兄になった姉

廣瀬純七

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姉の結婚と弟の出産

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姉の真奈美が男性の姿になってから数年が経った。僕たちは高校を卒業し、姉は社会人として働き始め、僕も大学に進学した。それぞれ新しい生活を送りながらも、お互いを支え合う日々は変わらなかった。

姉はその間に、職場で知り合った美奈さんという素敵な女性と出会い、交際を始めた。美奈さんは姉の過去のことをすべて理解したうえで一緒にいることを選んでくれた。最初は彼女の寛容さに驚いたが、次第にその優しさと明るさに触れ、僕自身も彼女のことが家族のように思えてきた。

やがて、姉と美奈さんは結婚することになった。披露宴では、僕も親族として出席し、姉と並んで写真を撮った。その時、姉はスーツを着ていて、まるで昔からずっと兄だったかのように、堂々とした姿で立っていた。幸せそうな二人を見て、僕は心から嬉しかった。

そんな中、僕自身にも新たな変化が訪れていた。大学で出会った彼氏の大輔と深い関係になり、彼と一緒に未来を考えるようになっていた。僕は姉と同じように、新しい自分の姿に戸惑うことがあったけれど、彼はそんな僕を丸ごと受け入れてくれた。

そして、ある日、僕は驚くべき事実を知った。定期健診のため病院を訪れたところ、なんと妊娠していることが判明したのだ。最初は医師の言葉が信じられなかったが、少しずつその現実を受け入れるにつれて、どんどん嬉しくなっていった。自分が母親になるなんて思いもよらなかったが、不思議と心は温かく、優しい気持ちで満たされていった。

帰宅後、僕は姉にそのことを報告した。姉は驚いた顔をしたあと、少し照れくさそうに微笑んで、僕の肩を抱いてくれた。

「お前が母親か……そうか、家族がまた増えるんだな」と、姉は静かに、でも嬉しそうに言った。

僕たちはそれからも新しい家族を迎える準備を進めていった。姉と美奈さんは僕の体調を気遣ってくれたり、必要なものを揃えるのを手伝ってくれたりと、まるで自分たちの子供が生まれるかのように一緒にサポートしてくれた。

そして、数ヶ月後、僕は無事に赤ちゃんを出産した。姉はその時、涙ぐみながら僕の手を握ってくれた。出産後、僕が初めて抱いた小さな命は、かつて僕たちが姉弟として過ごしてきた時間を思い出させてくれ、さらに新しい希望をもたらしてくれるようだった。

姉も僕も、形は変わったけれど、今も強い絆で結ばれている。それぞれが新しい家族を持ちながらも、僕たち姉弟はいつもお互いを支え、喜びを分かち合いながら生きていく。そして、今度はそれぞれの家族も一緒に、これからも大切な日々を重ねていくのだろう。

僕たちの物語は、いつまでも続いていく──そう、家族という形の中で。
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