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二章
学院の怪談
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夜の学院は、昼の時と違って、やっぱり何だか怖い…。怖い話しの現場に行くのもあって、足の進みも遅く、先頭のバルドとも徐々に離れて来ていた。しかし、それが分かってはいても、足は思ったように進まない…。
「おい」
「な、何!?」
前を歩いていたネアが、振り返りながら急に話し掛けるから、少し変な声が出た。
「裾を引っ張るな。歩き難い」
「ご、ごめん…」
僕は、静かに掴んでいた裾を離した。怖くて、無意識のうちにネアの裾を掴んでいたようだった。
「怖いなら、断れば良かっただろう」
「言い出せなくて…」
1人だけ怖がっているのが、何だかかっこ悪くて、どうしても視線が下に行ってしまう。
「はぁ…。今回は、掴んでて良い。でも、あんまり引っ張るなよ」
「うん!」
仕方がなさそうにしながらも、ネアは裾を掴むのを許してくれた。普段からあまり喋ったりしないけど、たまに優しい所があるんだよね。
僕は、ネアの裾を固く握りながら、バルド達の後を付いて行く。途中、聞いて来た話を語っているけど、耳を塞ぎたい…。でも、この手も離したくない…。
「兄貴が、寮生から聞いたらしいんだけど、夜、誰もいない教室に残っていると、誰かの話し声が聞こえて来て、その声に付いて行くと、全く知らない場所に行くんだって」
問題の教室に付くと、みんな耳を澄ませているようだった。だけど、僕には絶対に無理!何も、聞こえてくるな!!
「何も聞こえませんね…」
「聞こえないな…」
「そもそも、不審な声に、付いて行く方もどうかしているがな」
「次!次、行こう!」
何か聞こえる前に、教室を後にしたい!それに、こんな怖い事は、なるべく速く終わらせるに限る!
その後も、夜に鳴り響くピアノや、勝手に置き場所が変わる彫刻など、各場所を見て回ったけれど、何も起こらなかった。
「何も起こらないな…。そういえば、コンラットが聞いた話は、どんな話しだったんだ?」
「私が聞いたのは、踊り場に置いてある鏡の話です。何でも、その鏡には異世界に繋がっていると言う噂があったそうです。それを確かめるために、ある生徒が夜中に学院に忍び込んだそうですが、その生徒はそのまま帰って来なかったと言う話です」
「今の俺達の事みたいだな」
「ネア!止めてよ!!」
ネアが不吉な事を言い出したので、慌てて止めた。コンラットも、そんな話し聞いて来ないでよ!!
「よし!行ってみよう!」
「行くの!?」
僕が、理不尽な怒りをコンラッドに向けていると、予想通り、バルドが行くと言い出した。僕はもう帰りたい…。
「此処まで来たのに、行かない理由がないだろ?それより、さっきから思ってたけど…リュカはやっぱり怖いのか…?なら、リュカは此処に残って待ってるか?」
「行くよ!!」
バルドなりに気を使ってるのかもしれないけど、こんな所に1人残される方が怖いから!!
僕は、ほとんどネアを盾にするように、みんなの後を付いて行った。もう、怖がりがバレるとか気にしている余裕もなかった。
「何も起こらないな…」
「そうですね…」
そこでも、何も起こる事はなく、これでようやく帰れると僕が安堵していたら、何やら考え込んでいたバルドが、何かを思いついたかのように顔を上げた。
「森に行ってみないか?」
「森は、立ち入り禁止区域ですから駄目ですよ!リオ先生からも言われているでしょう!!」
「そうだよ!!駄目だよ!!」
「でも、オルフェ様が止めるくらいだから、何かあるんじゃないか?」
「それは…そうかもしれないですけど…。でも、それだけ危ないと言う事でしょう…」
「ちょっと、ちょっとだけ!ちょっと見たら帰るから!」
バルドの懇願と、行かなきゃ帰らなそうだった事もあって、見たら帰るとバルドと約束をしたうえで、僕達は森へと向かった。
僕達はまだ立入禁止だから、森に来た事はない。そこまで行く道は、人気がないうえに、高い壁が立っていているせいか、月明かりが差し込まずに、部屋の中みたいに薄暗い…。
森の入り口に付くと、門で固く閉ざされていた。それに、勝手に入れないようになのか、3メートルくらいの壁があって、森どころか木すら全く見る事は出来なかった。
「これで満足ですね。では、帰りますよ…って!何してるんですか!?」
「上から少し、向こうを除いて見ようかと思って?」
バルドは、近場にあった木を上手に利用しながら、すでに壁の上に手を掛けていた。
「駄目です!ほら、もう帰りますよ!」
「あし、足引っ張るな!落ちるから!」
足を引っ張って止めるコンラッドと、落ちないように必死に掴まっているバルドの大声が、静かな闇夜に響きわたる。
「2人共!そんなに騒いだら、不味いよ!!」
リオ先生に許可を貰っていたのは学院内だけで、森には近付くなと言われている。ただでさえ、1年生は立入禁止になっているのに、こんな時間にいるのがバレたら確実に怒られる。
僕は、声を聞きつけて誰か来る前に、慌てて2人を止めようとしたけど、すでにもう遅かった。
「そこで何をしている!」
誰かの怒鳴り声が聞こえて振り向けば、僕が苦手に思っているリータス先生が、つり上がった眉を更につり上げて立っていた。
「おい」
「な、何!?」
前を歩いていたネアが、振り返りながら急に話し掛けるから、少し変な声が出た。
「裾を引っ張るな。歩き難い」
「ご、ごめん…」
僕は、静かに掴んでいた裾を離した。怖くて、無意識のうちにネアの裾を掴んでいたようだった。
「怖いなら、断れば良かっただろう」
「言い出せなくて…」
1人だけ怖がっているのが、何だかかっこ悪くて、どうしても視線が下に行ってしまう。
「はぁ…。今回は、掴んでて良い。でも、あんまり引っ張るなよ」
「うん!」
仕方がなさそうにしながらも、ネアは裾を掴むのを許してくれた。普段からあまり喋ったりしないけど、たまに優しい所があるんだよね。
僕は、ネアの裾を固く握りながら、バルド達の後を付いて行く。途中、聞いて来た話を語っているけど、耳を塞ぎたい…。でも、この手も離したくない…。
「兄貴が、寮生から聞いたらしいんだけど、夜、誰もいない教室に残っていると、誰かの話し声が聞こえて来て、その声に付いて行くと、全く知らない場所に行くんだって」
問題の教室に付くと、みんな耳を澄ませているようだった。だけど、僕には絶対に無理!何も、聞こえてくるな!!
「何も聞こえませんね…」
「聞こえないな…」
「そもそも、不審な声に、付いて行く方もどうかしているがな」
「次!次、行こう!」
何か聞こえる前に、教室を後にしたい!それに、こんな怖い事は、なるべく速く終わらせるに限る!
その後も、夜に鳴り響くピアノや、勝手に置き場所が変わる彫刻など、各場所を見て回ったけれど、何も起こらなかった。
「何も起こらないな…。そういえば、コンラットが聞いた話は、どんな話しだったんだ?」
「私が聞いたのは、踊り場に置いてある鏡の話です。何でも、その鏡には異世界に繋がっていると言う噂があったそうです。それを確かめるために、ある生徒が夜中に学院に忍び込んだそうですが、その生徒はそのまま帰って来なかったと言う話です」
「今の俺達の事みたいだな」
「ネア!止めてよ!!」
ネアが不吉な事を言い出したので、慌てて止めた。コンラットも、そんな話し聞いて来ないでよ!!
「よし!行ってみよう!」
「行くの!?」
僕が、理不尽な怒りをコンラッドに向けていると、予想通り、バルドが行くと言い出した。僕はもう帰りたい…。
「此処まで来たのに、行かない理由がないだろ?それより、さっきから思ってたけど…リュカはやっぱり怖いのか…?なら、リュカは此処に残って待ってるか?」
「行くよ!!」
バルドなりに気を使ってるのかもしれないけど、こんな所に1人残される方が怖いから!!
僕は、ほとんどネアを盾にするように、みんなの後を付いて行った。もう、怖がりがバレるとか気にしている余裕もなかった。
「何も起こらないな…」
「そうですね…」
そこでも、何も起こる事はなく、これでようやく帰れると僕が安堵していたら、何やら考え込んでいたバルドが、何かを思いついたかのように顔を上げた。
「森に行ってみないか?」
「森は、立ち入り禁止区域ですから駄目ですよ!リオ先生からも言われているでしょう!!」
「そうだよ!!駄目だよ!!」
「でも、オルフェ様が止めるくらいだから、何かあるんじゃないか?」
「それは…そうかもしれないですけど…。でも、それだけ危ないと言う事でしょう…」
「ちょっと、ちょっとだけ!ちょっと見たら帰るから!」
バルドの懇願と、行かなきゃ帰らなそうだった事もあって、見たら帰るとバルドと約束をしたうえで、僕達は森へと向かった。
僕達はまだ立入禁止だから、森に来た事はない。そこまで行く道は、人気がないうえに、高い壁が立っていているせいか、月明かりが差し込まずに、部屋の中みたいに薄暗い…。
森の入り口に付くと、門で固く閉ざされていた。それに、勝手に入れないようになのか、3メートルくらいの壁があって、森どころか木すら全く見る事は出来なかった。
「これで満足ですね。では、帰りますよ…って!何してるんですか!?」
「上から少し、向こうを除いて見ようかと思って?」
バルドは、近場にあった木を上手に利用しながら、すでに壁の上に手を掛けていた。
「駄目です!ほら、もう帰りますよ!」
「あし、足引っ張るな!落ちるから!」
足を引っ張って止めるコンラッドと、落ちないように必死に掴まっているバルドの大声が、静かな闇夜に響きわたる。
「2人共!そんなに騒いだら、不味いよ!!」
リオ先生に許可を貰っていたのは学院内だけで、森には近付くなと言われている。ただでさえ、1年生は立入禁止になっているのに、こんな時間にいるのがバレたら確実に怒られる。
僕は、声を聞きつけて誰か来る前に、慌てて2人を止めようとしたけど、すでにもう遅かった。
「そこで何をしている!」
誰かの怒鳴り声が聞こえて振り向けば、僕が苦手に思っているリータス先生が、つり上がった眉を更につり上げて立っていた。
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