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五章
紹介
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オスカーさんの店に行く事を決めた僕達は、早速、次の日にお店がある路地裏へとやって来ていた。
「何よ!案外見た目は悪くないんじゃない!」
此処に来るまで不満を口にしていたティだったけど、オスカーさんの店を見ると、まんざらでもないような声を上げる。その声を受けて、僕も様変わりした建物を改めて見上げる。
最初に僕達が見ていたボロボロで壊れそうだった建物も、今は全て新しい物に交換されていて、お店の外観も表通りにあってもおかしくもない洗練した物に変わっていた。だけど、その分周りの建物との落差が際立つようになって、何だか前とは別の意味で入り難くなっていた。
一度、周りの建物とかもどうにか出来ないのかと、父様に聞いた事はあるけれど、他の住民から要らない嫉妬を買う可能性もため、最後まで責任を持つ気がないのなら不用意に手は出さない方が良いと、あまり良い返事は貰えなかった。
「オスカーさん!いるー!?」
お店の扉を開けるなり、バルドが砕けた様子で店の中へと声を掛けると、店先で書類整理をしていただろうオスカーさんがゆっくりと顔を上げる。
「いらっしゃい。今日も元気だね」
「おぅ!それが俺の取り柄だしな!!それにしても、オスカーさんの店はやっぱり今日も人がいないな!」
「少し言い過ぎですよ」
「えっ?だって事実だろ?」
お店に入るなり言ったバルドの失礼な言葉に、コンラットも取り敢えずといった調子で注意する。けれど、何度も来ていて気楽な関係になっているからなのか、その言葉にもオスカーさんは軽い苦笑を浮かべるだけだった。
「全く誰も来ないわけではないんだよ。現に、今も問い合わせの手紙を読んでいた所だったしね」
「ふーん?」
「それにしても、その様子を見る限り、旅行は楽しかったようだね」
「おぅ!土産は要らないって言ってたから買って来てないけど、土産話しならあるぞ!」
オスカーさんから事前に、高価な物を貰っても不安だからと言う理由でお土産は要らないと言われていた。その事もあってか、旅行の話しを振られてバルドは、待ってましたとばかりに旅行に出掛けた時の話を話し出す。だけど、道中は特に話すような事もなかった事もあってか、話しは直ぐにティと出会った時の話しになった。
「それで、何か古そうで良さげな森があったから、みんなと森に出掛けたんだ」
「あぁ、虫取りに行くって言ってたからね」
「でも、そこが妖精がいる森だったらしくてな!」
「私も昔おとぎ話として聞いたな」
「そしたら急に妖精が目の前に現れたんだ!」
「へぇっ…?」
「しかもそいつが、妖精の女王だったらしくてな!」
「えっ…あぁ…」
「そんで!此処に一緒に来てるのが、そのティだ!!」
「……」
途中までは楽しそうに相槌を打っていたオスカーさんだったけど、僕の腕の中にいるティへと視線を落とした途端、そのままの姿勢で固まってしまった。
「アンタねぇ、そこはちゃんと名前で紹介しなさいよ」
バルドの紹介の内容が気に要らなかったのか、ティだけが少しだけ不満そうな声を上げれば、バルドは少し困ったように頬を掻いた。
「えっと…名前…なぁ…」
「まさか!私の名前忘れた訳じゃないでしょうね!!?」
「みんなあだ名でしか呼んでないから、ちょっとど忘れしただけだろ!!それに、それを言うお前だって、俺達の名前なんか呼んだ事ないだろう!!ちゃんと覚えてるのか!?」
「あ、当たり前でしょう!!アンタの名前くらい知ってるわよ!!ア、アレでしょ!?」
「ほら!お前だって人の事言えないだろ!!」
「アンタ達なんて、アンタだけで十分なだけよ!!」
2人が子供地味た喧嘩をし始めても、未だに固まったままのオスカーさんだったけど、ようやく理解が追い付いて来たかのように、その顔がしだいに驚愕の表情へと変わって行く。
「………、うぇわぁーー!!?」
「「……っ!!」」
一拍間を置いて上がった悲鳴じみた驚きの声は、2人の喧嘩を止めるには十分だったようで、それと一緒に別な所からも抗議の声が上がる。
「煩いにゃ!」
「えぇーーっ!喋ったぁーっ!?」
紹介がまだだった事もあり、ペタリと耳を伏せながら言たルイの声にもオスカーさんは驚いた声を上げていた。そのせいで、さらにその場の収集を付けるのに、もう暫く時間が掛かった。
「落ち着きましたか?」
「えぇ…いい大人なのに、取り乱した姿を見せてしまってすまないね…」
「いえ、バルドの説明が悪かっただけですから」
「俺のせいなのか!?」
「当然でしょう」
「驚かせないように軽く説明しろって言うから、出来るだけ軽く説明したんだけど!?」
「明らかに軽すぎです」
事前にどう説明するかは話していてそう決めてはいたけれど、バルドの説明は少し軽すぎたかもしれない。
「はぁ…さっきは煩すぎて耳が壊れるかと思ったにゃ…」
「何!?今直ぐにでも教会に…!!」
「待てって!!教会に行った所で騒ぎになるだけだろ!!それなに、いったい誰に見せる気だよ!?」
「それは…」
「……っ!!」
バルドに言われてネアは考え込むような仕草を見せるけれど、それは一瞬の事で、直ぐに鋭く光るような目を僕に向けて来てたから、少しだけ悲鳴を上げそうになった。
「お前、治癒魔法使えたよな?」
「使えるけど…僕のはそんなに強いものじゃないから…」
「……絶対に治せ」
「……」
そう言ったネアの目が完全に据わっていて、有無を言わせない迫力があった。僕はどうすれば良いか分からず、困ったように立ち尽くしていたけれど、下から上がって来た声でそれが霧散した。
「ただの冗談に大袈裟にゃのにゃ」
「冗談…?」
「お前なぁ…本気にする奴がいるんだから下手な冗談言うなよ…」
「分かったにゃ。でも、それだけルイが可愛いって事だにゃ」
「何言ってんの!?私の方が可愛いでしょう!!」
「それはない」
「何でよー!?」
ネアが落ち着きを取り戻した事で、場が少しだけ落ち着きを取り戻し始めたけれど、完全に落ち着くまで待っていては何時まで経っても終わらないと判断したのか、コンラットがオスカーさんの方へと向きを変えていた。
「オスカーさん。ルイは見た目は猫ですが、妖精の一種らしいので、私達と同じ言葉が話せるそうです。それで、その妖精達を纏めているのがティターニアです」
「は、はぁ…よろしく…?」
「えっ!?あぁ、よろしく!」
まだピンと来ていなさそうに挨拶するオスカーさんだったけど、さらりと流しながらも元気過ぎるティからの挨拶に、オスカーさんは少し気圧されているようだった。だから、ティ達とまともに話せたのは、もう暫く経ってからだった。
「でも、最初見た時は、今流行りの人形かと思いましたよ」
ようやく場が落ち付いてくると、ある程度時間も経った事もあって、オスカーさんもだいぶ冷静になれたようだった。
「街でも何人か持ってる奴見たけど、そんなに流行ってるのか?」
「広場とかで人形劇をやっているんだけど、有名な作家が書いているとあって結構人気みたいだよ」
「へぇ、どんな話しなんだ?」
「私も人伝にしか聞いていないのだけど、妖精の女の子が色んな人と出会いながら友情を深めたりして、時には魔法や時には剣を使って、悪い奴や魔物と勇敢に戦う冒険活劇だったかな?」
「「「……」」」
人形の姿を考えると、そのモデルはティなんだろうけど、本物とのギャップがあり過ぎて反応に困る。そんな中、僕達の上から嬉しそうな声が上がる。
「何よ!普段は何だかんだ私に言っているくせに、アイツもちゃんと分かっているんじゃない!」
オスカーさんの話しに得意気になっているティから隠れるように、僕等はこっそりと顔を寄せ会う。
「なぁ?本物よりもかなり話し盛ってるよな?」
「うん…魔法はともかく、剣なんか持てそうにもないし…」
「そのままだとアレなので、大衆受けが良いように話しを作り替えると、そうなるのは仕方ないのではないですか?」
「大人の汚い裏事情にゃ?」
「何とも猫の耳に悪い話しだな」
「そこはせめて、子供の耳に悪いと言った方が良いのではないですか…?」
「何言ってるんだ?お前も子供だろう?」
「いや…まぁ…そうなんですけど…」
ネアの何処かずれた言葉に、コンラットが呆れたような表情を浮かべていると、そんな僕達の様子に気付いたティが、訝しげな視線を向けてくる。
「さっきから、そこで何話してるのよ?」
「別ににゃんでもにゃいにゃ。ただ、話しを盛りす……」
「あぁあ!!さっきの手紙って、結局誰からだったんだ!?」
また余計な事を言いそうになっているルイを遮るように、バルドがすかさずその間に入る。すると、ルイは途端に、自分はもう関係ないとばかりに毛繕いをしだしていた。ルイが場をかき回しそうになっていたのを雰囲気で感じ取ったのか、オスカーさんもバルドに話しを合わせてくれた。
「えっと、さっき読んでいたのは地方の貴族から届いた手紙だよ。だけど、最近は殆どは同業者からの手紙が多いね。なにせ、最近もまた密猟者が一斉検挙されたらしくて、何処も慌ただしいみたいだよ」
「あぁ、だから親父や兄さんも昨日いなかったのか」
オスカーさんの言葉に、バルドは何処か納得したかのような顔で頷いていた。バルドを屋敷まで送って来た時に、ラザリア様とクリスさんしか出迎えがいなかったのは僕も不思議には思っていたけれど、それの対応に追われていたようだった。
「だけど、そんなに次から次に仕事があって、親父達も大変だな」
「そうよ。大人って言うのは大変なのよ」
「偉そうにゃ顔して言ってても、女王は対して仕事にゃんかしてにゃいにゃ」
「アンタよりは仕事してるわよ!!」
「ルイの分は、ウルがしてくれてるから問題にゃいのにゃ。弟は楽で良いのにゃ」
「えぇー!!何それ!?そんなのズルいわよ!!」
「ズルくても、これは兄を持つ者だけの特権にゃのにゃ」
羨ましそうな声を上げるティに、ルイは自慢げな様子で胸を張る。そんなルイを楽しげに見ていたネアが、少し意地悪めいた笑みを浮かべながら、僕達へと軽く視線を向けて言った。
「お前等も弟で良かったな」
「えぇ…う、うん…」
兄様の弟で良かったとは思っているけれど、何とも頷き難い振りをされて、横にいる2人も何とも微妙そうな苦笑いを浮かべていた。
「何よ!案外見た目は悪くないんじゃない!」
此処に来るまで不満を口にしていたティだったけど、オスカーさんの店を見ると、まんざらでもないような声を上げる。その声を受けて、僕も様変わりした建物を改めて見上げる。
最初に僕達が見ていたボロボロで壊れそうだった建物も、今は全て新しい物に交換されていて、お店の外観も表通りにあってもおかしくもない洗練した物に変わっていた。だけど、その分周りの建物との落差が際立つようになって、何だか前とは別の意味で入り難くなっていた。
一度、周りの建物とかもどうにか出来ないのかと、父様に聞いた事はあるけれど、他の住民から要らない嫉妬を買う可能性もため、最後まで責任を持つ気がないのなら不用意に手は出さない方が良いと、あまり良い返事は貰えなかった。
「オスカーさん!いるー!?」
お店の扉を開けるなり、バルドが砕けた様子で店の中へと声を掛けると、店先で書類整理をしていただろうオスカーさんがゆっくりと顔を上げる。
「いらっしゃい。今日も元気だね」
「おぅ!それが俺の取り柄だしな!!それにしても、オスカーさんの店はやっぱり今日も人がいないな!」
「少し言い過ぎですよ」
「えっ?だって事実だろ?」
お店に入るなり言ったバルドの失礼な言葉に、コンラットも取り敢えずといった調子で注意する。けれど、何度も来ていて気楽な関係になっているからなのか、その言葉にもオスカーさんは軽い苦笑を浮かべるだけだった。
「全く誰も来ないわけではないんだよ。現に、今も問い合わせの手紙を読んでいた所だったしね」
「ふーん?」
「それにしても、その様子を見る限り、旅行は楽しかったようだね」
「おぅ!土産は要らないって言ってたから買って来てないけど、土産話しならあるぞ!」
オスカーさんから事前に、高価な物を貰っても不安だからと言う理由でお土産は要らないと言われていた。その事もあってか、旅行の話しを振られてバルドは、待ってましたとばかりに旅行に出掛けた時の話を話し出す。だけど、道中は特に話すような事もなかった事もあってか、話しは直ぐにティと出会った時の話しになった。
「それで、何か古そうで良さげな森があったから、みんなと森に出掛けたんだ」
「あぁ、虫取りに行くって言ってたからね」
「でも、そこが妖精がいる森だったらしくてな!」
「私も昔おとぎ話として聞いたな」
「そしたら急に妖精が目の前に現れたんだ!」
「へぇっ…?」
「しかもそいつが、妖精の女王だったらしくてな!」
「えっ…あぁ…」
「そんで!此処に一緒に来てるのが、そのティだ!!」
「……」
途中までは楽しそうに相槌を打っていたオスカーさんだったけど、僕の腕の中にいるティへと視線を落とした途端、そのままの姿勢で固まってしまった。
「アンタねぇ、そこはちゃんと名前で紹介しなさいよ」
バルドの紹介の内容が気に要らなかったのか、ティだけが少しだけ不満そうな声を上げれば、バルドは少し困ったように頬を掻いた。
「えっと…名前…なぁ…」
「まさか!私の名前忘れた訳じゃないでしょうね!!?」
「みんなあだ名でしか呼んでないから、ちょっとど忘れしただけだろ!!それに、それを言うお前だって、俺達の名前なんか呼んだ事ないだろう!!ちゃんと覚えてるのか!?」
「あ、当たり前でしょう!!アンタの名前くらい知ってるわよ!!ア、アレでしょ!?」
「ほら!お前だって人の事言えないだろ!!」
「アンタ達なんて、アンタだけで十分なだけよ!!」
2人が子供地味た喧嘩をし始めても、未だに固まったままのオスカーさんだったけど、ようやく理解が追い付いて来たかのように、その顔がしだいに驚愕の表情へと変わって行く。
「………、うぇわぁーー!!?」
「「……っ!!」」
一拍間を置いて上がった悲鳴じみた驚きの声は、2人の喧嘩を止めるには十分だったようで、それと一緒に別な所からも抗議の声が上がる。
「煩いにゃ!」
「えぇーーっ!喋ったぁーっ!?」
紹介がまだだった事もあり、ペタリと耳を伏せながら言たルイの声にもオスカーさんは驚いた声を上げていた。そのせいで、さらにその場の収集を付けるのに、もう暫く時間が掛かった。
「落ち着きましたか?」
「えぇ…いい大人なのに、取り乱した姿を見せてしまってすまないね…」
「いえ、バルドの説明が悪かっただけですから」
「俺のせいなのか!?」
「当然でしょう」
「驚かせないように軽く説明しろって言うから、出来るだけ軽く説明したんだけど!?」
「明らかに軽すぎです」
事前にどう説明するかは話していてそう決めてはいたけれど、バルドの説明は少し軽すぎたかもしれない。
「はぁ…さっきは煩すぎて耳が壊れるかと思ったにゃ…」
「何!?今直ぐにでも教会に…!!」
「待てって!!教会に行った所で騒ぎになるだけだろ!!それなに、いったい誰に見せる気だよ!?」
「それは…」
「……っ!!」
バルドに言われてネアは考え込むような仕草を見せるけれど、それは一瞬の事で、直ぐに鋭く光るような目を僕に向けて来てたから、少しだけ悲鳴を上げそうになった。
「お前、治癒魔法使えたよな?」
「使えるけど…僕のはそんなに強いものじゃないから…」
「……絶対に治せ」
「……」
そう言ったネアの目が完全に据わっていて、有無を言わせない迫力があった。僕はどうすれば良いか分からず、困ったように立ち尽くしていたけれど、下から上がって来た声でそれが霧散した。
「ただの冗談に大袈裟にゃのにゃ」
「冗談…?」
「お前なぁ…本気にする奴がいるんだから下手な冗談言うなよ…」
「分かったにゃ。でも、それだけルイが可愛いって事だにゃ」
「何言ってんの!?私の方が可愛いでしょう!!」
「それはない」
「何でよー!?」
ネアが落ち着きを取り戻した事で、場が少しだけ落ち着きを取り戻し始めたけれど、完全に落ち着くまで待っていては何時まで経っても終わらないと判断したのか、コンラットがオスカーさんの方へと向きを変えていた。
「オスカーさん。ルイは見た目は猫ですが、妖精の一種らしいので、私達と同じ言葉が話せるそうです。それで、その妖精達を纏めているのがティターニアです」
「は、はぁ…よろしく…?」
「えっ!?あぁ、よろしく!」
まだピンと来ていなさそうに挨拶するオスカーさんだったけど、さらりと流しながらも元気過ぎるティからの挨拶に、オスカーさんは少し気圧されているようだった。だから、ティ達とまともに話せたのは、もう暫く経ってからだった。
「でも、最初見た時は、今流行りの人形かと思いましたよ」
ようやく場が落ち付いてくると、ある程度時間も経った事もあって、オスカーさんもだいぶ冷静になれたようだった。
「街でも何人か持ってる奴見たけど、そんなに流行ってるのか?」
「広場とかで人形劇をやっているんだけど、有名な作家が書いているとあって結構人気みたいだよ」
「へぇ、どんな話しなんだ?」
「私も人伝にしか聞いていないのだけど、妖精の女の子が色んな人と出会いながら友情を深めたりして、時には魔法や時には剣を使って、悪い奴や魔物と勇敢に戦う冒険活劇だったかな?」
「「「……」」」
人形の姿を考えると、そのモデルはティなんだろうけど、本物とのギャップがあり過ぎて反応に困る。そんな中、僕達の上から嬉しそうな声が上がる。
「何よ!普段は何だかんだ私に言っているくせに、アイツもちゃんと分かっているんじゃない!」
オスカーさんの話しに得意気になっているティから隠れるように、僕等はこっそりと顔を寄せ会う。
「なぁ?本物よりもかなり話し盛ってるよな?」
「うん…魔法はともかく、剣なんか持てそうにもないし…」
「そのままだとアレなので、大衆受けが良いように話しを作り替えると、そうなるのは仕方ないのではないですか?」
「大人の汚い裏事情にゃ?」
「何とも猫の耳に悪い話しだな」
「そこはせめて、子供の耳に悪いと言った方が良いのではないですか…?」
「何言ってるんだ?お前も子供だろう?」
「いや…まぁ…そうなんですけど…」
ネアの何処かずれた言葉に、コンラットが呆れたような表情を浮かべていると、そんな僕達の様子に気付いたティが、訝しげな視線を向けてくる。
「さっきから、そこで何話してるのよ?」
「別ににゃんでもにゃいにゃ。ただ、話しを盛りす……」
「あぁあ!!さっきの手紙って、結局誰からだったんだ!?」
また余計な事を言いそうになっているルイを遮るように、バルドがすかさずその間に入る。すると、ルイは途端に、自分はもう関係ないとばかりに毛繕いをしだしていた。ルイが場をかき回しそうになっていたのを雰囲気で感じ取ったのか、オスカーさんもバルドに話しを合わせてくれた。
「えっと、さっき読んでいたのは地方の貴族から届いた手紙だよ。だけど、最近は殆どは同業者からの手紙が多いね。なにせ、最近もまた密猟者が一斉検挙されたらしくて、何処も慌ただしいみたいだよ」
「あぁ、だから親父や兄さんも昨日いなかったのか」
オスカーさんの言葉に、バルドは何処か納得したかのような顔で頷いていた。バルドを屋敷まで送って来た時に、ラザリア様とクリスさんしか出迎えがいなかったのは僕も不思議には思っていたけれど、それの対応に追われていたようだった。
「だけど、そんなに次から次に仕事があって、親父達も大変だな」
「そうよ。大人って言うのは大変なのよ」
「偉そうにゃ顔して言ってても、女王は対して仕事にゃんかしてにゃいにゃ」
「アンタよりは仕事してるわよ!!」
「ルイの分は、ウルがしてくれてるから問題にゃいのにゃ。弟は楽で良いのにゃ」
「えぇー!!何それ!?そんなのズルいわよ!!」
「ズルくても、これは兄を持つ者だけの特権にゃのにゃ」
羨ましそうな声を上げるティに、ルイは自慢げな様子で胸を張る。そんなルイを楽しげに見ていたネアが、少し意地悪めいた笑みを浮かべながら、僕達へと軽く視線を向けて言った。
「お前等も弟で良かったな」
「えぇ…う、うん…」
兄様の弟で良かったとは思っているけれど、何とも頷き難い振りをされて、横にいる2人も何とも微妙そうな苦笑いを浮かべていた。
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