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第一部 街角パン屋の訳あり娘
沼底の秘密 3
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翌日、沼にはティル伯爵家から借りた大勢の兵士が集まっていた。
皆、手には大きな網やしゃべるなどを持っている。
泳ぎが得意なものは潜って調べてくれるようだが、沼の中央付近にはガスが湧いているので気を付けるようにとウォレスを通して注意してもらった。
沼の中を捜索していると、心配になったのか大勢の村人たちが集まって来た。
中には村長やギョームの姿もある。
村長とギョームの顔色は悪かったが、他の村人たちは興味津々な顔をしていた。
「おっ、網に魚がかかったぞ」
「あれでかいな。くれないかな」
などと気楽な話が聞こえてきて、離れて様子を見ていたサーラは思わず噴き出してしまう。
マルセルから手を出すなと言われているウォレスもサーラの隣で見物しており、小さく笑って伯爵家の兵士の一人に声をかけた。
声をかけられた兵士が村人の方へ走っていき、何やら話をしている。
どうやら、網にかかった魚でほしいものがあれば取っていいと言ったらしい。
数人の村人が嬉しそうに網に駆け寄っていく。
マルセルとシャルは捜索の指揮を取っているので大忙しだ。
沼池の捜索には時間がかかりそうなので、サーラとウォレスは敷物を敷いた上に座って待つことにした。
今日はベレニスも同行しており、持参したポットからお茶を入れようとしたので、サーラも慌てて手伝う。侍女見習いが侍女を動かしてはならない。
「わたくしたちは邪魔にしかなりませんから、お茶でも飲んで休憩しましょう」
ベレニスがそう言って、三人分のお茶を用意して敷物の上に座った。ベレニスが休憩しなければ見習いのサーラが休憩できないからだろう。
ウォレスとベレニスと三人でお茶を飲みつつ、捜索を見守る。
捜索をはじめて三時間ほどが経ったころだった。
「殿下!」
船の上から潜って沼底を探っている兵士たちに指示を出していたマルセルが声を張り上げた。
船が岸に到着すると、マルセルが何やら金属でできた立方体を持って走ってくる。
マルセルの顔は強張っていた。
「どうした?」
立ち上がり、マルセルが持って来たものを確認したウォレスがさっと表情をこわばらせた。
「マルセル!」
「御意!」
ウォレスが指示を出すまでもなく、マルセルがその場にいた者たちに捜索は終了だと声をかける。
そして、直ちに道具を片付けて撤収するように言われた兵士たちが急いで指示通りに動き出した。
(何が見つかったの?)
気になったが、ウォレスの強張った顔を見るに、今は話しかけない方がいいように思えた。
兵士たちが撤収していく中、ウォレスが厳しい顔を村長とギョームへ向けた。
「お前たち二人は残れ。後は村に帰るように。これは命令だ」
ウォレスの固い声に、村人たちは怯えたような顔をして頷いて、ばたばたと足早に沼から離れていく。
ウォレスがはーっと大きな息を吐いて、座ったままのサーラをちらりと振り返った。
来いということだと判断して立ち上がって駆け寄れば、ウォレスが手に持っていたものをそっと見せてくれる。
サーラはひゅっと息を呑んだ。
ウォレスの手にあったのは、貨幣を鋳造するための鋳型だった。
そしてそれはおそらく――贋金の。
皆、手には大きな網やしゃべるなどを持っている。
泳ぎが得意なものは潜って調べてくれるようだが、沼の中央付近にはガスが湧いているので気を付けるようにとウォレスを通して注意してもらった。
沼の中を捜索していると、心配になったのか大勢の村人たちが集まって来た。
中には村長やギョームの姿もある。
村長とギョームの顔色は悪かったが、他の村人たちは興味津々な顔をしていた。
「おっ、網に魚がかかったぞ」
「あれでかいな。くれないかな」
などと気楽な話が聞こえてきて、離れて様子を見ていたサーラは思わず噴き出してしまう。
マルセルから手を出すなと言われているウォレスもサーラの隣で見物しており、小さく笑って伯爵家の兵士の一人に声をかけた。
声をかけられた兵士が村人の方へ走っていき、何やら話をしている。
どうやら、網にかかった魚でほしいものがあれば取っていいと言ったらしい。
数人の村人が嬉しそうに網に駆け寄っていく。
マルセルとシャルは捜索の指揮を取っているので大忙しだ。
沼池の捜索には時間がかかりそうなので、サーラとウォレスは敷物を敷いた上に座って待つことにした。
今日はベレニスも同行しており、持参したポットからお茶を入れようとしたので、サーラも慌てて手伝う。侍女見習いが侍女を動かしてはならない。
「わたくしたちは邪魔にしかなりませんから、お茶でも飲んで休憩しましょう」
ベレニスがそう言って、三人分のお茶を用意して敷物の上に座った。ベレニスが休憩しなければ見習いのサーラが休憩できないからだろう。
ウォレスとベレニスと三人でお茶を飲みつつ、捜索を見守る。
捜索をはじめて三時間ほどが経ったころだった。
「殿下!」
船の上から潜って沼底を探っている兵士たちに指示を出していたマルセルが声を張り上げた。
船が岸に到着すると、マルセルが何やら金属でできた立方体を持って走ってくる。
マルセルの顔は強張っていた。
「どうした?」
立ち上がり、マルセルが持って来たものを確認したウォレスがさっと表情をこわばらせた。
「マルセル!」
「御意!」
ウォレスが指示を出すまでもなく、マルセルがその場にいた者たちに捜索は終了だと声をかける。
そして、直ちに道具を片付けて撤収するように言われた兵士たちが急いで指示通りに動き出した。
(何が見つかったの?)
気になったが、ウォレスの強張った顔を見るに、今は話しかけない方がいいように思えた。
兵士たちが撤収していく中、ウォレスが厳しい顔を村長とギョームへ向けた。
「お前たち二人は残れ。後は村に帰るように。これは命令だ」
ウォレスの固い声に、村人たちは怯えたような顔をして頷いて、ばたばたと足早に沼から離れていく。
ウォレスがはーっと大きな息を吐いて、座ったままのサーラをちらりと振り返った。
来いということだと判断して立ち上がって駆け寄れば、ウォレスが手に持っていたものをそっと見せてくれる。
サーラはひゅっと息を呑んだ。
ウォレスの手にあったのは、貨幣を鋳造するための鋳型だった。
そしてそれはおそらく――贋金の。
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