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最終章
第55話『バストアップマッサージ』
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「このエピソードも面白かったですね」
「ああ。原作でもアニメでも面白いよな」
前後編構成となっているクリスのエピソードを観終わった。途中で俺はあおい吸い、あおいは涼我君吸いをしたのもあって、かなり時間がかかったな。だから、普段観る前後編のエピソードよりも長いものを観た感覚がある。
「そういえば、俺に後ろから抱きしめられながら観るのはどうだった?」
途中で吸い合うことはあったけど、このエピソードを観ている間は、俺があおいのことを後ろから軽く抱きしめていたから。この体勢で観るのは今日が初めてだったので、あおいに感想を聞きたかったのだ。
「良かったです。背後から涼我君の温もりや匂いを感じられますし」
「それは良かった」
「ただ、振り返らないと涼我君の顔が見られません。それに、涼我君も私が目の前にいては飲み物を飲んだり、お菓子を食べたりしづらいでしょう。なので、この体勢は……たまにする程度したいと思います」
「分かった」
お互いに知っている作品を中心に、あおいと語り合いながらアニメを観ることが多い。だから、隣同士に座っていた方が顔も見えやすくていいのだろう。
あと、このエピソードを観ていたときにはやらなかったけど、あおいが俺を背もたれにしているこの体勢だと飲食はしづらそうだ。あおいの体にお菓子の食べカスを落としてしまったり、飲み物をこぼしてしまったりする可能性もあるし。
ただ、あおいから「背もたれにして観たいです」と言われたら、そのときは喜んで背もたれになるつもりだ。
「今は……11時過ぎか。まだまだアニメを観るか?」
「そ、そうですね……」
あおいはそう言うと、頬を中心に顔が赤くなり、視線が散漫になっていく。どうしたんだろう? やりたいことはあるけど、なかなか言いづらいのかな。
「何でもいいぞ。せっかく、10年ぶりにあおいの家に泊まっているんだし」
あおいの目を見ながら、俺はそう言う。
あおいの家であおいと2人きりでお泊まりするのは久しぶりだから、あおいの希望することはできるだけ叶えさせてあげたい。
そうですか……と呟くようにして言うと、それまで散漫だったあおいの視線が俺の方に定まっていく。
「匂いを吸い合ってスキンシップしたら、涼我君にしてほしいと思うようになったことがありまして」
「どんなことだ?」
「……バストアップマッサージです」
「……バ、バ、バストアップマッサージ?」
予想もしない言葉が飛び出てきたので、思わずオウム返しのように言ってしまう。
バストアップマッサージ……胸を大きくするためのマッサージってことか。和訳しただけだけど。
バストアップマッサージをしてほしいと言ったからか、あおいの顔の赤みが強くなっていく。
「涼我君に私の胸は魅力的だと言ってもらいましたが、愛実ちゃんの胸はGカップですし、お母さんもEカップあって。理沙ちゃんや美里ちゃんや樹理先生も私より大きいですし、愛実ちゃんのお母さんの真衣さんは特大サイズですから、みんなのように大きくなりたくて。それで、バストアップマッサージを習慣にしているんです」
「そうなんだ」
あおいもなかなかの胸の大きさだと思う。ただ、母親や友達、担任教師、友達の母親など周囲の女性が胸の大きな人ばかりだと、自分も彼女達のように大きくなりたいと考えるのは自然なことか。
胸の大きさを気にしているのは知っていたけど、大きくするためにマッサージをしているのは初耳だ。
「マッサージだからもちろん自分でやるのもいいけど、恋人や好きな人にマッサージしてもらうと効果抜群だとネットに書いてありまして」
「そ、そういうものなのか」
恋人や好きな人にマッサージしてもらうと、精神的な理由で胸が大きくなりやすい物質が分泌されやすくなるのだろうか。
「胸に触れられますから、きっと凄くドキドキしてしまうだろうと思って頼もうとは思いませんでした。ただ、さっき、互いに匂いを吸い合うことをして、涼我君に触れ合ったら、バストアップマッサージしてもらおうかなと思って」
「そうだったのか」
俺にバストアップマッサージをしてほしいと思ったから、さっき「アニメ観るか?」って訊いたときに、顔が赤くなったり、視線が散漫になったりしたんだな。
「それで……ど、どうでしょうか? バストアップマッサージ……してくれますか?」
俺のことをしっかりと見つめながらそう問いかけてくるあおい。
あおいの胸に触れるから、絶対にかなりドキドキしてしまうだろうけど……あおいが勇気を出して俺にお願いしてくれたんだ。できる限りのことは応えたい。
「……分かった。俺でよければ……やるよ。バストアップマッサージ」
「ありがとうございますっ」
あおいは嬉しそうな笑顔でお礼を言う。この笑顔が消えてしまわぬように、理性を最大限に働かせてマッサージしなければ。
「ただ、俺は肩や脚のマッサージ法は知っているけど、バストアップマッサージのやり方は分からないぞ」
「もちろん、やり方は私が教えます。実演しながら」
「分かった」
効果が出るためにも、マッサージのやり方を覚えないとな。
あおいは寝間着のシャツを脱いで、下着姿になる。寝間着の上からではやらないのか。プールデートで来ていたビキニと同じくらいの濃さの青いブラジャーをしていて。プールデートで水着姿をたくさん見たけど、それでもかなりドキドキする。
Dカップだからなかなか大きい。下着を付けているのもあって、谷間がしっかりとできている。
あおいも緊張しているのか、頬を中心に顔が結構赤くなっている。
「で、では、マッサージの仕方を教えますね。見ていてください」
「あ、ああ」
バストアップマッサージなので、胸をちゃんと見なければならない。理性をしっかりと働かせなければ。
俺は新人バストマッサージ師なのだ……と自己暗示をかけ、喫茶店のバイトを始めたときのような心構えで、あおいが実演しながら教えてくれるバストアップマッサージのやり方を覚えていく。幸い、手の動かし方がゆっくりで、あおいが適宜ポイントを言ってくれるので、何とか覚えられたような気がする。
「こういう感じです。分かったでしょうか」
「……た、多分」
「まあ、よほどおかしかったら、そのときには言いますから」
「そうしてくれると助かります。じゃあ……触るよ」
「は、はいっ」
一度、深呼吸をした後……俺は両手で下着に包まれたあおいの胸にそっと触れる。その瞬間、あおいは「んっ」と声を漏らして、体を小さく震わせた。
「だ、大丈夫か?」
「だ、大丈夫ですよ。こういう風に触られるのは初めてだから、思わず反応しちゃっただけです」
「それなら良かった。じゃあ……始めるよ」
「お願いします」
理性のギアを最大限までに上げて、俺はあおいから教えてもらったやり方を思い出しながら、バストアップマッサージを始める。
あおいの胸……下着越しだけど柔らかさが感じられる。体を寄り添われたり、腕を抱きしめられたりしたときとは違った柔らかさだ。素肌の部分も触れると、あおいの肌のスベスベさやもっちりさがよく分かって。マッサージする度に俺の体の熱が上がっていく。
「上手ですよ、涼我君。いい感じです」
「良かった。この調子でやっていくよ」
「はい」
特におかしかったり、あおいに不快感を与えてしまったりするマッサージではなくて良かった。
マッサージを続けているから、あおいの胸や肌から伝わる熱が段々と強くなっていって。甘い匂いも濃くなってきて。たまに、あおいが「あっ」とか「んっ」と甘い声を漏らすので、かなりドキドキしてしまう。そういったとき、俺はあおいから頼まれたマッサージ師なのだと自己暗示をかけ、理性を何とか保つように努める。
「涼我君、本当に上手です。気持ちいいって思えるほどです。愛実ちゃんや真衣さんなどに、肩のマッサージをたくさんしているからでしょうか」
「どうだろうなぁ。肩や脚のマッサージとは手の動かし方が違うし。でも、そういった経験がこのマッサージに活かされていたら嬉しいよ」
「きっと活かされていますよ。私はそう信じています」
あおいは真っ赤な顔に優しい笑みを浮かべる。その笑顔を見ると、心臓の激しい鼓動が少しずつ収まっていくのが分かった。
あおいが優しく笑いかけてくれたおかげで、ドキドキはするけど、バストアップマッサージをするのに集中することができる。
「……涼我君。このくらいで十分です」
「分かった」
あおいの胸から手を離す。マッサージをする前は白くて綺麗だった肌は、マッサージの影響かほんのりと赤みを帯びていた。
「効果は出そうかな」
「きっと出ますよ。とても気持ち良かったですし。好きな人に胸を触られて幸せな気持ちにもなりました。ありがとうございました」
あおいはお礼を見つめながらお礼を言い、とても嬉しそうな笑顔を見せてくれた。あおいのためになったようで、俺も嬉しい気持ちになる。あと、理性が吹っ飛ぶことなくバストアップマッサージを完遂できてほっとしている。
マッサージが終わったので、あおいは寝間着のシャツを再び着る。
「……あっ、もうすぐ午後11時半。涼我君も好きなコメディアニメが始まりますね。せっかくですし、リアルタイムで一緒に観ませんか?」
「おっ、いいな。リアルタイムで観よう」
その後、俺達はコメディアニメをリアルタイムで観る。その際は、告白されてからの基本姿勢である隣同士で座り、寄り添った姿勢で。
このアニメはラノベ原作で、原作も既に読んでいる。あおいも原作を読んでいるので、キャラクターなどについて語り合いながら。また、キャラクター達の掛け合いやギャグが面白くて、あおいと一緒にたくさん笑い合った。
「今週も面白かったですね!」
「面白かったな! 面白くてたくさん笑った」
「私もです。……深夜にリアルタイムでアニメを観るのは小さい頃のお泊まりではしませんでしたから、今回はそれができて嬉しいです」
「今の俺達らしいよな。昔は今くらいの時間にはもう寝ていたから。俺もあおいとリアルタイムでアニメを観られて良かった」
「そう言ってくれて良かったです」
えへへっ、とあおいは持ち前の明るい笑顔を見せる。2人とも好きなことをして、あおいらしい明るい笑顔を見られて幸せに思う。それと同時に、あおいが好きだなって。
「ふああっ……」
可愛らしいあくびをするあおい。
「たくさん笑ったからでしょうか。眠くなってきちゃいました」
「そうか。俺も眠くなってきたな。プールデートでたくさん遊んだのもありそうだ」
「プールではいっぱい体を動かしましたもんね。では、今日はもう寝ましょうか。昔のように、私のベッドで一緒に寝たいと思っているのですが……いいですか?」
あおいは頬をほんのりと紅潮させながら、そう問いかけてくる。
やっぱり、俺と一緒にベッドで寝るつもりだったか。この部屋に来て、ベッドに枕が2つあるのを見つけた時点でそう思っていたよ。
「ああ、いいよ」
「ありがとうございますっ!」
あおいはとても嬉しそうな笑顔で言った。その笑顔は小さい頃と変わらない。
それからは歯を磨いたり、お手洗いを済ませたりと寝るための準備をする。歯を磨くときはあおいと隣同士に立って。それは小さい頃のお泊まりでもしていたので、何だか懐かしい気分になった。
部屋に戻ると、あおいは部屋の電気を消して、俺の手を引いてベッドまで向かう。
「涼我君。壁側と床側……どっちがいいですか?」
あおいはベッドライトを点けると、俺にそんなことを訊いてきた。
「床側でかまわないよ」
「分かりました。では、まずは私が……」
あおいは掛け布団をめくって、ベッドの中に入る。こちらの方を向きながら横になる体勢となって、
「……涼我君、来てください」
落ち着いた笑顔でそう言ってきてくれる。その姿はとても艶やかに感じられて。キスしたり、匂いを吸い合ったり、バストアップマッサージしたりしたのもあって結構ドキッとする。今夜は一緒に寝るだけだ……と、理性を働かせて、あおいのベッドに入った。
仰向けの形で横になると、あおいが胸のあたりまで掛け布団を掛けてくれる。ベッドや掛け布団からもあおいの甘い匂いが香るので、あおいに包まれている感覚だ。ベッドもふかふかで気持ちいい。あおいと体が触れているものの、ドキドキが段々と収まっていく。
「涼我君、狭くないですか? 大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だよ。あおいの方はどうだ?」
「私も大丈夫です。むしろ、涼我君と体が触れていて嬉しいくらいです。まあ、ベッドがどれだけ広くても、涼我君に触れる中で寝たいですけど」
「ははっ、あおいらしい」
「……サマーベッドで休憩したときのように、腕を抱きしめてもいいですか?」
「もちろんさ」
「ありがとうございます」
あおいはサマーベッドで休憩したときと同じく、俺の左腕をそっと抱きしめてくる。そのことで、俺の左腕はあおいの温もりや柔らかさに包まれる感覚に。
「……涼我君と一緒に自分のベッドに入って、涼我君の腕を抱きしめられて。幸せです。今日はプールデートでたくさん遊んで、お泊まりをして。最後まで涼我君と一緒にいられて。明日は目覚めたときから涼我君と一緒にいられると思うと、今夜はとてもいい夢が見られそうな気がします」
「そうか。今日はプールデートもお泊まりも楽しかったよ。俺もいい夢が見られそうだ。誘ってくれてありがとな、あおい」
「いえいえ。こちらこそありがとうございますっ。お昼過ぎから涼我君と一緒にいられて楽しかったです」
あおいはそう言うと、至近距離から可愛らしい笑顔を見せてくれる。腕を抱きしめられるよりも、この笑顔の方がドキッとして。今日はプールデートやお泊まりを通して、あおいの笑顔をたくさん見られて嬉しかったな。
「涼我君。明日はバイトってありますか?」
「あるけど、昼の12時からだ」
「そうですか。私も10時からのバイトですから、多少はゆっくり寝ても大丈夫ですね」
「そうだな。じゃあ……そろそろ寝るか」
「はいっ、おやすみなさい、涼我君」
「おやすみ、あおい」
寝る前の挨拶を交わすと、一瞬だけど、あおいは俺の唇にキスしてきた。おやすみのキスだろうか。
「おやすみなさい」
再びおやすみと言うと、あおいはベッドライトを消す。
部屋が暗くなってから程なくして、あおいの可愛らしい寝息が聞こえてくる。定期的にあおいの寝息の温もりが感じられて。
暗さに目が慣れてきて、あおいの可愛らしい寝顔が見えてくる。この様子からして、さっそくぐっすりと寝ているようだ。プールでたくさん遊んだからかな。
「おやすみ、あおい」
とても小さな声でそう言い、俺も目を瞑る。
目を瞑っても。あおいの優しい温もりと柔らかさ、甘い匂いを感じる。それが心地良くて、幸せに想いながら眠りに落ちていった。
「ああ。原作でもアニメでも面白いよな」
前後編構成となっているクリスのエピソードを観終わった。途中で俺はあおい吸い、あおいは涼我君吸いをしたのもあって、かなり時間がかかったな。だから、普段観る前後編のエピソードよりも長いものを観た感覚がある。
「そういえば、俺に後ろから抱きしめられながら観るのはどうだった?」
途中で吸い合うことはあったけど、このエピソードを観ている間は、俺があおいのことを後ろから軽く抱きしめていたから。この体勢で観るのは今日が初めてだったので、あおいに感想を聞きたかったのだ。
「良かったです。背後から涼我君の温もりや匂いを感じられますし」
「それは良かった」
「ただ、振り返らないと涼我君の顔が見られません。それに、涼我君も私が目の前にいては飲み物を飲んだり、お菓子を食べたりしづらいでしょう。なので、この体勢は……たまにする程度したいと思います」
「分かった」
お互いに知っている作品を中心に、あおいと語り合いながらアニメを観ることが多い。だから、隣同士に座っていた方が顔も見えやすくていいのだろう。
あと、このエピソードを観ていたときにはやらなかったけど、あおいが俺を背もたれにしているこの体勢だと飲食はしづらそうだ。あおいの体にお菓子の食べカスを落としてしまったり、飲み物をこぼしてしまったりする可能性もあるし。
ただ、あおいから「背もたれにして観たいです」と言われたら、そのときは喜んで背もたれになるつもりだ。
「今は……11時過ぎか。まだまだアニメを観るか?」
「そ、そうですね……」
あおいはそう言うと、頬を中心に顔が赤くなり、視線が散漫になっていく。どうしたんだろう? やりたいことはあるけど、なかなか言いづらいのかな。
「何でもいいぞ。せっかく、10年ぶりにあおいの家に泊まっているんだし」
あおいの目を見ながら、俺はそう言う。
あおいの家であおいと2人きりでお泊まりするのは久しぶりだから、あおいの希望することはできるだけ叶えさせてあげたい。
そうですか……と呟くようにして言うと、それまで散漫だったあおいの視線が俺の方に定まっていく。
「匂いを吸い合ってスキンシップしたら、涼我君にしてほしいと思うようになったことがありまして」
「どんなことだ?」
「……バストアップマッサージです」
「……バ、バ、バストアップマッサージ?」
予想もしない言葉が飛び出てきたので、思わずオウム返しのように言ってしまう。
バストアップマッサージ……胸を大きくするためのマッサージってことか。和訳しただけだけど。
バストアップマッサージをしてほしいと言ったからか、あおいの顔の赤みが強くなっていく。
「涼我君に私の胸は魅力的だと言ってもらいましたが、愛実ちゃんの胸はGカップですし、お母さんもEカップあって。理沙ちゃんや美里ちゃんや樹理先生も私より大きいですし、愛実ちゃんのお母さんの真衣さんは特大サイズですから、みんなのように大きくなりたくて。それで、バストアップマッサージを習慣にしているんです」
「そうなんだ」
あおいもなかなかの胸の大きさだと思う。ただ、母親や友達、担任教師、友達の母親など周囲の女性が胸の大きな人ばかりだと、自分も彼女達のように大きくなりたいと考えるのは自然なことか。
胸の大きさを気にしているのは知っていたけど、大きくするためにマッサージをしているのは初耳だ。
「マッサージだからもちろん自分でやるのもいいけど、恋人や好きな人にマッサージしてもらうと効果抜群だとネットに書いてありまして」
「そ、そういうものなのか」
恋人や好きな人にマッサージしてもらうと、精神的な理由で胸が大きくなりやすい物質が分泌されやすくなるのだろうか。
「胸に触れられますから、きっと凄くドキドキしてしまうだろうと思って頼もうとは思いませんでした。ただ、さっき、互いに匂いを吸い合うことをして、涼我君に触れ合ったら、バストアップマッサージしてもらおうかなと思って」
「そうだったのか」
俺にバストアップマッサージをしてほしいと思ったから、さっき「アニメ観るか?」って訊いたときに、顔が赤くなったり、視線が散漫になったりしたんだな。
「それで……ど、どうでしょうか? バストアップマッサージ……してくれますか?」
俺のことをしっかりと見つめながらそう問いかけてくるあおい。
あおいの胸に触れるから、絶対にかなりドキドキしてしまうだろうけど……あおいが勇気を出して俺にお願いしてくれたんだ。できる限りのことは応えたい。
「……分かった。俺でよければ……やるよ。バストアップマッサージ」
「ありがとうございますっ」
あおいは嬉しそうな笑顔でお礼を言う。この笑顔が消えてしまわぬように、理性を最大限に働かせてマッサージしなければ。
「ただ、俺は肩や脚のマッサージ法は知っているけど、バストアップマッサージのやり方は分からないぞ」
「もちろん、やり方は私が教えます。実演しながら」
「分かった」
効果が出るためにも、マッサージのやり方を覚えないとな。
あおいは寝間着のシャツを脱いで、下着姿になる。寝間着の上からではやらないのか。プールデートで来ていたビキニと同じくらいの濃さの青いブラジャーをしていて。プールデートで水着姿をたくさん見たけど、それでもかなりドキドキする。
Dカップだからなかなか大きい。下着を付けているのもあって、谷間がしっかりとできている。
あおいも緊張しているのか、頬を中心に顔が結構赤くなっている。
「で、では、マッサージの仕方を教えますね。見ていてください」
「あ、ああ」
バストアップマッサージなので、胸をちゃんと見なければならない。理性をしっかりと働かせなければ。
俺は新人バストマッサージ師なのだ……と自己暗示をかけ、喫茶店のバイトを始めたときのような心構えで、あおいが実演しながら教えてくれるバストアップマッサージのやり方を覚えていく。幸い、手の動かし方がゆっくりで、あおいが適宜ポイントを言ってくれるので、何とか覚えられたような気がする。
「こういう感じです。分かったでしょうか」
「……た、多分」
「まあ、よほどおかしかったら、そのときには言いますから」
「そうしてくれると助かります。じゃあ……触るよ」
「は、はいっ」
一度、深呼吸をした後……俺は両手で下着に包まれたあおいの胸にそっと触れる。その瞬間、あおいは「んっ」と声を漏らして、体を小さく震わせた。
「だ、大丈夫か?」
「だ、大丈夫ですよ。こういう風に触られるのは初めてだから、思わず反応しちゃっただけです」
「それなら良かった。じゃあ……始めるよ」
「お願いします」
理性のギアを最大限までに上げて、俺はあおいから教えてもらったやり方を思い出しながら、バストアップマッサージを始める。
あおいの胸……下着越しだけど柔らかさが感じられる。体を寄り添われたり、腕を抱きしめられたりしたときとは違った柔らかさだ。素肌の部分も触れると、あおいの肌のスベスベさやもっちりさがよく分かって。マッサージする度に俺の体の熱が上がっていく。
「上手ですよ、涼我君。いい感じです」
「良かった。この調子でやっていくよ」
「はい」
特におかしかったり、あおいに不快感を与えてしまったりするマッサージではなくて良かった。
マッサージを続けているから、あおいの胸や肌から伝わる熱が段々と強くなっていって。甘い匂いも濃くなってきて。たまに、あおいが「あっ」とか「んっ」と甘い声を漏らすので、かなりドキドキしてしまう。そういったとき、俺はあおいから頼まれたマッサージ師なのだと自己暗示をかけ、理性を何とか保つように努める。
「涼我君、本当に上手です。気持ちいいって思えるほどです。愛実ちゃんや真衣さんなどに、肩のマッサージをたくさんしているからでしょうか」
「どうだろうなぁ。肩や脚のマッサージとは手の動かし方が違うし。でも、そういった経験がこのマッサージに活かされていたら嬉しいよ」
「きっと活かされていますよ。私はそう信じています」
あおいは真っ赤な顔に優しい笑みを浮かべる。その笑顔を見ると、心臓の激しい鼓動が少しずつ収まっていくのが分かった。
あおいが優しく笑いかけてくれたおかげで、ドキドキはするけど、バストアップマッサージをするのに集中することができる。
「……涼我君。このくらいで十分です」
「分かった」
あおいの胸から手を離す。マッサージをする前は白くて綺麗だった肌は、マッサージの影響かほんのりと赤みを帯びていた。
「効果は出そうかな」
「きっと出ますよ。とても気持ち良かったですし。好きな人に胸を触られて幸せな気持ちにもなりました。ありがとうございました」
あおいはお礼を見つめながらお礼を言い、とても嬉しそうな笑顔を見せてくれた。あおいのためになったようで、俺も嬉しい気持ちになる。あと、理性が吹っ飛ぶことなくバストアップマッサージを完遂できてほっとしている。
マッサージが終わったので、あおいは寝間着のシャツを再び着る。
「……あっ、もうすぐ午後11時半。涼我君も好きなコメディアニメが始まりますね。せっかくですし、リアルタイムで一緒に観ませんか?」
「おっ、いいな。リアルタイムで観よう」
その後、俺達はコメディアニメをリアルタイムで観る。その際は、告白されてからの基本姿勢である隣同士で座り、寄り添った姿勢で。
このアニメはラノベ原作で、原作も既に読んでいる。あおいも原作を読んでいるので、キャラクターなどについて語り合いながら。また、キャラクター達の掛け合いやギャグが面白くて、あおいと一緒にたくさん笑い合った。
「今週も面白かったですね!」
「面白かったな! 面白くてたくさん笑った」
「私もです。……深夜にリアルタイムでアニメを観るのは小さい頃のお泊まりではしませんでしたから、今回はそれができて嬉しいです」
「今の俺達らしいよな。昔は今くらいの時間にはもう寝ていたから。俺もあおいとリアルタイムでアニメを観られて良かった」
「そう言ってくれて良かったです」
えへへっ、とあおいは持ち前の明るい笑顔を見せる。2人とも好きなことをして、あおいらしい明るい笑顔を見られて幸せに思う。それと同時に、あおいが好きだなって。
「ふああっ……」
可愛らしいあくびをするあおい。
「たくさん笑ったからでしょうか。眠くなってきちゃいました」
「そうか。俺も眠くなってきたな。プールデートでたくさん遊んだのもありそうだ」
「プールではいっぱい体を動かしましたもんね。では、今日はもう寝ましょうか。昔のように、私のベッドで一緒に寝たいと思っているのですが……いいですか?」
あおいは頬をほんのりと紅潮させながら、そう問いかけてくる。
やっぱり、俺と一緒にベッドで寝るつもりだったか。この部屋に来て、ベッドに枕が2つあるのを見つけた時点でそう思っていたよ。
「ああ、いいよ」
「ありがとうございますっ!」
あおいはとても嬉しそうな笑顔で言った。その笑顔は小さい頃と変わらない。
それからは歯を磨いたり、お手洗いを済ませたりと寝るための準備をする。歯を磨くときはあおいと隣同士に立って。それは小さい頃のお泊まりでもしていたので、何だか懐かしい気分になった。
部屋に戻ると、あおいは部屋の電気を消して、俺の手を引いてベッドまで向かう。
「涼我君。壁側と床側……どっちがいいですか?」
あおいはベッドライトを点けると、俺にそんなことを訊いてきた。
「床側でかまわないよ」
「分かりました。では、まずは私が……」
あおいは掛け布団をめくって、ベッドの中に入る。こちらの方を向きながら横になる体勢となって、
「……涼我君、来てください」
落ち着いた笑顔でそう言ってきてくれる。その姿はとても艶やかに感じられて。キスしたり、匂いを吸い合ったり、バストアップマッサージしたりしたのもあって結構ドキッとする。今夜は一緒に寝るだけだ……と、理性を働かせて、あおいのベッドに入った。
仰向けの形で横になると、あおいが胸のあたりまで掛け布団を掛けてくれる。ベッドや掛け布団からもあおいの甘い匂いが香るので、あおいに包まれている感覚だ。ベッドもふかふかで気持ちいい。あおいと体が触れているものの、ドキドキが段々と収まっていく。
「涼我君、狭くないですか? 大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だよ。あおいの方はどうだ?」
「私も大丈夫です。むしろ、涼我君と体が触れていて嬉しいくらいです。まあ、ベッドがどれだけ広くても、涼我君に触れる中で寝たいですけど」
「ははっ、あおいらしい」
「……サマーベッドで休憩したときのように、腕を抱きしめてもいいですか?」
「もちろんさ」
「ありがとうございます」
あおいはサマーベッドで休憩したときと同じく、俺の左腕をそっと抱きしめてくる。そのことで、俺の左腕はあおいの温もりや柔らかさに包まれる感覚に。
「……涼我君と一緒に自分のベッドに入って、涼我君の腕を抱きしめられて。幸せです。今日はプールデートでたくさん遊んで、お泊まりをして。最後まで涼我君と一緒にいられて。明日は目覚めたときから涼我君と一緒にいられると思うと、今夜はとてもいい夢が見られそうな気がします」
「そうか。今日はプールデートもお泊まりも楽しかったよ。俺もいい夢が見られそうだ。誘ってくれてありがとな、あおい」
「いえいえ。こちらこそありがとうございますっ。お昼過ぎから涼我君と一緒にいられて楽しかったです」
あおいはそう言うと、至近距離から可愛らしい笑顔を見せてくれる。腕を抱きしめられるよりも、この笑顔の方がドキッとして。今日はプールデートやお泊まりを通して、あおいの笑顔をたくさん見られて嬉しかったな。
「涼我君。明日はバイトってありますか?」
「あるけど、昼の12時からだ」
「そうですか。私も10時からのバイトですから、多少はゆっくり寝ても大丈夫ですね」
「そうだな。じゃあ……そろそろ寝るか」
「はいっ、おやすみなさい、涼我君」
「おやすみ、あおい」
寝る前の挨拶を交わすと、一瞬だけど、あおいは俺の唇にキスしてきた。おやすみのキスだろうか。
「おやすみなさい」
再びおやすみと言うと、あおいはベッドライトを消す。
部屋が暗くなってから程なくして、あおいの可愛らしい寝息が聞こえてくる。定期的にあおいの寝息の温もりが感じられて。
暗さに目が慣れてきて、あおいの可愛らしい寝顔が見えてくる。この様子からして、さっそくぐっすりと寝ているようだ。プールでたくさん遊んだからかな。
「おやすみ、あおい」
とても小さな声でそう言い、俺も目を瞑る。
目を瞑っても。あおいの優しい温もりと柔らかさ、甘い匂いを感じる。それが心地良くて、幸せに想いながら眠りに落ちていった。
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ご飯を食べるときも、寝るときも、家では美少女な管理人さんといつもいっしょ。優しくて温かい同居&学園ラブコメディ!
※特別編11が完結しました!(2025.6.20)
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恋人、はじめました。
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明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。
ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。
「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」
「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」
明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。
一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!
※夏休み小話編2が完結しました!(2025.10.16)
※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。
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