学生時代、私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私が実は本物の聖女で、いじめていた女は災厄を呼ぶ魔女でした。

さら

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第2話 無能は不要です

 案内された廊下は、広間とは別の静けさを湛えていた。高い天井と白い石壁が続き、足音がやけに反響する。私は神官の背中を追いながら、さっきまで浴びていた視線の熱が、ゆっくりと冷えていくのを感じていた。頭の中が妙に冴えていて、ひとつひとつの音や光が、過剰なほどはっきりと認識される。ここが現実だと、身体に言い聞かせられているみたいだった。

「こちらだ」

 神官が立ち止まり、重厚な扉を指し示す。扉の向こうから、かすかに人の声が漏れていた。私は小さく頷き、息を整える。何が待っているのか、想像はつく。でも、覚悟ができているかと問われれば、答えはいつも同じだった。

 扉が開くと、そこは小さな応接室だった。簡素な机と椅子が置かれ、壁には宗教画のような絵が掛けられている。豪奢さはなく、実務的な空間。私は促されるまま椅子に座り、膝の上で手を組んだ。指先が冷たい。

「白石澪。改めて伝える」

 神官は私の正面に立ち、淡々とした声で言った。

「そなたは、聖女候補としての資質を有していない」

 分かっている。さっき聞いたばかりの言葉なのに、胸の奥で鈍く響く。私は黙って頷いた。反論する理由も、力も、ここにはない。

「この国は今、災厄の兆しに晒されている。聖女は、その対抗策として不可欠な存在だ」

 彼は事実を説明するように続ける。その口調には、個人的な感情は一切感じられない。必要か、不要か。ただそれだけで人を分ける声だった。

「よって、聖女候補でない者に、過度な資源を割く余裕はない」

 過度な資源。その言葉が、私の存在を数値に変換する。私は、王国にとってのコストでしかない。理解はできる。納得できるかは、別として。

「最低限の生活は保障する。衣食住の初期支援と、身分証を発行する」

 机の上に、小さな革袋と、金属の札が置かれた。私はそれを見つめる。重さも価値も、まだ分からない。でも、それが「これだけだ」と告げていることだけは、はっきりと伝わってきた。

「王城に留まる必要はない。城下で働くなり、辺境へ向かうなり、自由だ」

 自由。その言葉は、ひどく軽く聞こえた。帰れない世界での自由。頼る人も、知識もないまま放り出される自由。それは自由というより、放置に近い。

「質問は?」

 神官がそう言って、私を見た。私は一瞬、言葉を探した。聞きたいことは山ほどある。でも、そのどれもが、今の私に許されていない気がした。

「……黒川さんは」

 それでも、口をついて出たのは、その名前だった。神官はわずかに眉を動かす。

「黒川凛香は、聖女候補の中でも極めて高い適性を示した」

 分かっている。誰よりも。私は唇を噛みしめた。

「彼女は王城に迎えられ、手厚い教育と保護を受けることになる」

 手厚い保護。教育。私には与えられないもの。胸の奥に、ちくりとした痛みが走る。学生時代から続く、同じ構図。選ばれる人と、選ばれない人。

「……分かりました」

 それ以上、何も言えなかった。神官はそれで話は終わりだと言わんばかりに頷き、扉の方へと視線を向ける。私は革袋と札を手に取り、立ち上がった。手のひらに伝わる重さが、現実を突きつけてくる。

 廊下へ出ると、さっきよりも人の気配が増えていた。忙しそうに行き交う神官や騎士たち。誰もが目的を持って動いている。その中で、私は立ち尽くしていた。次に、どこへ行けばいいのか分からない。

「……澪」

 聞き覚えのある声に、身体が強張る。振り向くと、そこに凛香が立っていた。さっきまでの華やかな場とは違い、今は廊下の片隅。でも、彼女の存在感は変わらない。むしろ、私と二人きりになった分、より濃く感じられた。

「どうだった? 説明」

 凛香は、興味深そうに首を傾げる。その表情は、心配とは程遠い。結果を知っている人の顔だ。

「……最低限の支援だけ」

 私がそう答えると、凛香は「あー」と納得したように笑った。

「だよね。だって澪、役に立たないもん」

 あまりにも自然に吐き出された言葉に、胸がぎゅっと縮む。昔から、何度も聞いたフレーズ。なのに、今もまだ、慣れない。

「ここ、今すごく大事な時期なんだって。聖女が失敗したら、国が終わるかもなんだよ?」

 凛香は、楽しそうに続ける。

「そんな時に、無能を抱えてる余裕ないでしょ」

 無能。その言葉が、はっきりと私を刺した。私は一瞬、言い返そうとして、喉が詰まった。何を言えばいいのか分からない。否定したところで、現実は変わらない。

「……分かってる」

 絞り出した声は、情けないほど小さい。凛香は、それを聞いて満足そうに頷いた。

「ならいいけど。変に足引っ張らないでね」

 また、その言葉だ。私は俯き、床の石模様を見つめた。返す言葉が、見つからない。

「まあ、せっかくだしさ」

 凛香は一歩近づき、声を落とした。

「城下で生きてくなら、ちゃんと自分の身の程わきまえた方がいいよ。ここ、優しくないから」

 忠告の形をした、突き放し。私は何も言えず、ただ頷いた。凛香はそれで話は終わりとばかりに踵を返し、廊下の奥へと歩いていく。その背中は、王城の光に包まれていた。

 私はその場に取り残された。革袋を握りしめ、深く息を吸う。胸が痛い。でも、泣くほどの余裕はなかった。ここで立ち止まったら、本当に何もなくなる気がした。

 歩き出さなきゃ。そう思って、足を前に出す。どこへ行くのか分からなくても、とにかく進むしかない。王城の出口を示す標識を見つけ、私はそちらへ向かった。背後で扉が閉まる音がして、王城という安全圏が、音を立てて遠ざかっていく。

 外へ出ると、冷たい風が頬を打った。高い城壁の外に広がる街並み。石造りの建物が並び、人々が忙しなく行き交っている。異世界の景色なのに、不思議と現実味があった。ここで、生きていく。聖女でも、特別な存在でもなく、ただの人として。

 私は一度、王城を振り返った。あの中に、凛香がいる。選ばれた側として、光の中に立っている。その事実が、胸の奥で静かに、でも確かに、重くのしかかっていた。





 城門をくぐった瞬間、空気の質がはっきりと変わった。王城の中に漂っていた、張りつめた静謐さが嘘のように消え、代わりに生きた人間の匂いと音が押し寄せてくる。荷車の軋む音、商人の呼び声、子どもたちの笑い声。それらが一斉に耳に入り、私は思わず立ち止まった。ここは確かに、誰かが暮らしている場所だ。その事実が、少しだけ胸を落ち着かせた。

 石畳の道は不揃いで、歩くたびに靴底から衝撃が伝わる。私は革袋を抱えるように持ち、周囲をきょろきょろと見回した。看板に描かれた文字は、読めないものが多いのに、絵柄や雰囲気から、なんとなく意味が分かる。宿屋、食堂、雑貨屋。異世界なのに、生活の構造は驚くほど現実的だった。

「……とりあえず、宿」

 小さく呟き、自分に言い聞かせる。神官から渡された革袋の中身を、頭の中で思い返す。金貨が数枚と、銀貨。多くはないけれど、今日明日を凌ぐくらいなら足りるはずだ。長く滞在するには、働かなければならない。そう考えた瞬間、胃の奥がきゅっと縮んだ。

 働く。どんな仕事があるのか分からない。言葉は通じているみたいだけれど、常識も文化も違う世界だ。私は、ちゃんと役に立てるのだろうか。凛香の声が、頭の奥で蘇る。

「役に立たないもん」

 その一言が、しつこく胸に残る。違う、と言いたいのに、証明する術がない。私は唇を噛み、通りの端にある宿屋らしき建物へと足を向けた。木の看板に描かれた、ベッドと月の絵。ここなら、泊まれそうだ。

 扉を開けると、暖かい空気と香ばしい匂いが流れ出てきた。中は意外と賑わっていて、旅人や商人らしき人々が、テーブルを囲んで食事をしている。私はその中に溶け込むのが怖くて、入口近くで立ち尽くした。

「いらっしゃい」

 低く落ち着いた声に、肩が跳ねる。カウンターの奥から、がっしりした体格の女性がこちらを見ていた。宿の女主人だろうか。私は慌てて頭を下げる。

「……泊まりたい、です」

 言葉が通じるか不安だったけれど、彼女は私の顔を見て、ふむ、と小さく唸った。

「一人かい」

「はい」

「一泊、銀貨二枚。食事付きなら、もう一枚だ」

 私は革袋を開け、言われた通りに銀貨を差し出した。女主人はそれを確かめ、頷く。

「部屋は二階だ。空いてるところを使いな」

「……ありがとうございます」

 鍵を受け取り、階段を上がる。木の階段は少し軋んだけれど、その音すら今はありがたかった。誰にも見られていない場所に辿り着いた気がして、胸の奥が少し緩む。

 部屋は狭く、質素だった。ベッドと小さな机、椅子が一つ。それだけ。でも、扉を閉めた瞬間、私は力が抜け、ベッドに腰を下ろした。ようやく、一人になれた。

「……はあ」

 深く息を吐く。心臓の音が、まだ早い。今日一日で起きたことを思い返そうとすると、頭が追いつかない。異世界。聖女。無能。追い出されるように城を出たこと。凛香の顔。

 私は両手で顔を覆った。泣きたい。でも、涙が出ない。ただ、重たい感情が胸に溜まっていく。

 しばらくそうしていると、ノックの音がした。びくっと身体が反応する。

「……はい」

 恐る恐る扉を開けると、女主人が立っていた。手には木の皿とスープの椀。

「夕飯だ。顔色悪いね」

「……ありがとうございます」

 皿を受け取り、机に置く。湯気の立つスープから、野菜の匂いが漂ってきた。女主人は一瞬、私を見つめ、口を開く。

「城から出てきた子だろ」

 胸が跳ねた。私は正直に頷く。

「そうかい」

 それ以上、何も聞かれなかった。その距離感が、妙にありがたい。女主人は踵を返し、扉を閉めた。

 一人残された私は、スープを一口すする。温かさが喉を通り、胃に落ちていく。その感覚に、ようやく実感が湧いた。私は、生きている。ここで、生きていかなければならない。

「……無能、か」

 呟くと、部屋の静けさに溶けて消えた。私はスプーンを置き、天井を見上げる。木の梁が見えるだけの、簡素な天井。でも、その向こうには、凛香がいる王城がある。選ばれた人が集まる場所。

 悔しい。そう思う。でも、それ以上に、怖かった。このまま、何もできずに終わる未来が。学生時代と同じように、耐えて、やり過ごして、気づけば何も残らないまま年を重ねる未来が。

 私はぎゅっと拳を握った。爪が掌に食い込む痛みが、今の自分を現実に引き戻す。

「……生きるしか、ないよね」

 誰にともなく言い、私は再びスープを口に運んだ。外では、夜の気配が街を包み始めている。その同じ時間、王城では、凛香が聖女として迎えられ、祝福されているはずだ。

 その事実を思い浮かべながら、私は静かに、異世界での最初の夜を迎えた。





 スープを飲み終えると、部屋の静けさが一層際立った。外から聞こえるのは、遠くの笑い声と、時折通り過ぎる馬車の音だけ。それらは壁を一枚隔てて、どこか他人事のように響く。私は椅子に座ったまま、机の上に置いた革袋と身分証の札をじっと見つめていた。これが、今の私のすべてだ。

 札を手に取る。冷たい金属の感触が指先に伝わる。表面には、見慣れない紋章と文字が刻まれていて、触れるとわずかに温かい気がした。魔法的なものなのだろうか。城で説明されたときは、ただの身分証だと思っていた。でも、この世界では、それがないと生きていけないのだろう。

「……これが、私の価値」

 口に出すと、胸の奥が少し痛んだ。聖女でもない。特別な力もない。ただの一般人。ここでは、それ以上でもそれ以下でもない。私は札を机に戻し、代わりに自分の手を見つめた。細くて、どこにでもいるような手。学生時代も、社会に出てからも、この手で何かを変えた覚えはほとんどない。

 ふと、違和感を覚えた。指先が、じんわりと温かい。暖炉があるわけでもないのに、掌の奥が、ほんのりと熱を帯びている気がした。私は眉をひそめ、両手を擦り合わせてみる。気のせいだろうか。緊張で血が巡っているだけかもしれない。

「……考えすぎ」

 そう呟き、首を振る。今日はもう、いろいろありすぎた。異世界に来て、聖女候補から外され、城を追い出されて。心と身体が、追いついていない。変な感覚がしても、不思議じゃない。

 ベッドに横になろうと立ち上がった、その時だった。胸の奥が、きゅっと締めつけられるような感覚が走る。息が詰まり、思わずベッドの縁に手をついた。痛みというより、圧迫感に近い。何かが、内側から湧き上がろうとしている。

「……なに、これ……」

 声が震える。掌が、先ほどよりもはっきりと温かい。私は恐る恐る、机の上の木皿に触れた。スープを飲み終えた後の、空の皿。指が触れた瞬間、皿の縁が、ほんのわずかに光った気がした。

 目の錯覚だと思った。疲れているからだと、自分に言い聞かせる。でも、胸の奥の圧迫感は消えない。むしろ、じわじわと強くなっている。私は呼吸を整えようと、ゆっくりと息を吸った。

 その瞬間、圧迫感が、すっと引いた。

「……え?」

 代わりに、胸の奥に、静かな温もりが広がる。嫌な感じじゃない。むしろ、どこか懐かしくて、落ち着く感覚。私はしばらく、その感覚に身を委ねた。すると、指先の熱も、自然と収まっていく。

 部屋は、何も変わっていない。木の机、椅子、ベッド。光るものも、異変もない。ただ、私の中だけで、何かが起きたような気がした。

「……やっぱり、気のせい、だよね」

 そう呟いてみる。でも、胸の奥に残った温もりは、完全には消えなかった。私は不安を振り払うように、ベッドに腰を下ろす。横になると、天井が視界いっぱいに広がった。木の梁の一本一本が、やけにくっきり見える。

 凛香の顔が、また脳裏に浮かんだ。眩い光に包まれ、称賛を浴びる彼女。その対比として、何も起きなかった私。水晶に手をかざしても、反応すらほとんどなかった。なのに、今になって、こんな感覚があるなんて。

「……だったら、あの時……」

 言葉にしかけて、私は口を閉じた。考えても仕方がない。あの場で、私は無能と判断された。それが、今の事実だ。たとえこの感覚が何かの兆しだったとしても、証明する術はない。下手に口にすれば、また嘲笑されるだけだ。

 私は枕に顔を埋めた。布の匂いが、わずかに湿っている。誰かが使った後の、生活の匂い。異世界でも、人の営みは続いている。その中で、私はただ、生き延びるしかない。

「……もう、比べない」

 小さく、でもはっきりと呟いた。凛香と自分を。選ばれた人と、選ばれなかった人を。比べたところで、心が削れるだけだ。私は私の場所を探す。それしか、できることはない。

 胸の奥の温もりが、まるでその言葉に応えるみたいに、静かに脈打った気がした。私は目を閉じる。外の音が、少しずつ遠のいていく。異世界での二日目が、もうすぐ始まる。その不安と、わずかな決意を胸に抱いたまま、私は静かに意識を手放した。
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