レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー

文字の大きさ
59 / 82
3章 抵抗

59話 学びたい

しおりを挟む
10年、アタシは探索者をして最強と呼ばれるまでに強くなった。
強くなったと思っていたが、今対峙しているモンスター【メガロ黒騎士】には、アタシの雷鳴突きを躱されたわ。


「こ、こんなにあっさり」
「リサリカ様、援護します」
「待ちなさいジュリアナ」


アタシの静止を聞かず、部下5人が前に出てしまい、武器を振りかぶった直後にモンスターの攻撃を受け、アタシの後ろまで吹き飛ばされました。
両断されて命を落とさなかったから良かったけど、メガロ黒騎士の動きが見えなくて槍を持つ手が震えたわ。


「こんな気持ち、新人の時にボスモンスターと対峙して以来だわ」


勝てないと言う事実がそうさせてきて、乗り越えたと思った気持ちが抑えられなかったわ。
逃げたい気持ちになったけど、後ろに引き飛ばされた部下をミホコさんたちに助けてもらう時間稼ぎをしないといけないから、アタシは勇気を振り絞って槍を構えたのよ。


「ミホコさん、部下をお願い」
「それはもう助けたわ、後はあなただけですよリサリカさん」
「ミホコ」


アタシの隣にいつの間にか立っていたミホコは、背丈よりも大きな剣を構えていて、共に戦う事を提案してきたわ。
とても頼もしいけど、アタシは足手まといなのは言われたので、槍を引こうとしたけど、ミホコがそれを止めてきたのよ。


「どうして止めるの、あなたなら倒せるのでしょう」
「足手まといなんて言ったのは謝罪しますリサリカさん、やはりあなたは尊敬できる人です」


ミホコは、アタシの勇気を見て戦う事をお願いしてきて、アタシはとても嬉しい気持ちになりました。
力が心の底から湧き上がってきて、槍を握る手に力が入り、ミホコの一撃に攻撃を合わせモンスターを倒したわ。


「一撃、さすがねミホコ」
「さすがなのはリサリカさんです、良く膝をつかずに戦いました」
「それはそうよ、部下を死なせるわけにはいかないわ」


それが凄いと褒めてくれて、これからは共に戦おうと提案してくれたけど、アタシはそれを断り後方で見守る事にしたわ。
どう見ても足手まといだし、訓練して次は対等に戦えるように精進したかったのよ。


「いつか一緒に戦える様、この目にあなた達の戦いを焼き付けるわ」
「そうですか、では倒れるまで走ることになるけど、頑張ってくださいね」
「そ、それは・・・お手柔らかに頼む」
「はい、倒れてもちゃんと介抱しますから安心してください」


共に戦った方が楽だったかもしれないが、遠目で戦いが見る機会だし、アタシは息を切らせフラフラになるまで走ったわ。
そして、気づいたら野営していて布団に寝かされていて、これではプライドも何もないとガッカリしたのよ。


「これだけの差があったのね・・・まいったわ」


今まで探索者として戦ってきたのは何だったのかと落ち込んでしまい、もう引退してしまおうかと思ったわね。
でも、ミホコとの約束もあったし、負けっぱなしは嫌だったから留まったのよ。


「そうよ、もっと強くなって共に戦うのよ」


まだまだ出来る事はあると思い、それを聞くために布団から出てミホコの元に向かったわ。
食事の支度をしていたミホコにお礼と伝え、同時に訓練をしてくれないか頼んだわ。


「訓練ですか」
「そうよ、あなた達の強さをアタシも欲しいの、だからお願い」
「そうしてあげたいけど、国が違うから教える訳にはいかないわ」
「それなら、協定を結びましょう、そうすれば協力関係がより強くなるわ」


技術の提供もしやすいと提案したら、それは良いと賛成を貰えたわ。
でも、こちらが何を提供してくれるのかという問いにはアタシは答えられず、検討してからという事になったわ。


「それでも、強くなれるなら何でもするわ」
「それなら早くに提供できるかもしれないわね」
「ええ、期待しててちょうだいミホコ」


最悪アタシは亡命も考えていて、夢にまで見た10つ星制覇が見えた気がしました。
その後は夕食を取り楽しいお話を聞けたのだけど、そこでミホコがリーダーではないことを聞いて驚いたのよ。


「どうしてそのリーダーは参加してないの?」
「それは・・・ちょっと体調が悪いんです」
「そうだったの、ミホコには世話になったし、ご挨拶したいけど無理そうね」


かなり危険な状態なのか、ミホコもそれが良いと顔色が悪く、その人の事がとても大切なのが伝わってきたわ。
それを助ける事が出来れば協力関係も上がると思ったけど、技術のあるミホコたちでも治せないとなると無理があると諦めたわ。


「でも、何か手伝えることがあったら言ってねミホコ、力になるわよ」
「ありがとうリサリカさん、でもこの探索が終わればきっと回復するわ」
「そうなの?それならよかったわね」


回復すると言うのに顔色は変わってなかったから、ミホコが無理をしているのが分かり、何とかしてあげたいと思ったわ。
力になれない歯がゆさを感じ、夕食を早々に済ませてテントに戻り、ジュリアナたちに相談して案を出してもらったわ。


「まず、その人の容体を確認したいですね」
「でも、回復魔法やポーションのあるこの国が治せないとなると、我が国で治せる手立てはなさそうっす」
「それでも何かの力になるかもしれないわ、だから頼むわよ」


何が力になるか分からないからみんなに頼み、その見返りが力だと伝えたら了承してくれたわ。
今回の事でみんなももっと強くなりたいと言う気持ちが大きくなっていて、他国の実力を確かめるだけの探索だった今回が良い刺激になったと喜びました。


「みんな、強くなりましょうね」
「「「「「はいリサリカ様」」」」」
「良い返事ね、じゃあ解散」


みんなをテントから出し、アタシも布団に入って寝る事にしたけど、しばらくドキドキして寝付けなかったわ。
疲れているはずなのに寝付けず、明日に支障が出ると思って無理やり寝付こうとしたけど、結局あまり寝る事が出来ず朝になってしまったわ。


「今日はボス戦だけだと言うのに、これじゃ見学も難しいかしら」


足手まといになるならとは思ったけど、外に出てその気持ちは吹き飛びました。
朝早かったからか、野営地の周りにはモンスターのドロップ品が沢山落ちていて、夜の襲撃が激しかったことを伝えてきたわ。


「これをアタシたちに気づかれずに倒すなんて、凄いわね」


やっぱりほしいと思い、探索が終わったら絶対詳細を聞こうと決め、アタシは朝食後の戦闘をしっかりと見る事に専念しました。
ボスは、黒騎士の最上位種【黒炎騎士】という黒い炎を纏ったモンスターで、近づく事も困難な相手だったわ。


「こ、こんなのどうやって倒すのよ」


対策を取れば勝てる相手には見えず、ミホコたちがどうするのか見る事にして離れたアタシは、今までのミホコたちが本気ではなかったことを知りゾッとしたわ。
その戦いは、アタシが求めた最強そのもので、見惚れてしまう程に凄かったんです。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

スキル『レベル1固定』は最強チートだけど、俺はステータスウィンドウで無双する

うーぱー
ファンタジー
アーサーはハズレスキル『レベル1固定』を授かったため、家を追放されてしまう。 そして、ショック死してしまう。 その体に転成した主人公は、とりあえず、目の前にいた弟を腹パンざまぁ。 屋敷を逃げ出すのであった――。 ハズレスキル扱いされるが『レベル1固定』は他人のレベルを1に落とせるから、ツヨツヨだった。 スキルを活かしてアーサーは大活躍する……はず。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...