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特別編
第2話『絶叫未来』
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――明日……レイ君の家にお泊まりしてもいいでしょうか!
そんな琴葉の言葉が生徒会室に響き渡る。
昔から勝手に家に来ていたし、週末や夏休みや年末年始には泊まったこともあるけど……今は色々と事情が違うからな。家が遠くなったり、何よりも僕が沙奈会長という恋人ができたり。
「なるほどね。琴葉ちゃん、玲人君のお家に泊まりたいんだ……」
沙奈会長、今日一番の真剣な表情に。いくら幼馴染の琴葉とはいえ、僕の家に泊まりたいって言われたら、色々と考えることはあるよな。
『ご、ごめんなさい! その……本当はゴールデンウィーク中に日帰りでレイ君の家に遊びに行きたいと思っていて。ただ、2泊3日の旅行に行くことになったので、それならいっそのこと泊まろうと思ったんですけど……ごめんなさい! レイ君、沙奈さんっていう恋人がいるのに、こんなことを考えちゃダメですよね!』
「いや、その……ダメだなんて言ってないよ、琴葉ちゃん。もちろん、色々と思うことはあるけどね」
『沙奈さん……』
「退院したから、引っ越した玲人君の家に早く遊びに行きたいって思うのは当然だと思うし、それに……旅行のことは私達から提案したことだから。旅行に行くことを考えたら、明日は玲人君の家に泊まるのがいいと思うよ」
『ありがとうございます!』
まさか、琴葉が僕の家に泊まりに来ることを許すなんて。夢でも見ているんじゃないかと思ってしまうくらいに信じられない。
「ただし! 玲人君とひさしぶりに家で過ごして、気持ちが盛り上がっちゃって、一緒にお風呂に入ったり、キスしたり、キスよりも先のことをしたりするのは絶対にダメなんだからね! 玲人君もこれらのことを守るように! あと、琴葉ちゃんはお姉様と一緒に寝なさい。それらを守ると約束してくれるなら許してもいいよ」
『……約束します』
「僕も約束します」
「じゃあ、許す!」
『ありがとうございます!』
きっと、琴葉だからこそ、いくつか条件を出した上で、僕の家に泊まることを許したんだろう。沙奈会長の彼氏として琴葉と接しないといけないな。
「旅行の準備が一通り終わったら、私も玲人君の家に遊びに行くかもしれない」
『それなら、レイ君も写っている写真やホームビデオのDVDを持っていきますよ! 旅行の荷物もあるのでちょっとだけになっちゃいますけど』
「ありがとう! 楽しみにしてる! 頑張って準備を早く終わらせて絶対に行くよ!」
沙奈会長、一瞬にして目が輝いたな。前に僕の家へ泊まりに来たときにアルバムを見たのに。琴葉の持っているアルバムやホームビデオにどんな昔の僕が記録されているのか。嫌な予感しかしない。
「琴葉、旅行の荷物もあるから、あまり持ってこなくていいんだよ」
『……はいはい。厳選して持っていくよ、レイ君』
あははっ、と琴葉は笑っている。琴葉って姉さんと似ているところがあるから、女の子の服を着せられたときの写真とかを持ってきそうだなぁ。可愛いねと沙奈会長にからかわれる未来が容易に想像できてしまう。
「そうだ、琴葉。旅行は姉さんの車で行くことになったから」
『……そっか、麻実ちゃんってもう大学生なんだね。運転免許も取れる年齢になったんだねぇ。運転できるイメージが全くないけど』
「僕も同感だけど、本人曰く、運転するのが大好きらしいよ」
『そうなんだ。好きなら良かったよ。上手いかどうかは未知数だけど。移動中は、サービスエリアとかで定期的に甘いものを与えた方がいいね。麻実ちゃん、昔はあたし以上に甘いもの好きだったけど、今はどうなの?』
「今でも甘いもの好きは変わっていないよ」
というか、甘いものを「与える」って。まるで姉さんがペットみたいな言い方だ。
『そういえば、旅行中はどんなところに行くのかもう決めているんですか?』
「いくつか候補は挙がっているよ、琴葉。真っ先に挙がったのは河乃湖ハイランドだけど」
『そうなんだ。河乃湖ハイランドかぁ。昔、麻実ちゃんと3人でいつか行きたいねって話したよね』
「……そうだったね。琴葉、昔から絶叫マシンやお化け屋敷は大好きだったよね」
『スリルを味わうのは大好きだからね』
昔もそんなことを言っていたような気がする。
「琴葉の体調さえ良ければ……河乃湖ハイランドに行って、絶叫マシンとかお化け屋敷を楽しもうか」
『うん!』
「じゃあ、河乃湖ハイランドに行くことは決まりね。これを機に絶叫マシンやお化け屋敷を克服したいな」
「トライしてみるのはいいことだと思うよ、沙奈ちゃん。私もお化け屋敷……挑戦してみようかな。今だったら平気かもしれないし」
副会長さん、すっかりとお化け屋敷に挑戦する気満々だ。僕も遊園地はひさしぶりだけど、絶叫マシンやお化け屋敷……苦手になっているかも。
『ふふっ、楽しい旅行にしましょうね。ええと、旅行に行くのはレイ君、沙奈さん、樹里さん、麻実ちゃん、あたしの5人?』
「あと、私の妹の真奈で合計6人。そっか、琴葉ちゃんはまだ真奈には会ったことがないんだっけ」
『そうですね。沙奈さんって妹さんがいたんですね』
「ええ。中学2年生なの。私に比べたら大人しい子で、人懐っこいところもあるから琴葉ちゃんならすぐに仲良くなれると思うよ」
確かに、真奈ちゃんは沙奈会長よりも大人しい感じだけど、姉妹だから似ているところも多い。きっと、琴葉と旅行を通して仲良くなれるんじゃないだろうか。
『そうなんですね。妹さんと会うのを楽しみにしています。あたしは実質、明日出発ですから準備をしないと……』
「分かった。じゃあ、まずは明日……玲人君のお家で会いましょう、琴葉ちゃん」
『はい!』
琴葉の方から通話を切った。どうやら、琴葉は明日からの4日間を楽しみにしているようだ。元気そうな声を聞くことができて一安心。ただ、旅行中にはしゃぎすぎて体調を崩すことも考えられるので、琴葉を気にかけるようにしよう。
「真奈も河乃湖ハイランドには行きたがっていたから、2日目は河乃湖ハイランドでたっぷりと遊ぶ形にしましょうか」
「それがいいね。行きたい場所もいくつか挙がったし、今日はこの辺でお開きにしようか」
ホワイトボードに行きたいところを書いてあるけれど、はっきりとした場所は河乃湖ハイランドだけだけど。あとは、スイーツ店、神社、寺、温泉、富士山とかざっくりとしたものばかり。ちなみに、ウェディングドレス体験も書いてあるけど、それには赤く『×』マークがつけられていた。
「ですね。琴葉ちゃんやお姉様、真奈からも行きたい場所を聞いておきましょう。当日の集合場所や時間については、明日にでも話しましょう」
「そうだね。じゃあ、今日はこれで終わり! お疲れ様」
「お疲れ様でした! 樹里先輩、玲人君」
「お疲れ様でした」
家に帰ったら、姉さんにどんなところに行きたいか訊いてみよう。
明日は……琴葉がひさしぶりに家に泊まりに来るのか。昔は何てこと無かったのに、今はちょっと緊張していたりする。沙奈会長からの約束を破ってしまわないように気を付けないと。
あと、琴葉にとっては明日から旅行が始まるんだよな。楽しいって思えるような時間にしたい。
「どうしたの、玲人君。帰ろうよ」
「あっ、はい」
気付けば、生徒会室には沙奈会長と僕だけになっていた。副会長さん、先に帰っちゃったのか。
バッグを持って生徒会室から出ようとしたとき、
「待って」
沙奈会長は僕のことをぎゅっと抱きしめてきて、嬉しそうな笑みを浮かべながら見つめてくる。上目遣いが何とも愛らしくて。本当に……この人は僕への甘え方がとても上手な気がする。
「2人きりになったからって。しょうがないですね」
「……うん」
ゆっくりと目を瞑った沙奈会長にそっとキスをした。温かくて、甘くて、柔らかくて。生徒会室という場所がまたドキドキさせてくれる。
唇を離し、頬を赤くしながら僕のことをじっと見る沙奈会長は、とても可愛らしい僕の恋人でしかなかった。
「旅行中もたくさんキスしようね」
「ええ」
泊まる部屋は2人部屋だけど……沙奈会長と2人きりの時間をどこかで作ることができるといいな。そんなことを考えながら、僕は会長と一緒に学校を後にするのであった。
そんな琴葉の言葉が生徒会室に響き渡る。
昔から勝手に家に来ていたし、週末や夏休みや年末年始には泊まったこともあるけど……今は色々と事情が違うからな。家が遠くなったり、何よりも僕が沙奈会長という恋人ができたり。
「なるほどね。琴葉ちゃん、玲人君のお家に泊まりたいんだ……」
沙奈会長、今日一番の真剣な表情に。いくら幼馴染の琴葉とはいえ、僕の家に泊まりたいって言われたら、色々と考えることはあるよな。
『ご、ごめんなさい! その……本当はゴールデンウィーク中に日帰りでレイ君の家に遊びに行きたいと思っていて。ただ、2泊3日の旅行に行くことになったので、それならいっそのこと泊まろうと思ったんですけど……ごめんなさい! レイ君、沙奈さんっていう恋人がいるのに、こんなことを考えちゃダメですよね!』
「いや、その……ダメだなんて言ってないよ、琴葉ちゃん。もちろん、色々と思うことはあるけどね」
『沙奈さん……』
「退院したから、引っ越した玲人君の家に早く遊びに行きたいって思うのは当然だと思うし、それに……旅行のことは私達から提案したことだから。旅行に行くことを考えたら、明日は玲人君の家に泊まるのがいいと思うよ」
『ありがとうございます!』
まさか、琴葉が僕の家に泊まりに来ることを許すなんて。夢でも見ているんじゃないかと思ってしまうくらいに信じられない。
「ただし! 玲人君とひさしぶりに家で過ごして、気持ちが盛り上がっちゃって、一緒にお風呂に入ったり、キスしたり、キスよりも先のことをしたりするのは絶対にダメなんだからね! 玲人君もこれらのことを守るように! あと、琴葉ちゃんはお姉様と一緒に寝なさい。それらを守ると約束してくれるなら許してもいいよ」
『……約束します』
「僕も約束します」
「じゃあ、許す!」
『ありがとうございます!』
きっと、琴葉だからこそ、いくつか条件を出した上で、僕の家に泊まることを許したんだろう。沙奈会長の彼氏として琴葉と接しないといけないな。
「旅行の準備が一通り終わったら、私も玲人君の家に遊びに行くかもしれない」
『それなら、レイ君も写っている写真やホームビデオのDVDを持っていきますよ! 旅行の荷物もあるのでちょっとだけになっちゃいますけど』
「ありがとう! 楽しみにしてる! 頑張って準備を早く終わらせて絶対に行くよ!」
沙奈会長、一瞬にして目が輝いたな。前に僕の家へ泊まりに来たときにアルバムを見たのに。琴葉の持っているアルバムやホームビデオにどんな昔の僕が記録されているのか。嫌な予感しかしない。
「琴葉、旅行の荷物もあるから、あまり持ってこなくていいんだよ」
『……はいはい。厳選して持っていくよ、レイ君』
あははっ、と琴葉は笑っている。琴葉って姉さんと似ているところがあるから、女の子の服を着せられたときの写真とかを持ってきそうだなぁ。可愛いねと沙奈会長にからかわれる未来が容易に想像できてしまう。
「そうだ、琴葉。旅行は姉さんの車で行くことになったから」
『……そっか、麻実ちゃんってもう大学生なんだね。運転免許も取れる年齢になったんだねぇ。運転できるイメージが全くないけど』
「僕も同感だけど、本人曰く、運転するのが大好きらしいよ」
『そうなんだ。好きなら良かったよ。上手いかどうかは未知数だけど。移動中は、サービスエリアとかで定期的に甘いものを与えた方がいいね。麻実ちゃん、昔はあたし以上に甘いもの好きだったけど、今はどうなの?』
「今でも甘いもの好きは変わっていないよ」
というか、甘いものを「与える」って。まるで姉さんがペットみたいな言い方だ。
『そういえば、旅行中はどんなところに行くのかもう決めているんですか?』
「いくつか候補は挙がっているよ、琴葉。真っ先に挙がったのは河乃湖ハイランドだけど」
『そうなんだ。河乃湖ハイランドかぁ。昔、麻実ちゃんと3人でいつか行きたいねって話したよね』
「……そうだったね。琴葉、昔から絶叫マシンやお化け屋敷は大好きだったよね」
『スリルを味わうのは大好きだからね』
昔もそんなことを言っていたような気がする。
「琴葉の体調さえ良ければ……河乃湖ハイランドに行って、絶叫マシンとかお化け屋敷を楽しもうか」
『うん!』
「じゃあ、河乃湖ハイランドに行くことは決まりね。これを機に絶叫マシンやお化け屋敷を克服したいな」
「トライしてみるのはいいことだと思うよ、沙奈ちゃん。私もお化け屋敷……挑戦してみようかな。今だったら平気かもしれないし」
副会長さん、すっかりとお化け屋敷に挑戦する気満々だ。僕も遊園地はひさしぶりだけど、絶叫マシンやお化け屋敷……苦手になっているかも。
『ふふっ、楽しい旅行にしましょうね。ええと、旅行に行くのはレイ君、沙奈さん、樹里さん、麻実ちゃん、あたしの5人?』
「あと、私の妹の真奈で合計6人。そっか、琴葉ちゃんはまだ真奈には会ったことがないんだっけ」
『そうですね。沙奈さんって妹さんがいたんですね』
「ええ。中学2年生なの。私に比べたら大人しい子で、人懐っこいところもあるから琴葉ちゃんならすぐに仲良くなれると思うよ」
確かに、真奈ちゃんは沙奈会長よりも大人しい感じだけど、姉妹だから似ているところも多い。きっと、琴葉と旅行を通して仲良くなれるんじゃないだろうか。
『そうなんですね。妹さんと会うのを楽しみにしています。あたしは実質、明日出発ですから準備をしないと……』
「分かった。じゃあ、まずは明日……玲人君のお家で会いましょう、琴葉ちゃん」
『はい!』
琴葉の方から通話を切った。どうやら、琴葉は明日からの4日間を楽しみにしているようだ。元気そうな声を聞くことができて一安心。ただ、旅行中にはしゃぎすぎて体調を崩すことも考えられるので、琴葉を気にかけるようにしよう。
「真奈も河乃湖ハイランドには行きたがっていたから、2日目は河乃湖ハイランドでたっぷりと遊ぶ形にしましょうか」
「それがいいね。行きたい場所もいくつか挙がったし、今日はこの辺でお開きにしようか」
ホワイトボードに行きたいところを書いてあるけれど、はっきりとした場所は河乃湖ハイランドだけだけど。あとは、スイーツ店、神社、寺、温泉、富士山とかざっくりとしたものばかり。ちなみに、ウェディングドレス体験も書いてあるけど、それには赤く『×』マークがつけられていた。
「ですね。琴葉ちゃんやお姉様、真奈からも行きたい場所を聞いておきましょう。当日の集合場所や時間については、明日にでも話しましょう」
「そうだね。じゃあ、今日はこれで終わり! お疲れ様」
「お疲れ様でした! 樹里先輩、玲人君」
「お疲れ様でした」
家に帰ったら、姉さんにどんなところに行きたいか訊いてみよう。
明日は……琴葉がひさしぶりに家に泊まりに来るのか。昔は何てこと無かったのに、今はちょっと緊張していたりする。沙奈会長からの約束を破ってしまわないように気を付けないと。
あと、琴葉にとっては明日から旅行が始まるんだよな。楽しいって思えるような時間にしたい。
「どうしたの、玲人君。帰ろうよ」
「あっ、はい」
気付けば、生徒会室には沙奈会長と僕だけになっていた。副会長さん、先に帰っちゃったのか。
バッグを持って生徒会室から出ようとしたとき、
「待って」
沙奈会長は僕のことをぎゅっと抱きしめてきて、嬉しそうな笑みを浮かべながら見つめてくる。上目遣いが何とも愛らしくて。本当に……この人は僕への甘え方がとても上手な気がする。
「2人きりになったからって。しょうがないですね」
「……うん」
ゆっくりと目を瞑った沙奈会長にそっとキスをした。温かくて、甘くて、柔らかくて。生徒会室という場所がまたドキドキさせてくれる。
唇を離し、頬を赤くしながら僕のことをじっと見る沙奈会長は、とても可愛らしい僕の恋人でしかなかった。
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