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枯れ専がばれました 1
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楽しいお祭りを終えて、一週間。
イアナの元に、アントネッラ伯爵家から手紙が届いた。
差出人の父の名を見て、イアナはそっと嘆息する。
(性懲りもなく、まぁたお金の無心ね)
借金まみれのアントネッラ伯爵家である。領民から税金を徴収しても、利子分にもならないだろう。借金先から督促状が来て頭を抱えている父の姿が目に浮かぶ。
フェルナンドと一緒に中を確認しようと彼の書斎を訪れたイアナは、珍しく眉間に皺を寄せている夫に首をひねった。
「旦那様、どうしました?」
「いや……ああ、やっぱり見てもらった方がいいかな。対応をどうしようか悩んでいてね」
おいでと手招かれてイアナはいそいそとフェルナンドの側に寄る。書斎机の椅子は一つしかないからか、フェルナンドがひょいとイアナを膝の上に抱き上げた。
(お膝抱っこ!)
前世でもされたことがない。ドキドキと鼓動が高鳴って、うっかり悶えそうになった。落ち着け、落ち着くのよ、自分。
「そ、それで、何に悩んでいたのですか?」
声が上ずりそうになりながら訊ねたら、フェルナンドが一通の手紙を見せてくれた。
「これは王都の王家御用達の仕立屋からなんだが」
「読んでもいいですか?」
「もちろんだ」
イアナは自分が持って来た手紙を机の上に置き、フェルナンドから預かった手紙の中身を確認した。読み進めているうちに眉間に皺が寄る。
(あの子ったら、何を考えているのかしら?)
差出人は仕立屋のマダムからだった。
ジョルジアナ・アントネッラ伯爵令嬢がドレスの注文に来たが、その支払いをステファーニ公爵家に請求してほしいと言ったのだが、本当にいいのかという確認の手紙だった。
アントネッラ伯爵家の名前は悪い意味で有名で、だからこそ、姉の嫁ぎ先である公爵家にドレスの代金を請求するというのがマダムには不可解に感じたらしい。
しかも、ドレスは五着も頼んだらしい。それどころか新しいコートを三着に、下着を十着、ナイトウェアを三着、靴を七足も注文したという。
イアナは頭が痛くなって、フェルナンドに言った。
「嫌な予感がします。この仕立屋のマダムは確認の手紙をくれましたが、ジョルジアナがよそでもやっている可能性が高いです。王都の仕立屋やアクセサリー店……いいえ、商店すべてに通達を入れられますか? ジョルジアナ・アントネッラがステファーニ公爵家の名前を出しても無視するように、もし注文を受けても公爵家は支払いに応じない、と」
「できるが、いいのか?」
「もちろんです! このままでは調子に乗ったジョルジアナがステファーニ公爵家の名前を使って好き勝手しますよ!」
イアナの腹の底から沸々とした怒りが湧いてくる。
昔からイアナの話には耳を傾けず、両親に甘やかされて育った我儘な妹だったが、ここまで愚かなことをするとは思わなかった。
おおかた、父がドレスを買ってくれなくなったのでステファーニ公爵家の名前を出したのだろう。そうしておけばイアナが支払うと思ったのかもしれない。
「合せて父にも苦情を入れましょう。ちょうど父から手紙が来ました。中身を確認して、返信と共にジョルジアナの件を問い詰めます」
「君の父上からまた手紙が来たのか?」
「はい、こちらです」
あきれ顔のフェルナンドに手紙を差し出す。
彼はペーパーナイフで封を切り、中身を確認してこめかみを押さえた。
「前回と同じ内容だな」
「どうせ、手紙がこちらに届いていないかもしれないと思って同じ内容の手紙を送りつけてきたのでしょう」
「君の妹の件もある。手紙は私から返信しておこう。君の妹がステファーニ公爵家の名前を出して買い物をしても支払うつもりはないし、万が一請求書が届いたらアントネッラ伯爵家に送り付けると書けばいいかな?」
「ついでに、あまりひどいようなら迷惑料を請求するぞと書いておいてください」
「そうしよう」
その時、コンコンと書斎の扉が叩かれて、執事が顔を出した。
「旦那様、王都の宝石店から身に覚えのない請求書が……」
イアナとフェルナンドは顔を見合わせた。
「あの請求書も手紙に同封してください」
「ああ。合わせて、請求書を送って来た宝石店には事情を説明して督促はアントネッラ伯爵家に送るように連絡しておこう」
「実家がご迷惑をおかけしてすみません」
「気にしなくていい。君も大変だったな」
さて、請求書を送られて父はどんな顔をするだろう。
イアナはアントネッラ伯爵領が奪われるのももうすぐだろうなと、遠い目をした。
イアナの元に、アントネッラ伯爵家から手紙が届いた。
差出人の父の名を見て、イアナはそっと嘆息する。
(性懲りもなく、まぁたお金の無心ね)
借金まみれのアントネッラ伯爵家である。領民から税金を徴収しても、利子分にもならないだろう。借金先から督促状が来て頭を抱えている父の姿が目に浮かぶ。
フェルナンドと一緒に中を確認しようと彼の書斎を訪れたイアナは、珍しく眉間に皺を寄せている夫に首をひねった。
「旦那様、どうしました?」
「いや……ああ、やっぱり見てもらった方がいいかな。対応をどうしようか悩んでいてね」
おいでと手招かれてイアナはいそいそとフェルナンドの側に寄る。書斎机の椅子は一つしかないからか、フェルナンドがひょいとイアナを膝の上に抱き上げた。
(お膝抱っこ!)
前世でもされたことがない。ドキドキと鼓動が高鳴って、うっかり悶えそうになった。落ち着け、落ち着くのよ、自分。
「そ、それで、何に悩んでいたのですか?」
声が上ずりそうになりながら訊ねたら、フェルナンドが一通の手紙を見せてくれた。
「これは王都の王家御用達の仕立屋からなんだが」
「読んでもいいですか?」
「もちろんだ」
イアナは自分が持って来た手紙を机の上に置き、フェルナンドから預かった手紙の中身を確認した。読み進めているうちに眉間に皺が寄る。
(あの子ったら、何を考えているのかしら?)
差出人は仕立屋のマダムからだった。
ジョルジアナ・アントネッラ伯爵令嬢がドレスの注文に来たが、その支払いをステファーニ公爵家に請求してほしいと言ったのだが、本当にいいのかという確認の手紙だった。
アントネッラ伯爵家の名前は悪い意味で有名で、だからこそ、姉の嫁ぎ先である公爵家にドレスの代金を請求するというのがマダムには不可解に感じたらしい。
しかも、ドレスは五着も頼んだらしい。それどころか新しいコートを三着に、下着を十着、ナイトウェアを三着、靴を七足も注文したという。
イアナは頭が痛くなって、フェルナンドに言った。
「嫌な予感がします。この仕立屋のマダムは確認の手紙をくれましたが、ジョルジアナがよそでもやっている可能性が高いです。王都の仕立屋やアクセサリー店……いいえ、商店すべてに通達を入れられますか? ジョルジアナ・アントネッラがステファーニ公爵家の名前を出しても無視するように、もし注文を受けても公爵家は支払いに応じない、と」
「できるが、いいのか?」
「もちろんです! このままでは調子に乗ったジョルジアナがステファーニ公爵家の名前を使って好き勝手しますよ!」
イアナの腹の底から沸々とした怒りが湧いてくる。
昔からイアナの話には耳を傾けず、両親に甘やかされて育った我儘な妹だったが、ここまで愚かなことをするとは思わなかった。
おおかた、父がドレスを買ってくれなくなったのでステファーニ公爵家の名前を出したのだろう。そうしておけばイアナが支払うと思ったのかもしれない。
「合せて父にも苦情を入れましょう。ちょうど父から手紙が来ました。中身を確認して、返信と共にジョルジアナの件を問い詰めます」
「君の父上からまた手紙が来たのか?」
「はい、こちらです」
あきれ顔のフェルナンドに手紙を差し出す。
彼はペーパーナイフで封を切り、中身を確認してこめかみを押さえた。
「前回と同じ内容だな」
「どうせ、手紙がこちらに届いていないかもしれないと思って同じ内容の手紙を送りつけてきたのでしょう」
「君の妹の件もある。手紙は私から返信しておこう。君の妹がステファーニ公爵家の名前を出して買い物をしても支払うつもりはないし、万が一請求書が届いたらアントネッラ伯爵家に送り付けると書けばいいかな?」
「ついでに、あまりひどいようなら迷惑料を請求するぞと書いておいてください」
「そうしよう」
その時、コンコンと書斎の扉が叩かれて、執事が顔を出した。
「旦那様、王都の宝石店から身に覚えのない請求書が……」
イアナとフェルナンドは顔を見合わせた。
「あの請求書も手紙に同封してください」
「ああ。合わせて、請求書を送って来た宝石店には事情を説明して督促はアントネッラ伯爵家に送るように連絡しておこう」
「実家がご迷惑をおかけしてすみません」
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さて、請求書を送られて父はどんな顔をするだろう。
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