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女子会
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金曜の夜、職場の近くにある雰囲気のいいイタリアンバル。
アンティーク調の店内にはワインの瓶が並び、グラスを傾ける女性客の笑い声が、心地よく響いていた。
「かんぱーい、週末!」
「……か、かんぱい……!」
グラスを軽く鳴らした拓也(体は純)の顔は、終始こわばっていた。
純の姿のまま、ワイン片手に女子会──
これはもう、完全に“未経験ゾーン”である。
目の前には、白ワイン片手ににこやかに微笑む谷村真登香。
グレーのカーディガンを羽織り、髪をゆるく巻いた彼女は、まさに“大人女子会”の似合う女性そのものだった。
「いや~やっと純とサシで飲めたね。今日までずっとタイミング合わなくてさ」
「う、うん……ほんとに、ね……」
グラスの縁を指先でいじりながら、ぎこちなく笑う“純”。
その視線の先にはメニューがあり、必死に読んで気を紛らわせている。
(こ、これはまずい……女子同士の会話なんて、正解が見えない……!)
「純、最近ちょっと雰囲気変わったよね。柔らかくなったっていうか、なんか“近づきやすく”なった」
「えっ……そう、かな?」
「うん。前はちょっと隙がなさすぎたというか。たぶんそれって、自分で気づいてなかったでしょ?」
(鋭すぎる……!)
慌ててグラスのワインをひとくち飲み、咳き込む拓也(純)。
真登香は笑いながら、自分の皿にオリーブを取り分ける。
「……ねぇ、“上杉さん”のこと、どう思ってる?」
その名前が出た瞬間、ワインの味が飛んだ。
「えっ!?」
「いや、最近ほんとに仲良いしさ。仕事でもだけど……なんかこう、空気感がね。
この前も、すっごく自然に肩に手置いてたでしょ? 見てたよ~?」
「うっ……あれは、その……」
(マズいマズいマズいマズい……“自分で自分に触れた”みたいなことになってるんだけど!?)
「……う、うまく言えないけど……“ちょっと特別”って思ってるのは、たぶん、ほんとだと思う」
言葉を選びながら、ぽつりとそう口にした拓也(体は純)。
その答えに、真登香はふっと微笑んだ。
「うん。うまく言えない感じ、たぶん本物だと思うよ。……ね、恋してる?」
「……かもしれない」
小さくうなずいたその声に、グラスの中のワインがゆっくり揺れる。
“女性の姿”で初めて向き合う感情。嘘じゃない、自分の心から出てきた言葉だった。
「いいじゃん。純が幸せそうなら、私は全力で応援するからね」
「……ありがとう、まどか」
その言葉にじんわりと胸が熱くなりながら、拓也(体は純)は初めて、女子会という空間で心から笑った。
カプレーゼをひと口運びながら、ふと思う。
(こんな形でしか伝えられないなんて、不思議だな。でも……悪くない)
女子ふたりの静かな夜は、グラスを重ねるたびに、少しずつ心の距離を近づけていた。
---
アンティーク調の店内にはワインの瓶が並び、グラスを傾ける女性客の笑い声が、心地よく響いていた。
「かんぱーい、週末!」
「……か、かんぱい……!」
グラスを軽く鳴らした拓也(体は純)の顔は、終始こわばっていた。
純の姿のまま、ワイン片手に女子会──
これはもう、完全に“未経験ゾーン”である。
目の前には、白ワイン片手ににこやかに微笑む谷村真登香。
グレーのカーディガンを羽織り、髪をゆるく巻いた彼女は、まさに“大人女子会”の似合う女性そのものだった。
「いや~やっと純とサシで飲めたね。今日までずっとタイミング合わなくてさ」
「う、うん……ほんとに、ね……」
グラスの縁を指先でいじりながら、ぎこちなく笑う“純”。
その視線の先にはメニューがあり、必死に読んで気を紛らわせている。
(こ、これはまずい……女子同士の会話なんて、正解が見えない……!)
「純、最近ちょっと雰囲気変わったよね。柔らかくなったっていうか、なんか“近づきやすく”なった」
「えっ……そう、かな?」
「うん。前はちょっと隙がなさすぎたというか。たぶんそれって、自分で気づいてなかったでしょ?」
(鋭すぎる……!)
慌ててグラスのワインをひとくち飲み、咳き込む拓也(純)。
真登香は笑いながら、自分の皿にオリーブを取り分ける。
「……ねぇ、“上杉さん”のこと、どう思ってる?」
その名前が出た瞬間、ワインの味が飛んだ。
「えっ!?」
「いや、最近ほんとに仲良いしさ。仕事でもだけど……なんかこう、空気感がね。
この前も、すっごく自然に肩に手置いてたでしょ? 見てたよ~?」
「うっ……あれは、その……」
(マズいマズいマズいマズい……“自分で自分に触れた”みたいなことになってるんだけど!?)
「……う、うまく言えないけど……“ちょっと特別”って思ってるのは、たぶん、ほんとだと思う」
言葉を選びながら、ぽつりとそう口にした拓也(体は純)。
その答えに、真登香はふっと微笑んだ。
「うん。うまく言えない感じ、たぶん本物だと思うよ。……ね、恋してる?」
「……かもしれない」
小さくうなずいたその声に、グラスの中のワインがゆっくり揺れる。
“女性の姿”で初めて向き合う感情。嘘じゃない、自分の心から出てきた言葉だった。
「いいじゃん。純が幸せそうなら、私は全力で応援するからね」
「……ありがとう、まどか」
その言葉にじんわりと胸が熱くなりながら、拓也(体は純)は初めて、女子会という空間で心から笑った。
カプレーゼをひと口運びながら、ふと思う。
(こんな形でしか伝えられないなんて、不思議だな。でも……悪くない)
女子ふたりの静かな夜は、グラスを重ねるたびに、少しずつ心の距離を近づけていた。
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