お人好し転生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! ものづくりチートでらくらく転生ライフ

かむら

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第五章 獣人国の王都へ

#98 闘技大会①

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「さぁさぁ、やって参りました、本日の闘技大会ー!」


 僕達が控え室で少し待っていると、魔法で拡声された司会の男の声がここまで聞こえてきた。


「第一ブロックの選手はこちらへどうぞー」


 それと同時に、第一ブロックの選手達が大会のスタッフに呼ばれて、控え室を出ていった。

 こういう時、自分の番が近付いてくると思うとちょっと緊張するものだよね。


「今回のステージは、シンプルな闘技ステージ! このステージの上から落ちたら即敗北! また、急所への攻撃は無しでそれに違反した者、試合続行不可能と審判に判断された者は潔くステージから降りてください! 戦士は時に潔く負けを認めることも大事ですよー!」


 今回の闘技大会は、ルールもステージも割とシンプルなもののようだ。

 良かった、変なルールとかステージじゃなくて。


「なお、いつも通り広範囲を攻撃する魔法も禁止とさせていただきます! 単体へ向けての魔法、使用武器などに特に制限はございません!」


 お、それは助かるな。

 武器が縛られると、割と僕の戦闘力は低下するんだけど、そういう縛りはないみたいだ。

 まぁ、閃光クナイとか、爆発クナイは魔法じゃないけど広範囲に攻撃できるもの判定になるだろうから、使うのはやめておこう。

 ルール的には大丈夫そうだけど、選手やお客さんに反感買われそうだしね。


「さぁ、それでは第一ブロックの戦いから早速見ていこうー!」


 そんなルール説明も手短に終わり、早速入場した第一ブロックの選手達の試合が始まった。

 そこそこ広いステージとはいえ、20人くらいのバトルロイヤルなので、自分の領域はかなり狭そうだった。


「おらぁっ!!」

「隙ありぃ!」


 実際、試合が始まってすぐに至る所で戦闘が起き、1人倒してもまたすぐ次の相手が襲ってくるので、ステージ上はあっという間に乱戦状態になった。


「おおー、迫力あるね」

「……観客も盛り上がってる」


 獣人国の人気コンテンツというだけあって、屈強な者達による肉弾戦は見ていてかなりの迫力があり、観客の人達も「いけー!」とか「そこだー!」とか野次を飛ばしたり歓声を上げたりして盛り上がっていた。

 そんな戦いも、徐々に人を減らしていき、ステージ上には2人の選手が残った。


「うおおおおっ!」

「おらぁぁぁっ!」


 片や大剣、片や大斧という豪快な得物を打ち合わせる勝負は、乱戦とはまた違った熱量があり、僕も思わず控え室の席から立ち上がってしまうくらい迫力があった。


「ここだっ!」

「なにっ!? くっ……」


 そんな勝負の結末は、大剣を持っていた男の意表をついた足払いにより、斧を持っていた男が転倒してしまい、その首元に大剣が突きつけられた事で決着を迎えた。


「勝負ありぃぃっ! 最後は誰も予想していなかった攻撃が決め手となったーー!」

「「「おおおおっ!!!」」」


 決まり手は一見卑怯とも取られる戦術だったが、闘技大会を普段から観に来る目の肥えた観客達からは、あの緊迫した状況でその選択肢が出るのかと、小手先の技術も惜しみなく使った大剣の男への賞賛の声が続々と上がっていく。


「いやー、迫力あったね」

「……ん、良い勝負だった」

「2番ブロックの選手の方はこちらへどうぞー」

「……ん、呼ばれた。 行ってくるね」

「うん、行ってらっしゃい。 怪我には気をつけてね?」

「……問題ない」


 それからすぐに2番ブロックの試合が始まるようで、そこに出場するノアルは控え室から出て行った。

 一応心配の声はかけたものの、ノアルなら大丈夫だろう。

 第一ブロックの選手達の動きを見た感じ、ノアルに勝てそうな人は誰もいなかったし、今出て行った2番ブロックの選手の人達の中にも、強そうなオーラをしている人はいなかった。

 もちろん油断は禁物だが。


「さぁさぁ休む間もなくやって来ました、2番ブロックの試合! いきますよー、試合開始っ!」


 そんなレフェリーの掛け声と共に、第2ブロックの試合が始まった。

 控え室は野球のベンチのような作りになっており、僕はノアルを見守るために、席から立って仕切りの柵までやって来た。

 そこからステージを見てみると、ノアルはステージの端っこのスペースに無造作に立っており、それを隙だと思った選手の一人がノアルに突撃していった。


「悪りぃな嬢ちゃん! 落ちてもらうぜ!」

「……落ちるのはそっち」

「うおおっ!?」


 いかにもパワーがありそうな獣人の男は、持っていた片手剣をノアルに振り下ろしてきた。

 傍目から見たら、ノアルの細い体では受け止めきれないと思われたその攻撃だったが、ノアルは持っていた双剣で衝撃を見事に受け流すと、バランスを崩した男の横に回って、トンッと軽くその男の体を蹴飛ばした。

 すると、ノアルに突っ込んで来ていた勢いもあって、攻撃をしてきた男は呆気なくステージ外へと飛んでいき、退場となった。


「あーっと! 前々回大会優勝のガッツがまさかのリタイアだー! あの少女、かなりの実力者なのかー!?」


 ありゃ、今倒した人、結構大物だったんだな。

 確かに、体格も良くて他の人達より強そうだったけど、相手が悪かったね。

 その後もノアルは、突撃してくる選手の攻撃をひょいひょい避けながら、隙を見てステージ外に蹴り落とすという離れ技を披露し続けた。

 なので中盤以降、他の選手達はノアルに近付くとなすすべ無く落とされると判断し、ノアルを放置してそれ以外の選手達で戦い始めた。

 結局、その戦いはノアル以外の1人を決めるまで続き、最後にはノアルと槍を持った長身の男がステージ上に残った。


「さぁ、残りは2人! どちらが勝つのかー!?」

「はは、この勝負、もらいましたね」

「……ん?」

「貴女は確かに面白い技術を持っているようですが、そこで待っているだけでは、より多く戦った私の方が評価され、判定勝ちになります」


 あ、一応そういうルールもあるんだ。

 まぁ確かに、そういうルールがないと、一生逃げ回ったりする戦法が有効になってしまいかねないからな。


「……その考えは、間違ってる」

「ほう? 貴女、端待ち以外にも何か手が……」


 ――ヒュンッ


「……はえ?」


 勝ち誇ったような表情でノアルの事を見ていた槍を持った男だったが、瞬きにも満たない一瞬で、視界に収めていたはずのノアルの姿が消え、気付けば背後から双剣の刃がその首元で寸止めされていた。


「……端待ちしてたのは、効率が良くて楽だから。 ノアルは普通に戦っても強い」

「な、なんとぉー! 目にも止まらぬスピードで決着ぅぅー! いや、本当に見えなかったぞー!」

「「「わぁぁぁぁーー!!」」」


 流石ノアルさん。

 正直、最後の動きは僕もなんとか目で追えたくらいで、あれでまだ身体強化を使ってないのだから驚きだ。

 ……僕、普通にノアルに負けるかも。

 まぁ、勝つこともできなくはないだろうから、とにかく本気でやらないとな。


「第三ブロックの方はこちらへどうぞー」


 っと、その前に、ちゃんと予選を勝ち上がらないとね。
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