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第21話『タピオカデート-後編-』
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それからも、向日葵は美味しそうにタピオカミルクティーを飲んでいく。最高と言うだけあって、彼女は段々と幸せな表情に。
「奢ってもらったものだからか、いつも以上に美味しい」
「分かるなぁ、その気持ち」
タダで飲食物を味わえる幸せを感じられるからかな。
ちなみに、このフードコートで岡嶋と津川さんから何度か、課題や定期試験対策で教えたお礼として奢ってもらったことがある。もちろん、タピオカドリンクも。
「向日葵はミルクティーが一番好きなのか?」
「うん! 甘い物は全般好き。特に紅茶系とラテ系は」
「そっか。撫子と好みが似てるね。撫子も甘いドリンクを買うことが多いよ」
「そうなんだ。桔梗は?」
「僕はコーヒー系と紅茶系が好きだね。このミルクコーヒーが一番好きかな。しっかりと苦味があって美味しいよ。甘味もそれなりにあるし。あと、たまに炭酸系やフルーツジュース系も飲みたくなる」
「そうなのね。桔梗って結構な甘い物好きなんだ。意外。この前、ぬいぐるみを取ってもらったお礼で買ったコーヒーはブラックだったから。でも、お見舞いで持っていったプリンは美味しそうに食べてたか」
「甘い物は好きな方だよ。撫子ほどじゃないけどね。コーヒーはブラックからカフェオレまで全般好き」
「へえ、そうなの」
僕は再びミルクコーヒーを一口飲む。そんな僕のことを向日葵はじっと見つめている。
「どうかした? もしかして、ミルクコーヒーを一口飲んでみたい?」
「へっ?」
素っ頓狂な声を上げると、向日葵の顔は頬中心に赤くなっていく。
「いや……まあ……カフェオレは飲んだことあるけど、ミルクコーヒーは一度もないから味が気になるかな。桔梗さえ良ければ、飲んで……みたいかも」
そう言ったときには向日葵の顔は全体が真っ赤になっていた。ミルクコーヒーを飲むってことは、僕と間接キスをすることになるからな。それを意識しているんだろう。何だか頬が熱くなってきているな。僕も頬が赤くなっているかも。
「いいよ。一口あげる。撫子と一緒だとこういうことも多いし」
「そうなんだ。……そういえば、映画の後にラーメンを食べたときも、撫子ちゃんにラーメンを一口あげていたわね。じゃあ……お礼にあたしのミルクティーを一口あげる」
「ありがとう。一口交換になるね」
「そ、そうね」
はいっ、と向日葵はミルクティーの入ったカップを僕の目の前に差し出した。僕もミルクコーヒーのカップを向日葵の目の前に置く。
「じゃあ……ミルクコーヒーを一口いただくわ」
「どうぞ。僕もミルクティーを一口もらうね」
「……ええ。どうぞ」
僕は向日葵のミルクティーを一口いただく。向日葵もほとんど同じタイミングで僕のミルクコーヒーを飲んだ。
ミルクティーはこれまで何度か飲んだことがあるけど、こんなに甘い飲み物だっただろうか。僕の記憶では茶葉の味がしっかりしていたと思うんだけど。タピオカ自体にも甘味があるからかな。
「……ミルクティー美味しいな」
「で、でしょう? ミルクコーヒーもなかなか甘味があって美味しいじゃない。カフェオレよりも苦み強めだけど、これなら飲めるわ」
「それは良かった。ありがとう、向日葵」
「こちらこそありがとう」
向日葵とコップを交換して、僕は再びミルクコーヒーを飲む。ミルクティーの味が口の中に残っているからか、さっきよりも甘く感じた。
タピオカドリンクを一口交換してから、向日葵は自分のタピオカミルクティーを飲むばかりで、「美味しい」くらいしか言わなくなってしまった。間接キスをしたと意識しているのだろうか。
何か話題を振った方がいいな。並んでいるときに音楽のことで楽しく話せたから、題材さえ良ければまた楽しく話せると思う。話すなら向日葵の好きなものがいいよな。真っ先に思いつくのは猫だ。僕のスマホには、向日葵には見せていないかぐやの写真がたくさんあるし。かぐやについて話そうと決めたときだった。
「ねえ……桔梗」
「は、はいっ!」
向日葵が話しかけてくるとは思わなかったので、思わず普段よりも大きめの声が出てしまった。ただ、今も賑わっているからか、こちらに振り向くお客さんはいない。
「実は……お姉ちゃんが桔梗に会って、ちょっと話してみたいって言っていて。もちろん、桔梗が嫌なら会わなくていいんだけど」
「全然かまわないよ」
「ありがとう」
お姉さんが僕と会ってみたいとは。向日葵は何度も僕の家に行ったことがあるし、お見舞いにも行ったからな。あとは、成績関連で僕のことをお姉さんに話していたとか。
「それで、お姉さんとはどこで会う? お姉さんもナノカドーにいるの?」
「ええ、いるわよ。お姉ちゃん、ナノカドーに入っているお店でバイトしているの。あたしもたまに、お姉ちゃんから助っ人を頼まれてバイトするときがあるって」
「へえ、そうなんだ。どんなお店でバイトしているの?」
「……2階にあるランジェリーショップ」
「……なるほど」
女性の花園とも言えるお店だな。
2階はファッションのフロアで、衣服関連のブランドのお店もいくつか入っている。ランジェリーショップがあることは知っているけど、一度も行ったことはない。撫子の下着を買いにランジェリーショップについて行かないのかと向日葵に言われそうだけど、いくらシスコンでもそこまではしない。というか、ついて行ったらダメだろう。
あと、お姉さんの助っ人という形で、向日葵はバイトの経験があるのか。普段の向日葵からだと、接客しているイメージがあまり想像できない。ただ、頭がいいから、店員モードに切り替えて可愛い笑顔で接客ができるかもしれない。
「どうしたの? 黙り込んで」
「ううん、何でもない。これから、僕らがそのお店に行くか? それとも、向日葵がお姉さんに連絡して、バイトの休憩中にお姉さんとバブリックスペースとかで会うか?」
「桔梗に会って、ちょっとでも話せればいいって言っていたから、お店に行こうかなって思ってる」
「なるほど。……僕が行って大丈夫なのかな」
「大丈夫でしょ。あたしと一緒なんだから。もし桔梗一人だったら、変態か不審者に間違われるだろうけど。……まさか、撫子ちゃんの下着を買いにランジェリーショップへ行った経験があるの?」
そう言うと、向日葵は僕に向ける視線を鋭くさせる。想定していた斜め上のことを訊いてきたぞ、この子。
「ないない。いくら僕でも撫子の下着についてはノータッチだ」
「そっか。……シスコンが変な方向に進んでいなくて安心だわ」
ほっと胸を撫で下ろす向日葵。どうやら、撫子の下着を買いに行った経験があると本気で思っていたみたいだ。何だか複雑な気分。残りのタピオカミルクコーヒーを飲み干すと……やけに苦いな。
向日葵を見ると、彼女もちょうどタピオカミルクティーを飲み終えたようだ。
「……ごちそうさま。ミルクティー、美味しかったわ」
「良かった。僕もミルクコーヒーごちそうさま」
「じゃあ、お姉ちゃんのところに行こうか」
「うん」
僕らは空になったコップをゴミ箱に入れ、2階にあるランジェリーショップへと向かい始めるのであった。
「奢ってもらったものだからか、いつも以上に美味しい」
「分かるなぁ、その気持ち」
タダで飲食物を味わえる幸せを感じられるからかな。
ちなみに、このフードコートで岡嶋と津川さんから何度か、課題や定期試験対策で教えたお礼として奢ってもらったことがある。もちろん、タピオカドリンクも。
「向日葵はミルクティーが一番好きなのか?」
「うん! 甘い物は全般好き。特に紅茶系とラテ系は」
「そっか。撫子と好みが似てるね。撫子も甘いドリンクを買うことが多いよ」
「そうなんだ。桔梗は?」
「僕はコーヒー系と紅茶系が好きだね。このミルクコーヒーが一番好きかな。しっかりと苦味があって美味しいよ。甘味もそれなりにあるし。あと、たまに炭酸系やフルーツジュース系も飲みたくなる」
「そうなのね。桔梗って結構な甘い物好きなんだ。意外。この前、ぬいぐるみを取ってもらったお礼で買ったコーヒーはブラックだったから。でも、お見舞いで持っていったプリンは美味しそうに食べてたか」
「甘い物は好きな方だよ。撫子ほどじゃないけどね。コーヒーはブラックからカフェオレまで全般好き」
「へえ、そうなの」
僕は再びミルクコーヒーを一口飲む。そんな僕のことを向日葵はじっと見つめている。
「どうかした? もしかして、ミルクコーヒーを一口飲んでみたい?」
「へっ?」
素っ頓狂な声を上げると、向日葵の顔は頬中心に赤くなっていく。
「いや……まあ……カフェオレは飲んだことあるけど、ミルクコーヒーは一度もないから味が気になるかな。桔梗さえ良ければ、飲んで……みたいかも」
そう言ったときには向日葵の顔は全体が真っ赤になっていた。ミルクコーヒーを飲むってことは、僕と間接キスをすることになるからな。それを意識しているんだろう。何だか頬が熱くなってきているな。僕も頬が赤くなっているかも。
「いいよ。一口あげる。撫子と一緒だとこういうことも多いし」
「そうなんだ。……そういえば、映画の後にラーメンを食べたときも、撫子ちゃんにラーメンを一口あげていたわね。じゃあ……お礼にあたしのミルクティーを一口あげる」
「ありがとう。一口交換になるね」
「そ、そうね」
はいっ、と向日葵はミルクティーの入ったカップを僕の目の前に差し出した。僕もミルクコーヒーのカップを向日葵の目の前に置く。
「じゃあ……ミルクコーヒーを一口いただくわ」
「どうぞ。僕もミルクティーを一口もらうね」
「……ええ。どうぞ」
僕は向日葵のミルクティーを一口いただく。向日葵もほとんど同じタイミングで僕のミルクコーヒーを飲んだ。
ミルクティーはこれまで何度か飲んだことがあるけど、こんなに甘い飲み物だっただろうか。僕の記憶では茶葉の味がしっかりしていたと思うんだけど。タピオカ自体にも甘味があるからかな。
「……ミルクティー美味しいな」
「で、でしょう? ミルクコーヒーもなかなか甘味があって美味しいじゃない。カフェオレよりも苦み強めだけど、これなら飲めるわ」
「それは良かった。ありがとう、向日葵」
「こちらこそありがとう」
向日葵とコップを交換して、僕は再びミルクコーヒーを飲む。ミルクティーの味が口の中に残っているからか、さっきよりも甘く感じた。
タピオカドリンクを一口交換してから、向日葵は自分のタピオカミルクティーを飲むばかりで、「美味しい」くらいしか言わなくなってしまった。間接キスをしたと意識しているのだろうか。
何か話題を振った方がいいな。並んでいるときに音楽のことで楽しく話せたから、題材さえ良ければまた楽しく話せると思う。話すなら向日葵の好きなものがいいよな。真っ先に思いつくのは猫だ。僕のスマホには、向日葵には見せていないかぐやの写真がたくさんあるし。かぐやについて話そうと決めたときだった。
「ねえ……桔梗」
「は、はいっ!」
向日葵が話しかけてくるとは思わなかったので、思わず普段よりも大きめの声が出てしまった。ただ、今も賑わっているからか、こちらに振り向くお客さんはいない。
「実は……お姉ちゃんが桔梗に会って、ちょっと話してみたいって言っていて。もちろん、桔梗が嫌なら会わなくていいんだけど」
「全然かまわないよ」
「ありがとう」
お姉さんが僕と会ってみたいとは。向日葵は何度も僕の家に行ったことがあるし、お見舞いにも行ったからな。あとは、成績関連で僕のことをお姉さんに話していたとか。
「それで、お姉さんとはどこで会う? お姉さんもナノカドーにいるの?」
「ええ、いるわよ。お姉ちゃん、ナノカドーに入っているお店でバイトしているの。あたしもたまに、お姉ちゃんから助っ人を頼まれてバイトするときがあるって」
「へえ、そうなんだ。どんなお店でバイトしているの?」
「……2階にあるランジェリーショップ」
「……なるほど」
女性の花園とも言えるお店だな。
2階はファッションのフロアで、衣服関連のブランドのお店もいくつか入っている。ランジェリーショップがあることは知っているけど、一度も行ったことはない。撫子の下着を買いにランジェリーショップについて行かないのかと向日葵に言われそうだけど、いくらシスコンでもそこまではしない。というか、ついて行ったらダメだろう。
あと、お姉さんの助っ人という形で、向日葵はバイトの経験があるのか。普段の向日葵からだと、接客しているイメージがあまり想像できない。ただ、頭がいいから、店員モードに切り替えて可愛い笑顔で接客ができるかもしれない。
「どうしたの? 黙り込んで」
「ううん、何でもない。これから、僕らがそのお店に行くか? それとも、向日葵がお姉さんに連絡して、バイトの休憩中にお姉さんとバブリックスペースとかで会うか?」
「桔梗に会って、ちょっとでも話せればいいって言っていたから、お店に行こうかなって思ってる」
「なるほど。……僕が行って大丈夫なのかな」
「大丈夫でしょ。あたしと一緒なんだから。もし桔梗一人だったら、変態か不審者に間違われるだろうけど。……まさか、撫子ちゃんの下着を買いにランジェリーショップへ行った経験があるの?」
そう言うと、向日葵は僕に向ける視線を鋭くさせる。想定していた斜め上のことを訊いてきたぞ、この子。
「ないない。いくら僕でも撫子の下着についてはノータッチだ」
「そっか。……シスコンが変な方向に進んでいなくて安心だわ」
ほっと胸を撫で下ろす向日葵。どうやら、撫子の下着を買いに行った経験があると本気で思っていたみたいだ。何だか複雑な気分。残りのタピオカミルクコーヒーを飲み干すと……やけに苦いな。
向日葵を見ると、彼女もちょうどタピオカミルクティーを飲み終えたようだ。
「……ごちそうさま。ミルクティー、美味しかったわ」
「良かった。僕もミルクコーヒーごちそうさま」
「じゃあ、お姉ちゃんのところに行こうか」
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僕らは空になったコップをゴミ箱に入れ、2階にあるランジェリーショップへと向かい始めるのであった。
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