お人好し転生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! ものづくりチートでらくらく転生ライフ

かむら

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第五章 獣人国の王都へ

#92 宿で一休み

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「おお、ここがアラサド王都かー」


 ハゾットを発ってから一日と半日。

 僕達はアラサド国の王都に到着した。

 予定通り、夕方くらいに到着したのだが、城下町は未だに賑わいを見せている。

 流石獣人国ということもあり、通りを歩く7割くらいの人は獣人だった。

 ただ、他の種族も普通に生活していて、仲良さそうにしている姿がちらほら見受けられた。


「……お父さんがまだ大団長だった時は、他種族との交流…… 特にヒト種とは全然無かったらしい」

「そうなんだ?」

「……でも、今の王様が頑張って歩み寄ったことで、今はかなり交流も盛んになった。 獣人国は作物がよく育つから、交易相手としても十分魅力的だし」

「今までの風習を変えるのは中々大変だっただろうね」

「羨ましいわね。 エルフももっと開放的になればいいのに……」


 ノアルの話を聞いていると、アリシャが独りそう呟いた。

 エルフについてどうやら思うところがあるらしい。
 

「そういえば、泊まるところはどうするんですか……?」

「手紙に宿の場所が書かれてたから、そこへ行くよ。 僕の名前で話が通ってるんだって」


 今日はもう日も沈むので、大人しくセフィに今説明した宿に行って休む事にした。

 王様からの手紙に同封されていた地図を頼りに歩を進めていくと、目的地にはかなり大きく綺麗な宿が建っていた。

 中に入ると、制服を綺麗に着こなした獣人女性が出迎えてくれ、丁寧に受付まで案内してくれた。


「ようこそ。 ご予約などはされていますか?」

「あ、僕はショーマという者です。 話が通ってるとお聞きしてるのですが……」


 僕がそう言いながら王様からの手紙を見せると、受付の人は手紙に刻まれた王家の紋章を見て、笑みを浮かべてくれた。
 

「はい、ショーマ様ですね。 王城の方から話は受けております。 お部屋にご案内しますね」


 しっかりと話は通っていたようだ。

 従業員の人に付いていくと、重厚な造りをした昇降機があって、それに乗って最上階まで案内された。


「こちらが当宿のスイートルームになります。 滞在は好きなだけしてもらって構いませんし、ルームサービスもこちらの魔道具を使っていただければ、すぐに従業員が向かいますので、遠慮なくお使いください」

「おぉ、綺麗な部屋ですね。 ですが、いいんですか?」

「はい。 王城の方から代金はいただいておりますので」

「そういう事ならありがたく使わせてもらいます」


 案内された部屋はまさかのスイートルームで、名前に恥じない豪華さをしていた。

 天井は高いし家具もおしゃれ、ベッドも大きなものが4つ寝室に並べられており、とても居心地が良さそうだ。


「王様は相当ショーマに感謝してるみたいね?」

「……お父さんは王様の親友らしいから。 お母さんも子供の頃から良くしてもらってたって聞く」


 アリシャの言葉にそう返したノアルの言葉を聞けば、この待遇も納得がいく。
 

「ここなら作業とかしても大丈夫そうだね。 あ、そうだ。 ノアル、指輪を貸して欲しいんだけどいい?」

「……ん、いいよ」

「それと、アリシャとセフィにも、この指輪と同じ機能の装飾品をあげたいんだけど、何がいい?」

「えっ、わ、私にもくれるの?」

「いいんですかっ?」

「うん。 便利な機能を付けるつもりだから、使って欲しいなって。 形状は何がいい? 腕輪とかネックレスとかでもできなくはないけど」


 僕がそうアリシャとセフィに聞くと、何故か2人はノアルの方を向いて表情を伺い出した。

 ノアルはそんな2人に微笑みながら頷いて、何かを許可するような素振りを見せた。


「じゃあ、私もノアルと同じ指輪がいいわっ」

「ぼ、僕もですっ」

「分かった。 ちょっと待っててね」

「ええ」

「はいっ」


 2人の希望も指輪とのことだったので、ノアルの指輪と同じ意匠のものを作っていく。

 鍛冶師のスキルを使うのも慣れたもので、アリシャとセフィの指輪を作る作業は割とすぐ終わり、ノアルの指輪には追加で、アリシャとセフィの指輪には新たに付与をしていく。

 鍛冶師のレベルが上がったおかげで、これらの作業も早くなっていて、作り始めてから10分足らずで作業は終わった。


「よし、できたよ。 まずはこれ、ノアルの」

「……んっ」


 ノアルはいつぞやと同じように、自分の手を差し出して来たので、その手を取って指輪をゆっくりとはめてあげた。


「……ん? ちょっと違う?」

「ああ、流石に3人全く同じだと、もしかしたら誰のか分からなくなるかもだから、ノアルの髪色の黒を少し入れてみたよ」


 ノアルの指輪には、細くてウェーブがかった黒のラインを付け足してみた。
 

「……嬉しい。 ありがとうショーマ」

「喜んでくれてよかった。 それで、こっちがアリシャので、こっちがセフィのだね」


 アリシャとセフィの指輪にも、それぞれ金色のラインと白色のラインが入っていた。


「ありがとう。 えっと、それで、その……」

「うん?」

「つ、着けてくれる?」

「あ、うん、いいよ」


 アリシャもこういう行為に憧れがあるのか、指輪を着けてほしいようなので、僕はアリシャの手を取って指輪をはめてあげた。


「綺麗…… ありがとう、ショーマ。 大切にするわ」

「そう言ってもらえて嬉しいよ。 それで、セフィは……」

「ぼ、僕も着けて欲しいです……!」

「うん、分かった」


 同じようにセフィも遠慮がちに手を差し出してきたので、セフィにもしっかりと指輪をはめてあげた。


「わぁぁ…… ありがとうございますっ」

「どういたしまして」

「……それで、何を追加で付与したの?」

「ああ、今回は収納魔法を付与してみたよ。 これで僕が皆んなの武器とか荷物を持たなくても、各自で持てるし取り出せるようになるね」

「えっ、収納魔法を!? ショーマは本当になんでもありね……」


 収納魔法を付与したと聞いたアリシャが驚いた声を上げた。
 

「あれ、マジックバックとかあるから、いいかなと思ったんだけど……」

「あれもあれでかなり高価なものなのよ? 1番小さなサイズでも金貨100枚はくだらないし、使うのに魔力がいるから、魔法使いがいないと使えないもの」

「そうなんだ?」

「それに対してこの指輪、魔石も混ざってるから使用者の魔力を必要としないし…… この指輪の方が断然高性能ね」

「んー、まぁ、誰彼構わず渡すものじゃないし、いいよね! 皆んなのことは大切に思ってるから、有効活用してくれると嬉しいな」

「大切に…… あ、ありがとう……」

「嬉しいですっ」


 指輪のスペックには驚かれたものの、最終的にはアリシャとセフィにも喜んで受け取ってもらえたので良かった。

 早速、各自の武器や荷物を僕の収納魔法から出し、それぞれを自分の指輪にしまってもらった。


「そしたら、もう結構いい時間だし、ご飯食べようか?」

「……賛成。 なに食べる?」

「あっ、ルームサービスでご飯頼めるみたいよ」

「いっぱいメニューありますねっ」


 気付けばもう日も沈んで夕食時になったので、僕達はルームサービスでご飯を頼むことにした。


「えっ、カルパッチョがある……!」


 すると、ルームサービスの食事メニューの中に、カルパッチョという文字を発見した。
 

「……ショーマ、知ってるの?」

「僕の故郷では、生のお魚を野菜と一緒に食べる料理だったけど、同じかな?」

「……ん、そう。 獣人国は漁業も盛んだから、魚料理は多い」

「いいね。 僕の故郷も新鮮な魚は生で食べてたりしてたから、馴染み深いよ」


 こちらの世界には魚を生で食べる習慣は無いのかもと若干諦めていたが、嬉しい誤算だ。


「それなら、帰りに沢山魚も買って帰らないとだね」


 そんな新たな目標も立てつつ、各々食べたいものを選び、呼び鈴のようなものを鳴らすとすぐに従業員の人が部屋にやってきた。

 どうやら、呼び鈴ともう一つの鈴が繋がった魔道具になっていて、片方が鳴るともう片方も鳴るという仕組みらしい。

 そうして来てくれた従業員に料理を注文し、30分ほど待っていると、頼んだ料理をワゴンに載せて持って来てくれた。

 僕は結局、カルパッチョを頼んだのだが、食べてみるととても美味しい白身が使われていて、めちゃくちゃ美味しかった。


「……ショーマ、美味しそうに食べる」

「いやー、生の魚を久々に食べたからね」

「……一切れ頂戴?」

「うん、いいよ」

「……あー」


 ノアルはそう言いながら、口を軽く開いて顔をちょっと近づけて来た。


「えっ、あ、あーん」


 流石にそれをされてなにを望んでいるか分からない訳もなかったので、僕はノアルにカルパッチョを一切れあーんで食べさせてあげた。
 

「……んっ、美味しい」

「そっか、良かったよ」

「……アリシャとセフィも食べさせてもらう?」

「「んえっ!?」」


 すると、ノアルが急にそんな事を言い出した。
 

「……生魚、食べたことないでしょ?」

「そ、そうね…… 生魚、興味あるものね……」

「ぼ、僕も、食べてみたいなって思ったり……」

「え、えっと、2人も僕が?」


 ショーマがそう聞くと、アリシャとセフィは無言で首を縦に振った。


「じゃあ、アリシャから、あーん……」

「あ、あー…… んっ…… あ、普通に美味しいわね…… えっと、ありがと、ショーマ」

「いえいえ。 じゃあ、セフィも、あーん……」

「あ、あー…… んっ…… あっ、こんな食感なんですね、美味しいですっ。 ショーマさん、あ、ありがとうございましたっ……!」

「喜んでくれたのなら良かったよ」


 なんだか少し恥ずかしい事をしたが、その後もノアルの頼んでいた料理を逆に僕があーんしてもらったり、それを見ていたアリシャとセフィも何故か対抗するようにあーんで食べさせて来て、何だか賑やかな食事になるのであった。


 
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