落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ

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三章

番外編 焦燥 (オルフェ視点)

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一度、奴の模擬戦に応じたら、その後も頻繁に私の屋敷にやって来ては、私に模擬戦を挑んで来た。

今までも、勝負事では手を抜いた事などなかったが、それでも、レオンは本気を出さなけれがならない程の腕前だった。だから、剣の腕を上げるには、丁度いい相手だとは思う。だが、文官を目指す私にとっては、剣術の腕はそれほど重要な事ではなかった。それに、王位を継ぐコイツも、最低限の技量があれば事足りるはずだ。

そもそも王族なのだから、全く手を抜かない私ではなく、上手く花を持たせてくれる相手がいるはずだ。それなのに、何故、わざわざ私の所に来る理由が分からない。

そんな煩わしい日々が続く中で、私の頭を悩ませる存在が、他にもう2匹いた。

その日も、学院から戻れば、屋敷の使用人達が所在なさそうに、ウロウロとしながら、私の帰りを待っていた。

「オルフェ様……」

「……またなのか」

私の姿を見た使用人の1人が、躊躇いを見せながらも、直ぐに私へと話し掛けてきた。使用人達の様子を見て、だいたいの予想は付いていたが、当たっては欲しくなかった。

「場所は何処だ?」

「今回は、書庫の近くの廊下です…」

それを聞いた私は、急いで書庫の方へと向かった。書庫の中にでも入られたら、大事な本が台無しにされてしまう。目的の場所に近付くにつれ、派手な音が大きくなる。ようやく、私が書庫の前まで来ると、赤と青が入り乱れるようにして、2匹が書庫の扉の前で揉み合っていた。

「止まれ」

言葉で止めて見ても、遊びに夢中になっているからか、2匹にはまるで聞こえないようで、壁や廊下や家具を壊していた。私はこれ以上、屋敷に被害が出ないように、そいつらを殴って、強制的に大人しくさせた。

「何度言えば分かる…」

私の足元に、私の召喚獣である2匹の龍が、まるで反省したように項垂れているが、先週も厨房に忍び込んでつまみ食いをした際、一枚で金貨数枚もする食器を数十枚割っている。

コイツ等が、あまりにも屋敷の物を壊すため、今では客が来ても恥ずかしくない程度にしか、廊下にさえも物が飾られていない。

私も、最初の頃は口で言い聞かせていたが、何度言っても効果がなく、思わず殴った事があった。すると、キョトンとした顔を浮べるだけで、殴った私の方が痛いという、理不尽な結果だった。

それからは、言って聞かない場合は、身体強化した拳で殴って止めているが、未だに大した効果は見込めていない。


多少は仕方がないと、家族も含めた私も、大目に見ている部分もあった。だが、それが間違いだった。

母や弟が部屋から出歩いている間は、確かに私の部屋にいるようにとは言った。だか、私の不在中、よりにもよって、私が大事にしていた物を暴れて壊していた。

それを見つけた私は、怒りのまま2匹を外へと吹き飛ばし、そのまま庭へと追い出した。だが、そこでも悪さをしたうえに、庭師からも泣きが入ったため、結局、2匹は王都近くの山へと追い出す事になった。

疲れきった私には、弟だけが癒やしだったが、小動物達と同じように魔力に敏感なのか、私が近付くだけで、何時も泣かせてしまっていた。

弟に泣かれないよう、日々、魔力制御の修練に当ててはいても、その成果は出て来ない。レオンからは、必要あるのかと聞かれるが、私に取っては最優先事項だったため、奴からの誘いもほぼ断っていた。

だからこそ、下らないパーティーなんぞで、貴重な時間を潰したくはなかったが、王都でも有力な貴族の夜会とあっては、参加しなければならない。

そのパーティーで、父上と共に挨拶周りをしていると、地方の貴族と思われる者が、私達に話し掛けてきた。

普通であれば、立場をわきまえて、軽く挨拶したらその場を去るのが礼儀だ。だが、その男は長々と話しては、1人で悦に入っていた。

「殿下とも仲が良いと聞き及んでますが、将来の宰相様とは、私も懇意にしたいものですな!」

「宰相になるかどうかは、本人の意思に任せている。勝手に、私の息子の将来を決めないで貰いたい」

私がいたためか、父も最初は軽く相手をしていたようだが、何時まで話し続ける相手に、父も苛ついて来たようで、口調も少し荒くなって来ていた。

「何をおっしゃいますか。もう、既に決まっているようなものではないですか。宰相という地位を手放すような愚か者は、誰もいませんでしょう。それに、閣下の才能も受け継いでおられるようで、学院の成績も申し分ないとお聞きしています」

「それは本人の努力の結果であって、私は関係ない」

「ご謙遜を、閣下と同じ才があれば、この国も安泰ですな!」

「……」

調子に乗っているせいか、父上が苛々して来ている事に、全くと言っていい程気付いていない。そんな愚かな男は、等々、言ってはいけない言葉を言った。

「それにしても、召喚獣を2体にする事で世間からの注目も集めるなど、良く考えて付きましたな!あれは、いったい何処から手に入れたのですか?私にも、是非お教え願いたい」

「……オルフェ。少し急用が出来た。エレナを連れて、先に屋敷に帰って貰ってもいいかな?」

「……分かりました」

笑みが消えた父に返事を返しながら、この男が終わった事を悟る。この手の事を言った者と、私が次に会った事は、一度としてない。たが、最初から愚かな男だったため、此処ではなくとも、何処かで滅びていただろうと見切りを付け、私は母を迎えに行くため、ご婦人方が集まっている方へと歩を進めた。

その日も、何時ものように魔力制御の修練を行なっていると、また騒がしいのが屋敷にやって来た。私の経験上、そろそろ離れて行くはずなのだが、数年たった今も離れて行こうとしない。

「なぁ?今日、何処か行かないか?」

「勝手に行け」

奴の言葉を切り捨て、意識を集中しようとするが、奴はそれを邪魔するようには話し掛けて来る。

「俺一人だと詰まらないだろ!だから一緒に行こうぜ!?なぁ?オルフェ、行こうぜ?なぁ?」

「……はぁ。少しだけだぞ…」

「おぅ!」

私が、どんな無礼な態度で誘いを断っても、私が根負けするまで何度も誘い続けて来る。私もいい加減うんざりして来たが、王族だからこそ、ある程度は我慢もしている。それでも、奴への私の言動は、褒められたものではない事も自覚している。

それだと言うのに、それでも私と関係を結ぼうとするなどよほど私の能力が必要なのだろう。何せ、奴の学院での成績は、お世辞にも良いとは言えない。王族なのに、私などに媚を売らなければならないのは、少し哀れですらあったが、地位や能力、それと容姿だけしか評価されない私が言える事ではなかった。

奴が、我が家のギャラリーで絵を見た時は、絵を見られた恥ずかしさというよりも、それを笑った事への怒りの方が強かった。

奴との関係が数年立った頃からは、誘ってくる内容が、段々と私に合わせる事が増えて行っていた。興味がないくせ、私に合わせて本屋に行ったり、私が読んでいたからと言って、屋敷に置いてあった本を隣で読み始めた事もあった。その時は毎度、本を開いては、私の横で寝ていたが、それが不快というわけではなかった。

以前、奴に対する煩わしさは変わらないが、今まで私に合わせて来ようとして来た者達と、何処か違う物を感じていた。だからこそ、奴があの絵の事を笑いながら語った時は、自分でもどうしようもない感情が湧き上がり、自分でも止める事が出来なかった。

弱みを見つけた途端にあざ笑ってくるなど、他の貴族連中と変わらない。他奴等とは違うのかと、少しずつだが思い初めていたため、どうしても奴の行動を許す事が出来なかった。そんな私が冷静さを取り戻したのは、私に殴られたレオンが、床に倒れ付した見た後だった。

無意識の内に、身体強化をした拳で殴ってしまっていたようで、ドミニクが呼んだ城からの迎えが来ても、アイツは気を失ったままだった。

「城には優秀な者が多くいる。だから、気に病む必要はないから安心しなさい」

父は安心しろ言っていたが、さすがに王族に手を出せば、罪に問われるのは分かりきっている。だから、レオンが私を訊ねて来た時、私はこれで終わりだと思っていた。

「悪かった!」

私の顔を見るなり、奴は頭を下げて私に謝罪して来た。幾ら父達の配慮で、この部屋に私達しかいないと言っても、王族が頭を下げるなど、まずあり得ない事だ。それに、殴った方ではなくて、何故、殴られた方が謝るのか、私には理解出来なかった。

「何故…お前が謝る…?」

「だって、誤解させた俺が悪いだろ?」

理由を尋ねれば、レオンは当然の事ようにそう言った。だが、王族であるレオンが、謝罪する必要などない。

「王族が非を認めるなど、あってはならない事だろう…?」

「そうか?悪いと思ったら謝る。それが普通だろ?」

平然として言うが、それは一般人の考え方だ。貴族同士では、そんな道理は通じない。食うか食われるか。利用するか、されるかだ。

「俺は、オルフェと仲良くなりたかったから、知らないオルフェの顔が知れて、ただ嬉しかったから笑ったんだ。だけど、誤解させたなら悪かった…」

「私のような人間を知って、何が嬉しいと言うんだ。父上譲りの能力がなければ、地位と容姿しか残らないような男だぞ」

「そんな事ないって!オルフェが誰よりも努力してるの知ってるし!それに、俺と話す時だって嘘とかつかないだろ!何より、俺の話しを愛想笑いしないで、ちゃんと聞いててくれるじゃんか!」

「お前の話しを、私はちゃんと聞いた覚えはないが…?」

私の横で話しをしている事はあったが、何時も本を読みながら聞いて、真面目に話しを聞いた覚えはない。

「何言ってんだ?本は読んでても、ちゃんと俺の話し聞いてくれてただろ?それくらい、俺だって何となく気配で分かるぞ?」

「………」

今までの連中は、総じて無視していると怒っていたのだが、コイツは気付いていたのか…?

「それに、最後は俺に付き合ってくれるじゃんか?」

「それは…お前が無理やり……」

「でも、俺が困ってたらさり気なく助けてくれてたろ?俺は、人付き合いが苦手なのに、それでも他人の事を放っておけないそんなオルフェと、俺は仲良く成りたいんだ」

レオンはそう言って、私へと笑い掛けて来た。周りの者は、偏見を通して私の事を見ていると思っていたが、ずっと偏見の目で見ていたのは、私も同じだった。

「私も、殴って…悪かった…」

レオンのように、素直に言葉には出来ないが、謝罪の言葉に、これまでの後悔も一緒に乗せる。

「なら、絵を戻してくれるか!?」

「それとこれとは話が別だ」

私が外させた絵を戻すように言ってきたが、あの絵を2度と飾るつもりはもうない。その後も、泣き言を言いながら頼んで来たが、気になどしてやらない。こんな私と仲良く成りたいと言ったのはコイツなのだから、私が何かを気にしてやる必要などないだろう。

「なぁ?オルフェ?」

「何だ?」

思ったよりも長い時間、昔を振り返っていたら、いつの間にか手を止めていたレオンと目が合った。

「今回のお詫びにオルフェに何かしたいんだけど、何が良い?やっぱり、うさぎとかが良いか?」

「……いい加減、その話題は止めろ。下らない事を言っている暇があるなら、さっさと手を動かせ」

睨み付けるように見れば、慌てたように手を動かし始めた。何かあれば、それ関係の話しを持ち出して来るため、正直、厄介な相手ではあるが、見捨てるという選択肢が出て来ない私には、どうしようもない。

コイツは、あの時の言葉はもう覚えていないのだろうが、記憶力が良い私だけが忘れられない。だが、それで良いと思う。

気持ちを切り替え、残りの仕事分とペースを計算すれば、無事にリュカ達を屋敷で出迎える事が出来そうだ。そんな事を思っていた私に、心臓を鷲掴みにされるような衝撃が走った。

「!!?」

焦燥感や恐怖心と言った、私ではない感情に揺り動かされて立ち上がった私を、レオンは驚いたような顔で見て来るが、今はそんな事に構ってはいられない。

「父上は!何処にいる!?」

「へっ?」

「何処にいるかと聞いている!?」

この広い城内で、私が下手に走り回って探すよりも、コイツの感に頼った方が速い。私が急かすように言えば、たどたどしくも父が何処にいるのかを口にする。

「た、たぶんだけど、父上と一緒にいるとおも…」

私は、最後まで奴の言葉を聞かず、父上がいるだろう場所へと駆け出していた。

「お、おい!急にどうしたんだよ!?」

レオンが後ろで声を掛けてきたが、その時の私は、呑気に説明している余裕はなかった。
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