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第四章 帝都動乱
#89 ノアルとデート
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「……ショーマ、明日は暇?」
「え? うん、特にやらなければいけないこともないかな?」
アリシャとセフィの武器を作ってから1週間ほどが経った。
その間、僕達は依頼をこなしたりする日々を送っていた。
アリシャもセフィも、プレゼントした武器に関してはここ1週間でかなりもう使いこなしていて、作った甲斐があったなとしみじみ感じている。
「……じゃあ、明日デートしたい」
「デート? 2人でって事だよね?」
「……ん」
「うん、いいよ。 楽しみにしてる」
「……ありがと」
そういえば、ノアルの気持ちを伝えてもらってから、こういう2人きりの時間を作ってなかったな……
今思うと、かなり悪い事をした気がする。
よし、明日はノアルを楽しませるぞ!
*
という事で、僕は今、ハゾットの街の広場に来ていた。
そこで現在、ノアルを待っている状況だ。
何でも、待ち合わせがしたいそうで「一緒に行けばいいんじゃ?」と言ったら、「……分かってない」と言われ、大人しく待ち合わせに応じる事にした。
「……お待たせ」
と、かれこれ10分ほど待っていたら、ノアルがやってきた。
今日のノアルは、キャミソールに薄手のカーディガンを合わせ、下は裾の方がダボっとしているパンツ姿という、とてもオシャレな着こなしをしていた。
かくいう僕もデートという事で、この前フーリヤさんの店で買っておいた、いつもより少しオシャレに気を遣ったファッションをしている。
「待ってないから大丈夫だよ。 いつもと違う感じで可愛いね」
「……ん、ありがと。 ショーマもかっこいい」
「そう? ありがとね」
素直に服を褒めると、ノアルは花咲くような笑顔でショーマの事を見つめ、腕を絡ませてきた。
「行きたいところとかは決まってる?」
「……ショーマと過ごせれば何だっていいから、あんまり考えてなかった」
「そっか。 じゃあ、午前中は向こうのお店通りを歩いて、昼過ぎくらいに演劇を街の中央でやるみたいだから、それを行くのはどう?」
「……いいと思う。 調べてくれたの?」
「そりゃあ、初めてのデートだから多少はね」
「……嬉しい」
ノアルはその言葉通り、嬉しそうな雰囲気を隠そうともせず、ぎゅーっと腕に抱きついてくる。
その姿は周りの人達を男女関係なく魅了してしまうくらい可愛らしい。
そんなノアルと腕を組みながら手も繋ぎつつ、お店が立ち並ぶ通りへとゆっくり歩いていった。
「お、雑貨屋さんだ。 入ってみる?」
「……ん、入る」
通りに辿り着き、ぶらぶらと歩いていると、雰囲気の良いオシャレな雑貨屋さんがあったので、入ってみた。
店の中には小物類が所狭しと並べられていて、思わず目移りしてしまう。
「……これ、可愛い」
「こういう小物みたいなのも作ってみたいな。 武器とかじゃない物でも作れるようになったし」
「……いいね」
「というか、ノアルちょっと緊張してる?」
「……分かる?」
「うん。 なんかいつもとちょっと違うかなって」
ノアルは普段から口数が多い訳では無いのだが、今日は何だかいつもより口数少なめだった。
「……初めてのデートだから、凄くドキドキしてる」
「ノアルも緊張とかするんだね?」
「……あんまり普段はしないけど、今日はすごいしてる」
「なんか嬉しいな。 僕もめちゃくちゃドキドキしてるから」
「……一緒だね」
「そうだね。 まぁでも、こういうドキドキって中々味わえないから、それも含めて楽しいよ」
「……そう思うとそうかも」
そんな僕の言葉を聞いて、ノアルは少し肩の力が抜けたみたいだった。
「うーん、それにしても、こういう小物とかって無性に欲しくなるよね」
「……色々飾りたい」
「あ、そういえば、ちょっと考えてたんだけどさ」
「……ん?」
「僕達のパーティーで家を借りるのはどうかなって」
「……パーティーハウス?」
「そうそう。 そうしたら、こういう小物とかも置けるし、何より僕の作業が家で落ち着いてできるのがありがたいかなって」
「……確かに、毎回森行くの面倒そう」
「折角お金も手に入れたことだし、毎日宿暮らしよりトータルで見たら絶対家を借りた方が安上がりだろうしね」
「……ん、いいと思う。 けど、ミラルが寂しがるかも」
「あー、確かに…… まぁでも、この街で借りるつもりだし、何なら逆にミラルちゃんを呼んだりも出来るんじゃない?」
「……確かに。 ミラルをおもてなしして泊めてあげたら喜びそう」
「まぁ、アリシャとセフィとも相談だね」
そんな未来の話をしつつ、僕とノアルは雑貨屋を見て回った。
結局、今回は特に何も買わない事にしたが、家を借りたりしたらお揃いで何か買ったりしたいと言われたので、もちろん了承した。
その後は服屋や宝石店なども見て周っていった。
中でも、宝石店では個人的に使いたいので幾つかの宝石を買い、ノアルにもお気に入りの宝石を一つ選んでもらった。
「……何に使うの?」
「いやー、武器作りもいいけど、これからはこういう装飾品とかも作ってみたいなって。 練習がいるだろうけど」
「……ショーマが作ってくれるの、楽しみ」
「ノアルに気に入ってもらえるようなのを作れるよう、頑張るよ」
そうこうしている内に、丁度昼ぐらいの時間になったので、近くのカフェで軽食を取ることにした。
お互いに飲み物を注文し、ノアルはサンドイッチ、僕はホットドックを頼んだ。
「うん、美味しい。 思えば、あんまり外食とかしてこなかったね」
「……依頼の時はショーマがお弁当作ってるし、何もない時は宿のご飯だから」
「たまにはいいよね、外食も」
「……ん。 ショーマ、サンドイッチいる?」
「くれるの? じゃあ、少しもらおうかな」
「……じゃあ、あーん」
「えっ! ……あ、あーん」
躊躇いなくサンドイッチをショーマの口元に運んできたノアルに少し驚いたが、ここは素直にパクッと一口食べさせてもらった。
「……美味しい?」
「うん、美味しいよ。 あ、じゃあ、ノアルもホットドック食べる?」
「……ん、もらう」
「じゃあ…… あーん」
「……あー…… んっ。 ん、美味しい」
お返しに僕もノアルにホットドックを一口あげた。
それからノアルが一口食べた後、口の端についたケチャップをペロリと舐め取る様は何だかいけない魅力を醸し出しており、やたらとドキドキしてしまう。
そんなノアルも、食べさせ合ったのが嬉しかったのか、顔がかなり綻んでいて、幸せそうにしてくれていた。
(こういう事への耐性がないと、結構照れるものだな……)
そんなやたらとドキドキさせられた昼ご飯も済み、その後は予定通り演劇を観に行くことになった。
演劇は大きなテント内でやるようで、チケットを買って中に入って座ると、すぐに演劇が始まった。
演目はざっくり言うと王子様が囚われの姫を助けるような感じのお話だった。
中々にベターな話ではあるが、演者の感情の込め方が凄くて、気付けばかなり見入ってしまっていた。
やはり、この世界にはあまり娯楽がなく、この手の演劇などは非常に人気があるみたいだ。
実際、今回の演劇もほぼ満席と言えるぐらい人を集めている。
隣のノアルも割と夢中になっていて、「おー」とか「わぁー」とか少し声が漏れていたのが僕にとっては可愛らしく見えた。
そして、2時間程で演劇は終わった。
演劇の最後は王子が悪の王様を倒し、姫を救ってハッピーエンドを迎えていた。
「面白かったね?」
「……ん。 ……ショーマと出会った時を思い出した」
「僕と?」
「……ショーマは、傷だらけでボロボロだったノアルを救ってくれた。 ノアルにとってはショーマが王子様」
「そういう風に言われるとちょっと照れるね」
「……あの時も、今も変わらずショーマはずっと王子様。 とてもかっこいい」
「あ、ありがとう。 素直に嬉しいよ」
ノアルはこういう好意を隠さずに伝えてきてくれる。
それはダイレクトに僕の心に届き、心を揺さぶってくるのだ。
そんなノアルに再びドキドキさせられながら、僕達はテントを出た。
時刻はもう夕方くらいになっていて、空が少しずつ茜色になってきている。
「……今日はもう帰る?」
「いや、あと一箇所行きたいところがあるから、行こっか」
そう言ってノアルを連れてきたのは、街の中心部から少し歩いた物見台などがある高台。
ここからは街が全て見下ろせ、今は夕陽がその街を茜色に染め上げており、かなり綺麗な光景になっていた。
「……綺麗」
「ここはこの街でも穴場のポイントだってミルドさんに教えてもらったんだ」
「……いい場所」
「ふぅ…… ノアル?」
「……ん?」
ここへノアルを連れてきたのは、この景色を見たいのもそうだが、あることを伝えたかったからだ。
それは、僕の気持ち。
本当はもっと早く伝えるべき事だったかもしれないが、ノアルに甘えてずるずると引き延ばしてしまった。
だが、それももうおしまいにしよう。
「僕、ノアルの事が好きだよ」
「……!」
「仲間としてももちろん、1人の男として、ノアルの事が好き。 これからもずっと一緒にいたい」
人を愛する事に怖さがないとは言えない。
前世での父さんと母さんのことがあったから。
だが、ノアルとならきっと大丈夫。
ノアルは何があろうとどこまでも真っ直ぐに僕の事を好いてくれていた。
その想いに、僕も応えたい。
……むしろ、待たせすぎてしまったくらいだろう。
「……嬉しいっ。 これからも、ずっと一緒にいれる?」
「うん。 どこまでも、ずっと一緒だよ」
「……ぐすっ」
「はは、ノアルがこんなにしっかり泣いてるの、初めて見たかも」
「……嬉しくて」
「なら良かった。 ……ノアル」
僕は嬉し泣きをしているノアルを自分から優しく抱きしめていった。
いつもはノアルが僕に抱きついてきてくれていたが、これからは僕も返していこう。
……ノアルみたいに他人が沢山いる場では少し恥ずかしいが。
「……ショーマ、好き。 大好き」
「僕もノアルが大好きだよ」
ノアルは僕の胸元に顔を埋めながら、しっかりと僕の体を抱き返してくる。
それからはしばし無言で、お互いの体温と心臓の鼓動を感じていた。
そして、どちらからともなく顔を上げて目を見合わせると、クスッと微笑み合って、ゆっくりとそのまま顔を近づけていき、唇を重ねた。
その行為は数秒にも満たない時間での触れ合いだったが、何だか凄く長い時間していたような気がした。
「ずっと一緒にいようね」
「……ん!」
こうして、僕とノアルは晴れて恋人になったのであった。
「え? うん、特にやらなければいけないこともないかな?」
アリシャとセフィの武器を作ってから1週間ほどが経った。
その間、僕達は依頼をこなしたりする日々を送っていた。
アリシャもセフィも、プレゼントした武器に関してはここ1週間でかなりもう使いこなしていて、作った甲斐があったなとしみじみ感じている。
「……じゃあ、明日デートしたい」
「デート? 2人でって事だよね?」
「……ん」
「うん、いいよ。 楽しみにしてる」
「……ありがと」
そういえば、ノアルの気持ちを伝えてもらってから、こういう2人きりの時間を作ってなかったな……
今思うと、かなり悪い事をした気がする。
よし、明日はノアルを楽しませるぞ!
*
という事で、僕は今、ハゾットの街の広場に来ていた。
そこで現在、ノアルを待っている状況だ。
何でも、待ち合わせがしたいそうで「一緒に行けばいいんじゃ?」と言ったら、「……分かってない」と言われ、大人しく待ち合わせに応じる事にした。
「……お待たせ」
と、かれこれ10分ほど待っていたら、ノアルがやってきた。
今日のノアルは、キャミソールに薄手のカーディガンを合わせ、下は裾の方がダボっとしているパンツ姿という、とてもオシャレな着こなしをしていた。
かくいう僕もデートという事で、この前フーリヤさんの店で買っておいた、いつもより少しオシャレに気を遣ったファッションをしている。
「待ってないから大丈夫だよ。 いつもと違う感じで可愛いね」
「……ん、ありがと。 ショーマもかっこいい」
「そう? ありがとね」
素直に服を褒めると、ノアルは花咲くような笑顔でショーマの事を見つめ、腕を絡ませてきた。
「行きたいところとかは決まってる?」
「……ショーマと過ごせれば何だっていいから、あんまり考えてなかった」
「そっか。 じゃあ、午前中は向こうのお店通りを歩いて、昼過ぎくらいに演劇を街の中央でやるみたいだから、それを行くのはどう?」
「……いいと思う。 調べてくれたの?」
「そりゃあ、初めてのデートだから多少はね」
「……嬉しい」
ノアルはその言葉通り、嬉しそうな雰囲気を隠そうともせず、ぎゅーっと腕に抱きついてくる。
その姿は周りの人達を男女関係なく魅了してしまうくらい可愛らしい。
そんなノアルと腕を組みながら手も繋ぎつつ、お店が立ち並ぶ通りへとゆっくり歩いていった。
「お、雑貨屋さんだ。 入ってみる?」
「……ん、入る」
通りに辿り着き、ぶらぶらと歩いていると、雰囲気の良いオシャレな雑貨屋さんがあったので、入ってみた。
店の中には小物類が所狭しと並べられていて、思わず目移りしてしまう。
「……これ、可愛い」
「こういう小物みたいなのも作ってみたいな。 武器とかじゃない物でも作れるようになったし」
「……いいね」
「というか、ノアルちょっと緊張してる?」
「……分かる?」
「うん。 なんかいつもとちょっと違うかなって」
ノアルは普段から口数が多い訳では無いのだが、今日は何だかいつもより口数少なめだった。
「……初めてのデートだから、凄くドキドキしてる」
「ノアルも緊張とかするんだね?」
「……あんまり普段はしないけど、今日はすごいしてる」
「なんか嬉しいな。 僕もめちゃくちゃドキドキしてるから」
「……一緒だね」
「そうだね。 まぁでも、こういうドキドキって中々味わえないから、それも含めて楽しいよ」
「……そう思うとそうかも」
そんな僕の言葉を聞いて、ノアルは少し肩の力が抜けたみたいだった。
「うーん、それにしても、こういう小物とかって無性に欲しくなるよね」
「……色々飾りたい」
「あ、そういえば、ちょっと考えてたんだけどさ」
「……ん?」
「僕達のパーティーで家を借りるのはどうかなって」
「……パーティーハウス?」
「そうそう。 そうしたら、こういう小物とかも置けるし、何より僕の作業が家で落ち着いてできるのがありがたいかなって」
「……確かに、毎回森行くの面倒そう」
「折角お金も手に入れたことだし、毎日宿暮らしよりトータルで見たら絶対家を借りた方が安上がりだろうしね」
「……ん、いいと思う。 けど、ミラルが寂しがるかも」
「あー、確かに…… まぁでも、この街で借りるつもりだし、何なら逆にミラルちゃんを呼んだりも出来るんじゃない?」
「……確かに。 ミラルをおもてなしして泊めてあげたら喜びそう」
「まぁ、アリシャとセフィとも相談だね」
そんな未来の話をしつつ、僕とノアルは雑貨屋を見て回った。
結局、今回は特に何も買わない事にしたが、家を借りたりしたらお揃いで何か買ったりしたいと言われたので、もちろん了承した。
その後は服屋や宝石店なども見て周っていった。
中でも、宝石店では個人的に使いたいので幾つかの宝石を買い、ノアルにもお気に入りの宝石を一つ選んでもらった。
「……何に使うの?」
「いやー、武器作りもいいけど、これからはこういう装飾品とかも作ってみたいなって。 練習がいるだろうけど」
「……ショーマが作ってくれるの、楽しみ」
「ノアルに気に入ってもらえるようなのを作れるよう、頑張るよ」
そうこうしている内に、丁度昼ぐらいの時間になったので、近くのカフェで軽食を取ることにした。
お互いに飲み物を注文し、ノアルはサンドイッチ、僕はホットドックを頼んだ。
「うん、美味しい。 思えば、あんまり外食とかしてこなかったね」
「……依頼の時はショーマがお弁当作ってるし、何もない時は宿のご飯だから」
「たまにはいいよね、外食も」
「……ん。 ショーマ、サンドイッチいる?」
「くれるの? じゃあ、少しもらおうかな」
「……じゃあ、あーん」
「えっ! ……あ、あーん」
躊躇いなくサンドイッチをショーマの口元に運んできたノアルに少し驚いたが、ここは素直にパクッと一口食べさせてもらった。
「……美味しい?」
「うん、美味しいよ。 あ、じゃあ、ノアルもホットドック食べる?」
「……ん、もらう」
「じゃあ…… あーん」
「……あー…… んっ。 ん、美味しい」
お返しに僕もノアルにホットドックを一口あげた。
それからノアルが一口食べた後、口の端についたケチャップをペロリと舐め取る様は何だかいけない魅力を醸し出しており、やたらとドキドキしてしまう。
そんなノアルも、食べさせ合ったのが嬉しかったのか、顔がかなり綻んでいて、幸せそうにしてくれていた。
(こういう事への耐性がないと、結構照れるものだな……)
そんなやたらとドキドキさせられた昼ご飯も済み、その後は予定通り演劇を観に行くことになった。
演劇は大きなテント内でやるようで、チケットを買って中に入って座ると、すぐに演劇が始まった。
演目はざっくり言うと王子様が囚われの姫を助けるような感じのお話だった。
中々にベターな話ではあるが、演者の感情の込め方が凄くて、気付けばかなり見入ってしまっていた。
やはり、この世界にはあまり娯楽がなく、この手の演劇などは非常に人気があるみたいだ。
実際、今回の演劇もほぼ満席と言えるぐらい人を集めている。
隣のノアルも割と夢中になっていて、「おー」とか「わぁー」とか少し声が漏れていたのが僕にとっては可愛らしく見えた。
そして、2時間程で演劇は終わった。
演劇の最後は王子が悪の王様を倒し、姫を救ってハッピーエンドを迎えていた。
「面白かったね?」
「……ん。 ……ショーマと出会った時を思い出した」
「僕と?」
「……ショーマは、傷だらけでボロボロだったノアルを救ってくれた。 ノアルにとってはショーマが王子様」
「そういう風に言われるとちょっと照れるね」
「……あの時も、今も変わらずショーマはずっと王子様。 とてもかっこいい」
「あ、ありがとう。 素直に嬉しいよ」
ノアルはこういう好意を隠さずに伝えてきてくれる。
それはダイレクトに僕の心に届き、心を揺さぶってくるのだ。
そんなノアルに再びドキドキさせられながら、僕達はテントを出た。
時刻はもう夕方くらいになっていて、空が少しずつ茜色になってきている。
「……今日はもう帰る?」
「いや、あと一箇所行きたいところがあるから、行こっか」
そう言ってノアルを連れてきたのは、街の中心部から少し歩いた物見台などがある高台。
ここからは街が全て見下ろせ、今は夕陽がその街を茜色に染め上げており、かなり綺麗な光景になっていた。
「……綺麗」
「ここはこの街でも穴場のポイントだってミルドさんに教えてもらったんだ」
「……いい場所」
「ふぅ…… ノアル?」
「……ん?」
ここへノアルを連れてきたのは、この景色を見たいのもそうだが、あることを伝えたかったからだ。
それは、僕の気持ち。
本当はもっと早く伝えるべき事だったかもしれないが、ノアルに甘えてずるずると引き延ばしてしまった。
だが、それももうおしまいにしよう。
「僕、ノアルの事が好きだよ」
「……!」
「仲間としてももちろん、1人の男として、ノアルの事が好き。 これからもずっと一緒にいたい」
人を愛する事に怖さがないとは言えない。
前世での父さんと母さんのことがあったから。
だが、ノアルとならきっと大丈夫。
ノアルは何があろうとどこまでも真っ直ぐに僕の事を好いてくれていた。
その想いに、僕も応えたい。
……むしろ、待たせすぎてしまったくらいだろう。
「……嬉しいっ。 これからも、ずっと一緒にいれる?」
「うん。 どこまでも、ずっと一緒だよ」
「……ぐすっ」
「はは、ノアルがこんなにしっかり泣いてるの、初めて見たかも」
「……嬉しくて」
「なら良かった。 ……ノアル」
僕は嬉し泣きをしているノアルを自分から優しく抱きしめていった。
いつもはノアルが僕に抱きついてきてくれていたが、これからは僕も返していこう。
……ノアルみたいに他人が沢山いる場では少し恥ずかしいが。
「……ショーマ、好き。 大好き」
「僕もノアルが大好きだよ」
ノアルは僕の胸元に顔を埋めながら、しっかりと僕の体を抱き返してくる。
それからはしばし無言で、お互いの体温と心臓の鼓動を感じていた。
そして、どちらからともなく顔を上げて目を見合わせると、クスッと微笑み合って、ゆっくりとそのまま顔を近づけていき、唇を重ねた。
その行為は数秒にも満たない時間での触れ合いだったが、何だか凄く長い時間していたような気がした。
「ずっと一緒にいようね」
「……ん!」
こうして、僕とノアルは晴れて恋人になったのであった。
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