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トイレうっかり事件
しおりを挟む木村博美は新しい職場に慣れてきたとはいえ、毎日が新しい挑戦の連続だった。今日も朝から取引先との会議があり、ランチタイム後にはデザイン部との打ち合わせが控えている。忙しい日々の中、少しの休憩時間を使って次の企画のアイデアを練ることに集中していた。
企画書を抱えたまま、考えに没頭していた博美は「ちょっとトイレでリフレッシュして来ます。」と席を立った。ぼんやりした頭のまま廊下を進むと、無意識のうちに男子トイレへ入ってしまった。
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### 違和感と驚き
トイレに入っても特に気に留めず、博美は空いている小便器の前に立った。目の前には白い陶器の器がずらりと並んでいる。ふと隣を見ると、同僚の田中が立っていた。
田中は博美の姿を見て目を丸くした。「えっ、博美さん!?何してるんですか!?」
その瞬間、博美は自分が男子トイレにいることに気づいた。心の中で「やっちゃった!」と思いながら、頭の中は一瞬で真っ白になった。
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### 笑ってごまかす
「えっと、これはその…新しいインテリアデザインのインスピレーションを得ようと思って…!」
博美はとっさに笑顔で誤魔化しながら軽く頭を下げた。
田中は困惑した表情で「あ…なるほど…」と納得しかけたが、どう考えても不自然な状況だった。しかし、博美の表情があまりに堂々としていたため、深く追及はしなかった。
「すみません、ちょっと失礼します!」
博美は慌ててトイレを出て、隣の女子トイレへ駆け込んだ。
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### 一息ついて
女子トイレに入った博美は、鏡の前で自分の顔を見つめ、恥ずかしさで耳まで赤くなっていることに気づいた。「俺は、なんてドジなんだ!」と苦笑いしながら、手を軽く洗った。
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### 職場での笑い話
後日、このエピソードは田中が「あれはさすがに驚いたよ」と軽く触れたことで、同僚たちの間で職場の笑い話として広まった。しかし、博美のキャラクターのおかげで誰も彼女を責めることなく、「博美さんらしいね!」と好意的に受け止めてくれた。
博美はそんな同僚たちの温かさに感謝しながらも、もう二度と男子トイレに足を踏み入れないと心に誓ったのだった。
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