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第23話『バイトをしていたら。-宝来姉妹編-』
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5月6日、水曜日。
ゴールデンウィーク最終日。あっという間に最終日になってしまった気がする。だけど、振り返ると映画に行った初日が遠い昔のように感じる。それだけ、盛りだくさんな連休になったからかな。そのうち1日は風邪を引いてしまったけど。
最終日の今日は朝10時から夕方5時までバイトが入っている。風邪も完全に回復したし、今日も頑張ろう。
連休最終日だけど、天気がいいのもあってか、バイトを始めた直後から多くのお客様が来店している。だからか、時間の進みが早い。
そして、正午近くになったとき。
「いらっしゃいませ」
「さっそく来ちゃった。加瀬君」
「……どうも。桔梗」
向日葵と百合さんが来店してくれたのだ。向日葵は微笑みながら軽く頭を下げ、百合さんは柔らかな笑みを浮かべて僕に小さく手を振った。
向日葵は明るい茶色のフレアスカートに白い肩開きブラウス。百合さんは水色の半袖のワンピースという服装だ。こうして並んでいるところを見ると、物凄く美人な姉妹だと分かる。
「何よ、じっと見て」
「今日の服もよく似合っていると思ってさ。爽やかな感じでいいね。可愛いよ」
「あ、ありがと」
頬がほんのりと赤くなるけど、向日葵の口元は笑っている。
「百合さんのワンピースもよく似合っていますよ。綺麗です。2人並んでいるのでつい見入っちゃいました」
「ありがとう、加瀬君。向日葵の言うように、加瀬君って綺麗とか可愛いってさらっと言える子なんだね」
そんなことまで百合さんに話しているのか、向日葵は。向日葵が知っている僕のことについては、百合さんに筒抜け状態だと思っていた方がいいかも。
「僕には撫子とかぐやっていう可愛い妹達がいますからね。かぐやはメスの三毛猫なんですけど。可愛いとか綺麗って言うことに抵抗感は全然ないですね。さすがは向日葵のお姉さんだけあって綺麗だと思います」
「ふふっ、ありがとう」
あまり照れた様子はなく、百合さんは穏やかに笑う。その姿は大学生とは思えない大人っぽさと気品が感じられる。向日葵もこの先、百合さんのような女性になっていくのかなと思った。
「加瀬君の制服姿もかっこいいね。……この姿を見て、大学生になってから何度かあなたに接客してもらったことをはっきりと思い出したよ」
「そうですか。さっそく来店していただいて嬉しいです」
「いえいえ。今日で連休は終わるし、バイトもお昼過ぎだから向日葵と一緒にここでランチを食べようと思って。新年度になってから、外でランチは食べてなかったし」
「それにバイト代が入ったから、今日はお姉ちゃんが奢ってくれるの!」
「おぉ、良かったね」
向日葵、とっても嬉しそうだ。本当に百合さんのことが好きなんだな。
もし、撫子が一緒に外食して奢ってくれたら……嬉しすぎて泣きそうだ。想像したらちょっと目頭が熱くなってきた。
いつまでもここで向日葵と百合さんと話していてはまずいな。席へと案内しよう。
「2名様ですか?」
「はい、そうです」
「では、テーブル席へご案内します」
僕は向日葵と百合さんを2人用のテーブル席へと案内する。
向日葵と百合さんという美人姉妹が姿を現したからか、店内にいるお客さんの大多数が彼女達に視線を向ける。
「すっげー美人。見たことないけど、芸能人姉妹なのかな」
「かもしれないな。モデルとか」
「とても綺麗だよね。スタイルもいいし。羨ましいなぁ。あたしもあんな風になりたい」
「可愛らしさもあるもんね。金色の髪も綺麗だよね……」
といった会話も聞こえてきて。何だか、宝来姉妹と普通に話せる関係なのが実は凄いことじゃないかと思えてきた。
向日葵と百合さんを2人用のテーブル席に案内し、水をお出しする。さすがに注文したいメニューはまだ決まっていないので、僕は一旦離れる。
仕事をしながら向日葵と百合さんの方を見ると……あそこだけ物凄く華やかだな。今もなお、2人を見ているお客様が多い。ただ、当の本人達はそんな今の状況に全く気にしていないようで、メニューを見ながら楽しくおしゃべりしている。
昨日、ランジェリーショップで話したときにも思ったけど、百合さんと一緒だと向日葵の雰囲気が普段よりも幼く見える。今の向日葵もとっても可愛いと思う。
――ピンポーン。
と、注文ボタンの音が鳴る。電光掲示板を見てみると『7』と表示されている。この番号は向日葵と百合さんが座っているテーブル席だ。僕は彼女のところへと向かう。
「ご注文をお伺いします」
「あら、加瀬君が来てくれた。向日葵からでいいよ」
「ありがとう、お姉ちゃん。じゃあ、ミックスサンドイッチのアイスティーセットで」
「お姉ちゃんはミートドリアのアイスコーヒーセットをお願いします」
「ミックスサンドイッチのアイスコーヒーセットと、ミートドリアのアイスコーヒーセットですね。お飲み物は先に出しますか? それとも、お料理と一緒にしますか?」
「先にする? 向日葵」
「うん、先がいい」
「じゃあ、飲み物は先に」
「先ですね。かしこまりました。失礼します」
僕は厨房へと向かい、向日葵と百合さんからの注文を伝える。
飲み物は先に出すと伝えたので、アイスコーヒーとアイスティーがすぐに用意される。僕はそれらを向日葵と百合さんのところへと持っていく。
「失礼します。セットドリンクになります」
「ありがとう、桔梗」
「ありがとう、加瀬君。店員さんとして働いている姿、様になってるね」
「ありがとうございます。バイトを始めてから1年以上経って、ホールの仕事に慣れてきたからでしょうかね」
「なるほどね。今日もお仕事頑張って」
「頑張りなさい、桔梗」
「ありがとうございます。料理ができるまで少々お待ちください」
軽く頭を下げて、向日葵と百合さんのテーブルから離れる。2人の今の言葉のおかげで、バイトの疲れが少し取れた気がする。
周りを見ると、厨房の近くからなずなさんが真剣な表情で向日葵と百合さんの方をじっと見つめていた。なので、彼女のところへと向かう。
「なずなさん、どうしたんですか? 彼女達の方を見て」
「とても華やかな雰囲気があるから、つい見とれちゃって。金髪ちゃんと一緒にいる女性ってお姉さん? それとも若々しい見た目のお母さん? お店以外でも見たことがある気がするんだよね」
百合さんは落ち着いた雰囲気だから、お母さんのように見えるのも分かるかな。実際に高校生の娘がいるお母さんが百合さんのような見た目だったら、かなり若々しいと思う。
「お姉さんです。大学2年生で武蔵栄高校文系クラスの卒業生ですよ」
「お姉さんなんだ! 姉妹揃って大人っぽくて美人だねぇ。羨ましいなぁ」
「他のお客様とは違ったオーラを感じますよね」
「大学でもなかなかいないよ。素敵だなぁ」
「素敵ですよね。ただ、なずなさんも可愛くて素敵ですよ。なずなさんを可愛いって言うお客様もいますし」
「そ、そうなんだ。ありがとう」
えへへっ、となずなさんは嬉しそうに笑う。その笑顔は向日葵や百合さんに肩を並べるくらいに魅力的だと思う。
「あと、金髪ちゃんのお姉さんは武蔵栄高校出身なんだ。大学2年ってことはあたしの1つ下か。じゃあ、高校に通っていたときに見たことがあるんだろうね」
「きっとそうでしょうね」
「おい。どっちかでもいいから、10番テーブルに料理を持って行ってくれ。できたから」
「あたしが持っていくね、桔梗君」
「はい」
なずなさんは10番テーブルのお客様が注文した料理を運ぶ。そして、他のテーブルへ向かう際、わざわざ遠回りして向日葵と百合さんの座っているテーブルの横を通る。さっき、見とれたと言っていたし、近くで2人のことを見たいのだろうか。そんな彼女がとても可愛らしい。
僕もフロアの仕事をしていると、なずなさんが近づいてきて、
「あの2人の近くを通ったら、物凄くいい匂いがした」
と興奮気味に呟いてきた。向日葵と百合さんからは甘い匂いが香るからな。人にとってはそれがとても良く思えるか。彼女には「そうですか」と答えておいた。
やがて、向日葵と百合さんの注文した料理が完成。それを僕が運ぶことに。
「お待たせしました。ミックスサンドウィッチとミートドリアになります」
「待ってましたー」
百合さんは嬉しそうに言うと、小さく拍手をする。そんな姿は幼い感じがして可愛らしく思える。
さっきのなずなさんの言葉もあり、ミックスサンドウィッチとミートドリアを置いたとき、向日葵と百合さんから甘い匂いがはっきりと感じられる。
「どうしたの? 桔梗。何だかいい笑顔になっているけど」
「いい匂いがするからね」
つい、そう言ってしまった。さすがに、この場で言うのはまずいよな。
ただ、予想に反して向日葵はふふっと笑う。
「ドリアとサンドウィッチから食欲をそそるいい匂いがするものね」
「う、うん」
料理の方だと思ったのか。確かに、運んできた料理から美味しそうな匂いがするもんな。ほっとした。
「ごゆっくり」
僕はそう言って2人のテーブルを後にする。
他のテーブルで会計に向かうお客様がいたため僕は会計業務をする。それが終わって再びホールを見ると、
「美味しいね、お姉ちゃん」
「ミートドリアも美味しいよ。これで、午後のバイトを頑張れそう」
「頑張ってね。ねえ、一口交換しない?」
「もちろん!」
向日葵と百合さんは注文した料理を美味しそうに食べていた。その光景にとても癒されて、疲れも取れていく。
宝来姉妹の来店や、昼休憩で食べたまかないのナポリタンのおかげもあってか、夕方までのバイトはあっという間に終了。
高2の5月の連休は映画に風邪にバイト、向日葵のお姉さんに挨拶と色々な意味で充実したものになったのであった。
ゴールデンウィーク最終日。あっという間に最終日になってしまった気がする。だけど、振り返ると映画に行った初日が遠い昔のように感じる。それだけ、盛りだくさんな連休になったからかな。そのうち1日は風邪を引いてしまったけど。
最終日の今日は朝10時から夕方5時までバイトが入っている。風邪も完全に回復したし、今日も頑張ろう。
連休最終日だけど、天気がいいのもあってか、バイトを始めた直後から多くのお客様が来店している。だからか、時間の進みが早い。
そして、正午近くになったとき。
「いらっしゃいませ」
「さっそく来ちゃった。加瀬君」
「……どうも。桔梗」
向日葵と百合さんが来店してくれたのだ。向日葵は微笑みながら軽く頭を下げ、百合さんは柔らかな笑みを浮かべて僕に小さく手を振った。
向日葵は明るい茶色のフレアスカートに白い肩開きブラウス。百合さんは水色の半袖のワンピースという服装だ。こうして並んでいるところを見ると、物凄く美人な姉妹だと分かる。
「何よ、じっと見て」
「今日の服もよく似合っていると思ってさ。爽やかな感じでいいね。可愛いよ」
「あ、ありがと」
頬がほんのりと赤くなるけど、向日葵の口元は笑っている。
「百合さんのワンピースもよく似合っていますよ。綺麗です。2人並んでいるのでつい見入っちゃいました」
「ありがとう、加瀬君。向日葵の言うように、加瀬君って綺麗とか可愛いってさらっと言える子なんだね」
そんなことまで百合さんに話しているのか、向日葵は。向日葵が知っている僕のことについては、百合さんに筒抜け状態だと思っていた方がいいかも。
「僕には撫子とかぐやっていう可愛い妹達がいますからね。かぐやはメスの三毛猫なんですけど。可愛いとか綺麗って言うことに抵抗感は全然ないですね。さすがは向日葵のお姉さんだけあって綺麗だと思います」
「ふふっ、ありがとう」
あまり照れた様子はなく、百合さんは穏やかに笑う。その姿は大学生とは思えない大人っぽさと気品が感じられる。向日葵もこの先、百合さんのような女性になっていくのかなと思った。
「加瀬君の制服姿もかっこいいね。……この姿を見て、大学生になってから何度かあなたに接客してもらったことをはっきりと思い出したよ」
「そうですか。さっそく来店していただいて嬉しいです」
「いえいえ。今日で連休は終わるし、バイトもお昼過ぎだから向日葵と一緒にここでランチを食べようと思って。新年度になってから、外でランチは食べてなかったし」
「それにバイト代が入ったから、今日はお姉ちゃんが奢ってくれるの!」
「おぉ、良かったね」
向日葵、とっても嬉しそうだ。本当に百合さんのことが好きなんだな。
もし、撫子が一緒に外食して奢ってくれたら……嬉しすぎて泣きそうだ。想像したらちょっと目頭が熱くなってきた。
いつまでもここで向日葵と百合さんと話していてはまずいな。席へと案内しよう。
「2名様ですか?」
「はい、そうです」
「では、テーブル席へご案内します」
僕は向日葵と百合さんを2人用のテーブル席へと案内する。
向日葵と百合さんという美人姉妹が姿を現したからか、店内にいるお客さんの大多数が彼女達に視線を向ける。
「すっげー美人。見たことないけど、芸能人姉妹なのかな」
「かもしれないな。モデルとか」
「とても綺麗だよね。スタイルもいいし。羨ましいなぁ。あたしもあんな風になりたい」
「可愛らしさもあるもんね。金色の髪も綺麗だよね……」
といった会話も聞こえてきて。何だか、宝来姉妹と普通に話せる関係なのが実は凄いことじゃないかと思えてきた。
向日葵と百合さんを2人用のテーブル席に案内し、水をお出しする。さすがに注文したいメニューはまだ決まっていないので、僕は一旦離れる。
仕事をしながら向日葵と百合さんの方を見ると……あそこだけ物凄く華やかだな。今もなお、2人を見ているお客様が多い。ただ、当の本人達はそんな今の状況に全く気にしていないようで、メニューを見ながら楽しくおしゃべりしている。
昨日、ランジェリーショップで話したときにも思ったけど、百合さんと一緒だと向日葵の雰囲気が普段よりも幼く見える。今の向日葵もとっても可愛いと思う。
――ピンポーン。
と、注文ボタンの音が鳴る。電光掲示板を見てみると『7』と表示されている。この番号は向日葵と百合さんが座っているテーブル席だ。僕は彼女のところへと向かう。
「ご注文をお伺いします」
「あら、加瀬君が来てくれた。向日葵からでいいよ」
「ありがとう、お姉ちゃん。じゃあ、ミックスサンドイッチのアイスティーセットで」
「お姉ちゃんはミートドリアのアイスコーヒーセットをお願いします」
「ミックスサンドイッチのアイスコーヒーセットと、ミートドリアのアイスコーヒーセットですね。お飲み物は先に出しますか? それとも、お料理と一緒にしますか?」
「先にする? 向日葵」
「うん、先がいい」
「じゃあ、飲み物は先に」
「先ですね。かしこまりました。失礼します」
僕は厨房へと向かい、向日葵と百合さんからの注文を伝える。
飲み物は先に出すと伝えたので、アイスコーヒーとアイスティーがすぐに用意される。僕はそれらを向日葵と百合さんのところへと持っていく。
「失礼します。セットドリンクになります」
「ありがとう、桔梗」
「ありがとう、加瀬君。店員さんとして働いている姿、様になってるね」
「ありがとうございます。バイトを始めてから1年以上経って、ホールの仕事に慣れてきたからでしょうかね」
「なるほどね。今日もお仕事頑張って」
「頑張りなさい、桔梗」
「ありがとうございます。料理ができるまで少々お待ちください」
軽く頭を下げて、向日葵と百合さんのテーブルから離れる。2人の今の言葉のおかげで、バイトの疲れが少し取れた気がする。
周りを見ると、厨房の近くからなずなさんが真剣な表情で向日葵と百合さんの方をじっと見つめていた。なので、彼女のところへと向かう。
「なずなさん、どうしたんですか? 彼女達の方を見て」
「とても華やかな雰囲気があるから、つい見とれちゃって。金髪ちゃんと一緒にいる女性ってお姉さん? それとも若々しい見た目のお母さん? お店以外でも見たことがある気がするんだよね」
百合さんは落ち着いた雰囲気だから、お母さんのように見えるのも分かるかな。実際に高校生の娘がいるお母さんが百合さんのような見た目だったら、かなり若々しいと思う。
「お姉さんです。大学2年生で武蔵栄高校文系クラスの卒業生ですよ」
「お姉さんなんだ! 姉妹揃って大人っぽくて美人だねぇ。羨ましいなぁ」
「他のお客様とは違ったオーラを感じますよね」
「大学でもなかなかいないよ。素敵だなぁ」
「素敵ですよね。ただ、なずなさんも可愛くて素敵ですよ。なずなさんを可愛いって言うお客様もいますし」
「そ、そうなんだ。ありがとう」
えへへっ、となずなさんは嬉しそうに笑う。その笑顔は向日葵や百合さんに肩を並べるくらいに魅力的だと思う。
「あと、金髪ちゃんのお姉さんは武蔵栄高校出身なんだ。大学2年ってことはあたしの1つ下か。じゃあ、高校に通っていたときに見たことがあるんだろうね」
「きっとそうでしょうね」
「おい。どっちかでもいいから、10番テーブルに料理を持って行ってくれ。できたから」
「あたしが持っていくね、桔梗君」
「はい」
なずなさんは10番テーブルのお客様が注文した料理を運ぶ。そして、他のテーブルへ向かう際、わざわざ遠回りして向日葵と百合さんの座っているテーブルの横を通る。さっき、見とれたと言っていたし、近くで2人のことを見たいのだろうか。そんな彼女がとても可愛らしい。
僕もフロアの仕事をしていると、なずなさんが近づいてきて、
「あの2人の近くを通ったら、物凄くいい匂いがした」
と興奮気味に呟いてきた。向日葵と百合さんからは甘い匂いが香るからな。人にとってはそれがとても良く思えるか。彼女には「そうですか」と答えておいた。
やがて、向日葵と百合さんの注文した料理が完成。それを僕が運ぶことに。
「お待たせしました。ミックスサンドウィッチとミートドリアになります」
「待ってましたー」
百合さんは嬉しそうに言うと、小さく拍手をする。そんな姿は幼い感じがして可愛らしく思える。
さっきのなずなさんの言葉もあり、ミックスサンドウィッチとミートドリアを置いたとき、向日葵と百合さんから甘い匂いがはっきりと感じられる。
「どうしたの? 桔梗。何だかいい笑顔になっているけど」
「いい匂いがするからね」
つい、そう言ってしまった。さすがに、この場で言うのはまずいよな。
ただ、予想に反して向日葵はふふっと笑う。
「ドリアとサンドウィッチから食欲をそそるいい匂いがするものね」
「う、うん」
料理の方だと思ったのか。確かに、運んできた料理から美味しそうな匂いがするもんな。ほっとした。
「ごゆっくり」
僕はそう言って2人のテーブルを後にする。
他のテーブルで会計に向かうお客様がいたため僕は会計業務をする。それが終わって再びホールを見ると、
「美味しいね、お姉ちゃん」
「ミートドリアも美味しいよ。これで、午後のバイトを頑張れそう」
「頑張ってね。ねえ、一口交換しない?」
「もちろん!」
向日葵と百合さんは注文した料理を美味しそうに食べていた。その光景にとても癒されて、疲れも取れていく。
宝来姉妹の来店や、昼休憩で食べたまかないのナポリタンのおかげもあってか、夕方までのバイトはあっという間に終了。
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