。
「じゃあ紬ちゃん、エルシーナをよろしくね~~~僕王様だから忙しくって!もう行かなきゃ~~~弟が助けてくれないんだよね!」
「私が王の決済をする訳にはまいりませんので」
陛下の金色の翼を見送って、牧草地の天馬達の元に行くといつものメンバー達が迎えてくれた。
クレアちゃんとルース君も寄り添って楽しそうにしてる。仲直りできて良かった。
————「妃殿下!」
空から見た事のない茶に白のまだら模様が入った天馬が降りてくる。
二人乗りで降り立ったのはサーザンランランドのルーファス王子と、天馬を操っていた女性の騎士の方。シルバーの鎧を付けていて、燃える様な赤い髪をポニーテールにゆっている。キリッとした美人でカッコいい。
後からストンと小さな天馬のシーラフも続いて降り立った。
「我が国の女騎士、ユトミアでございます。本日は彼女の天馬の参加も快諾して頂き、ありがとうございます」
ユトミアと呼ばれた女性が私に騎士の礼を取ってくれた。胸に手を当て頭を下げる女性騎士様!素敵すぎ!
「ユトミアと申します。赤髪ですが、黒豹獣人でございます。母が他種族だったものですから」
「そうなんですね、とても素敵な色です。つむぎと申します。仲良くしていただけたら嬉しいです」
ユトミアさんはにっこり笑って「是非に」と返事をしてくれた。かかかカッコいい!
「我が国の天馬はユトミアの持つリンネットとシーラフの二頭なんです。妃殿下の天馬達と交流を持たせてやれるなど幸運でございます。既にシーラフはご子息の天馬達と遊び始めたようです」
ルーファス王子の視線の先を見やると、奥の方でツキとケイ、エレノアの輪にシーラフが入って浮かび上がって遊んでいるのが見えた。
「シーラフがあんなに羽目を外しているのを初めて見ました…………連れてきて本当に良かった」
「今日は湖畔に食事も用意したんです。シーラフのお話をゆっくり聞かせて下さいますか?」
ルーファス王子がニカっと笑い、精悍なお顔が人懐っこい少年の様に変わる。日本男児って感じの精悍さのあるイケメンが、笑うと可愛くなるなんて反則だと思う。
「何あれ………………めちゃくちゃカッコいい…………」
後ろの方でレアットちゃんがボソッと囁くのが聞こえ、リヒト様の横でクロードさんが青くなって固まっていた。
◇◆◇
湖畔の大きな木の下に今日の為だけにあつらえた広い畳のガゼボで食事をしながら、遊ぶ天馬達を眺める。白い畳に沢山のクッションと、端にはソファーもあってめっちゃくつろげる。このままとっておきたいぐらい。
山の方に興奮して行ってしまった天馬も何頭かいて苦笑する。
最後まで残っていたテトが私のそばに来てガゼボの外からスリスリを贈ってくれた。
「テト!挨拶にきてくれたの?いい子!」
リヒト様の隣で立ち上がり、テトの顔を抱きしめるとテトもすごく嬉しそうにキュルキュルと答えてくれた。
「テト、ルルはずっと離れのお庭から出てないでしょう?ツキ達はシーラフもついてるし、子供達もそばにいるから今日はルルと二人でデートしておいで?ルル、きっとよろこぶよ!」
「テルガード、いい。行ってこい」
ブルンとわなないたテトがもう一度私に擦り寄ってから翼を出して空に舞い上がった。ルルも白い綺麗な翼を出してそれに続くのが見える。
「デート、いいなぁ。テト、優しそうだし」
「お前は俺とすればいいだろが」
みんな思い思いにくつろいでる。
ルーファス王子はルース君と喋っていて楽しそう。
ルース君のヴァルファデの子供がルーファス王子の天馬になるという変わった縁ができている。
クレアちゃんとレアットちゃんはルーファス王子を遠巻きに見て何やらキャアキャアやってる。ユアンさんから推しが変わった模様。
女騎士様ユトミアさんの天馬リンネットちゃんは興奮して山の方に消えて行ってしまい、ちょっと焦ったユトミアさんがたまに山の上に飛び出すリンネットちゃんをみて笑ってる。
ツキとケイ、エレノアは割といつも自由にしてるので、ここでもあまり変わらない。子供達が背に乗り、あんな事もできる、これも出来るとお母さんに披露して褒めてもらうのを繰り返していて満足そう。
どさくさに紛れてシーラフの背中に乗っていたのを見てルーファス王子が目を見開いて驚いていた。
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