高嶺の花の高嶺さんに好かれまして。

桜庭かなめ

文字の大きさ
142 / 279
夏休み編

第14話『温泉』

しおりを挟む
 午後5時。
 防災チャイムが聞こえて5時になったのを知り、海水浴はこれで終わることにした。海や砂浜で遊ぶのが楽しくてあっという間だったな。
 海や砂浜でたくさん遊んだから、ビーチパラソルやレジャーシートなどを片付けている間にどっと疲れが襲ってきた。それは俺だけではないようで、結衣達は「疲れたね~」と言葉を漏らしていた。
 伊集院さんの提案で、旅館に戻ったら温泉に入ることに決まった。


 一旦、俺達は宿泊する部屋に戻り、着替えやタオルなど入浴に必要なものを用意する。
 海へ行くときと同じように、部屋の前で待ち合わせをし、みんなで1階にある大浴場の前まで向かう。

「悠真君とはここでお別れだね。1人で寂しくない?」
「ちょっと寂しいな。今日はこれまで、誰かと一緒にいることが多かったから」

 大浴場は男性と女性で分かれるから、こればかりは仕方ない。それでも、一緒の時間が多かったので寂しい気持ちが生まれる。もし、俺の年齢が一桁だったら、一緒に女風呂へ行けたのになぁ。1人で温泉をゆっくりと楽しもう。

「混浴はないけど露天風呂があるから、そこでお話ししようね!」
「ああ、そうしよう。じゃあ、また後で」

 結衣にキスをし、結衣達に手を振り、向かって左側の入口にある『男性』と描かれた青い暖簾をくぐる。
 スリッパを脱いで脱衣所に行くと、そこにいるのは年配の方を中心に数人くらい。チェックインの開始時間から3時間以上経っているし、もう入浴した人が多いのかな。それとも、夕食後に入る人が多かったりして。
 服と下着を脱ぎ、タオルを持って大浴場へ向かう。

「おおっ……」

 かなり立派な大浴場だ。だから、思わず声が漏れてしまった。大浴場だから、その声が響いてしまうけど、中にいる人がこちらに振り向くことはなかった。
 中には檜で作られた大きな浴槽がある。だから、入口付近のこの場所でも、檜の香りがほのかに香ってきた。
 大浴場の中も……10人弱くらいだろうか。これならゆったりとできそうだ。
 洗い場で髪と体を洗う。シャワールームで汗や砂などは流したけど、海や砂浜でたくさん遊んだのでしっかりと洗うことに。
 そういえば、小学校の1、2年くらいまでは旅行に行くと、芹花姉さんと母さんと一緒に女風呂に入っていたっけ。姉さんに連れて行かされたと言う方が正しいか。姉さんや母さんと髪や背中を洗いっこしていたな。

「向こうではそんなことをやっているのかねぇ」

 結衣と柚月ちゃんは洗いっこしそうなイメージがある。誰かの家で女子同士でお泊まりすれば2、3人一緒にお風呂に入ることはありそうだけど、7人一緒に入る機会は旅行くらいしかないと思う。旅行に来た記念とか、思い出作りという名目で洗いっこしていそうだ。
 髪と体を洗い終えたので、俺は檜でできた浴槽へと向かう。
 浴槽の近くに行くと檜の香りがより強くなる。今入っているのは、年配の方々や、30代くらいの父親と小学校低学年の子供の親子くらい。
 湯気が結構立っているから、熱さの確認のために右足の先端を少しお湯に入れる。……うん、そこまで熱くないな。ホテルや旅館によっては、大浴場のお湯はかなり熱い。小さい頃、熱さを確認せずに入ったら凄く熱かった経験がある。泣いてしまったこともある。だから、初めて来る旅館やホテルの大浴場では、足や手を少し入れて熱さを確認することが多い。昔に比べたら熱いのも大丈夫になったけどね。
 あまり人のいないスペースに行き、俺は肩までお湯に浸かる。

「あぁ……気持ちいいな……」

 俺にとってはちょうどいい熱さで気持ちがいい。海でたくさん遊んだから、温泉の熱さが全身に染み渡る。こんなに気持ちいいと、結衣と混浴したかったなぁと強く思う。
 壁の方に何やら文字が書かれた木の看板が見える。近づくと、書かれている文字がはっきり見えてきた。この梅崎温泉についての説明が書かれているのか。

「効能も書いてあるな。どれどれ……」

 疲労、腰痛、関節痛、肩凝り、冷え性、筋肉痛、神経痛、不妊……など、この温泉には様々な効能があるとのこと。効能一覧を見たら、より温泉の温かさが身に沁みてきた気がする。この温泉と檜の香りで、海水浴で疲れて冷えた体を癒そう。

「あぁ……いいなぁ……」

 思いっきり脚を伸ばせるのが大浴場のいいところだな。そのことでよりリラックスできる。結衣達も温泉を楽しんでいるだろうか。

「……そういえば、露天風呂があるって言っていたな」

 露天風呂がどんな感じが気になるし、結衣達と話せるかもしれない。行ってみるか。
 俺は檜の浴槽から出て、浴槽の側にある扉から露天風呂に向かう。

「おぉ」

 露天風呂は岩風呂なのか。風情があっていいな。木製の屋根で日陰になっており、濡れた体に風が当たるので涼しい。
 広めの岩風呂からはモクモクと湯気が出ている。中の檜風呂よりも熱そうだ。今は……白髪が若干生えているおじいさんだけか。
 扉の近くにある高い竹垣の向こうからも湯気が見える。おそらく、女風呂があるのだろう。耳を澄ませてみると……結衣達の声は聞こえてこないな。まだ、露天風呂には来ていないのだろう。ただ、露天風呂で話そうと結衣が言っていたし、風呂に入りながら結衣達を待つか。
 さっきと同じように、右足の先を少し岩風呂に入れる。俺の予想通り、中の浴槽のお湯よりも熱い。

「あぁ……」

 ゆっくりと岩風呂の中に入り、肩まで浸かる。結構熱いけど、風が吹いていて涼しいのでこのくらい熱さでいいかも。のんびり浸かろう。
 岩風呂の側に木の看板が立てかけられている。そこに書かれている効能からして、中の大きな浴槽と同じ温泉のようだ。

「こちらが露天風呂なのです」
「うわあっ、素敵だね! 露天風呂は岩風呂なんだ」

 伊集院さんと胡桃の声が聞こえてきた。向こうの露天風呂も岩風呂なんだ。

「おっ、本当だね、華頂ちゃん」
「こういう岩でできた露天風呂って、まさに旅館のお風呂って感じがするわ」
「ですね、杏樹先生。湯気もたくさん出ていますし、中のお風呂よりも熱そうです。昔、熱いお風呂に入ったユウちゃんが泣いたのを思い出しますね……」

 続いて、中野先輩、福王寺先生、芹花姉さんの声が聞こえてくる。姉さんは何をさりげなく俺の温泉恥ずかしエピソードを語っているんだ。笑い声が聞こえてくるから結構恥ずかしいんですけど。

「露天風呂も変わらないね、お姉ちゃん!」
「3年ぶりだからね、柚月。結構覚えているものだね。確か、中のお風呂よりも熱かったはずだよ」

 柚月ちゃんと結衣の声も聞こえてきた。一度来たことのある2人は懐かしみながら温泉を楽しんでいるようだ。
 こちらと同じくらいの広さがあれば、7人一緒でもゆったりと浸かれるんじゃないだろうか。

「悠真君、もう露天風呂に来ているかなぁ?」
「呼んでみようか、結衣ちゃん」
「そうですね、お姉様。そっちに悠真君いますかー?」
「ユウちゃん、いるー?」

 結衣と芹花姉さんが大きな声で俺のことを呼んでくる。おじいさんが迷惑がっていないかどうか確認すると、温泉が気持ちいいのか、それとも結衣達の声があまり聞こえていないのか、まったりとした様子だった。とりあえずは大丈夫そうか。

「ああ、いるよー」
「悠真君いた!」

 俺がいたと分かったからか、竹垣の向こうからは結衣達の元気そうな声が聞こえてくる。胡桃達も俺の名前を呼び、そのたびに俺も返事する。

「ねえ、悠真君。温泉気持ちいい?」
「ああ、気持ちいいよ。そっちも結構熱いと思うから、気をつけて入って」
「はーい。……じゃあ、入りましょうか」

 結衣のそんな声が聞こえた直後、お湯の音と同時に『あぁ……』と黄色い声が聞こえてきた。温泉の熱さに思わず声が出てしまったのだろう。

「気持ちいいね、悠真君!」
「ユウちゃん、気持ちいいよ!」
「ああ、気持ちいいな」

 結衣と芹花姉さんの今の一言を聞いて、温泉がより気持ち良く感じられるよ。姿は見えないけど、こうして話すと少しは混浴気分を味わえる。きっと、竹垣の向こう側は素晴らしい光景が広がっていることだろう。

「あぁ……温泉の熱さが体に沁みるぅ……」

 福王寺先生の可愛らしい声が聞こえる。気持ち良さそうに入っているのがよく伝わってくる。

「さすがは杏樹先生。大人だけあって、一番気持ち良さそうに入りますねぇ」
「ちょっとからかわれている気がするけど……まあ、気にしないでおくよ、千佳ちゃん。年齢を重ねると、熱いお湯が気持ち良く感じられるようになってね。もう26だしねぇ。あと、海水浴をしただけじゃなくて、ここまで運転したのもあるかな」
「お疲れ様でした、杏樹さん。あと、26ってことは……あたしの倍ですか」
「ってことは、柚月ちゃんは私の半分の年齢か」
「もう、当たり前のことじゃないですかぁ」

 結衣のツッコミに女風呂からは楽しげな笑い声が。人によっては年齢の話題は地雷になるけど、福王寺先生はどうやら違うようだ。先日、先生の誕生日を祝ったのもあるかもしれない。

「そっかぁ。私の年齢の半分の子って、この春に中学入学したのかぁ。まあ、受け持っている結衣ちゃんや姫奈ちゃん達とも10歳違うもんね。そりゃ年も取りますわ……」
「杏樹さんは素敵な女性ですよ! とても美人ですし、スタイルもいいですし。中学にいる女の先生も、杏樹さんほどの人はいませんって」
「……柚月ちゃん本当にいい子だわ。柚月ちゃんマジ天使。柚月ちゃん抱きしめてもいいですか?」
「もちろんですよ! 嬉しいです!」

 そんな柚月ちゃんの返事が聞こえてからおよそ10秒後。

「あぁ、柚月ちゃん抱き心地いい! 可愛すぎる!」

 という福王寺先生の甲高い声が響く。俺と同じく、柚月ちゃんが天使のように思う人がいるとは。お互いに裸の状態で抱きしめたら、福王寺先生があんな声を上げるのは当然なのかもしれない。先生の幸せそうな顔が思い浮かぶ。

「杏樹先生に抱かれている柚月ちゃんを見たら、露天風呂で足を滑らせて私の胸の中に飛び込んで、『お姉ちゃんありがとう!』ってお礼を言ってくれたユウちゃんを思い出すわ。あと、今の柚月ちゃんのように、ユウちゃんはずっと可愛い笑顔を浮かべていたな」
「羨ましい思い出ですね! お姉様!」
「ユウちゃん覚えてる?」
「……そんなことがあった気がする」

 とは言ったけど、はっきりと覚えている。
 女湯に入ったとき、大浴場の浴槽や露天風呂で足を滑らせて、芹花姉さんや母親に抱き留められたことが何度かあった。姉さんの場合は、その流れでずっと抱きしめられたことも。このことを姉さんも思い出しているのだろうか。ふふっ、と姉さんの笑い声が聞こえてくる。

「あたしも小さい頃、家族旅行のとき、足を滑らせたあたしをあんずお姉ちゃんが抱き留めてくれたことがありましたね」
「あたしも同じような経験ありますよ、胡桃さん」
「小さい頃の柚月は、大浴場ではしゃぐことが多かったからね。私も一緒にはしゃぐときもあったけど」
「ふふっ。私も妹のはるかが滑って転ばないように手を繋いだことがあったなぁ。遥は可愛いから、今みたいに抱きしめて一緒にお風呂に入ったこともある」

 兄弟姉妹がいると、同じようなエピソードがあるんだなぁ。

「あたしは一人っ子なので、そういったお話は全然ないのです」
「伊集院ちゃんと一緒だなぁ。あたしも一人っ子だからかな。ただ、小さい頃に大浴場の浴槽に入ったとき、足を滑らせて知らない女性の胸に顔から飛び込んだことはある」

 中野先輩のその話を聞き、俺も小さい頃に湯船で親世代と思われる女性の胸に飛び込んでしまったことを思い出した。その人の胸……凄く大きくて柔らかかったな。
 温泉や大浴場にまつわることを色々と思い出したらドキドキしてきた。のぼせてしまわないように気をつけないと。
 それから少しの間、結衣達の話を聞いたり、たまに話したりして、露天風呂の時間を楽しんだ。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ

桜庭かなめ
恋愛
 高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。  あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。  3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。  出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!  ※特別編6が完結しました!(2026.1.21)  ※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

疎遠だった叔父の遺産が500億円分のビットコインだった件。使い道がないので、隣の部屋の塩対応な美少女に赤スパ投げまくってる件

月下花音
恋愛
貧乏大学生の成瀬翔は、疎遠だった叔父から500億円相当のビットコインが入ったUSBメモリを相続する。使い道に困った彼が目をつけたのは、ボロアパートの薄い壁の向こうから聞こえる「声」だった。隣人は、大学で「氷の令嬢」と呼ばれる塩対応な美少女・如月玲奈。しかしその正体は、同接15人の極貧底辺VTuber「ルナ・ナイトメア」だったのだ! 『今月ももやし生活だよぉ……ひもじい……』 壁越しに聞こえる悲痛な叫び。翔は決意する。この500億で、彼女を最強の配信者に育て上げようと。謎の大富豪アカウント『Apollo(アポロ)』として、5万円の赤スパを投げ、高級機材を即配し、彼女の生活を神の視点で「最適化」していく。しかし彼はまだ知らなかった。「金で買えるのは生活水準だけで、孤独は埋められない」ということに。500億を持った「見えない神様」が、神の座を捨てて、地上の女の子の手を握るまでの救済ラブコメディ。

陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!

みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!  杉藤千夏はツンデレ少女である。  そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。  千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。  徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い! ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

恋人、はじめました。

桜庭かなめ
恋愛
 紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。  明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。  ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。 「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」 「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」  明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。  一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!  ※夏休み小話編2が完結しました!(2025.10.16)  ※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想などお待ちしています。

処理中です...