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第五部『臆病な騎士の小さな友情』
三章-5
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5
エルフの先導で馬車に向かう途中で、俺は〈竜化〉を解いていた。
あの巨体のまま移動しては、足跡がはっきりと残ってしまうし、なにより動きにくかったからだ。ゴーレムとの戦いの影響で頭が少しふらつくが、小走りで移動する分には影響は少なかった。
街道に出るとすぐ目の前に、待機していた馬車が停まっていた。
その前に集まっていた一団から、瑠胡の声がした。
「ランド――」
着物の裾を僅かに手で上げた瑠胡が、俺の元へと駆け寄ってきた。潤んだ瞳を向けてくる瑠胡が、俺の胸板に両手を添えた。
「ふらついているようですけど、戦いに疲れました?」
「瑠胡姫様、ランドの顔色が悪いように見えます。少しよろしいですか」
遅れてやってきたセラが、俺の額に触れた。
「熱はないようです。ゴーレムとの一戦で、なにかありました?」
「いや……〈衝撃反射〉が使えるから大丈夫だろうと思ってですね。迂闊にも頭突きをしてしまったんですよ。少し頭がふらつきますけど、大丈夫です」
俺の返答に、セラだけでなく瑠胡も顔を青くした。
「ドラゴンの身体でも、傷を負えば激痛を感じると教えましたよ? どうしてそんな無茶をしたんです?」
「いやその……すいません」
「とにかく、馬車に。ランドを座らせて、休ませましょう」
セラの言葉に甘える形で、俺は皆よりも先に馬車に乗り込んだ。
水袋や保存食を持って来てくれた瑠胡やセラからの話では、俺たちはエルフたちの勧めで、彼らの隠れ家に避難することになったようだ。
程なく移動を開始したあと、俺たちはタイラン山の南西側にある森の中へと入った。
鬱蒼と木々が茂っているのは、先ほど森と変わりない。しかし、周囲から伝わって来る鳥や小動物たちの穏やかな気配が、あのゴーレムと遭遇した辺りよりも多かった。
ここまで来るあいだに、かなり快復してきた俺は、少し開けた幌から外の様子を眺めていた。
そんなとき、御者台側の幌から顔を出していたリリンが、振り返ってきた。
「もうすぐで、隠れ家に入るみたいです」
「やっとなの? もう待ち着かれちゃったわよ」
不満を漏らすエリザベートは、しきりに座る位置を変えている。座っているのが、辛くなってきている証拠だ。
そういう俺も、固い床に座っていたせいで、少し尻が痛くなってきた。
できれば早めに着いて欲しいと思った矢先に、耳鳴りがし始めた。少し顔を顰めていると、エルフのナインフという男が幌の隙間から声をかけてきた。
「隠れ家に到着しました。皆様、今日はここで休まれていって下さい」
ナインフの声に従って馬車から降りた俺たちは、大木の下に集まった。隠れ家という話だが、どうやらここは食料の採集や狩りのための中継地点として使っているようだ。
大木の根元に、円形の小屋が建っていた。六、七人は入ることのできる小屋にはドアはなく、中にはいくつかの毛布があるだけだ。
この周囲には結界があるらしく、エルフたちが使う合い言葉が無ければ、見ることも入ることもできないらしい。
ザルード卿は馬上のまま近寄ってくると、険しい目を俺に向けた。
「それで、ゴーレムはどうなった?」
「健在ですよ。魔術も効かない、傷は修復する――剣は弾かれる。そんな相手でした。胴体をへこませることは出来ましたが、それも目の前で修復されましたから。あれを破壊するなら、それなりの作戦か対策がいるでしょうね」
「ふん――それは《白翼騎士団》や貴殿が、あの村で安穏と暮らしていて、修練を怠っていたからであろう。他の騎士団なら、すでに斃していたかもしれぬ」
「……本気で言ってますか? ザルード卿は見てないから、わからないんでしょう。あれは、全身が金属でできた巨人なんです。そう簡単に斃せるとは思えない。対策を練ってから勝負を仕掛けなければ、今度は死人が出るかもしれませんよ」
俺の否定意見を聞いて、ザルード卿の顔が険しくなった。
諦めたわけではないのに、なにが不満なのかがわからない。反論が来ると構えていたけど、次の言葉はなかった。
そこへ、ユーキやエリザベートを引き連れて、リリンがやってきた。
「ランドさんに瑠胡姫様、あのゴーレムを直接討伐するのは、無理かもしれません。わたしの〈計算能力〉でも、打開策が思いつきませんでした」
「御主でも無理か」
「はい、瑠胡姫様。残された手段は、あの二人組みを捕まえて、ゴーレムの動きを止めることだけです。エリザベート、あの魔術師のことをタムランって呼んでましたが、知り合いなんですか?」
「あなたねぇ……魔術師ギルドの修練生で、ゴーレムの研究室を持っていた魔術師よ。〈魔力障壁〉の《スキル》持ちってことで、魔術師ギルド内で有名だったでしょ? なんで知らないのよ」
「……すいません。興味がなかったもので」
しれっと答えるリリンに、エリザベートは頭を抱えるような仕草をした。まあ、リリンはエリザベートのことも知らなかったみたいだし、魔術師ギルドでの人付き合いは、かなり薄かったようだ。
一通り呆れてみせたあと、気を取り直したようにエリザベートは顔を上げた。
「それより、もう一人の男じゃない? あの兵士、こちらのことを悪党とか言ってたわよね。ランドはまだ理解できるけど、ユーキまで悪党扱いだなんて、かなり怪しいわ。あなたたち、なにか恨みでも買ってない?」
「そう言われてもなあ……あんなヤツ、覚えがないんだよなぁ。なんで、俺の名前を知ってたんだろう」
「あの、わたし……どこかで見た気がするんですけど……どこで見たのかが思い出せなくて」
ユーキが申し訳なさそうな顔で、俺の言葉に続いた。
あの兵士に見覚えがあるというユーキに驚きながら、俺は思考を切り替えた。ヤツのこと考えるより、俺とユーキに共通する相手を考えた方が、答えを出すのが早そうだ。
「俺とユーキのことを知っている……それで恨みを持っていそうなヤツか。《地獄の門》って盗賊団の生き残りか?」
「でも、兵士の格好をしてましたし……」
二人でそんな意見を出し合っていると、リリンが目を瞬かせた。スチャッと手を小さく挙げると、抑揚のない声で話しに入って来た。
「あの……ゴガルンと一緒に来た監査役の一人……だと思います」
あ、なるほど。そっちだったか。
あのときは、ゴガルンへばかり意識がいっていて、他の監査役の顔とか良く覚えてないんだよな。
そっちの線なら、確かに俺の名前を知っていても不思議じゃないし、《白翼騎士団》を恨んでいるのも納得できる。
とにかく、この兵士がいる以上は、説得という手段は無理かもしれない。人的被害はないから、平和的に解決できると思ったのにな……。
ちょっとばかり憂鬱になってきたとき、セラが口を開いた。
「無精髭や鎧などが違うので、すぐにはわからなかったな。流石、リリンだ。しかしそうなると……ゴーレムとの再戦は避けられそうにありませんね」
最後のひと言は、俺や瑠胡に向けられたものだ。
再戦するにしても……魔術が効かない以上、どう考えても俺たちだけでは火力不足だ。
リリンとエリザベートだけではない、瑠胡も肉弾戦より魔術のほうが得意だ。三人の攻撃がゴーレムに通用しないとあっては、こちらの戦力はがた落ちだ。
あれを斃すには、溶岩やクレパスの中に落とすしかないだろう。しかし残念だが近隣に、そんな都合の良いものは存在しない。
「となると、タムランとあの兵士をとっ捕まえるほうが無難だな」
「それが最良だと思います」
俺の案にリリンは同意してくれたが――ザルード卿は頭を左右に、大きく振った。
「ならぬ。再戦もゴーレムと戦うべきだ。それでなくては、武勲など立てられぬ。それが出来ぬというのではれば、やはり他の騎士団に所属させるべきだろうな」
「一つ気になりますが、なぜそこまで武勲に拘るのです? そのようなものゴーレムでなくとも、あの二人組を捕縛するだけでも充分でしょう」
セラの投げかけた問いに、ザルード卿は尊大な態度で鼻を鳴らした。
「騎士となったなら強敵の戦いで武勲を立て、王国全土に名を轟かせねばならぬ。それが名誉となり、コウ家のためとなるのだ」
「つまらぬ」
瑠胡のひと言に、ザルード卿は目を剥いた。
そんなザルード卿を意に介していないような顔で、瑠胡は言葉を続けた。
「ユーキが得た武勲や名誉は、ユーキ自身のものだ。家のものではあるまい。ましてや、御主のものでもない。それほどまでに名誉が欲しければ、御主が武勲とやらを立てれば良かろう」
瑠胡の発言受けて、ザルード卿は表情を険しくしながらも、なにも言い返さなかった。
自分には、それができない――と、己の実力を理解しているんだろう。しかし自尊心からか、ザルード卿は無言のまま瑠胡へと睨みを利かせた。
その視線を真っ向から受けながら、瑠胡は怒りを滲ませながら告げた。
「娘の手柄を横取りするような真似など、名誉というには、ほど遠い行いであろう。外道めが――恥を知れ」
「そうですね。残念ながら瑠胡姫様に同意です、ザルード卿」
「貴様ら――」
ザルード卿が長剣の柄に手をかけるのを見て、俺は素早く抜剣した。
俺が勢いよく突き出した長剣の切っ先が、鞘から剣を抜きかけていたザルード卿の首筋に触れた。
「瑠胡やセラに剣を向けるなら、俺が相手になります。《スキル》も手加減なく、全力を出すから――覚悟をして下さい」
「き、貴様は……」
「剣を収めるなら、俺も無闇に勝負を仕掛けません。どうしますか?」
俺が改めて問いかけると、ザルード卿は剣を収めた。
それを見届けた俺は剣を収めてから、ユーキへと首を向けた。俺たちを指揮する立場にあるのは、ユーキだ。そして参謀役を目指す彼女が、これからの方針を決めるべきだ――と思う。
「それじゃあ、話を戻そう――ユーキ、ゴーレムに対する対処はどうする?」
「え――あ、はい。その……やはり、ですね。ゴーレムと戦うのは無理があるって思うんです。それで、ええっと、あの魔術師と兵士を捕らえましょう。そのためには、ゴーレムを引き離す必要があると思うんです。それで……囮の部隊と二人組を捕らえる部隊に分けたい……です」
ユーキは言葉を切ってから、深呼吸をした。
たったこれだけのことでも、かなりの心労のはずだ。息を整えてから、ユーキは俺たちを見回した。
「二人組を捕らえる部隊には、あたしとランドさん、瑠胡姫様に、セラさんの四人で行きます。囮役は、他の人たちでお願いします」
「ちょっと待ちなさいよ! なんで、このわたしが囮役なわけ!? あのゴーレムには魔術が効かないんでしょ!? なら、あたしはタムランを――」
エリザベートは突然に、文句を中断した。
どうやら、自分で言った言葉を思い出したらしい。タムランには〈魔力障壁〉がある――つまり、ヤツにも魔術が効かないということだ。
ユーキは小さく頷くと、小さく頷いた。
「……はい。あの、タムランさんも魔術が効かないなら、直接戦う必要の無い囮役のほうが適任です。説得することも考えましたが、状況的に無理かもって……あの、これでいきたいんですけど、どうですか?」
ユーキは自信なさげに問いかけたが、誰からも反対意見は出なかった。本隊と囮役とを分けた作戦だって、悪くない。
エリザベートは不満げだったが、なにも言わなかった。
これで話が纏まったというところで、ナインフが俺たちのところにやってきた。
「話は終わりましたか? これでも食べながら、休息することにしませんか? 山羊の乾酪ですが、どうぞ」
山羊の乾酪か――瑠胡は、あまり好んでいないんだよな。どうやら、独特の風味が強いのが苦手みたいだ。
そんな瑠胡の表情に気付いたのか、ナインフは苦笑した。
「大丈夫ですよ。それほど癖はありませんから」
包んでいたなにかの葉っぱを広げると、白っぽい乾酪が露わになった。俺はその欠片を指先で摘まむと、口の中に入れた。
「本当だ。かなり山羊っぽい風味が減ってますね。瑠胡もどうですか?」
「……ランドが、そう言うなら」
瑠胡も一口だけ食べたが、メイオール村の山羊の乾酪よりは食べやすそうな表情だった。
俺はナインフに、製法を訊ねてみた。
「人間の集落でも、山羊の乳をスープにすると聞いています。それと同じで、絞ってすぐに加熱をすれば、匂いはかなり抑えられますよ。それから乾酪として加工しています」
「ああ、なるほど」
乾酪を作る工程では普通、加熱をせずに加工をしているみたいだからなぁ。村に戻ったら、そういう話をしてみるか。
そんなことを考えながら、俺は再戦に供えて身体を休めることにした。
-------------------------------------------------------------------------------
本作を読んで頂き、誠にありがとうございます!
わたなべ ゆたか です。
戦闘シーンのあった前回より、文字数が多いとかどういうことなの……登場人物同士で揉めると、文字数が多くなってしまいます。
五部のプロット作成中に掃除をしていたら、「魔剣士と光の魔女」のプロット作成時に使っていたノートを発見しまして。
ちょっと見ていたら、諸事情により未使用だった話を発見しました。
おまけの話で山羊のミルクでプリンを作ろうとして、巧くいかない――そんな話があったんですが。実はその話、二部構成の予定だったんです。
山羊のミルクが臭くなるのは、空気に触れるからで、匂いの菌とかを吸収しやすいからのようです。
だから煮沸消毒をすると、かなり匂いが消えるというですね。
それを知った主人公のジン・ナイト、「え? そうなの!?」とプリン造りに再挑戦――という二話目にする予定でした。
今回、それをちょっと流用した次第です。
ちなみに諸事情についてですが……。
単に忘れてました(チャハ☆
残業やらなんやらで、忙しかった時期かなって思ってます。
それにしても、「諸事情により」とか「都合により」とか……便利な言葉ですよね。
山羊のミルクの臭いについて検索すると、そこそこ簡単に加熱処理のことは出てきます。
かなり昔から料理や御菓子の材料になってたみたいですし、山羊のミルクを使っている地方の人にとっては、常識だったのかもしれませんね。
あとまったくの余談ですが。
日本において、家畜としての山羊は歴史的に浅いみたいですね。牛については、飛鳥時代に牛乳を飲んでいたという記録もありますが、山羊は沖縄や九州の一部を除いて、WW2あたりまでは一般的じゃなかったみたいです。
今では山羊のミルクやスイーツも販売されています。空気に触れないように処理をして作られたミルクやスイーツは、癖のないスッキリとした味らしいです。
どんな味か興味はありますので、ポチるか悩み中です。平日は受け取りできませんし、食べ物の通販は悩みます。
ネットで検索をすると犬猫用として、山羊のミルクを使ったレシピなんかも出てきます。
ただ、未加工の乳は病気になるリスクがあるようで、人はもちろん、犬猫用も避けたほうがいいかもしれませんね。
あと最後に業務連絡的なものを。
明日(3/12)は、世間では祝日ですが、中の人は普通に仕事です。現場出てます。次回はいつも通り、水曜くらいになりますです。
少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
次回もよろしくお願いします!
エルフの先導で馬車に向かう途中で、俺は〈竜化〉を解いていた。
あの巨体のまま移動しては、足跡がはっきりと残ってしまうし、なにより動きにくかったからだ。ゴーレムとの戦いの影響で頭が少しふらつくが、小走りで移動する分には影響は少なかった。
街道に出るとすぐ目の前に、待機していた馬車が停まっていた。
その前に集まっていた一団から、瑠胡の声がした。
「ランド――」
着物の裾を僅かに手で上げた瑠胡が、俺の元へと駆け寄ってきた。潤んだ瞳を向けてくる瑠胡が、俺の胸板に両手を添えた。
「ふらついているようですけど、戦いに疲れました?」
「瑠胡姫様、ランドの顔色が悪いように見えます。少しよろしいですか」
遅れてやってきたセラが、俺の額に触れた。
「熱はないようです。ゴーレムとの一戦で、なにかありました?」
「いや……〈衝撃反射〉が使えるから大丈夫だろうと思ってですね。迂闊にも頭突きをしてしまったんですよ。少し頭がふらつきますけど、大丈夫です」
俺の返答に、セラだけでなく瑠胡も顔を青くした。
「ドラゴンの身体でも、傷を負えば激痛を感じると教えましたよ? どうしてそんな無茶をしたんです?」
「いやその……すいません」
「とにかく、馬車に。ランドを座らせて、休ませましょう」
セラの言葉に甘える形で、俺は皆よりも先に馬車に乗り込んだ。
水袋や保存食を持って来てくれた瑠胡やセラからの話では、俺たちはエルフたちの勧めで、彼らの隠れ家に避難することになったようだ。
程なく移動を開始したあと、俺たちはタイラン山の南西側にある森の中へと入った。
鬱蒼と木々が茂っているのは、先ほど森と変わりない。しかし、周囲から伝わって来る鳥や小動物たちの穏やかな気配が、あのゴーレムと遭遇した辺りよりも多かった。
ここまで来るあいだに、かなり快復してきた俺は、少し開けた幌から外の様子を眺めていた。
そんなとき、御者台側の幌から顔を出していたリリンが、振り返ってきた。
「もうすぐで、隠れ家に入るみたいです」
「やっとなの? もう待ち着かれちゃったわよ」
不満を漏らすエリザベートは、しきりに座る位置を変えている。座っているのが、辛くなってきている証拠だ。
そういう俺も、固い床に座っていたせいで、少し尻が痛くなってきた。
できれば早めに着いて欲しいと思った矢先に、耳鳴りがし始めた。少し顔を顰めていると、エルフのナインフという男が幌の隙間から声をかけてきた。
「隠れ家に到着しました。皆様、今日はここで休まれていって下さい」
ナインフの声に従って馬車から降りた俺たちは、大木の下に集まった。隠れ家という話だが、どうやらここは食料の採集や狩りのための中継地点として使っているようだ。
大木の根元に、円形の小屋が建っていた。六、七人は入ることのできる小屋にはドアはなく、中にはいくつかの毛布があるだけだ。
この周囲には結界があるらしく、エルフたちが使う合い言葉が無ければ、見ることも入ることもできないらしい。
ザルード卿は馬上のまま近寄ってくると、険しい目を俺に向けた。
「それで、ゴーレムはどうなった?」
「健在ですよ。魔術も効かない、傷は修復する――剣は弾かれる。そんな相手でした。胴体をへこませることは出来ましたが、それも目の前で修復されましたから。あれを破壊するなら、それなりの作戦か対策がいるでしょうね」
「ふん――それは《白翼騎士団》や貴殿が、あの村で安穏と暮らしていて、修練を怠っていたからであろう。他の騎士団なら、すでに斃していたかもしれぬ」
「……本気で言ってますか? ザルード卿は見てないから、わからないんでしょう。あれは、全身が金属でできた巨人なんです。そう簡単に斃せるとは思えない。対策を練ってから勝負を仕掛けなければ、今度は死人が出るかもしれませんよ」
俺の否定意見を聞いて、ザルード卿の顔が険しくなった。
諦めたわけではないのに、なにが不満なのかがわからない。反論が来ると構えていたけど、次の言葉はなかった。
そこへ、ユーキやエリザベートを引き連れて、リリンがやってきた。
「ランドさんに瑠胡姫様、あのゴーレムを直接討伐するのは、無理かもしれません。わたしの〈計算能力〉でも、打開策が思いつきませんでした」
「御主でも無理か」
「はい、瑠胡姫様。残された手段は、あの二人組みを捕まえて、ゴーレムの動きを止めることだけです。エリザベート、あの魔術師のことをタムランって呼んでましたが、知り合いなんですか?」
「あなたねぇ……魔術師ギルドの修練生で、ゴーレムの研究室を持っていた魔術師よ。〈魔力障壁〉の《スキル》持ちってことで、魔術師ギルド内で有名だったでしょ? なんで知らないのよ」
「……すいません。興味がなかったもので」
しれっと答えるリリンに、エリザベートは頭を抱えるような仕草をした。まあ、リリンはエリザベートのことも知らなかったみたいだし、魔術師ギルドでの人付き合いは、かなり薄かったようだ。
一通り呆れてみせたあと、気を取り直したようにエリザベートは顔を上げた。
「それより、もう一人の男じゃない? あの兵士、こちらのことを悪党とか言ってたわよね。ランドはまだ理解できるけど、ユーキまで悪党扱いだなんて、かなり怪しいわ。あなたたち、なにか恨みでも買ってない?」
「そう言われてもなあ……あんなヤツ、覚えがないんだよなぁ。なんで、俺の名前を知ってたんだろう」
「あの、わたし……どこかで見た気がするんですけど……どこで見たのかが思い出せなくて」
ユーキが申し訳なさそうな顔で、俺の言葉に続いた。
あの兵士に見覚えがあるというユーキに驚きながら、俺は思考を切り替えた。ヤツのこと考えるより、俺とユーキに共通する相手を考えた方が、答えを出すのが早そうだ。
「俺とユーキのことを知っている……それで恨みを持っていそうなヤツか。《地獄の門》って盗賊団の生き残りか?」
「でも、兵士の格好をしてましたし……」
二人でそんな意見を出し合っていると、リリンが目を瞬かせた。スチャッと手を小さく挙げると、抑揚のない声で話しに入って来た。
「あの……ゴガルンと一緒に来た監査役の一人……だと思います」
あ、なるほど。そっちだったか。
あのときは、ゴガルンへばかり意識がいっていて、他の監査役の顔とか良く覚えてないんだよな。
そっちの線なら、確かに俺の名前を知っていても不思議じゃないし、《白翼騎士団》を恨んでいるのも納得できる。
とにかく、この兵士がいる以上は、説得という手段は無理かもしれない。人的被害はないから、平和的に解決できると思ったのにな……。
ちょっとばかり憂鬱になってきたとき、セラが口を開いた。
「無精髭や鎧などが違うので、すぐにはわからなかったな。流石、リリンだ。しかしそうなると……ゴーレムとの再戦は避けられそうにありませんね」
最後のひと言は、俺や瑠胡に向けられたものだ。
再戦するにしても……魔術が効かない以上、どう考えても俺たちだけでは火力不足だ。
リリンとエリザベートだけではない、瑠胡も肉弾戦より魔術のほうが得意だ。三人の攻撃がゴーレムに通用しないとあっては、こちらの戦力はがた落ちだ。
あれを斃すには、溶岩やクレパスの中に落とすしかないだろう。しかし残念だが近隣に、そんな都合の良いものは存在しない。
「となると、タムランとあの兵士をとっ捕まえるほうが無難だな」
「それが最良だと思います」
俺の案にリリンは同意してくれたが――ザルード卿は頭を左右に、大きく振った。
「ならぬ。再戦もゴーレムと戦うべきだ。それでなくては、武勲など立てられぬ。それが出来ぬというのではれば、やはり他の騎士団に所属させるべきだろうな」
「一つ気になりますが、なぜそこまで武勲に拘るのです? そのようなものゴーレムでなくとも、あの二人組を捕縛するだけでも充分でしょう」
セラの投げかけた問いに、ザルード卿は尊大な態度で鼻を鳴らした。
「騎士となったなら強敵の戦いで武勲を立て、王国全土に名を轟かせねばならぬ。それが名誉となり、コウ家のためとなるのだ」
「つまらぬ」
瑠胡のひと言に、ザルード卿は目を剥いた。
そんなザルード卿を意に介していないような顔で、瑠胡は言葉を続けた。
「ユーキが得た武勲や名誉は、ユーキ自身のものだ。家のものではあるまい。ましてや、御主のものでもない。それほどまでに名誉が欲しければ、御主が武勲とやらを立てれば良かろう」
瑠胡の発言受けて、ザルード卿は表情を険しくしながらも、なにも言い返さなかった。
自分には、それができない――と、己の実力を理解しているんだろう。しかし自尊心からか、ザルード卿は無言のまま瑠胡へと睨みを利かせた。
その視線を真っ向から受けながら、瑠胡は怒りを滲ませながら告げた。
「娘の手柄を横取りするような真似など、名誉というには、ほど遠い行いであろう。外道めが――恥を知れ」
「そうですね。残念ながら瑠胡姫様に同意です、ザルード卿」
「貴様ら――」
ザルード卿が長剣の柄に手をかけるのを見て、俺は素早く抜剣した。
俺が勢いよく突き出した長剣の切っ先が、鞘から剣を抜きかけていたザルード卿の首筋に触れた。
「瑠胡やセラに剣を向けるなら、俺が相手になります。《スキル》も手加減なく、全力を出すから――覚悟をして下さい」
「き、貴様は……」
「剣を収めるなら、俺も無闇に勝負を仕掛けません。どうしますか?」
俺が改めて問いかけると、ザルード卿は剣を収めた。
それを見届けた俺は剣を収めてから、ユーキへと首を向けた。俺たちを指揮する立場にあるのは、ユーキだ。そして参謀役を目指す彼女が、これからの方針を決めるべきだ――と思う。
「それじゃあ、話を戻そう――ユーキ、ゴーレムに対する対処はどうする?」
「え――あ、はい。その……やはり、ですね。ゴーレムと戦うのは無理があるって思うんです。それで、ええっと、あの魔術師と兵士を捕らえましょう。そのためには、ゴーレムを引き離す必要があると思うんです。それで……囮の部隊と二人組を捕らえる部隊に分けたい……です」
ユーキは言葉を切ってから、深呼吸をした。
たったこれだけのことでも、かなりの心労のはずだ。息を整えてから、ユーキは俺たちを見回した。
「二人組を捕らえる部隊には、あたしとランドさん、瑠胡姫様に、セラさんの四人で行きます。囮役は、他の人たちでお願いします」
「ちょっと待ちなさいよ! なんで、このわたしが囮役なわけ!? あのゴーレムには魔術が効かないんでしょ!? なら、あたしはタムランを――」
エリザベートは突然に、文句を中断した。
どうやら、自分で言った言葉を思い出したらしい。タムランには〈魔力障壁〉がある――つまり、ヤツにも魔術が効かないということだ。
ユーキは小さく頷くと、小さく頷いた。
「……はい。あの、タムランさんも魔術が効かないなら、直接戦う必要の無い囮役のほうが適任です。説得することも考えましたが、状況的に無理かもって……あの、これでいきたいんですけど、どうですか?」
ユーキは自信なさげに問いかけたが、誰からも反対意見は出なかった。本隊と囮役とを分けた作戦だって、悪くない。
エリザベートは不満げだったが、なにも言わなかった。
これで話が纏まったというところで、ナインフが俺たちのところにやってきた。
「話は終わりましたか? これでも食べながら、休息することにしませんか? 山羊の乾酪ですが、どうぞ」
山羊の乾酪か――瑠胡は、あまり好んでいないんだよな。どうやら、独特の風味が強いのが苦手みたいだ。
そんな瑠胡の表情に気付いたのか、ナインフは苦笑した。
「大丈夫ですよ。それほど癖はありませんから」
包んでいたなにかの葉っぱを広げると、白っぽい乾酪が露わになった。俺はその欠片を指先で摘まむと、口の中に入れた。
「本当だ。かなり山羊っぽい風味が減ってますね。瑠胡もどうですか?」
「……ランドが、そう言うなら」
瑠胡も一口だけ食べたが、メイオール村の山羊の乾酪よりは食べやすそうな表情だった。
俺はナインフに、製法を訊ねてみた。
「人間の集落でも、山羊の乳をスープにすると聞いています。それと同じで、絞ってすぐに加熱をすれば、匂いはかなり抑えられますよ。それから乾酪として加工しています」
「ああ、なるほど」
乾酪を作る工程では普通、加熱をせずに加工をしているみたいだからなぁ。村に戻ったら、そういう話をしてみるか。
そんなことを考えながら、俺は再戦に供えて身体を休めることにした。
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本作を読んで頂き、誠にありがとうございます!
わたなべ ゆたか です。
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五部のプロット作成中に掃除をしていたら、「魔剣士と光の魔女」のプロット作成時に使っていたノートを発見しまして。
ちょっと見ていたら、諸事情により未使用だった話を発見しました。
おまけの話で山羊のミルクでプリンを作ろうとして、巧くいかない――そんな話があったんですが。実はその話、二部構成の予定だったんです。
山羊のミルクが臭くなるのは、空気に触れるからで、匂いの菌とかを吸収しやすいからのようです。
だから煮沸消毒をすると、かなり匂いが消えるというですね。
それを知った主人公のジン・ナイト、「え? そうなの!?」とプリン造りに再挑戦――という二話目にする予定でした。
今回、それをちょっと流用した次第です。
ちなみに諸事情についてですが……。
単に忘れてました(チャハ☆
残業やらなんやらで、忙しかった時期かなって思ってます。
それにしても、「諸事情により」とか「都合により」とか……便利な言葉ですよね。
山羊のミルクの臭いについて検索すると、そこそこ簡単に加熱処理のことは出てきます。
かなり昔から料理や御菓子の材料になってたみたいですし、山羊のミルクを使っている地方の人にとっては、常識だったのかもしれませんね。
あとまったくの余談ですが。
日本において、家畜としての山羊は歴史的に浅いみたいですね。牛については、飛鳥時代に牛乳を飲んでいたという記録もありますが、山羊は沖縄や九州の一部を除いて、WW2あたりまでは一般的じゃなかったみたいです。
今では山羊のミルクやスイーツも販売されています。空気に触れないように処理をして作られたミルクやスイーツは、癖のないスッキリとした味らしいです。
どんな味か興味はありますので、ポチるか悩み中です。平日は受け取りできませんし、食べ物の通販は悩みます。
ネットで検索をすると犬猫用として、山羊のミルクを使ったレシピなんかも出てきます。
ただ、未加工の乳は病気になるリスクがあるようで、人はもちろん、犬猫用も避けたほうがいいかもしれませんね。
あと最後に業務連絡的なものを。
明日(3/12)は、世間では祝日ですが、中の人は普通に仕事です。現場出てます。次回はいつも通り、水曜くらいになりますです。
少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
次回もよろしくお願いします!
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異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜
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不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。
その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!?
チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双!
※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中
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かつて勇者パーティーに所属していたジル。
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