バーチャル女子高生

廣瀬純七

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新しい自分、新しい家族

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陽介は仮想空間で「ひより」として過ごす日々の中で、次第に自分の心の奥にあった思いに気づき始めていた。

現実の自分――山崎陽介としての生活は、孤独で、やりがいや楽しみを見出せないものであった。一方、仮想空間で「ひより」として生きる時間は、色鮮やかで、自分が本当に自分らしくいられる感覚を味わわせてくれるものだった。

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### 「もう一つの選択肢」

ある日、陽介(ひより)の元に再び現れた管理者の女性は、以前にも増して真剣な表情でこう告げた。

「あなたがどちらの世界に生きるべきか、まだ迷っているようですね。もし本当にこの世界に留まりたいのなら、意識を完全に移行する選択肢があります。」

女性は再び、虹色の液体が入った透明なカプセルを差し出した。それは仮想空間で永遠に生きるための手段だった。

「この世界で家族を築くことを選んだ今、あなたの居場所はどちらですか?」

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### 深い葛藤

陽介は女性の言葉を聞きながら、視線を湖の水面に落とした。仮想世界ではひよりとして結婚し、子どもも誕生した。自分がひよりでいることで得た幸せは、現実では得られなかったものだった。

一方で、現実の山崎陽介としての存在を捨てることへの不安もあった。

「でも…現実の自分を捨てるなんて、本当にいいのかな。」

女性は穏やかな声で答えた。

「あなたがここに留まりたいのは、本当の自分を見つけたからではないのですか?」

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### 「ひより」としての決意

陽介は数日間、その選択について考えた。そして、仮想空間での赤ちゃん――未来(みらい)の笑顔を見ているとき、彼の中で答えが固まった。

「この世界でなら、俺はひよりとして、自分らしく生きられる。未来を育て、家族として生きていくことができる。」

陽介はカプセルを手に取り、それを飲み込む決意をした。瞬間、彼の意識は深く仮想空間と結びつき、現実の肉体から完全に切り離された。

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### 三人での生活

「ひより」として生きることを選んだ陽介は、未来と夫の陽介(現実の自分とは別存在)との生活をスタートさせた。

未来は仮想空間で生まれた存在だったが、その笑顔や仕草には、二人の愛情が確かに反映されていた。夫の陽介も、変わらずひよりを支えてくれた。

「ひより、これからも一緒に頑張っていこうな。」

「うん、陽介くん。私たち、家族だもんね。」

未来の成長を見守りながら、ひよりは心の底から思った。この選択は、自分にとっての「真実の居場所」を見つけた証だった。

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### 永遠の家族

仮想空間での生活は、現実では得られなかった新たな喜びをひよりに与えてくれた。未来が笑顔を見せるたび、陽介(ひより)はこの選択が間違っていなかったと確信する。

「これからも、ずっとここで一緒に。」

ひよりの言葉に、家族全員が頷いた。仮想の世界でも、そこには確かに愛と絆が存在していた。
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