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第28話『観覧車には誰と乗る?』
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無事に出口に辿り着き、俺達はお化け屋敷の外に出た。20分近くお化け屋敷の中にいたから、外は眩しく、ジャケットを着ていない状態でも結構暖かく感じる。
「外に出られたのね……」
「出られましたね。怖かったのでほっとします……」
「本当にそうね」
「中が薄暗かったから、明るい場所に出られるとほっとするよね。あと、暖かいのが心地いい……」
結菜達はとてもほっとした様子だ。3人はお化けや幽霊が出る度に絶叫して怖がっていたからな。特に結菜と神崎さんは。
ただ、お化け屋敷の怖さの余韻が残っているのか、結菜は今も俺の腕を抱きしめており、藤原さんと神崎さんは俺のシャツの裾を掴んでいる。
「怖かったですけど、お兄ちゃんもいましたし、千弦さんと玲央さんと一緒に叫べたのは良かったです」
「怖いのは自分だけじゃなかったしね。結菜ちゃんと千弦と一緒に叫んだことで、怖い想いがちょっと紛れたわ」
「そうだね。叫ぶと気持ちが少しスカッとするし。あと、白石君が一緒で心強かったよ」
「そうね。常に落ち着いていたし。それに、途中からは白石の背中を目隠しにしていたから」
「お兄ちゃんと一緒で良かったよ!」
「そう言ってくれて嬉しいよ。結菜達と一緒にお化け屋敷を入って楽しかった。俺を頼りにしてくれたのも嬉しかったし」
俺が一緒にいたことで、結菜達が少しは安心できたようで嬉しい。
結菜と神崎さんは明るい笑顔、藤原さんは穏やかな笑顔を見せてくれる。お化け屋敷の中では怖がっていることが多かったので、3人の笑顔を見られて良かった。
「白石君。ジャケット返すよ。ありがとう。このジャケットのおかげで、お化け屋敷の中では寒さを感じずに済んだよ」
「どういたしまして。……脱ぐ前に写真を撮らせてくれないか? 似合ってるから」
「ああ、かまわないよ」
「ありがとう」
俺はサマージャケットを着た藤原さんの写真をスマホで撮る。結菜と神崎さん、そして藤原さんも欲しいと言ったので、LIMEで3人に写真を送った。
藤原さんからサマージャケットを返してもらい、袖を通した。お化け屋敷にいたのは20分ほどなのに、随分と久しぶりに着た感じがする。日差しを浴びているのでかなり温かいけど、藤原さんの優しい温もりや甘い匂いを感じられるので、特に暑苦しさはなかった。むしろ、心地いいと思えるほどだ。
「おー! 出口だー!」
「終わったね! 凄く怖かったよ。無事に出られて良かった……」
「結構怖かったね」
「坂井君と吉岡さんはいい叫びっぷりだったね。星野さんは私の腕にしがみついてて可愛かったよ」
パー組である琢磨と吉岡さん、星野さん、山本先生がお化け屋敷から出てきた。琢磨と吉岡さんと星野さんはほっとした様子で、心霊系が平気な山本先生はいつもの落ち着いた笑顔を見せている。
「パー組のみなさん、お疲れ様です」
「めっちゃ怖かったぜ!」
「琢磨君と彩葉と一緒にいっぱい叫んだよ!」
「叫んだね。今回は結構怖かったよ。だから、飛鳥先生もいて良かった……」
「嬉しい言葉だね。3人の反応も含めてお化け屋敷が楽しかったよ」
「そうでしたか。俺も楽しかったです」
「怖かったので、千弦さんと玲央さんと一緒にいっぱい叫びました! お兄ちゃんの腕にずっとしがみついていました」
「あたしは白石の背中を目隠しにしていました」
「私は白石君のシャツの裾をずっと掴んでました。寒かったので、彼のジャケットも借りてて。白石君はとても頼りになると思いました」
「あたしもです。心強かったです」
「そうだったんだ。4人の様子を見てみたかったね」
山本先生は穏やかな笑顔でそう言った。
あと、藤原さんと神崎さんが山本先生達に、俺が頼りになるとか心強かったとか言ってくれるとは。俺がしたことは3人の側にいたり、藤原さんにジャケットを貸したりしたくらいだけど。3人のためになれたのだと今一度実感できた。
――ぐううっ!
かなり大きな音が鳴った。その方に視線を向けると、琢磨が笑顔でお腹をさすっている。
「腹鳴っちまったぜ! これまで行ったアトラクションでいっぱい叫んだからかな?」
ははっ! と、琢磨は声に出して朗らかに笑っている。そんな琢磨の振る舞いもあって、俺達全員は笑いに包まれる。
「いっぱい叫んだのもあるけど、もう正午を過ぎているから、坂井君のお腹が減るのも自然なことじゃないかな」
山本先生は右手にしている腕時計を見ながらそう言う。
もう正午を過ぎているんだ。まあ、アトラクションを3つ遊んだし、それぞれ20分から30分くらい待ったからお昼時にもなるか。
「お昼時だし、フードエリアに行ってお昼ご飯を食べるのはどうだろう?」
山本先生のその提案に、盛大に腹が鳴った琢磨はもちろん、他の6人全員が賛成した。なので、フードエリアでお昼ご飯を食べることに決まった。
俺達はフードエリアに行く。
お昼時なのもあって、フードエリアは多くの人で賑わっている。
フードエリアには飲食店がいくつかある。俺達は幅広いメニューを楽しむことができるレストランでお昼ご飯を食べることに。俺は生姜焼き定食、藤原さんはオムライス、星野さんはナポリタン、神崎さんはデミグラスソースオムライス、琢磨はカツカレー大盛り、吉岡さんは醤油ラーメン、結菜はカルボナーラ、山本先生はミートソースを注文。
8人いるので、4人用のテーブル席を2つ使うことに。お化け屋敷のときのようにグーパーで分かれた。俺は藤原さんと琢磨と吉岡さんと一緒のテーブルで食べた。
お昼ご飯の後は再びアトラクションで遊び、コーヒーカップやメリーゴーランドといった王道アトラクションや、回転ブランコやバイキングといった絶叫系アトラクションを中心に廻った。
どのアトラクションもとても楽しくて。だから、あっという間に時間は過ぎていって。
気付けば、夕方の時間帯になり、陽の光の色が茜色になり始めていた。夕陽に照らされたアトラクションも茜色に色づいている。
「午後5時半近いね。帰ることを考えると、行けるアトラクションはあと1つかな」
山本先生は腕時計を見ながらそう言った。
山本先生の言う通り、帰ることを考えたら、次に行くアトラクションで最後にした方がいいかな。お昼頃よりもお客さんの数は少ないけど、アトラクションによっては列に並ばないといけないし。
「最後なら、私……あそこに行きたいです」
藤原さんはそう言うと、ある方向に指さした。そこにあるのは……観覧車だ。観覧車も遊園地の王道アトラクションの一つだ。ちなみに、観覧車にはまだ一度も乗っていない。
「観覧車か。いいね、千弦ちゃん」
「あたしも賛成よ。観覧車も王道だし、一度は乗りたいわよね」
「あたしも賛成ですっ! 遊園地に来たら必ず乗りますし」
「そうだな、結菜。俺も賛成だ」
「俺もいいぜ」
「あたしも!」
「先生も賛成だよ。最後に観覧車からゆっくりと景色を眺めたいね」
俺達7人は全員、観覧車に行くことを賛成した。それもあり、藤原さんは嬉しそうな笑顔になる。
「ありがとうございます! では、観覧車に行きましょう」
藤原さんがそう言い、最後に行くのは観覧車に行くことが決まった。
観覧車に向けて俺達は園内を歩き始める。
午前中から色々なアトラクションを廻って、園内は何度も歩いている。だけど、お昼に比べたら人は少なめだし、夕陽に染まっている。だから、ちょっと新鮮に感じられた。
観覧車の入口が見えてきた。
ただ、観覧車も定番なのもあり、入口に向かって結構長い列ができている。最初に行ったジェットコースターくらいに長いだろうか。
ここでも2列で並ぶので、琢磨&吉岡さん、結菜&神崎さん、俺&藤原さん、星野さん&山本先生の順番で並ぶ。
「そういえば、パークランドの観覧車って何人まで一緒に乗れるのかしら?」
並んですぐに神崎さんがそう問いかけてくる。
ここの観覧車に何人まで乗れるのか……か。今まで来たときの記憶を何とか探ってみる。
「……少なくとも4人は一緒に乗れるはずだ。家族で来たとき、みんな一緒に乗れたから」
「そうだったね、お兄ちゃん。あたしが小学生の頃だったのもあるけど、家族4人で座ったときは余裕があったよね」
「千弦ちゃん達と一緒に遊びに行ったとき、4、5人で乗った記憶はある」
「そうだね」
「よし、俺が近くにいるスタッフに訊いてくるぜ」
琢磨は列から抜けて、観覧車の入口近くにいる男性のスタッフさんのところに走っていった。普段からバスケをして走るから脚がとても速いな。あと、体格のいい琢磨が走っているから、列に並んでいる人を中心に琢磨のことを見ていた。
少しして、琢磨は男性のスタッフさんに頭を下げると、走って戻ってきた。さあ、何人まで一緒に乗れるのか。
「訊いてきたぜ! 6人まで乗れるとのことだ!」
「そうか。6人か。訊いてきてくれてありがとう」
6人ということは、8人全員で一緒に乗ることはできないか。
「6人となると、少なくとも2グループに分けないといけないね」
「そうっすね。誰と一緒に乗るのがいいっすかね……」
「6人っていうと、女性の数と同じだね」
「おおっ、男女で分かれて乗るのか。それは面白そうだな、早希」
同じ人数ではないけど、男女で乗るゴンドラを分けるのも一つの手ではある。琢磨の言う通り面白そうな気もする。ただ、
「琢磨と男2人で乗るのも楽しそうだけど……2人で乗るなら、琢磨と吉岡さんで乗ってほしいなって俺は思ってる。2人の時間を過ごしてほしいなって。もちろん、2人さえ良ければの話だけど」
「確かに、早希と2人きりで乗るのも魅力的だな」
「そうだね、琢磨君」
おっ、2人が乗り気になってくれてる。
「白石君の案、私はいいなって思うよ。2人はカップルだし、せっかくの遊園地だから、白石君の言う通り2人きりの時間も過ごしてほしいなって」
「千弦ちゃんと同じ意見だよ」
「全員一緒には乗れないしね。それなら、早希と坂井でカップルの時間を過ごしてほしいわ」
「ラブラブイチャイチャしてほしいです!」
「君達と一緒に乗るのも楽しそうだけどね。2人の時間を過ごすのもいいんじゃないかって思うよ」
藤原さん達も琢磨と吉岡さんが2人になる提案を後押ししてくれた。発案者なので嬉しく思う。
「分かった。みんながそう言ってくれるなら、早希と2人きりで乗るぜ」
「そうだね、琢磨君」
俺達6人が賛成したのもあってか、琢磨と吉岡さんは笑顔で快諾してくれた。
「みんなありがとう。特に提案してくれた白石君は」
「いえいえ」
琢磨と吉岡さんが2人きりの時間を過ごせることになって嬉しいよ。
「じゃあ、残りの俺達6人で一緒に乗りますか?」
「うん、それがいいと思う」
藤原さんが最初に賛成すると、結菜達4人も笑顔で賛同してくれた。
どういう振り分けで観覧車に乗るかが決まったので、それからは今日のパークランドで遊んだことを中心に話しながら待機列での時間を過ごした。
「外に出られたのね……」
「出られましたね。怖かったのでほっとします……」
「本当にそうね」
「中が薄暗かったから、明るい場所に出られるとほっとするよね。あと、暖かいのが心地いい……」
結菜達はとてもほっとした様子だ。3人はお化けや幽霊が出る度に絶叫して怖がっていたからな。特に結菜と神崎さんは。
ただ、お化け屋敷の怖さの余韻が残っているのか、結菜は今も俺の腕を抱きしめており、藤原さんと神崎さんは俺のシャツの裾を掴んでいる。
「怖かったですけど、お兄ちゃんもいましたし、千弦さんと玲央さんと一緒に叫べたのは良かったです」
「怖いのは自分だけじゃなかったしね。結菜ちゃんと千弦と一緒に叫んだことで、怖い想いがちょっと紛れたわ」
「そうだね。叫ぶと気持ちが少しスカッとするし。あと、白石君が一緒で心強かったよ」
「そうね。常に落ち着いていたし。それに、途中からは白石の背中を目隠しにしていたから」
「お兄ちゃんと一緒で良かったよ!」
「そう言ってくれて嬉しいよ。結菜達と一緒にお化け屋敷を入って楽しかった。俺を頼りにしてくれたのも嬉しかったし」
俺が一緒にいたことで、結菜達が少しは安心できたようで嬉しい。
結菜と神崎さんは明るい笑顔、藤原さんは穏やかな笑顔を見せてくれる。お化け屋敷の中では怖がっていることが多かったので、3人の笑顔を見られて良かった。
「白石君。ジャケット返すよ。ありがとう。このジャケットのおかげで、お化け屋敷の中では寒さを感じずに済んだよ」
「どういたしまして。……脱ぐ前に写真を撮らせてくれないか? 似合ってるから」
「ああ、かまわないよ」
「ありがとう」
俺はサマージャケットを着た藤原さんの写真をスマホで撮る。結菜と神崎さん、そして藤原さんも欲しいと言ったので、LIMEで3人に写真を送った。
藤原さんからサマージャケットを返してもらい、袖を通した。お化け屋敷にいたのは20分ほどなのに、随分と久しぶりに着た感じがする。日差しを浴びているのでかなり温かいけど、藤原さんの優しい温もりや甘い匂いを感じられるので、特に暑苦しさはなかった。むしろ、心地いいと思えるほどだ。
「おー! 出口だー!」
「終わったね! 凄く怖かったよ。無事に出られて良かった……」
「結構怖かったね」
「坂井君と吉岡さんはいい叫びっぷりだったね。星野さんは私の腕にしがみついてて可愛かったよ」
パー組である琢磨と吉岡さん、星野さん、山本先生がお化け屋敷から出てきた。琢磨と吉岡さんと星野さんはほっとした様子で、心霊系が平気な山本先生はいつもの落ち着いた笑顔を見せている。
「パー組のみなさん、お疲れ様です」
「めっちゃ怖かったぜ!」
「琢磨君と彩葉と一緒にいっぱい叫んだよ!」
「叫んだね。今回は結構怖かったよ。だから、飛鳥先生もいて良かった……」
「嬉しい言葉だね。3人の反応も含めてお化け屋敷が楽しかったよ」
「そうでしたか。俺も楽しかったです」
「怖かったので、千弦さんと玲央さんと一緒にいっぱい叫びました! お兄ちゃんの腕にずっとしがみついていました」
「あたしは白石の背中を目隠しにしていました」
「私は白石君のシャツの裾をずっと掴んでました。寒かったので、彼のジャケットも借りてて。白石君はとても頼りになると思いました」
「あたしもです。心強かったです」
「そうだったんだ。4人の様子を見てみたかったね」
山本先生は穏やかな笑顔でそう言った。
あと、藤原さんと神崎さんが山本先生達に、俺が頼りになるとか心強かったとか言ってくれるとは。俺がしたことは3人の側にいたり、藤原さんにジャケットを貸したりしたくらいだけど。3人のためになれたのだと今一度実感できた。
――ぐううっ!
かなり大きな音が鳴った。その方に視線を向けると、琢磨が笑顔でお腹をさすっている。
「腹鳴っちまったぜ! これまで行ったアトラクションでいっぱい叫んだからかな?」
ははっ! と、琢磨は声に出して朗らかに笑っている。そんな琢磨の振る舞いもあって、俺達全員は笑いに包まれる。
「いっぱい叫んだのもあるけど、もう正午を過ぎているから、坂井君のお腹が減るのも自然なことじゃないかな」
山本先生は右手にしている腕時計を見ながらそう言う。
もう正午を過ぎているんだ。まあ、アトラクションを3つ遊んだし、それぞれ20分から30分くらい待ったからお昼時にもなるか。
「お昼時だし、フードエリアに行ってお昼ご飯を食べるのはどうだろう?」
山本先生のその提案に、盛大に腹が鳴った琢磨はもちろん、他の6人全員が賛成した。なので、フードエリアでお昼ご飯を食べることに決まった。
俺達はフードエリアに行く。
お昼時なのもあって、フードエリアは多くの人で賑わっている。
フードエリアには飲食店がいくつかある。俺達は幅広いメニューを楽しむことができるレストランでお昼ご飯を食べることに。俺は生姜焼き定食、藤原さんはオムライス、星野さんはナポリタン、神崎さんはデミグラスソースオムライス、琢磨はカツカレー大盛り、吉岡さんは醤油ラーメン、結菜はカルボナーラ、山本先生はミートソースを注文。
8人いるので、4人用のテーブル席を2つ使うことに。お化け屋敷のときのようにグーパーで分かれた。俺は藤原さんと琢磨と吉岡さんと一緒のテーブルで食べた。
お昼ご飯の後は再びアトラクションで遊び、コーヒーカップやメリーゴーランドといった王道アトラクションや、回転ブランコやバイキングといった絶叫系アトラクションを中心に廻った。
どのアトラクションもとても楽しくて。だから、あっという間に時間は過ぎていって。
気付けば、夕方の時間帯になり、陽の光の色が茜色になり始めていた。夕陽に照らされたアトラクションも茜色に色づいている。
「午後5時半近いね。帰ることを考えると、行けるアトラクションはあと1つかな」
山本先生は腕時計を見ながらそう言った。
山本先生の言う通り、帰ることを考えたら、次に行くアトラクションで最後にした方がいいかな。お昼頃よりもお客さんの数は少ないけど、アトラクションによっては列に並ばないといけないし。
「最後なら、私……あそこに行きたいです」
藤原さんはそう言うと、ある方向に指さした。そこにあるのは……観覧車だ。観覧車も遊園地の王道アトラクションの一つだ。ちなみに、観覧車にはまだ一度も乗っていない。
「観覧車か。いいね、千弦ちゃん」
「あたしも賛成よ。観覧車も王道だし、一度は乗りたいわよね」
「あたしも賛成ですっ! 遊園地に来たら必ず乗りますし」
「そうだな、結菜。俺も賛成だ」
「俺もいいぜ」
「あたしも!」
「先生も賛成だよ。最後に観覧車からゆっくりと景色を眺めたいね」
俺達7人は全員、観覧車に行くことを賛成した。それもあり、藤原さんは嬉しそうな笑顔になる。
「ありがとうございます! では、観覧車に行きましょう」
藤原さんがそう言い、最後に行くのは観覧車に行くことが決まった。
観覧車に向けて俺達は園内を歩き始める。
午前中から色々なアトラクションを廻って、園内は何度も歩いている。だけど、お昼に比べたら人は少なめだし、夕陽に染まっている。だから、ちょっと新鮮に感じられた。
観覧車の入口が見えてきた。
ただ、観覧車も定番なのもあり、入口に向かって結構長い列ができている。最初に行ったジェットコースターくらいに長いだろうか。
ここでも2列で並ぶので、琢磨&吉岡さん、結菜&神崎さん、俺&藤原さん、星野さん&山本先生の順番で並ぶ。
「そういえば、パークランドの観覧車って何人まで一緒に乗れるのかしら?」
並んですぐに神崎さんがそう問いかけてくる。
ここの観覧車に何人まで乗れるのか……か。今まで来たときの記憶を何とか探ってみる。
「……少なくとも4人は一緒に乗れるはずだ。家族で来たとき、みんな一緒に乗れたから」
「そうだったね、お兄ちゃん。あたしが小学生の頃だったのもあるけど、家族4人で座ったときは余裕があったよね」
「千弦ちゃん達と一緒に遊びに行ったとき、4、5人で乗った記憶はある」
「そうだね」
「よし、俺が近くにいるスタッフに訊いてくるぜ」
琢磨は列から抜けて、観覧車の入口近くにいる男性のスタッフさんのところに走っていった。普段からバスケをして走るから脚がとても速いな。あと、体格のいい琢磨が走っているから、列に並んでいる人を中心に琢磨のことを見ていた。
少しして、琢磨は男性のスタッフさんに頭を下げると、走って戻ってきた。さあ、何人まで一緒に乗れるのか。
「訊いてきたぜ! 6人まで乗れるとのことだ!」
「そうか。6人か。訊いてきてくれてありがとう」
6人ということは、8人全員で一緒に乗ることはできないか。
「6人となると、少なくとも2グループに分けないといけないね」
「そうっすね。誰と一緒に乗るのがいいっすかね……」
「6人っていうと、女性の数と同じだね」
「おおっ、男女で分かれて乗るのか。それは面白そうだな、早希」
同じ人数ではないけど、男女で乗るゴンドラを分けるのも一つの手ではある。琢磨の言う通り面白そうな気もする。ただ、
「琢磨と男2人で乗るのも楽しそうだけど……2人で乗るなら、琢磨と吉岡さんで乗ってほしいなって俺は思ってる。2人の時間を過ごしてほしいなって。もちろん、2人さえ良ければの話だけど」
「確かに、早希と2人きりで乗るのも魅力的だな」
「そうだね、琢磨君」
おっ、2人が乗り気になってくれてる。
「白石君の案、私はいいなって思うよ。2人はカップルだし、せっかくの遊園地だから、白石君の言う通り2人きりの時間も過ごしてほしいなって」
「千弦ちゃんと同じ意見だよ」
「全員一緒には乗れないしね。それなら、早希と坂井でカップルの時間を過ごしてほしいわ」
「ラブラブイチャイチャしてほしいです!」
「君達と一緒に乗るのも楽しそうだけどね。2人の時間を過ごすのもいいんじゃないかって思うよ」
藤原さん達も琢磨と吉岡さんが2人になる提案を後押ししてくれた。発案者なので嬉しく思う。
「分かった。みんながそう言ってくれるなら、早希と2人きりで乗るぜ」
「そうだね、琢磨君」
俺達6人が賛成したのもあってか、琢磨と吉岡さんは笑顔で快諾してくれた。
「みんなありがとう。特に提案してくれた白石君は」
「いえいえ」
琢磨と吉岡さんが2人きりの時間を過ごせることになって嬉しいよ。
「じゃあ、残りの俺達6人で一緒に乗りますか?」
「うん、それがいいと思う」
藤原さんが最初に賛成すると、結菜達4人も笑顔で賛同してくれた。
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