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翌朝の登校
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翌朝の通学路、街路樹の葉が風に揺れ、朝日がまぶしく照らしていた。制服姿の渚は、鞄を抱えながら隣を歩く優斗をちらちら見た。昨日の出来事が、まだ夢だったみたいに信じられない。だけど確かに感じた鼓動やぎこちなさは、思い出すだけで胸が高鳴った。
「ねえ、優斗」
「ん?」
「昨日さ……すっごくドキドキしたよね。私、心臓がずっとバクバクしてたんだ。外に出るのも緊張したけど、なんか男の子になって楽しくて……」
渚は笑顔を浮かべ、思い出し笑いをする。だが隣の優斗は特に表情を変えず、肩をすくめて言った。
「そうか? 俺はそんなにドキドキはしなかったな」
「えっ?」
意外な返事に渚は足を止めそうになる。思っていた反応と違い、頬がほんのり熱くなった。
「だってさ、渚って基本的にすぐテンパるだろ。だから余計にドキドキしたんじゃないのか?」
「う……そうかもしれないけど」
「俺はまあ、変な感じはしたけど……別にそこまでじゃなかったな、俺、渚になってるなって思っただけで、」
優斗は淡々と歩きながら言う。その言葉に渚の心は少し揺れた。自分はあんなに舞い上がっていたのに、優斗にとっては違ったのか、と。
「……でもさ」
小さな声で続ける。
「私は、また入れ替わってみたいな。昨日の私じゃできなかったこととか、もっと体験してみたい。男の子を満喫したいな!」
優斗は少し驚いた顔をして、渚を横目で見た。そして苦笑する。
「渚って、本当に好奇心旺盛だよな。……まあ、もしまたやるなら、今度はもうちょっと落ち着いてくれよ」
「え、じゃあ本当にもう一回やってくれるの?」
「……気が向いたらな」
そっけない返事。けれど渚は思わず笑みをこぼした。
二人の足音がリズムを刻み、朝の通学路に溶けていく。渚の胸の奥では、昨日と同じ鼓動がまだ鳴り続けていた。
「ねえ、優斗」
「ん?」
「昨日さ……すっごくドキドキしたよね。私、心臓がずっとバクバクしてたんだ。外に出るのも緊張したけど、なんか男の子になって楽しくて……」
渚は笑顔を浮かべ、思い出し笑いをする。だが隣の優斗は特に表情を変えず、肩をすくめて言った。
「そうか? 俺はそんなにドキドキはしなかったな」
「えっ?」
意外な返事に渚は足を止めそうになる。思っていた反応と違い、頬がほんのり熱くなった。
「だってさ、渚って基本的にすぐテンパるだろ。だから余計にドキドキしたんじゃないのか?」
「う……そうかもしれないけど」
「俺はまあ、変な感じはしたけど……別にそこまでじゃなかったな、俺、渚になってるなって思っただけで、」
優斗は淡々と歩きながら言う。その言葉に渚の心は少し揺れた。自分はあんなに舞い上がっていたのに、優斗にとっては違ったのか、と。
「……でもさ」
小さな声で続ける。
「私は、また入れ替わってみたいな。昨日の私じゃできなかったこととか、もっと体験してみたい。男の子を満喫したいな!」
優斗は少し驚いた顔をして、渚を横目で見た。そして苦笑する。
「渚って、本当に好奇心旺盛だよな。……まあ、もしまたやるなら、今度はもうちょっと落ち着いてくれよ」
「え、じゃあ本当にもう一回やってくれるの?」
「……気が向いたらな」
そっけない返事。けれど渚は思わず笑みをこぼした。
二人の足音がリズムを刻み、朝の通学路に溶けていく。渚の胸の奥では、昨日と同じ鼓動がまだ鳴り続けていた。
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