レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野

文字の大きさ
174 / 219
第9章 勇者RENの冒険

第172話 グレンの復活

しおりを挟む


「いかがです? 私のテレポート魔術は。無事にあの剣を得ることができたようで安心しましたよ」

 蛇の国の神はニッコリとしたままニュートに握られたグレンを見た。

「あぁ、助かったぜ。礼を言う」

 神はグレンの同意と共に、テレポートの魔術を行使、俺の元へグレンを届けてくれたのだった。

 素直に頭を下げると神は少し驚いたように口を開いていた。

「どうした?」

「いえ、アナタの意外な一面を見た気がしましてね……。お役に立ててよかったです。それでは私は失礼しますよ。少し疲れてしまいました。休憩させていただきます。アナタの健闘、期待していますよ?」

 神は振り返り、廊下を歩いて去っていく。

「あぁ、もう一つだけ、仕事を頼みたい」

「仕事? ウゥッッッ!!!!」

 グレンを手にした時、その意思、意識、記憶が俺の中に入ってきた。そしてオレは瞬時に理解したのだ。この刀が血を求めていることを。血を吸い、その中の魔力を補給し、自己再生するのだと……。

 ならば身近の者から血を補給させてもらうのが手っ取り早い。

 オレは神の背中にグレンを突き刺したのだ。

 口からドッと青い血を吐き出す神。

「な……、なぜ……」

 その顔は驚きに満ちていた。

「オマエには感謝している。俺の呪いを強化し、この舞台へ連れてきれくれたこと。グレンをこの手に握らせてくれたこと。そして、オマエの命でグレンをより強化させてくれたことにな」

「ニ、ニュート……キサマ……」

「さぁ、グレンよ。遠慮はいらん。神の血。とくと味わうがいい。そしてパワーアップした姿をオレの前に現わすがいいッッッ!!!」

 神は死んだ。

 そしてニュートの手には刃幅が倍、刃長も倍、重さは4倍にもなったグレンが握られているのだった。



   ***



「さぁ、第七試合、健闘を見せたグレンでしたが最後はギガースの鉄球に押しつぶされてしまいましたね!」

「えぇ、残念な最後でしたが、それも仕方がありません。このトーナメントを勝ち抜くには死ぬ覚悟も必要ですからね」

「そろそろ、舞台の用意が整いそうです。いよいよ一回戦第八試合! 一回戦の最後の試合が始まる模様です」

「一回戦の最終試合ですが、ついに優勝候補の一角、ドラゴン族のバハルが登場します! 相手は蛇人族スネークマンのニュートですね。どこまで喰らいつけるのか、楽しみですね」

「その口ぶりですとやはりバハルが優勢になるとお考えですか? ローファンさん?」

「えぇ、どうしても蛇とドラゴンでは種族としての格が違いますからね。まぁ蛇といえどヒュドラや大蛇はたしかに強いのです。ですが……ドラゴンほどの脅威ではない、というのが実情ではないでしょうか」

「確かにそうかもしれませんね。さぁ、両者の入場です!」



「東の方角ッ! ドラゴン族代表! バハル!!!」

「さぁ、やってきたのはバハルです! 白い独自の衣装に身を包んだ男がやってきました!」

「あれは神竜族伝わる伝統衣装ですね。戦いに赴く前に着用し、出陣するのが習わしとなっているそうです!」

「破壊竜、バハムートの子孫ということですが、今大会では人形ヒトガタで入場してきましたね」

「さすがにこの舞台では竜の姿では大きすぎるでしょうね。むしろ人形のほうが小回りが効いて、対戦するのも楽になるはずですよ」

「そうなのですか。てっきり大きい姿からブレスでも吐くのかと思いました」

「ブレスならあの姿でも全く同じ性能で出せるはずですよ。まぁ、この舞台でブレスを吐くと逃げ場がないでしょうから相手は大変でしょう。果たして、ニュートのブレス対策も見どころの一つではないでしょうか?」

「なるほど……。さぁ、バハルの入場が終わりました。次はいよいよ最後の戦士の入場ですね!」



「西の方角! 蛇人族スネークマン代表! ニュート!!!」

「最後の戦士が入場してきました! これでついに参加戦士16名、全員が舞台で戦うこととなります!」

「あれ? リサさん! ニュートですが、武器が変わってますよ?」

「あっ、そうですね? たしか、ニュートは腰に剣を何本も差していたと思いますが……、今は手に持っている長い刀を一本だけという装備ですね!」

「んー、相手がバハルということもあり、特別な装備を用意したんでしょうかね? 私の情報ではニュートは二刀流を得意とする男だと聞いていたのですが……、これは不気味ですね」

「ニュートの持つ刀ですが、長いですねぇ。先程のグレンの刀も相当な業物だった気がしますが、それよりも遥かに上回る大きさとなっています!」



 ニュートは一人ほくそ笑んだ。

 くくっ、誰も気づかないとはな。パワーアップしたグレンは見た目にもはるかに大きくなっており、誰も同じ刀だとは気づいていない。グレンは俺に超常の技を仕込んでくれた。そして俺の能力もそこに乗せ……。

 本来、格上であるドラゴン族。その族長であるバハルが相手とあっても、今のニュートに怯むところはなかった。

 まずはキサマで試し切りをさせてもらおう。

 そして、我が覇道の生贄として、死んでもらう。

 今、ニュートの目が白く鋭く光り、バハルを睨みつけるのであった。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?

さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。 僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。 そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに…… パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。 全身ケガだらけでもう助からないだろう…… 諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!? 頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。 気づけば全魔法がレベル100!? そろそろ反撃開始してもいいですか? 内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太
ファンタジー
 かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。  しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。  失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。  だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。

異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
【週三日(月・水・金)投稿 基本12:00〜14:00】 異世界にクラスメートと共に召喚された瑛二。 『ハズレモノ』という聞いたこともない称号を得るが、その低スペックなステータスを見て、皆からハズレ称号とバカにされ、それどころか邪魔者扱いされ殺されそうに⋯⋯。 しかし、実は『超チートな称号』であることがわかった瑛二は、そこから自分をバカにした者や殺そうとした者に対して、圧倒的な力を隠しつつ、ざまぁを展開していく。 そして、そのざまぁは図らずも人類の命運を握るまでのものへと発展していくことに⋯⋯。

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。

真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆ 【あらすじ】 どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。 神様は言った。 「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」 現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。 神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。 それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。 あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。 そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。 そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。 ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。 この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。 さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。 そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。 チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。 しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。 もちろん、攻略スキルを使って。 もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。 下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。 これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。

処理中です...