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69話 水蓮池の合戦(3)
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「カルドン! 叛逆罪だぞ!」
アイヴィー王子殿下はカルドン様を威嚇しました。
「ウィード公爵令息、何をなさるのです!」
アイヴィー王子殿下に付き従っていた侍従も顔色を変えてカルドン様に言いました。
「王太子殿下に触れるとは不敬ですぞ!」
王宮の園遊会で、公爵家の嫡子が王太子を羽交い絞めにするという、有り得ない事態を前に侍従は狼狽えています。
侍従は大抵が貴族の子弟で、王族の身の回りの世話や秘書などの仕事をしています。
護衛とは違い、戦闘訓練は受けていません。
「王太子殿下はご乱心なさっておられる。貴様が不甲斐ないゆえ、私がこうしてお助けしているのだ」
カルドン様は悪意に満ちた笑みを浮かべました。
「カルドン! 貴様ぁ!」
アイヴィー王子殿下はじたばたしながら叫びましたが、体格の良いカルドン様にがっちり羽交い絞めにされて自由を奪われています。
「王太子である私を害して、どうなるか解っているだろうなぁ!」
激高しているアイヴィー王子殿下に、カルドン様は慇懃無礼に答えました。
「王太子殿下はご乱心なさり、池に身投げなさろうとしていらっしゃる。ゆえにお助けしているのです。御身をお守りするのは臣下の役目でございますゆえ」
「よくやった、カルドン」
ウィード公爵が食えない笑みを浮かべながら悠然と歩を進めて来ました。
そしてアイヴィー王子殿下を侮蔑するような目で見やると、カルドン様をねぎらいました。
「よくぞ王太子殿下のお命をお救いしたな。カルドン、手柄だ」
「臣下として当然のことをしたまでです」
「ウィード、貴様ぁ!」
アイヴィー王子殿下は憎々し気にウィード公爵を睨みました。
その対立の光景を前に、バジル様は水幽霊のような姿ながら堂々とウィード公爵に言いました。
「ウィード公爵、ご子息がアイヴィー王子殿下の御身を救ったこと、私がこの目でしかと見届けた。よくぞアイヴィー王子殿下を救ってくれた」
「お褒めにあずかり光栄の極み」
ウィード公爵は恭しくバジル様に礼をとりました。
これは。
ウィード公爵は王弟殿下の側に付いたのかしら。
王弟殿下なら、ウィード公爵とドラセナ侯爵たちを仲裁できるでしょうね。
もともとドラセナ侯爵たちのウィード公爵に対する悪感情は逆恨みですから。
和解せずとも、現国王とその王子たちという共通の敵を倒すために一時的に手を組むことは有り得ることです。
「さあ、王太子殿下、あちらでお手当をいたしましょう」
ウィード公爵とカルドン様は「王太子殿下、ご乱心!」と、これみよがしに周知を始めました。
「ウィード! 放せ! 無礼者めが!」
「殿下を池に身投げさせるわけにはまいりませぬ」
「何をしようが私の勝手だろうが!」
アイヴィー王子殿下は池に飛び込みたいらしく、微妙な内容を喚き散らしているので、これは乱心しているように見えますね。
ウィード公爵たちがそう見せたいのでしょうけれど。
アイヴィー王子殿下はカルドン様を威嚇しました。
「ウィード公爵令息、何をなさるのです!」
アイヴィー王子殿下に付き従っていた侍従も顔色を変えてカルドン様に言いました。
「王太子殿下に触れるとは不敬ですぞ!」
王宮の園遊会で、公爵家の嫡子が王太子を羽交い絞めにするという、有り得ない事態を前に侍従は狼狽えています。
侍従は大抵が貴族の子弟で、王族の身の回りの世話や秘書などの仕事をしています。
護衛とは違い、戦闘訓練は受けていません。
「王太子殿下はご乱心なさっておられる。貴様が不甲斐ないゆえ、私がこうしてお助けしているのだ」
カルドン様は悪意に満ちた笑みを浮かべました。
「カルドン! 貴様ぁ!」
アイヴィー王子殿下はじたばたしながら叫びましたが、体格の良いカルドン様にがっちり羽交い絞めにされて自由を奪われています。
「王太子である私を害して、どうなるか解っているだろうなぁ!」
激高しているアイヴィー王子殿下に、カルドン様は慇懃無礼に答えました。
「王太子殿下はご乱心なさり、池に身投げなさろうとしていらっしゃる。ゆえにお助けしているのです。御身をお守りするのは臣下の役目でございますゆえ」
「よくやった、カルドン」
ウィード公爵が食えない笑みを浮かべながら悠然と歩を進めて来ました。
そしてアイヴィー王子殿下を侮蔑するような目で見やると、カルドン様をねぎらいました。
「よくぞ王太子殿下のお命をお救いしたな。カルドン、手柄だ」
「臣下として当然のことをしたまでです」
「ウィード、貴様ぁ!」
アイヴィー王子殿下は憎々し気にウィード公爵を睨みました。
その対立の光景を前に、バジル様は水幽霊のような姿ながら堂々とウィード公爵に言いました。
「ウィード公爵、ご子息がアイヴィー王子殿下の御身を救ったこと、私がこの目でしかと見届けた。よくぞアイヴィー王子殿下を救ってくれた」
「お褒めにあずかり光栄の極み」
ウィード公爵は恭しくバジル様に礼をとりました。
これは。
ウィード公爵は王弟殿下の側に付いたのかしら。
王弟殿下なら、ウィード公爵とドラセナ侯爵たちを仲裁できるでしょうね。
もともとドラセナ侯爵たちのウィード公爵に対する悪感情は逆恨みですから。
和解せずとも、現国王とその王子たちという共通の敵を倒すために一時的に手を組むことは有り得ることです。
「さあ、王太子殿下、あちらでお手当をいたしましょう」
ウィード公爵とカルドン様は「王太子殿下、ご乱心!」と、これみよがしに周知を始めました。
「ウィード! 放せ! 無礼者めが!」
「殿下を池に身投げさせるわけにはまいりませぬ」
「何をしようが私の勝手だろうが!」
アイヴィー王子殿下は池に飛び込みたいらしく、微妙な内容を喚き散らしているので、これは乱心しているように見えますね。
ウィード公爵たちがそう見せたいのでしょうけれど。
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