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第1章 初の異世界!
第7話 初のボス戦!
しおりを挟む「うーん、そろそろここも限界かなぁ」
このメイジスケルトン狩りを始めてどれくらいの時間が経ったのか、すでに俺もわからない。恐らくではあるがゆうに一年以上は経っているはずだ。
俺は地面に寝転びながら、アンデッドに囲まれるのを待ち、エリアヒールを唱えるだけの簡単な作業を延々と続けてきた。
だが、もういくら倒してもレベルが上がっていかないのだ。
まだレベルはたったの238だというのに。
「仕方がない。他の場所を探さなきゃな」
この場所でのレベルアップを諦め、次の場所を探しにいくことにする。
すっかり重くなった腰を上げて、俺はまた走り始めた。
「おっ? また軽くなってるぞ。すごい、敵がいても瞬く間に後ろをとれる」
俺は途中にいたスケルトンナイト(鎧を着込んだスケルトンを便宜上、こう呼んでいた)の後ろに回り込む。
スケルトンナイトは目の前から消えた俺を探すように左右をキョロキョロと見回し始めた。
「今となってはただの雑魚だな」
俺は素手でその鎧にパンチを放つ。鎧はベッコリとヘコみ、スケルトンナイトは凄まじい勢いで吹き飛んだ。
そして壁にクレーターのようなヘコみを作って骨が粉々に砕けた。
「もうヒールも必要ないかもな。パンチ打ったほうが早いや」
そこからはダンジョンで出会う敵は全てパンチ一発で吹き飛ばしながら進んでいくことが出来た。
そうして狩りまくったところ、道の奥に光りが見えてきた。
「なんだろう?」
近づいていくと、視界が一気に広がった。ホールのように広いフロアーだったのだ。見上げるほどに高い天井と野球場よりも広い広大な空間だった。そして、そこに寝ていたのは巨大なドラゴンの骨だった。
「あれは……、ドラゴンの骨なのか? まさか起きたりしないよな? っていってもこのフロアーはアンデッドばっかりだったし。念の為、ヒールを自分にかけ続けながら近づくことにした。
「ヒール、ヒール、ヒール、……」
少しづつ、ドラゴンの骨との距離が詰まってくる。
もう少しでエリアヒールの範囲だ……。そこまで近づけば、
と思った瞬間だった。
寝ていたドラゴンの頭部が突然起き上がり、そしてブレスのようなものを吐き出した。
そのブレスはドス黒く、俺の体にベットリとくっつくと、体がまるで酸をかけられたかのように熱くなる。
ジュワ~~~ッッ!!
「こ、こりゃまずい! ヒール、キュアー、ヒール、キュアー……」
体がどんどん溶けていくのを防ぐようにヒールとキュアーを交互にかけ、酸が収まるのを待つ。
しかし、ドラゴンの骨はさらに酸を吐き出してきた。
「バリヤー!」
白く薄い膜にベットリと黒い酸がかかる。
驚くべきことにバリヤーからシュワ~っと白い煙が上がっていき、バリヤーが溶かされてきた。
「うそ? バリヤーを溶かすのかよ?」
辺りは一面に酸がたまり、俺の腰の高さまである。
こりゃまずい、バリヤーが溶け切る前にアイツを倒さないと……。
「一か八か、また神聖魔法に頼るしか無い。ホーリービーム!」
唱えてみたが何もでない。言葉とイメージのどちらかが違うのだろうか? 詳しいことは全くわからない。神聖魔法の取扱説明書なんてないのだ。
「ホーリーレイ!」
またしても何も出ない。
「ホーリーソード!」
俺は手から飛び道具がでるのを期待していたのだが、ベルトに差していたナイフが白く輝き始めた。
「ん? なんだこれは……」
ナイフを持つと光る白い刀身が長くなっていき、剣のような形に変わっていった。
「今は使えなさそうだけど、これは凄い」
剣を振り回してみると、白い衝撃波が飛んでいき、ドラゴンの骨に直撃した。
ドラゴンの骨は崩れ落ち、砂のようになって消えていく。
「あ、倒しちゃったのか。にしても凄い威力だな。」
力が湧き上がり、レベルアップしたことがわかると、すぐにステータスを確認した。
「お? レベル856だって? あのドラゴンの骨、すごい経験値だ!」
走ってみると、自分の残像を残せるほどに早く走れることに気付いた。
一瞬止まった所で残像を残すことができ、最大で十体まで出せるようだ。
俺はホーリーソードの威力や射程を確かめるべく、岩に向かって検証することにした。
「ふぅむ、射程は五十メートルはありそうだな。威力も岩がスパっと切れるくらいだし、問題なさそうだ。これからの主力武器になりそうだな」
検証を終えて先に進もうとした時だった。あのドラゴンの骨が復活していたのだ。
「うお!? マジかよ……。あの強さで雑魚と同じようにまた出てくるってのか……」
ドラゴンの骨の手前に残像を残しつつ、後ろに回り込んだ。
ドラゴンの骨は残像に向かってブレスを吐き出したが、俺はもうそこにはいない。
ホーリーソードを横に一振りすると、骨に光の筋が入っていき、ドラゴンの形が崩れ去っていくのだった。
「よし、ここでまたレベルあげるぞ!」
俺は意気揚々とこの場に居座るのだった。
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