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お祭りデート 5
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フェルナンドは、己の腕の中ですやすやと眠るイアナの顔を見つめていた。
外からはまだ祭りの喧騒が聞こえてくる。
時刻は深夜を少し回ったころ。疲れたのか、肌を重ねた後でおしゃべりしているうちに、イアナは眠りについてしまった。
顔にかかった髪をそっと払ってやると、眠っているイアナがふにゃりと笑う。
(君は不思議な人だ)
正直な本音を話せば、フェルナンドはエラルドが見つけてきた縁談にあまり乗り気ではなかった。
エラルドはせっかく若返ったのだから後妻を娶って人生を楽しむべきだなんて言っていたが、あれはフェルナンドをうっかり二十歳頃まで若返らせてしまったことへの息子なりの罪悪感だと言うことはわかっていた。
エラルドだって、多少は警戒していたはずだ。自分の妻や子供たちに対して、フェルナンドに嫁いで来た女性がつらく当たらないだろうか、と。
そもそも、外見こそ若返ったが中身が年寄りのフェルナンドと、年若い令嬢が合うはずがない。
きっとすぐに嫌気がさすだろうし、仮面夫婦になることも覚悟していた。
もし妻が望むなら別宅でも与えて自由にさせてもよかったし、別れたいと言われたら応じるつもりでもいた。
もっと言えば、フェルナンドは嫁いで来た後妻を愛せる自信がなかった。
早世した前妻とは政略結婚で、お互いに恋をしていたわけではない。けれど家族として愛していたし、彼女との生活はとても穏やかで優しく、息子にも恵まれて平和そのものだった。
綺麗な思い出があるからこそ、どうしても前の妻と新しい妻を比較してしまうのではないかとフェルナンドは思った。
もちろん、嫁いでくる以上ないがしろにするつもりはなかったが、夫婦として絆が結べるとは思っていなかった。
けれど――
「君が私を見て気絶したときはびっくりしたが、若返った私を気持ち悪がらず受け入れてくれたことにはもっと驚いたんだよ」
それどころか、次の日には孫を見つけて「ばぁばですよー」と来たものだ。あの時も驚愕した。二十歳の令嬢の口から「ばぁば」という言葉が出た時の衝撃はかなりのものだったからだ。
人見知りのカーラには手こずったようだが、ルクレツィオとはあっという間に仲良くなっていた。ルクレツィオは人見知りではないが、あれで少し気難しいところがある。それなのに、イアナに懐くのは一瞬と言っていいほどだった。アリーチャもイアナとルクレツィオが仲良くしているのを見て、心の底から安堵したようだ。
エラルドは、たまたま縁談を募集したらイアナが釣れたなんて言っていたが、フェルナンドは最近少しだけ、運命ではないかと思う時がある。
運命なんて信じたことはなかったが、年がこれほど離れているのにこんなに違和感のない女性が嫁いでくるなんて、普通はあり得ないだろう。
(イアナ、日に日に君に惹かれていくよ)
まさかこの年になって恋をする日が来るとは思わなかった。しかも息子よりもうんと若い妻に、だ。エラルドに若返りの薬を飲まされた時は茫然としたが、今では若返ってよかったと思う。
(エラルドは、新たに弟か妹が生まれても大歓迎だなんて冗談交じりに言っていたが……どうしよう、本当に望んでしまいそうになるな)
すでに息子がいて孫がいる。
けれど、イアナとの間に新たな家族がいたらどんなにか幸せだろうと考える自分がいた。若返った途端、強欲になってしまったのかもしれない。
「イアナ、君に出会えた幸運に感謝を」
眠っているイアナの頬に口づけると、すりっと彼女が擦り寄って来る。
フェルナンドは愛しい妻を抱き寄せると、彼女のつむじに頬を寄せて目を閉じた。
外からはまだ祭りの喧騒が聞こえてくる。
時刻は深夜を少し回ったころ。疲れたのか、肌を重ねた後でおしゃべりしているうちに、イアナは眠りについてしまった。
顔にかかった髪をそっと払ってやると、眠っているイアナがふにゃりと笑う。
(君は不思議な人だ)
正直な本音を話せば、フェルナンドはエラルドが見つけてきた縁談にあまり乗り気ではなかった。
エラルドはせっかく若返ったのだから後妻を娶って人生を楽しむべきだなんて言っていたが、あれはフェルナンドをうっかり二十歳頃まで若返らせてしまったことへの息子なりの罪悪感だと言うことはわかっていた。
エラルドだって、多少は警戒していたはずだ。自分の妻や子供たちに対して、フェルナンドに嫁いで来た女性がつらく当たらないだろうか、と。
そもそも、外見こそ若返ったが中身が年寄りのフェルナンドと、年若い令嬢が合うはずがない。
きっとすぐに嫌気がさすだろうし、仮面夫婦になることも覚悟していた。
もし妻が望むなら別宅でも与えて自由にさせてもよかったし、別れたいと言われたら応じるつもりでもいた。
もっと言えば、フェルナンドは嫁いで来た後妻を愛せる自信がなかった。
早世した前妻とは政略結婚で、お互いに恋をしていたわけではない。けれど家族として愛していたし、彼女との生活はとても穏やかで優しく、息子にも恵まれて平和そのものだった。
綺麗な思い出があるからこそ、どうしても前の妻と新しい妻を比較してしまうのではないかとフェルナンドは思った。
もちろん、嫁いでくる以上ないがしろにするつもりはなかったが、夫婦として絆が結べるとは思っていなかった。
けれど――
「君が私を見て気絶したときはびっくりしたが、若返った私を気持ち悪がらず受け入れてくれたことにはもっと驚いたんだよ」
それどころか、次の日には孫を見つけて「ばぁばですよー」と来たものだ。あの時も驚愕した。二十歳の令嬢の口から「ばぁば」という言葉が出た時の衝撃はかなりのものだったからだ。
人見知りのカーラには手こずったようだが、ルクレツィオとはあっという間に仲良くなっていた。ルクレツィオは人見知りではないが、あれで少し気難しいところがある。それなのに、イアナに懐くのは一瞬と言っていいほどだった。アリーチャもイアナとルクレツィオが仲良くしているのを見て、心の底から安堵したようだ。
エラルドは、たまたま縁談を募集したらイアナが釣れたなんて言っていたが、フェルナンドは最近少しだけ、運命ではないかと思う時がある。
運命なんて信じたことはなかったが、年がこれほど離れているのにこんなに違和感のない女性が嫁いでくるなんて、普通はあり得ないだろう。
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けれど、イアナとの間に新たな家族がいたらどんなにか幸せだろうと考える自分がいた。若返った途端、強欲になってしまったのかもしれない。
「イアナ、君に出会えた幸運に感謝を」
眠っているイアナの頬に口づけると、すりっと彼女が擦り寄って来る。
フェルナンドは愛しい妻を抱き寄せると、彼女のつむじに頬を寄せて目を閉じた。
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