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新しい命
しおりを挟む玲奈のお腹が大きくなり、妊娠生活もいよいよ終盤に差し掛かった。健一と美咲の支えを受けながら、玲奈は順調に赤ちゃんの誕生を待ちわびていた。健一は玲奈の体を気遣い、家事や買い物を率先して手伝い、美咲は頻繁に訪れては玲奈の話し相手になり、ベビー用品の準備を手伝ってくれた。
***
ある夜、玲奈が眠っていると、お腹に鋭い痛みを感じて目を覚ました。時計を見ると、夜中の2時過ぎだった。痛みは断続的に訪れ、少しずつ間隔が短くなっていく。
「健一さん……起きて……!」
玲奈が夫を呼ぶと、健一はすぐに目を覚まし、状況を理解した。
「玲奈、大丈夫か?病院に連絡する!」
健一は冷静に電話をかけ、タクシーを手配すると、玲奈の荷物を準備して彼女を支えながら玄関へ向かった。
「大丈夫だ、玲奈。俺がついてるから。」
その言葉に玲奈は安心感を覚え、痛みに耐えながら病院へ向かった。
***
病院に到着すると、すぐに助産師が玲奈を診察し、出産の準備が始まった。陣痛の波は次第に強くなり、玲奈は健一の手を強く握りしめながら耐えた。
「玲奈、よく頑張ってるよ。君ならきっと大丈夫だ。」
健一の励ましの言葉と、彼の存在が玲奈にとって大きな支えだった。
数時間が経過し、いよいよ赤ちゃんが生まれる瞬間が近づいてきた。助産師や医師たちが声をかける中、玲奈は全力でいきむ。
「もう少しだよ、玲奈さん!赤ちゃんが見えてきました!」
その言葉を聞き、玲奈は最後の力を振り絞った。そして――
***
「おぎゃー!」
赤ちゃんの元気な産声が響いた瞬間、玲奈はすべての痛みを忘れ、涙を流した。
「生まれましたよ。元気な女の子です。」
助産師が赤ちゃんを玲奈の胸にそっと乗せてくれた。玲奈は小さな命のぬくもりを感じながら、目を潤ませて微笑んだ。
「こんにちは……私たちの赤ちゃん。」
健一も感動で言葉を失い、玲奈と赤ちゃんを見つめながら涙をこぼした。
「玲奈、本当にありがとう。君とこの子が僕の宝物だ。」
***
その後、玲奈は無事に出産を終え、母子ともに健康であることが確認された。美咲にもすぐに報告が行き、彼女は病院へ駆けつけた。
「玲奈、本当にお疲れさま!赤ちゃん、すっごく可愛いね!」
美咲は赤ちゃんを見つめながら、その小さな手を優しく触れた。
「これからは私がしっかりおばさんとしてサポートするからね!」
玲奈は美咲の言葉に笑顔で頷いた。
「ありがとう、美咲。これからもよろしくね。」
新しい命を迎えた喜びと、家族や友人の温かさに包まれながら、玲奈は新たな母親としての一歩を踏み出した。
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