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第一部 街角パン屋の訳あり娘
奇妙な襲撃者 4
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四日後の昼下がり――
ウォレスの下町の屋敷のサロンには、甘く、それでいてどこか刺激的な香りがわずかに漂っていた。
サロンのソファに腰かけているのは、艶やかなストロベリーブロンドを複雑に結い上げ、ざっくりと胸元の大きく開いた高級ドレスに身を包んだ二十代半ばほどの妖艶美女である。
大きく開いた胸元からは、零れ落ちそうなほど豊満な胸が、くっきりと深い谷間を作っていた。
気だるげな流し目には、女であるサーラも思わず赤面してしまうほどの色香が漂っている。
彼女の名は、ヴァルヴァラという。
それが本名なのかどうなのかは定かではないが、異国めいた響きのある名の示す通り、北方からの移民らしい。
そして、彼女こそが、リジーの知り合いだという高級娼婦の「姐さん」である。
そのヴァルヴァラがどうしてウォレスの邸にいるのかと言えば、リジーに相談を受けた彼女が、ウォレスに直接会って話をすることを求めたのだ。
とはいえ、ウォレスを娼館に連れて行くわけにもいかない。
ヴァルヴァラも、お金持ちの美丈夫を客として求めているわけではなさそうだったので、こうしてここまでご足労願ったと言うわけだ。
高級娼婦の外出なので、男衆が一人ついてきている。
水夫のように太い腕をした男衆は、さっきからどこか落ち着きがない。まあ、娼婦の外出に護衛としてついて行けば、このような金持ちの豪邸に連れて来られたのだ。緊張しても仕方がないだろう。
娼婦とは、あまり娼館通りのあたりから外出しないもので、してもせいぜい男衆を護衛に買い物を楽しむくらいだと聞いている。
ヴァルヴァラの正面にはウォレスが座っている。
サーラはその隣だ。
サーラは店番のため同席しないと言ったのだが、ウォレスとリジーはどうしてもこの件にサーラを巻き込みたかったらしい。
娼館にあたりをつけたのは君なのだから最後まで責任を持てと言われ、ブノアまで身代わりの店番としてよこされれば、サーラに拒否権はなかった。
リジーはヴァルヴァラの隣に座っていて、男衆はヴァルヴァラの背後に立っている。
マルセルは扉の内側に立って様子を見守っていた。
ブノアがポルポルの店番で不在のため、ベレニスが人数分の紅茶を用意してマルセルのそばまで下がった。部屋の外に出て行かないのは、ヴァルヴァラと男衆を警戒しているのだろうか。
(ウォレス様がヴァルヴァラさんの色香に惑わされないのか心配している可能性もあるわね……)
ウォレスは十九歳。あと二日で二十歳になる年頃の男である。
マルセルですら、ヴァルヴァラを見たときはその視線が吸い寄せられるように二つの双丘に向かった。あの二つのメロンは、男にとって誘惑の塊だろう。王子が娼婦に骨抜きにされたなんてことになれば大事なので、ベレニスにしてみれば気が気でないのかもしれない。
ちなみにサーラがどうしてウォレスの誕生日を知っているのかと言えば、当の本人が「もうすぐ誕生日なんだ」と聞いてもいないのににこやかに報告してきたからだ。
もしかしなくとも何かプレゼントをよこせと言うことだろうか。
(……人には失礼な下着を贈りつけたくせに)
仕返しに、男のプライドを傷つける何かをプレゼントしてやろうかと、ちょっと悪いことを考えそうになる。
「それで、この男のことが知りたいだったねえ?」
ヴァルヴァラが、少しだけかすれたセクシーな声で言った。
ソファのひじ掛けにしなだれるように体重をかけて、けぶるような睫毛の奥の瞳をじっとウォレスへ向ける。
ヴァルヴァラたちが座っているソファと、ウォレスとサーラが座っているソファの間のテーブルには、パレードに乱入した男の似顔絵が置いてあった。なかなか精巧な似顔絵である。きっと名のある絵師に描かせたのだろうと思ったら、実はブノアが描いたと言うのだから驚きだ。あの素敵紳士は多芸である。
「ああ」
ウォレスがすました顔で頷いたが、首を振った拍子に、その視線が一瞬ヴァルヴァラの谷間に向かうのをサーラは見逃さなかった。
何故か、胃のあたりがむかっとする。
「姐さん、知ってる?」
「ああ、知ってるよ。と言っても、あたしの客じゃあないけどねえ」
「そりゃそうでしょ。姐さんを一晩買おうと思ったら金貨が何十枚飛んでいくかわかったもんじゃないからね……」
リジーのあきれた声に、サーラはぎょっとした。
高級娼婦が高いのはなんとなく伝え聞いて知っていたが、まさかそれほどとは思わなかったからだ。
「それもあるけど、こんなパッとしない男、あたしはお断りだよ。あんたか、扉のところの旦那なら、考えてもいいけどねえ」
高級娼婦は客を選ぶ権利があると聞いたことがある。
気に入らなければいくら金を積まれても、顔を見せることすらしないそうだ。
気が向いて茶や酒の相手をすることはあっても、肌を許す相手はごくわずかだとか。
「私は間に合っている」
「お、俺も結構です……」
ウォレスが断ると、マルセルも口元を引きつらせて首を横に振った。
「おや、そんなに警戒しなくとも、骨の髄まで搾り取ろうなんてしないのにねえ」
くすくすと鈴を転がすようにヴァルヴァラが笑う。
「で、この男のことだったね。あたしのもとで行儀見習いをしていたカリヤって娘の客だよ」
「姐さんのもとで行儀見習いをしていたんなら、姐さんの店で働く予定だったんじゃないの?」
「その、はずだったんだけどねえ」
ヴァルヴァラは肩をすくめた。
ヴァルヴァラの店は娼館通りの中でも一、二を争う高級娼館で、クルチザンヌと呼ばれる最高級の娼婦を頂点に、中級でも中の上ほどの娼婦までを取り扱っているそうだ。
クルチザンヌには「宮廷夫人」という意味合いもあり、その名のついた高級娼婦は美貌もさることながら、身に着けている教養も相当なものだと聞く。
(行儀見習いってことは、ヴァルヴァラさんはクルチザンヌだったのね)
そして、クルチザンヌの行儀見習いに選ばれたカリヤも将来有望株だったはずだ。
ヴァルヴァラは優雅な仕草でティーカップに口をつけた。赤く塗った爪が何とも綺麗である。
「失敗したのさ。はじめての客でねえ」
「失敗したら、もうその店にはいられなくなるんですか?」
「うん? ああ、違う違う。客を怒らせちまっても、こっちでフォローはできる。でもねえ……、あの子は貧乏くじを引いちまったのさ」
ヴァルヴァラは昔を思い出すように目を伏せて、そっと息を吐き出した。
「あの子の客は、店主が素行のいい上客を選んだ。あたしも知っている客だったからねえ、あの旦那だったら大丈夫だった。……でも、カリヤの客は、その旦那じゃなかったんだよ。取り替えられちまってねえ」
「どういう意味だ?」
ウォレスが不思議そうに首をひねった。
ヴァルヴァラが小さく笑って「ちょいと言い方が難しかったかねえ」と言う。
「やっかみだよ。あたしのもとで行儀見習いになる子は、高倍率でねえ。誰のもとで見習いをするかで将来の地位が決まると言ってもいい。選ばれなかった他の見習いがねえ、カリヤに嫉妬して、自分の客とこっそり取り換えたのさ」
「そんなことがあるのか?」
「ごくまれにね。店主やあたしたちに気づかれずにこっそりと取り換えるのは難しいには難しいんだけど、ちょうどあの日は忙しい日でねえ……、あたしも客を取っていて、気がつかなかったんだよ。しかも一人の企てじゃなくて複数人の共謀だった。思いついてすぐできることじゃあないから、ずいぶん前から計画していたんだろうねえ。陰湿なことだよ」
昔を思い出して悔しくなったのか、ヴァルヴァラが赤く塗った爪を噛む。
「ヴァルヴァラ」
すぐに男衆が注意をした。ヴァルヴァラは頭のてっぺんからつま先までが「商品」である。しかも高級品だ。爪の先っぽだって、不用意に傷つけてはならないのだ。それがたとえ自分自身であっても。
ヴァルヴァラは爪を噛むのをやめて「うるさい男だねえ」と息を吐いた。
「カリヤはもちろん驚いた。聞いていた客と違うからだ。そして当然、抵抗した。カリヤは初めてだ。知識としては叩き込んだけど、あくまで頭の中での話だ。娼婦だって言ってもねえ、初めてはほかの女と大差ないよ。ただ耳年増なだけで、初心な子も多い。カリヤもそうだった。初めての相手が予定と違ってパニックになったんだろうねえ。抵抗して、客を怒らせちまった。悪かったのはその客が少々短気で、怒ったら暴力的になる男だったことだよ」
ヴァルヴァラが、茶請けのクッキーに手を伸ばす。
クッキーを一つ掴んだが食べるわけでもなく、ただぼんやりとそのクッキーを見つめた。
「カリヤはその男に殴られてねえ、顔に怪我をしちまったのさ。運が悪いことに爪で引っ掛けちまって、頬にね、こう、線がはいっちまった。怪我が治っても、傷跡は残ったままだった。もちろん化粧で消せるよ? でもねえ……、娼婦って言うのは、なかなかシビアな世界なんだよ。客を拒んで殴られて怪我をした。その噂だけでも致命的なのに、傷跡まで残っている。それだけでもう、高級娼婦にはなれない。それどころか中級でも無理だ。うちは下級娼婦を置かない店だからね、店主はカリヤをよその店にやったよ」
「その店が……ええっと、その、言い方は悪いですけど、安い娼館だったということですか?」
サーラが遠慮がちに言うと、ヴァルヴァラはようやくクッキーを口に入れてちょっと笑った。
「気を使ってくれなくていいよ。あたしもカリヤも、自分で決めてこの店に入ったんだ。中には売られてくる子もいるけどね」
「売られる⁉」
ウォレスが目を剥いて素っ頓狂な声を出した。
ヴァルヴァラは目を丸くして、ぷっと噴き出す。
「何を驚いてるんだい。全員が全員、自分の意思でこんな仕事をすると思うのかい? あたしはまあ、稼ぐ自信があったし、怪我をする前のカリヤもそうだったんだろう。でもねえ、身を売って金を稼ぎたい女が、世の中にどれだけいると思うんだい? やむを得ず自分で選ぶこともあるだろうけどねえ、親に売られる子だっているんだよ」
「だがそれは人身売買では――」
「親が売るなら、法には触れない。あたしはそう聞いたけど?」
ウォレスは口ごもり、しばらくして「……そういえばそうだったな」と息を吐いた。
他人が誰かを売り飛ばすのは「人身売買」として厳しく取り締まられているが、親が子を育てられなくて手放すのは法には触れない。それが孤児院か娼館かの違いなだけだ。娼館に連れて行けば親の手元に多少の金が入るが、娼館が支払ったその金はいずれ売られた子が客を取って返すことになる。子が借金の質となったと言う扱いだ。
そして娼館ビジネスは、国としても残しておきたいもののはずである。
何故ならそこで動く金は大金だからだ。もちろん娼館という「ビジネス」であるので、国には売り上げに応じた商業税を支払う。国としてもなかなか美味しい財源であるのだ。
こうした思惑から、娼館に親が子を売るのは、法に触れないように国が調整していると考えるのが正しいだろう。
ウォレスはそれを知らなかったようだが、王子と言えど、法が制定された際の裏事情をすべて網羅しているわけではなかろう。むしろグレーな部分はわざと知らされていなかったりする。
(……今ので、気づいちゃったみたいだけどね)
優しい王子様は、気に病むだろうか。
親に売られる子はもちろん不憫だが、子を売らなければ生活できないような貧乏家庭にその子が残されていて幸せになれる保証はない。
娼館に売らなかった場合は、孤児院に預けられるかもしくは野山に捨てられるかのどちらかである。どっちがその子にとって幸せなのかは、その子にしかわからない。
そして、このある意味娼館に優しい法の設定は、国と娼館側の双方に利益がある。
(と言っても、割り切れないわよね)
サーラだって、もやもやしないわけではない。
もしこの法の抜け穴に思うところがあるのならば、ウォレスが今後それを改正できるように動けばいい。……まあ、すぐにどうこうはできないだろうが。
「話がそれちまったね。そうさ、カリヤは下級娼館に入れられた。カリヤのそれまでの教育にだって金がかかっているからね、カリヤは働いて返すしかない。見るものすべてが高級だったうちと違って、新しく入った店は安っぽいところだ。最初は嫌だったみたいだけどね、まあ、働いているうちに慣れるもんさ。一年もしないうちに、カリヤもその店になじんだみたいでね、それなりに人気だったみたいだよ。中には気に入った客も何人かいたみたいでね、たまに会えば、そういう話を楽しそうに話していたよ。……この男は、そんな客の中でもカリヤが特に入れ込んだ男だ」
カリヤは綺麗な爪先で、男の姿絵を指した。
「あたしも一度会ったことがあるよ。あたしが散歩してたら、カリヤとこの男が腕を組んで歩いていてね、何してるのかって聞いたら、客が帰るところだから見送りに行くんだって。あたしら娼婦が店の外までついて出て見送ることなんてまずないからねえ、驚いたよ」
ヴァルヴァラはふう、と息を吐いた。
「だから、あの子が客を見送った後で訊いたのさ。客に惚れちまったのかいって? そうしたらカリヤは頬を染めて頷くじゃないか。こんな野暮ったい男の何がいいんだかあたしにはわからなかったけどねえ、カリヤによると優しいんだってさ」
サーラは男の姿絵に視線を落とした。
野暮ったいと言うが、まあ、平均的な顔立ちの男だ。特別整った顔立ちでもないが、醜くもない。少したれ目なところは確かに優しそうに見えた。とてもではないが、ナイフ片手にパレードに乱入するような男には見えない。
「そしてもう何か月も、ずっとカリヤを指名してくれるらしくてねえ。カリヤが使っている部屋は半ばこの男の宿みたいになってるって、このままずっといてくれたらいいのにって、あの子、笑ってたよ。楽しそうにねえ。あたしはまあ、この男はずいぶんとカリヤのことを気に入ったんだと思ったよ。あの子が一晩、確か銅貨三枚だって言ってたけど、何か月もって言うからねえ。月のものが来た時も、わざわざ金を払ってただ添い寝しに来るって言うじゃないか。相手も本気なんだろうと思ったよ」
ヴァルヴァラが「月のもの」と言った途端、ウォレスがわずかに頬を染めて視線を逸らした。「初心だねえ」とからかうように目を細めて、ヴァルヴァラが続ける。
「……それが、まさか死んでいたなんてねえ。びっくりしてカリヤに確認に行ったら、あの子、この男が死んだことを知らなくてねえ。ここ数日帰ってこないと思って落ち込んでいたところに、あたしが死んだなんて教えてちまったせいで泣き崩れて、すっかりふさぎ込んじまったんだよ。あの子の娼館の店主はまあまあ人が良くてねえ、心の傷が癒えるまでそっとしておいてやろうって言ってくれて。今は客も取らずに、あの男が部屋に残して行ったものを見つめてぼんやりしてるみたいだよ」
カリヤをここに連れてこなかったのは、到底話ができる状況ではなかったかららしい。
「この男の名は知っているか?」
「ああ、カリヤから聞いてるよ。レジスって名前だ」
「レジス……レジス、か」
しばらく考えこむように顎に手を当てていたウォレスが、やおらハッと顔を上げた。
「マルセル!」
「間違いありません」
二人の間では会話が成立しているが、サーラにはさっぱりわからない。
「どうかしたんですか?」
「あとで説明する。それでヴァルヴァラ、すまないが、その男がカリヤの部屋に残して行ったものを知りたい」
「残して行ってものかい? 大量の銅貨と、あとは着替えくらいだって言ってたけど……」
「それを持ちだすことは可能か?」
「うーん、どうだろうねえ。できれば、やめておいてほしいけど。せめてカリヤが立ち直るまでは取り上げてほしくないねえ」
「直接部屋に入って確認するのはいいか?」
「見るだけで取り上げないんであれば、ちょっとカリヤに訊いてみるよ」
「助かる」
ヴァルヴァラは男の姿絵を指先ではじいて、肩をすくめた。
「なんか訳ありの男みたいだねえ。まったくあの子も、厄介な相手に入れ込んだものだよ」
サロンの中に、ヴァルヴァラの重たいため息が落ちた。
ウォレスの下町の屋敷のサロンには、甘く、それでいてどこか刺激的な香りがわずかに漂っていた。
サロンのソファに腰かけているのは、艶やかなストロベリーブロンドを複雑に結い上げ、ざっくりと胸元の大きく開いた高級ドレスに身を包んだ二十代半ばほどの妖艶美女である。
大きく開いた胸元からは、零れ落ちそうなほど豊満な胸が、くっきりと深い谷間を作っていた。
気だるげな流し目には、女であるサーラも思わず赤面してしまうほどの色香が漂っている。
彼女の名は、ヴァルヴァラという。
それが本名なのかどうなのかは定かではないが、異国めいた響きのある名の示す通り、北方からの移民らしい。
そして、彼女こそが、リジーの知り合いだという高級娼婦の「姐さん」である。
そのヴァルヴァラがどうしてウォレスの邸にいるのかと言えば、リジーに相談を受けた彼女が、ウォレスに直接会って話をすることを求めたのだ。
とはいえ、ウォレスを娼館に連れて行くわけにもいかない。
ヴァルヴァラも、お金持ちの美丈夫を客として求めているわけではなさそうだったので、こうしてここまでご足労願ったと言うわけだ。
高級娼婦の外出なので、男衆が一人ついてきている。
水夫のように太い腕をした男衆は、さっきからどこか落ち着きがない。まあ、娼婦の外出に護衛としてついて行けば、このような金持ちの豪邸に連れて来られたのだ。緊張しても仕方がないだろう。
娼婦とは、あまり娼館通りのあたりから外出しないもので、してもせいぜい男衆を護衛に買い物を楽しむくらいだと聞いている。
ヴァルヴァラの正面にはウォレスが座っている。
サーラはその隣だ。
サーラは店番のため同席しないと言ったのだが、ウォレスとリジーはどうしてもこの件にサーラを巻き込みたかったらしい。
娼館にあたりをつけたのは君なのだから最後まで責任を持てと言われ、ブノアまで身代わりの店番としてよこされれば、サーラに拒否権はなかった。
リジーはヴァルヴァラの隣に座っていて、男衆はヴァルヴァラの背後に立っている。
マルセルは扉の内側に立って様子を見守っていた。
ブノアがポルポルの店番で不在のため、ベレニスが人数分の紅茶を用意してマルセルのそばまで下がった。部屋の外に出て行かないのは、ヴァルヴァラと男衆を警戒しているのだろうか。
(ウォレス様がヴァルヴァラさんの色香に惑わされないのか心配している可能性もあるわね……)
ウォレスは十九歳。あと二日で二十歳になる年頃の男である。
マルセルですら、ヴァルヴァラを見たときはその視線が吸い寄せられるように二つの双丘に向かった。あの二つのメロンは、男にとって誘惑の塊だろう。王子が娼婦に骨抜きにされたなんてことになれば大事なので、ベレニスにしてみれば気が気でないのかもしれない。
ちなみにサーラがどうしてウォレスの誕生日を知っているのかと言えば、当の本人が「もうすぐ誕生日なんだ」と聞いてもいないのににこやかに報告してきたからだ。
もしかしなくとも何かプレゼントをよこせと言うことだろうか。
(……人には失礼な下着を贈りつけたくせに)
仕返しに、男のプライドを傷つける何かをプレゼントしてやろうかと、ちょっと悪いことを考えそうになる。
「それで、この男のことが知りたいだったねえ?」
ヴァルヴァラが、少しだけかすれたセクシーな声で言った。
ソファのひじ掛けにしなだれるように体重をかけて、けぶるような睫毛の奥の瞳をじっとウォレスへ向ける。
ヴァルヴァラたちが座っているソファと、ウォレスとサーラが座っているソファの間のテーブルには、パレードに乱入した男の似顔絵が置いてあった。なかなか精巧な似顔絵である。きっと名のある絵師に描かせたのだろうと思ったら、実はブノアが描いたと言うのだから驚きだ。あの素敵紳士は多芸である。
「ああ」
ウォレスがすました顔で頷いたが、首を振った拍子に、その視線が一瞬ヴァルヴァラの谷間に向かうのをサーラは見逃さなかった。
何故か、胃のあたりがむかっとする。
「姐さん、知ってる?」
「ああ、知ってるよ。と言っても、あたしの客じゃあないけどねえ」
「そりゃそうでしょ。姐さんを一晩買おうと思ったら金貨が何十枚飛んでいくかわかったもんじゃないからね……」
リジーのあきれた声に、サーラはぎょっとした。
高級娼婦が高いのはなんとなく伝え聞いて知っていたが、まさかそれほどとは思わなかったからだ。
「それもあるけど、こんなパッとしない男、あたしはお断りだよ。あんたか、扉のところの旦那なら、考えてもいいけどねえ」
高級娼婦は客を選ぶ権利があると聞いたことがある。
気に入らなければいくら金を積まれても、顔を見せることすらしないそうだ。
気が向いて茶や酒の相手をすることはあっても、肌を許す相手はごくわずかだとか。
「私は間に合っている」
「お、俺も結構です……」
ウォレスが断ると、マルセルも口元を引きつらせて首を横に振った。
「おや、そんなに警戒しなくとも、骨の髄まで搾り取ろうなんてしないのにねえ」
くすくすと鈴を転がすようにヴァルヴァラが笑う。
「で、この男のことだったね。あたしのもとで行儀見習いをしていたカリヤって娘の客だよ」
「姐さんのもとで行儀見習いをしていたんなら、姐さんの店で働く予定だったんじゃないの?」
「その、はずだったんだけどねえ」
ヴァルヴァラは肩をすくめた。
ヴァルヴァラの店は娼館通りの中でも一、二を争う高級娼館で、クルチザンヌと呼ばれる最高級の娼婦を頂点に、中級でも中の上ほどの娼婦までを取り扱っているそうだ。
クルチザンヌには「宮廷夫人」という意味合いもあり、その名のついた高級娼婦は美貌もさることながら、身に着けている教養も相当なものだと聞く。
(行儀見習いってことは、ヴァルヴァラさんはクルチザンヌだったのね)
そして、クルチザンヌの行儀見習いに選ばれたカリヤも将来有望株だったはずだ。
ヴァルヴァラは優雅な仕草でティーカップに口をつけた。赤く塗った爪が何とも綺麗である。
「失敗したのさ。はじめての客でねえ」
「失敗したら、もうその店にはいられなくなるんですか?」
「うん? ああ、違う違う。客を怒らせちまっても、こっちでフォローはできる。でもねえ……、あの子は貧乏くじを引いちまったのさ」
ヴァルヴァラは昔を思い出すように目を伏せて、そっと息を吐き出した。
「あの子の客は、店主が素行のいい上客を選んだ。あたしも知っている客だったからねえ、あの旦那だったら大丈夫だった。……でも、カリヤの客は、その旦那じゃなかったんだよ。取り替えられちまってねえ」
「どういう意味だ?」
ウォレスが不思議そうに首をひねった。
ヴァルヴァラが小さく笑って「ちょいと言い方が難しかったかねえ」と言う。
「やっかみだよ。あたしのもとで行儀見習いになる子は、高倍率でねえ。誰のもとで見習いをするかで将来の地位が決まると言ってもいい。選ばれなかった他の見習いがねえ、カリヤに嫉妬して、自分の客とこっそり取り換えたのさ」
「そんなことがあるのか?」
「ごくまれにね。店主やあたしたちに気づかれずにこっそりと取り換えるのは難しいには難しいんだけど、ちょうどあの日は忙しい日でねえ……、あたしも客を取っていて、気がつかなかったんだよ。しかも一人の企てじゃなくて複数人の共謀だった。思いついてすぐできることじゃあないから、ずいぶん前から計画していたんだろうねえ。陰湿なことだよ」
昔を思い出して悔しくなったのか、ヴァルヴァラが赤く塗った爪を噛む。
「ヴァルヴァラ」
すぐに男衆が注意をした。ヴァルヴァラは頭のてっぺんからつま先までが「商品」である。しかも高級品だ。爪の先っぽだって、不用意に傷つけてはならないのだ。それがたとえ自分自身であっても。
ヴァルヴァラは爪を噛むのをやめて「うるさい男だねえ」と息を吐いた。
「カリヤはもちろん驚いた。聞いていた客と違うからだ。そして当然、抵抗した。カリヤは初めてだ。知識としては叩き込んだけど、あくまで頭の中での話だ。娼婦だって言ってもねえ、初めてはほかの女と大差ないよ。ただ耳年増なだけで、初心な子も多い。カリヤもそうだった。初めての相手が予定と違ってパニックになったんだろうねえ。抵抗して、客を怒らせちまった。悪かったのはその客が少々短気で、怒ったら暴力的になる男だったことだよ」
ヴァルヴァラが、茶請けのクッキーに手を伸ばす。
クッキーを一つ掴んだが食べるわけでもなく、ただぼんやりとそのクッキーを見つめた。
「カリヤはその男に殴られてねえ、顔に怪我をしちまったのさ。運が悪いことに爪で引っ掛けちまって、頬にね、こう、線がはいっちまった。怪我が治っても、傷跡は残ったままだった。もちろん化粧で消せるよ? でもねえ……、娼婦って言うのは、なかなかシビアな世界なんだよ。客を拒んで殴られて怪我をした。その噂だけでも致命的なのに、傷跡まで残っている。それだけでもう、高級娼婦にはなれない。それどころか中級でも無理だ。うちは下級娼婦を置かない店だからね、店主はカリヤをよその店にやったよ」
「その店が……ええっと、その、言い方は悪いですけど、安い娼館だったということですか?」
サーラが遠慮がちに言うと、ヴァルヴァラはようやくクッキーを口に入れてちょっと笑った。
「気を使ってくれなくていいよ。あたしもカリヤも、自分で決めてこの店に入ったんだ。中には売られてくる子もいるけどね」
「売られる⁉」
ウォレスが目を剥いて素っ頓狂な声を出した。
ヴァルヴァラは目を丸くして、ぷっと噴き出す。
「何を驚いてるんだい。全員が全員、自分の意思でこんな仕事をすると思うのかい? あたしはまあ、稼ぐ自信があったし、怪我をする前のカリヤもそうだったんだろう。でもねえ、身を売って金を稼ぎたい女が、世の中にどれだけいると思うんだい? やむを得ず自分で選ぶこともあるだろうけどねえ、親に売られる子だっているんだよ」
「だがそれは人身売買では――」
「親が売るなら、法には触れない。あたしはそう聞いたけど?」
ウォレスは口ごもり、しばらくして「……そういえばそうだったな」と息を吐いた。
他人が誰かを売り飛ばすのは「人身売買」として厳しく取り締まられているが、親が子を育てられなくて手放すのは法には触れない。それが孤児院か娼館かの違いなだけだ。娼館に連れて行けば親の手元に多少の金が入るが、娼館が支払ったその金はいずれ売られた子が客を取って返すことになる。子が借金の質となったと言う扱いだ。
そして娼館ビジネスは、国としても残しておきたいもののはずである。
何故ならそこで動く金は大金だからだ。もちろん娼館という「ビジネス」であるので、国には売り上げに応じた商業税を支払う。国としてもなかなか美味しい財源であるのだ。
こうした思惑から、娼館に親が子を売るのは、法に触れないように国が調整していると考えるのが正しいだろう。
ウォレスはそれを知らなかったようだが、王子と言えど、法が制定された際の裏事情をすべて網羅しているわけではなかろう。むしろグレーな部分はわざと知らされていなかったりする。
(……今ので、気づいちゃったみたいだけどね)
優しい王子様は、気に病むだろうか。
親に売られる子はもちろん不憫だが、子を売らなければ生活できないような貧乏家庭にその子が残されていて幸せになれる保証はない。
娼館に売らなかった場合は、孤児院に預けられるかもしくは野山に捨てられるかのどちらかである。どっちがその子にとって幸せなのかは、その子にしかわからない。
そして、このある意味娼館に優しい法の設定は、国と娼館側の双方に利益がある。
(と言っても、割り切れないわよね)
サーラだって、もやもやしないわけではない。
もしこの法の抜け穴に思うところがあるのならば、ウォレスが今後それを改正できるように動けばいい。……まあ、すぐにどうこうはできないだろうが。
「話がそれちまったね。そうさ、カリヤは下級娼館に入れられた。カリヤのそれまでの教育にだって金がかかっているからね、カリヤは働いて返すしかない。見るものすべてが高級だったうちと違って、新しく入った店は安っぽいところだ。最初は嫌だったみたいだけどね、まあ、働いているうちに慣れるもんさ。一年もしないうちに、カリヤもその店になじんだみたいでね、それなりに人気だったみたいだよ。中には気に入った客も何人かいたみたいでね、たまに会えば、そういう話を楽しそうに話していたよ。……この男は、そんな客の中でもカリヤが特に入れ込んだ男だ」
カリヤは綺麗な爪先で、男の姿絵を指した。
「あたしも一度会ったことがあるよ。あたしが散歩してたら、カリヤとこの男が腕を組んで歩いていてね、何してるのかって聞いたら、客が帰るところだから見送りに行くんだって。あたしら娼婦が店の外までついて出て見送ることなんてまずないからねえ、驚いたよ」
ヴァルヴァラはふう、と息を吐いた。
「だから、あの子が客を見送った後で訊いたのさ。客に惚れちまったのかいって? そうしたらカリヤは頬を染めて頷くじゃないか。こんな野暮ったい男の何がいいんだかあたしにはわからなかったけどねえ、カリヤによると優しいんだってさ」
サーラは男の姿絵に視線を落とした。
野暮ったいと言うが、まあ、平均的な顔立ちの男だ。特別整った顔立ちでもないが、醜くもない。少したれ目なところは確かに優しそうに見えた。とてもではないが、ナイフ片手にパレードに乱入するような男には見えない。
「そしてもう何か月も、ずっとカリヤを指名してくれるらしくてねえ。カリヤが使っている部屋は半ばこの男の宿みたいになってるって、このままずっといてくれたらいいのにって、あの子、笑ってたよ。楽しそうにねえ。あたしはまあ、この男はずいぶんとカリヤのことを気に入ったんだと思ったよ。あの子が一晩、確か銅貨三枚だって言ってたけど、何か月もって言うからねえ。月のものが来た時も、わざわざ金を払ってただ添い寝しに来るって言うじゃないか。相手も本気なんだろうと思ったよ」
ヴァルヴァラが「月のもの」と言った途端、ウォレスがわずかに頬を染めて視線を逸らした。「初心だねえ」とからかうように目を細めて、ヴァルヴァラが続ける。
「……それが、まさか死んでいたなんてねえ。びっくりしてカリヤに確認に行ったら、あの子、この男が死んだことを知らなくてねえ。ここ数日帰ってこないと思って落ち込んでいたところに、あたしが死んだなんて教えてちまったせいで泣き崩れて、すっかりふさぎ込んじまったんだよ。あの子の娼館の店主はまあまあ人が良くてねえ、心の傷が癒えるまでそっとしておいてやろうって言ってくれて。今は客も取らずに、あの男が部屋に残して行ったものを見つめてぼんやりしてるみたいだよ」
カリヤをここに連れてこなかったのは、到底話ができる状況ではなかったかららしい。
「この男の名は知っているか?」
「ああ、カリヤから聞いてるよ。レジスって名前だ」
「レジス……レジス、か」
しばらく考えこむように顎に手を当てていたウォレスが、やおらハッと顔を上げた。
「マルセル!」
「間違いありません」
二人の間では会話が成立しているが、サーラにはさっぱりわからない。
「どうかしたんですか?」
「あとで説明する。それでヴァルヴァラ、すまないが、その男がカリヤの部屋に残して行ったものを知りたい」
「残して行ってものかい? 大量の銅貨と、あとは着替えくらいだって言ってたけど……」
「それを持ちだすことは可能か?」
「うーん、どうだろうねえ。できれば、やめておいてほしいけど。せめてカリヤが立ち直るまでは取り上げてほしくないねえ」
「直接部屋に入って確認するのはいいか?」
「見るだけで取り上げないんであれば、ちょっとカリヤに訊いてみるよ」
「助かる」
ヴァルヴァラは男の姿絵を指先ではじいて、肩をすくめた。
「なんか訳ありの男みたいだねえ。まったくあの子も、厄介な相手に入れ込んだものだよ」
サロンの中に、ヴァルヴァラの重たいため息が落ちた。
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だがその正体は、歴史の裏側で幾度も国を救ってきた不老の元聖女であり、
王家すら真実を知らぬ“生きた時代遺産”。
政治も権力も、面倒ごとは大嫌い。
紅茶と読書に囲まれた静かな余生(?)を望んでいたキクコだったが――
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まさかの王位継承権十七位という事実が発覚する。
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