離宮に隠されるお妃様

agapē【アガペー】

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と言うことで

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「ということは・・・」


ローゼリアは気付いたらしい。ここが食堂だというのは嘘だとサディアンは言った。ローゼリアに出会うきっかけがなかったとも。ここを食堂だと偽ってまで出会うきっかけを作ったという事になる。だが疑問も浮かぶ。


「で、ですが、殿下・・・お料理は・・・」

「ん?あぁ、ルカスが作った」

「ル・・・カス様?」

「あぁ、さっき話した部下だ」

「お料理もなされるのですね」

「まぁな、影はいろいろな役割を持った人間の集まりだ。情報収集が任務の奴もいれば、戦闘が任務の奴もいる。ルカスのように、潜入が任務の奴は、長期に渡って敵地に潜ることもある。おいそれと安心して食事に手をつけれない事も多い。敵だとバレれば、毒を盛られたりする事だってあるのだからな。自分の身を守る術として、料理が必要になることも多々ある」

「そういうご事情が・・・」

「まぁ、ルカスの場合は、敵国の料理が不味かったというのがトラウマらしい」


クツクツと笑うサディアンの後ろで、ルカスが眉間にシワを寄せて天井を仰いでいる。そうとう口にあわなかったのだろう。


「まぁ、そういう事だ。君を騙したような真似をしたことは謝る。申し訳ない」


サディアンが姿勢を整え、ガバッと頭を下げると、ローゼリアは慌てた。


「で、殿下!頭をあげてください」

「許してくれるということでいいのか?」


サディアンはゆるゆるっと顔をあげると、上目遣いにローゼリアを見る。


「許すも何も、確かに騙されはしましたけれども、私は何も陥れられたり、悪いようにはされておりません。なんなら美味しい食事を頂いて楽しい時間も過ごせました。なので、感謝こそすれ、怒る理由はございませんわ」


ニコリとほほ笑むローゼリア。


「やはり欲しいな・・・」

「はい?」

「いや、何でもない。という事で、俺はローゼリア嬢に興味を持った。なので、領地まで同行したい」

「という事でと言われましても・・・」


そのやり取りを見ていたララが、横からそっと話しかける。


「お嬢様、一度旦那様にご報告されてからがよくありませんか?国同士のトラブルにも発展しかねません」

「そうね」


こそこそと話す二人を不思議そうな顔で見ているサディアン。


「何か問題があるのか?」

「問題はございませんが、殿下をお迎えする準備等何もできておりませんし、私も領地へ行くのは久しぶりです。それに、何も伝えていないのに、突然殿下が領地の邸に訪れると、邸の使用人達が驚きますわ」


苦笑いしながら説明するローゼリアに、サディアンもそれもそうかと納得する。


「殿下、少しお時間を頂けますか?」

「というと?」

「お父様に一度話を通させてください。私の判断では何とも」

「わかった、よい返事を期待している」


その場としては丸く収まったとローゼリアはホッとしていた。




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みんなの感想(40件)

りょうちゃん

先が気になり、1日で一気に最後まで読んでしまいました。
第3の男、隣国王子まで出てきましたね。このあとの展開気になります。
ローゼリアの気持ちが早く癒えますように。
国王は、いつ女の影をローゼリアに勘違いされてるのに気づくかな…
次回の更新楽しみにしてます。

解除
リコ
2024.10.12 リコ

なんでローゼリアが、あの2人の不貞の尻拭いをしなきゃいけないのよ。
ローゼリアが美人で素敵な女性だからサディアス殿下は、あの阿呆女の代わりとしてでも連れ帰りたいのは分かるけど、不貞の傷が大きいローゼリアへの提案としては、最低だなと思いました。
彼女は素晴らしい淑女であり貴族令嬢。貴族令嬢としての矜持をもつ彼女は、隣国との友好の為ならと政略結婚を受け入れるとは思いますが、あのクソ共への厳罰は必須だよね。ライモンドは廃嫡。阿呆女とその家は、貴族の義務を果たさなかった事への罰として、阿呆女の貴族籍剥奪と賠償金、そして公爵家の3階級降格処分と領地の3分の2没収が妥当かと。
「貴族の義務を蔑ろにするなら、貴族でいる必要ないよね?」って感じ。

2024.10.16 agapē【アガペー】

コメントありがとうございますL(´▽`L )
参考になります笑
ローゼリアにはハッピーエンドを迎えてもらわねば!と気合い入っています(^^)

解除
リコ
2024.09.02 リコ

早く陛下に会いたい!!

解除

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