入れ替わりのモニター

廣瀬純七

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カフェでの出会い

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「うん……意外といけるな、このパフェ」  

拓也(沙織)がスプーンですくったチョコレートパフェを口に運びながら、しみじみとつぶやく。  

「でしょ?」  

沙織(拓也)は満足そうにコーヒーをすする。二人とも少しずつこの不思議な状況に慣れてきていた。  

しかし——  

「あら?沙織さん、拓也くん?」  

突然、聞き覚えのある女性の声が背後から響いた。二人が驚いて振り向くと、そこには近所に住む中村夫婦の姿があった。  

「やだ~!こんなところで偶然ね!」  

ニコニコと笑顔を浮かべるのは、中村美和さん。沙織の母と親しくしている、世話焼きな奥さんだ。その隣には、少し無口な旦那さんの中村浩二さんがいる。  

「あ……中村さん……!」  

沙織(拓也)は一瞬焦るが、すぐに冷静を取り戻す。  

「た、たまたまね……ふふっ」  

(いけない!普段の私らしく振る舞わなきゃ!)  

拓也(沙織)は慌てて口元を押さえ、できるだけ沙織らしい仕草を意識する。  

「仲良くカフェデートなんて、相変わらずラブラブねぇ」  

「はは……まあ、そんな感じです」  

沙織(拓也)がぎこちなく笑いながら答えると、美和さんは満足げに頷いた。  

「それにしても、拓也くんってそんな甘いもの好きだった?」  

美和さんの視線が、拓也(沙織)が食べかけのパフェに向けられる。  

「あ……えっと……」  

拓也(沙織)は一瞬言葉に詰まるが、すぐに思いついたように笑顔を作る。  

「た、たまにはね! 沙織が美味しいから食べてみてよってすすめるから……」  

「あら、いいわねぇ~!奥さんのおすすめを素直に聞くなんて、いい旦那さんねぇ!」  

美和さんは微笑ましそうに言うが、浩二さんはふと拓也(沙織)を見て首をかしげる。  

「でも、なんか……ちょっと違うな」  

「えっ?」  

「拓也くん、雰囲気が少し……いつもと違うような」  

(ヤバイ……!)  

「そ、そうですかぁ? もしかして、最近仕事が忙しくてちょっと疲れてるのかも……あはは……」  

沙織(拓也)が無理やりごまかすように笑うと、美和さんが「それなら、ちゃんと奥さんに癒してもらわなきゃね!」と笑い、浩二さんも「そうだな」と頷く。  

なんとか違和感を流すことに成功し、二人はホッと胸をなでおろした。  

「じゃあ、私たちそろそろ行くわね! また近いうちにお茶でもしましょう!」  

「は、はい! ぜひ!」  

美和さんたちが店を出るのを見送りながら、二人は小さくため息をついた。  

「……危なかったな」  

「ほんとにね。特に浩二さん、鋭すぎ……!」  

「でも、今の私たちって周りから見たら普通の夫婦よね?」  

「まあ、体はね……でも中身はまったく逆だからなぁ」  

二人は苦笑いしながら顔を見合わせた。  

——このままバレずに過ごせるのだろうか? そんな小さな不安を抱えながらも、二人はまた会話を楽しみ始めるのだった。  

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