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夜の帳が下りたあと
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しおりを挟むぱちっ、しゅわしゅわ、きゅん。
胸の奥でそんな音が鳴る。
夏の暑い日にキンキンに冷えたサイダーのペットボトルを開けたときのことを思い出した。
◇◇
深夜のコンビニバイトはしんどいと思うことは少ないけれど、かといって楽しいと思うこともあまりない。やりがいなんて、もっとない。
そもそもお客さんなんてあまり来ないし、ぼーっとして時間を潰しているのが大半。
学生にしては時給がいいし、ただなんとなく惰性で続けているだけ。明日から来なくていいよって言われたら、素直に「はい、わかりました」って答えちゃうレベル。
何かが起きるなんて期待していないし、大学・家・コンビニのトライアングルを行き来する毎日に何の不満もなかった。
だって、ベータだから。
生まれ持ったカリスマ性で注目を浴びるアルファや、誰もが虜になる儚くて美しいオメガとは違う。
何の才能も持たない、ありふれた人間の中のひとり。トロッコ問題で選ばれない側の人間。それが二十一年間ずっと、平凡街道を歩き続けてきた春崎陽という人間だ。
アルファに対する憧れなんてとうの昔に捨ててしまった。「平凡」という言葉がよく似合う人生を送ってきたのだから諦めるのもしかたないとすら思う。いくら努力したって天性の才能には敵わないのだから。
だから、自分がベータだということに納得しているし、これからだって目立たないように日陰の中で生きていくのだ。陽の人生はスポットライトを浴びることなく、人知れず幕を閉じる。
――そう決まっていると思っていた。
あの日、突然星が降ってくるまでは。
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