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美咲からのプレゼント
しおりを挟む玲奈として新しい生活が始まって数週間が経った。美咲との関係もこれまで以上に深まり、二人は親友として頻繁に会うようになっていた。ある日、美咲が突然こんな提案をしてきた。
「玲奈、一緒にショッピングに行かない?女性らしい服とか、いろいろ見てみたいでしょ?」
玲奈は少し戸惑った。これまでの買い物はもっぱらネット通販や最低限の店頭購入で済ませてきたからだ。美咲と一緒なら気楽に楽しめるかもしれない――そう思い、彼女の提案を受け入れることにした。
「いいわね。美咲と一緒なら楽しそう。」
美咲は嬉しそうに微笑んだ。
「じゃあ決まり!明日、午前中に駅で待ち合わせね。」
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翌日、二人は待ち合わせ場所で合流し、大きなショッピングモールへ向かった。店内は活気に満ちており、玲奈は少し緊張しながらも、美咲と一緒なら安心感があった。
美咲は楽しそうに店を次々と回り、玲奈に似合いそうな服を選んでは試着を促した。玲奈も自然とリラックスして、美咲の選んだワンピースやブラウスを試着するうちに、次第に楽しさが増していった。
「玲奈、本当に似合うよ!」
美咲が笑顔で言うたびに、玲奈の頬はほんのり赤く染まった。
「こんな風に服を選ぶのって、思った以上に楽しいのね。」
玲奈がそう言うと、美咲は得意げに頷いた。
「でしょ?女性としての楽しみはまだまだたくさんあるよ。」
そんな時、美咲がふと足を止めた。玲奈は彼女の視線の先を見て、少し驚いた。そこには、ランジェリーショップの看板があった。
「ねえ、玲奈。そろそろ下着も新調したらどう?」
美咲の言葉に玲奈は一瞬言葉を失った。
「下着って……そんな、普通のもので十分よ。」
玲奈は少し照れくさそうに答えたが、美咲は笑顔を崩さない。
「せっかくだから、私からのプレゼントにさせて!これまでいろいろ助けてもらったお礼よ。」
***
ランジェリーショップの中は、女性らしい美しさが溢れる世界だった。レースやシルクの繊細なデザインに囲まれ、玲奈はどこを見ていいのかわからず、戸惑いながらも美咲について行った。
「これなんてどう?シンプルだけど、上品で可愛いと思う!」
美咲がピンクのレースのセットを手に取る。
玲奈はそれを見て目を丸くした。
「ちょっと大胆すぎない?こんなの着るの、恥ずかしいわ……」
美咲はくすくす笑いながら、別のデザインを選んだ。
「じゃあ、これならどう?清楚な感じで玲奈っぽいかも。」
美咲が差し出したのは、淡いブルーのシルク製のセットだった。落ち着いたデザインだが、胸元の小さなリボンが可愛らしさを引き立てている。
「これなら……いいかも。」
玲奈は少し恥ずかしそうに言いながらも、受け取ったセットをじっと見つめた。
***
試着室で下着を試す間、玲奈は鏡に映る自分の姿を見つめた。
「本当に私、女性になったんだな……」
下着のフィット感や見た目が自然すぎて、改めて自分の変化を実感する。美咲に見立ててもらったこのセットは、玲奈の新しい自分にぴったりだと思えた。
試着室を出ると、美咲が期待に満ちた顔で待っていた。
「どうだった?」
玲奈は恥ずかしそうに頷いた。
「すごくいい感じ。ありがとう、美咲。」
美咲は満足そうに微笑んだ。
「それじゃ、これを私からのプレゼントにするね!玲奈には素敵なものを着てもらいたいから。」
***
その後も二人はショッピングを続け、玲奈にとって充実した一日となった。帰り道、美咲は玲奈の手を握りながら言った。
「玲奈、今日一緒に買い物できて本当に楽しかった。これからも、こうやってずっと一緒にいろいろ楽しもうね。」
玲奈は微笑み返し、美咲の手を優しく握り返した。
「もちろんよ。私も、美咲と一緒にいるとすごく楽しい。」
新しい自分としての人生が少しずつ馴染んでいく感覚を、玲奈はその手のぬくもりとともに感じていた。
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