兄になった姉

廣瀬純七

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入れ替わる姉弟

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真奈美姉が完全に男性の体へと変化したのは、ある日突然のことだった。ある朝、彼女が自室から出てきたとき、その体つきはもう完全に男性そのものだった。肩幅が広く、筋肉質な体。顔つきも鋭く、低い声で話す彼女は、もはや「兄」と呼ぶほかない姿になっていた。

最初は、その変化に驚きと戸惑いを感じていた僕だったが、次第に新しい「兄」との生活にも慣れていった。だが、ある日を境に、僕自身にも不思議な変化が訪れ始めた。

最初に気がついたのは、自分の体が以前よりも柔らかく感じられるようになったことだった。肩や腕の筋肉が少しずつ落ち、体つきがほっそりとしてきた。僕は運動も好きで、普段からある程度鍛えていたはずなのに、まるで自分の意志に反して力が抜けていくような感じがしていた。

「なんか変だな……」と鏡を見つめながら自分の姿を確認していると、真奈美、いや、今や僕の「兄」である彼女が部屋に入ってきた。

「お前、最近なんだか小さくなってきてるんじゃないか?」兄はそう言って僕の肩を軽く叩き、僕をじっと見つめた。

「そんなこと……ないと思うけど……」と僕は言い返しながらも、内心その言葉が引っかかっていた。

その後、僕の体の変化はさらに進んでいった。肩幅が狭くなり、体つきはどんどん華奢になっていく。声も少し高くなり、鏡に映る自分の顔は以前よりも優しい印象へと変わりつつあった。髪もなぜか以前よりも柔らかくなり、肌もすべすべとしてきた。手足も細くなり、指先も女性らしい繊細な形になっていった。

そんな変化に最初は戸惑いを覚えたが、兄もまた僕と同じくらい不思議そうな顔をして、僕の変わりゆく姿を見つめていた。そして、ある時を境に、兄はいつも僕に気を遣ってくれるようになった。重い荷物を持つ時には率先して手伝ってくれたり、僕が困っている時には優しく励ましてくれるようになった。

時間が経つにつれ、僕は次第に新しい体に慣れ、今までと違った視点で日常を見つめるようになった。学校でも友人たちは僕の変化に驚いていたけれど、僕自身がどこか冷静にそれを受け入れていることに気づいていた。そして、兄の側にいると、なんだか自分の新しい役割が自然と理解できるような気がしてくるのだった。

ある日、二人で出かけた際、兄がふと僕を見つめて言った。「健太、お前が女性っぽくなっていくのを見るのは不思議な気分だ。でも、お前がどんな姿でも、俺はお前を大事に思ってるからな。」

その言葉を聞いた時、僕は胸が温かくなるのを感じた。変わっていく自分を受け入れるのは、最初はとても不安だったけれど、今の兄と一緒なら、これからもどんな変化も受け入れていける気がする。

これからも、お互いが支え合いながら、姉弟としての絆を超えた新しい関係が築かれていくんだろう。どんな姿になっても、僕たちはずっと家族であり、最も信頼できる存在なのだから。
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