パーティーから追放され、ギルドから追放され、国からも追放された俺は、追放者ギルドをつくってスローライフを送ることにしました。

さくら

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第14話 追放者ギルド、宴会の夜

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 夕暮れの谷に、焚き火の赤い光が揺れていた。今日は依頼も一段落、村の人々から感謝の品として野菜や果物、肉や酒代わりの蜂蜜酒まで届けられていた。

「よし、今日は宴会だ!」俺が宣言すると、仲間たちの顔が一斉に輝いた。

「待ってましたぁ!」グレンが両手を広げて叫ぶ。
「こ、これ……本当に飲んでいいんですか!?」フィオが蜂蜜酒を見て目を丸くする。
「未成年っぽいから、少しだけな」
「じゃ、じゃあ匂いだけ嗅ぐ!」

 セリウスは調合器具を片付けながら、珍しく口元を緩めていた。
「……宴会。効率は悪いですが、士気は大いに高まりますね」

 リナは大鍋を抱え、力強く宣言した。
「みんな、お腹いっぱい食べてね! 今日は特別メニューだよ!」



 料理は豪華だった。イノシシ肉のロースト、野菜たっぷりのシチュー、温泉水で茹でた甘いとうもろこし。リナの腕前が存分に発揮され、広場は香りだけで幸せに包まれた。

「うっま!!」グレンは肉にかぶりつき、涙を流している。
「焦がさずに煮込むの……尊敬する」フィオがシチューをすすりながらぽつり。
「保存薬を使ったことで鮮度が保たれている。まさに料理と錬金術の融合ですね」セリウスが分析する。

 皆が笑い、食べ、語った。



 やがて、蜂蜜酒が回り始めた。

「かぁぁっ、甘いけど効くな!」グレンが豪快に飲み干す。
「ダメ、飲みすぎ!」リナが慌てて取り上げる。
「俺は水で十分だが……乾杯はしよう」俺もジョッキを掲げた。

「追放者ギルドに!」
「乾杯!」

 声が夜空に響き、笑い声が続いた。



 その後は余興が始まった。グレンが酔って歌い出し、リナが即席の太鼓を叩き、フィオは火花を飛ばして拍手喝采を浴びた。セリウスは「派手なことは苦手だ」と言いつつ、薬品で光る花火を作り出し、子どもたちが歓声を上げた。

「きれい……!」エレナが裁縫道具を置いて拍手する。

「やっぱり追放者って面白いな」俺は笑った。



 宴の終わり、焚き火の残り火を囲んで皆がまどろむ中、俺は旗を見上げた。

「俺たちは追放された。でも、こうして笑い合える。これ以上の宝はない」

 リナが隣で微笑んだ。
「カイルさん。ここが本当に“居場所”なんですね」

 旗は夜風に揺れ、星々がきらめいていた。

 ――追放者ギルドの絆は、こうして少しずつ深まっていく。
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