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二章
制裁(オルフェ視点)
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その日は、何時ものように、屋敷の執務室で仕事をしていた。そんな私に、リュカが学院を早退したと、父上から連絡が入った。
手紙には、朝のうちに早退したと書かれているが、午後になった今も、屋敷に帰って来たとは、報告を受けていない。
私は、手早く返信の手紙を父上に出すと、大事な書類だけを片付て、リュカを探しに行くために席を立つ。先日の件が、まだ完全に落ち着いていないため、何かあったのではないかと不安が過る。
警備が厳しい学院にいる間は、大丈夫だと思っていたが、どうやら不十分だったようだ。学院の警備体制を見直しておけば良かったと後悔しながらも、今は、そんな事を考えている余裕はない。
手早く思考を切り替え、部屋を出るために扉に手を掛けた。その時、右手の甲が、手袋越しにでも分かるくらいに、光っているのが見えた。そして、リュカに呼ばれているような気がした瞬間、私が見ている景色が変わった。
「何をしている…」
目の前に見えたリュカを庇いながら、原因を作っただろう人間を睨み付ける。
「な、何で!?いったい、何処から!?」
わざわざ、こいつに教えてやる理由はない…。相手から視線を外さないようにしながら、周囲に視線を向けるも、何処かの物置にいる事しか分からない。
「そんな事はどうでもいい…。何をした?」
怯えたように縮こまっていた理由を問いただせば、煩く言い訳を口にする。
「私は、まだ何もしていない!」
リュカの方を向けば、私が来た事で安心したのか、体の強張りが溶けていた。確認するように視線を動かせば、手首に小さな擦り傷のような物が出来ているのが見えた。私が、殺意を込めて睨み付ける。
「そいつが、勝手に転んだんだ!」
「故意だろうと、そうでなかろうと、私には関係ない。怪我をさせた事が重罪だ」
「あの方の息子なのに、私怨で判断するのか!?」
「それも、不快だったな…」
コイツは、私が学院にいた時から、何かに付けて、父上の姿を押し付けて来るような所があった。不快ではあったが、特に害にもなりそうにもなかったので、そのまま放置していた。だが、こんな事になるなら、速めに潰しておけば良かった。
「リュカ。少しの間でいいから、目と耳を塞いでいてくれ」
安心出来るように、出来るだけ優しく頭を撫でながら、私の頼み事を伝える。キョトンとしながらも、私の言いつけどおり、目を閉じ、耳を塞いだのを確認すると、リュカに水魔法を発動させて、目標へと視線を戻す。
「私は、何もしていないんだ!!」
「街のゴロツキ連中に金を渡して、リュカ達を襲わせようとしただろう」
「そんな事もしていない!そいつらが嘘を言って、私を貶めようとしているんだ!」
今、捕縛命令が出ている罪状を言えば、見え透いた嘘を並び立てる。
「お前が、リュカ達が控室にいる間、そいつらと密会しているのを確認している」
「そんなのは知らない!人違いだ!!」
「それはありえない。私達が、その場を確認している。そして、そいつらを捕まえたのも私達だ」
目立たないように、ローブを被っていたとはいえ、私達がいた事に、コイツは気付いていなかったようだ。
「後は、父上とゆっくりと話せ」
これ以上、こいつとは話したくはない。だが、これだけは伝えておこう。
「安心しろ。殺すつもりはない。だから、頑張って生き延びろ」
私は、笑いながら、ゆっくりと、出来るだけ優しく言葉を掛けてやる。
「な、何を言って…」
相手の言葉を最後まで聞かず、魔法を発動した。発動した瞬間、溜め込んでいた魔力と合わさって、爆音と共に、部屋全体へと魔法が広がって行く。
火は、部屋にある物全てを燃やしているが、周囲を水魔法で身を守っている私達には、何も問題はない。
この魔法は、森の中を歩くために、私が考えて作った魔法だった。
結界魔法は、場所を起点に発動するため、その場から動く事が出来ない。だから、対象者を起点に発動するように、結界魔法を参考にしながら、水魔法で編み直した。その魔法が、こんな所で役に立つとは思わなかった。
魔法が収まり、部屋の中が見えるようになって来た。
燃え残っている残骸から、まだ火が燻っており、壁があった場所は壊れていた。外から入り込む光も部屋を照らすが、ゴミの姿が見えない。魔力を探れば、部屋の外まで吹き飛ばされたようだった。だが、まだ息はしているようだから問題ないだろう。
燃えカスのようになっていても、息さえあれば治療は可能だ。さすがに、リュカの前では殺しはしない。だが、無傷で済ます事も出来なかった。
水魔法だと、潰したり、刻んだりで、どうしても手加減出きずに殺してしまいそうだった。だが、焼くだけならば、ある程度、加減は出来るだろうと思ったが、上手くいったようだ。
私が、仕上がりに満足している時、ある事を思い出した。
外からの衝撃などは通さないが、音はそのまま対象に届く。だから、耳を塞いだくらいで、今の爆音が防げるわけがない。後ろを振り返れば、目を大きく見開きながら、こちらを見ているリュカと視線があった。
どうやって、この場誤魔化そうか…。
部屋に漂う熱気を感じないはずなのに、何故か私の背中に汗が流れた。
手紙には、朝のうちに早退したと書かれているが、午後になった今も、屋敷に帰って来たとは、報告を受けていない。
私は、手早く返信の手紙を父上に出すと、大事な書類だけを片付て、リュカを探しに行くために席を立つ。先日の件が、まだ完全に落ち着いていないため、何かあったのではないかと不安が過る。
警備が厳しい学院にいる間は、大丈夫だと思っていたが、どうやら不十分だったようだ。学院の警備体制を見直しておけば良かったと後悔しながらも、今は、そんな事を考えている余裕はない。
手早く思考を切り替え、部屋を出るために扉に手を掛けた。その時、右手の甲が、手袋越しにでも分かるくらいに、光っているのが見えた。そして、リュカに呼ばれているような気がした瞬間、私が見ている景色が変わった。
「何をしている…」
目の前に見えたリュカを庇いながら、原因を作っただろう人間を睨み付ける。
「な、何で!?いったい、何処から!?」
わざわざ、こいつに教えてやる理由はない…。相手から視線を外さないようにしながら、周囲に視線を向けるも、何処かの物置にいる事しか分からない。
「そんな事はどうでもいい…。何をした?」
怯えたように縮こまっていた理由を問いただせば、煩く言い訳を口にする。
「私は、まだ何もしていない!」
リュカの方を向けば、私が来た事で安心したのか、体の強張りが溶けていた。確認するように視線を動かせば、手首に小さな擦り傷のような物が出来ているのが見えた。私が、殺意を込めて睨み付ける。
「そいつが、勝手に転んだんだ!」
「故意だろうと、そうでなかろうと、私には関係ない。怪我をさせた事が重罪だ」
「あの方の息子なのに、私怨で判断するのか!?」
「それも、不快だったな…」
コイツは、私が学院にいた時から、何かに付けて、父上の姿を押し付けて来るような所があった。不快ではあったが、特に害にもなりそうにもなかったので、そのまま放置していた。だが、こんな事になるなら、速めに潰しておけば良かった。
「リュカ。少しの間でいいから、目と耳を塞いでいてくれ」
安心出来るように、出来るだけ優しく頭を撫でながら、私の頼み事を伝える。キョトンとしながらも、私の言いつけどおり、目を閉じ、耳を塞いだのを確認すると、リュカに水魔法を発動させて、目標へと視線を戻す。
「私は、何もしていないんだ!!」
「街のゴロツキ連中に金を渡して、リュカ達を襲わせようとしただろう」
「そんな事もしていない!そいつらが嘘を言って、私を貶めようとしているんだ!」
今、捕縛命令が出ている罪状を言えば、見え透いた嘘を並び立てる。
「お前が、リュカ達が控室にいる間、そいつらと密会しているのを確認している」
「そんなのは知らない!人違いだ!!」
「それはありえない。私達が、その場を確認している。そして、そいつらを捕まえたのも私達だ」
目立たないように、ローブを被っていたとはいえ、私達がいた事に、コイツは気付いていなかったようだ。
「後は、父上とゆっくりと話せ」
これ以上、こいつとは話したくはない。だが、これだけは伝えておこう。
「安心しろ。殺すつもりはない。だから、頑張って生き延びろ」
私は、笑いながら、ゆっくりと、出来るだけ優しく言葉を掛けてやる。
「な、何を言って…」
相手の言葉を最後まで聞かず、魔法を発動した。発動した瞬間、溜め込んでいた魔力と合わさって、爆音と共に、部屋全体へと魔法が広がって行く。
火は、部屋にある物全てを燃やしているが、周囲を水魔法で身を守っている私達には、何も問題はない。
この魔法は、森の中を歩くために、私が考えて作った魔法だった。
結界魔法は、場所を起点に発動するため、その場から動く事が出来ない。だから、対象者を起点に発動するように、結界魔法を参考にしながら、水魔法で編み直した。その魔法が、こんな所で役に立つとは思わなかった。
魔法が収まり、部屋の中が見えるようになって来た。
燃え残っている残骸から、まだ火が燻っており、壁があった場所は壊れていた。外から入り込む光も部屋を照らすが、ゴミの姿が見えない。魔力を探れば、部屋の外まで吹き飛ばされたようだった。だが、まだ息はしているようだから問題ないだろう。
燃えカスのようになっていても、息さえあれば治療は可能だ。さすがに、リュカの前では殺しはしない。だが、無傷で済ます事も出来なかった。
水魔法だと、潰したり、刻んだりで、どうしても手加減出きずに殺してしまいそうだった。だが、焼くだけならば、ある程度、加減は出来るだろうと思ったが、上手くいったようだ。
私が、仕上がりに満足している時、ある事を思い出した。
外からの衝撃などは通さないが、音はそのまま対象に届く。だから、耳を塞いだくらいで、今の爆音が防げるわけがない。後ろを振り返れば、目を大きく見開きながら、こちらを見ているリュカと視線があった。
どうやって、この場誤魔化そうか…。
部屋に漂う熱気を感じないはずなのに、何故か私の背中に汗が流れた。
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