俺が咲良で咲良が俺で

廣瀬純七

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トイレ事件

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練習試合が終わり、咲良の体に入った健太は汗だくになったユニフォームを着替えるため、ロッカールームへ向かった。だが、着替えの前にトイレに行きたくなり、無意識のうちに男子トイレへ足を運んでしまった。  

トイレに入ると、健太の時の習慣で自然と小便器の前に立った。だが、自分の股間を触って愕然とした。  

「やばい!俺、咲良の体のままだった!」  

慌てて後ずさりしようとしたその時、トイレのドアが開き、サッカー部の先輩である佐藤先輩が入ってきた。  

「おっ、咲良ちゃん?」  

健太(咲良の体)は心臓が飛び出そうになるほど驚いた。何とか言い訳を考えようと焦るが、佐藤先輩は不思議そうな顔で続ける。  

「咲良ちゃんが男子トイレで何してるの?」  

咲良の体の健太は頭の中が真っ白になりながらも、とっさに出た言葉でごまかすことにした。  
「あっ、あの、えっと……トイレが汚れているのを見つけて、それで……掃除しようと思って!」  

「掃除?」佐藤先輩は片眉を上げて健太をじっと見た。「男子トイレを?普通は女子トイレを掃除するんじゃないの?」  

「え、えっと……そうなんですけど、トイレの汚れが気になっちゃって、見過ごせなくて……!」健太は必死に取り繕った。  

佐藤先輩は首をかしげたが、「まあ、マネージャーの咲良ちゃんらしいな」と笑って肩をすくめた。「男子トイレの掃除は男子がやるから大丈夫だよ!」  

「あ、はい!ありがとうございます!」咲良(健太)は深々と頭を下げた。  

### トイレを出た後の冷や汗

男子トイレから出た咲良(健太)は廊下でようやく一息ついた。  
「危なかった……完全にやらかすところだった……。」  

その後、健太(咲良)と合流し、咲良(健太)はこの出来事をこっそり打ち明けて謝った。  
「やだ、女の子が男子トイレに入っちゃだめでしょう!」  
「つい男の時の習慣で……本当にごめん!」  

健太(咲良)は呆れた顔をしながらも、「今後は本当に気をつけてよ、私の評判に関わるんだから」と笑い飛ばし、二人はまたいつものようにお互いを助け合いながら帰路についたのだった。
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