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stargazer - S
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◇◇
詰め込まれたスケジュールは再調整が難しく、まるで初めから仕組まれていたみたいに、俺に自由な時間は与えられなかった。
たまに訪れる、たった一日だけの休み。二十四時間なんて移動するだけであっという間に終わってしまって、ろくに手掛かりも入手できない。
心当たりのある場所をいの一番に探し回ったけれど、陽のフェロモンはすっかりなくなっていて、彼がここにはいないということを本能が告げていた。
埒が明かない。最後まで口を割らなかった茨木は、花形の職を失ってまでそうする意味があったのだろうか。もう、あんな奴、顔も見たくないけれど。
常にイライラしている俺に、先日担当になったばかりのマネージャーは恐れ慄いている。あの後、茨木から代わったマネージャーは、これでもう三人目だ。三ヶ月の試用期間すら耐えられずに辞めていくのを、無表情に見送るばかりだった。
陽以外、どうでもいい。
陽じゃないなら、誰が何をしていても関係ない。俺の邪魔さえしなければいい。
何度仕事を放り出してやろうと考えたことか。だけど、その度にあの言葉が枷になって、俺の衝動の邪魔をした。きっとあの頃には離れる覚悟をしていて、陽は俺をアイドルという呪縛から逃れられないようにしたかったのかもしれない。まんまとその策にハマっているのだから、笑ってしまう。簡単に反故にできないのは、陽が望む「深山翠」でありたかったから。ただ、それだけ。
そうしてるうちに気づけば一年が経っていて、色褪せたままの世界で俺は孤独と戦っていた。
スケジュールは相変わらず詰め込まれたまま。そこに誰の思惑が働いているのやら、何となく裏で糸を引いている存在は察しているけれど、怒る気力すら湧いてこない。
地方まで足を運んで陽を見つけ出すためには、一日の休暇じゃ足りない。……だったら、仕事として地方に行けばいいんじゃないか。新しい春が来て、ふと思い立った。
「ねえ、社長。俺、やりたいことあるんだけど」
「suiが直々にそんなことを言ってくるなんて珍しいな」
十年以上もアイドルをしてきて、社長に直談判するのは初めてだ。上機嫌な社長にバレないようにしながらも、ニヤリと口角が上がる。
「もっとファンの方に感謝を伝えるにはどうしたらいいんだろうって考えてたら、急に思い付いたんだ。これまでは限られた都市でしかツアーをやってこなかったけど、来年は全国を回りたいなと思って……」
本音は違うくせに、しおらしくそう嘯いてみたら、案の定、単純な社長はぱあっと顔を輝かせる。
ごめんね、ファンのみんなをだしに使って。
でも、俺のことを好きなら、許してくれるよね。
そんな最低な信頼を置きながら、社長の出方を伺った。
「おお! いいね! 地方にもたくさんsuiのファンはいるわけだし、これまでは足を運んでもらっていたのが、今回はsuiがみんなの街にやってくるっていう形になるんだね」
「もし実現したら、これまで以上に頑張るよ」
「ああ、必ず実現させよう。まずは会場を押さえるところからだな。よし、その辺りは裏方チームに任せておけ」
「ありがとう、社長」
話の分かる人で助かるよ。
……なんて狡猾に思いながら、にっこりと笑う。
陽、君が今どこにいるかは分からないけれど、ちゃんと君の街まで迎えに行くから。もうすぐ会えるから、待っててね。
詰め込まれたスケジュールは再調整が難しく、まるで初めから仕組まれていたみたいに、俺に自由な時間は与えられなかった。
たまに訪れる、たった一日だけの休み。二十四時間なんて移動するだけであっという間に終わってしまって、ろくに手掛かりも入手できない。
心当たりのある場所をいの一番に探し回ったけれど、陽のフェロモンはすっかりなくなっていて、彼がここにはいないということを本能が告げていた。
埒が明かない。最後まで口を割らなかった茨木は、花形の職を失ってまでそうする意味があったのだろうか。もう、あんな奴、顔も見たくないけれど。
常にイライラしている俺に、先日担当になったばかりのマネージャーは恐れ慄いている。あの後、茨木から代わったマネージャーは、これでもう三人目だ。三ヶ月の試用期間すら耐えられずに辞めていくのを、無表情に見送るばかりだった。
陽以外、どうでもいい。
陽じゃないなら、誰が何をしていても関係ない。俺の邪魔さえしなければいい。
何度仕事を放り出してやろうと考えたことか。だけど、その度にあの言葉が枷になって、俺の衝動の邪魔をした。きっとあの頃には離れる覚悟をしていて、陽は俺をアイドルという呪縛から逃れられないようにしたかったのかもしれない。まんまとその策にハマっているのだから、笑ってしまう。簡単に反故にできないのは、陽が望む「深山翠」でありたかったから。ただ、それだけ。
そうしてるうちに気づけば一年が経っていて、色褪せたままの世界で俺は孤独と戦っていた。
スケジュールは相変わらず詰め込まれたまま。そこに誰の思惑が働いているのやら、何となく裏で糸を引いている存在は察しているけれど、怒る気力すら湧いてこない。
地方まで足を運んで陽を見つけ出すためには、一日の休暇じゃ足りない。……だったら、仕事として地方に行けばいいんじゃないか。新しい春が来て、ふと思い立った。
「ねえ、社長。俺、やりたいことあるんだけど」
「suiが直々にそんなことを言ってくるなんて珍しいな」
十年以上もアイドルをしてきて、社長に直談判するのは初めてだ。上機嫌な社長にバレないようにしながらも、ニヤリと口角が上がる。
「もっとファンの方に感謝を伝えるにはどうしたらいいんだろうって考えてたら、急に思い付いたんだ。これまでは限られた都市でしかツアーをやってこなかったけど、来年は全国を回りたいなと思って……」
本音は違うくせに、しおらしくそう嘯いてみたら、案の定、単純な社長はぱあっと顔を輝かせる。
ごめんね、ファンのみんなをだしに使って。
でも、俺のことを好きなら、許してくれるよね。
そんな最低な信頼を置きながら、社長の出方を伺った。
「おお! いいね! 地方にもたくさんsuiのファンはいるわけだし、これまでは足を運んでもらっていたのが、今回はsuiがみんなの街にやってくるっていう形になるんだね」
「もし実現したら、これまで以上に頑張るよ」
「ああ、必ず実現させよう。まずは会場を押さえるところからだな。よし、その辺りは裏方チームに任せておけ」
「ありがとう、社長」
話の分かる人で助かるよ。
……なんて狡猾に思いながら、にっこりと笑う。
陽、君が今どこにいるかは分からないけれど、ちゃんと君の街まで迎えに行くから。もうすぐ会えるから、待っててね。
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