クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ

文字の大きさ
32 / 143

第31話『連休明け』

しおりを挟む
 5月7日、火曜日。
 ゴールデンウィークが明け、今日から再び学校生活が始まる。
 今年のゴールデンウィークは千弦の家や俺の家で遊んだり、結菜と千弦と星野さんと一緒に映画を観に行ったり、8人で東京パークランドに遊びに行ったり。バイトをした日もあったので、去年よりも盛りだくさんで楽しいゴールデンウィークになったな。そう思えるのは、ナンパの一件で千弦と関わるようになり、千弦と星野さんと神崎さんと友達になったからだろう。
 ゴールデンウィークが楽しかったし、学校に行けば同じクラスに琢磨や千弦達がいる。おまけに、曜日の関係で今週は火曜日スタート。だから、五月病にはならずに済むだろう。

「いってきます」

 午前8時過ぎ。
 今日もいつも通りの時間に、学校に向けて家を出発する。
 今日は朝から晴天だ。幸先のいい連休明けのスタートじゃないだろうか。今日の学校と放課後にあるバイトを頑張れそうだ。

「日差し強いなぁ。ジャケットを着ないで正解だった……」

 今、俺はジャケットを着ておらず、ワイシャツの上にグレーのベストを着ている。起きた段階で寒さを感じなかったし、最高気温が25度になると予報されているからだ。
 2年生になってから、ジャケットを着ないで登校するのはこれが初めて。今月末まで冬服期間だけど、晴れている日は基本的にこの服装になると思う。
 ちなみに、洲中高校では校則により、5月はジャケットを着ずに学校生活を送ってもいいことになっている。5月になると、晴れている日だと日中はかなり暑くなる日があるからだろう。
 琢磨や千弦達はどういう服装になっているだろうか。先週は晴れてもそこまで暑くなったからか、琢磨以外はジャケットを着ていたけど。
 洲中駅前やバイト先のゾソールを通り過ぎると、周りを歩く人の大半は洲中高校の制服を着た生徒だ。ジャケットを着ている生徒もいるけど、俺のようにジャケットは着ず、ベストやカーディガンを着る生徒が結構いる。
 うちの高校は学校指定のベストやカーディガンはない。着てきていい色やデザインも自由なので、目の前の光景は割とカラフル。来月からは夏服期間になってジャケットもなくなるので、これからしばらくの間は登下校時にこういう光景を見ることになるだろう。
 それから程なくして、校門を通り、2年3組の教室がある教室A棟に入る。
 昇降口で上履きに履き替え、教室のある4階まで階段で上がっていく。
 4階に上がり、俺は教室後方の扉から2年3組の教室に入る。

「おっ、洋平来たな! おはよう!」

 教室に入った直後、自分の席に座っている琢磨がいち早く俺のことに気付いて元気良く挨拶してくれた。その流れで、琢磨の周りにいる吉岡さん、千弦、星野さん、神崎さんも俺に向かって笑顔で「おはよう」と挨拶してくれた。昨日はパークランドで遊んだのもあり、これまで以上にいい笑顔になっているように見える。
 朝来ると、藤原さんと星野さんと神崎さんは別の友達と話していることもある。ただ、今日は琢磨と吉岡さんと一緒だ。昨日、パークランドで楽しく遊んだからかな。

「みんなおはよう」

 俺はそう挨拶して、自分の席へ向かう。その中で5人の服装を見ると……みんなジャケットは着ていない。
 琢磨はワイシャツ姿で、袖を肘近くまで待っている。吉岡さんはブラウンのベストを着ている。2人の服装は去年、ジャケットを着なくていい時期や夏服期間にたくさん見た。なので、何だか懐かしい気分になる。
 千弦はネイビー色のベスト、星野さんはピンク色のベスト、神崎さんは赤いベストを着ている。3人のベスト姿は全然見たことがないので新鮮な気持ちになれる。
 ちなみに、教室にいる生徒の8割近くがジャケットを脱いでいる。
 自分の席に到着し、机にスクールバッグと、体育の授業があるので体操着が入った袋を置いた。

「洋平もベスト姿で登校してきたな!」
「そうだね、琢磨君。今日はみんなジャケットを着ずに登校してきたから、白石君もジャケットを着ないで登校してくるかどうかって話になっていたんだよ」
「そうだったのか」

 先週は琢磨以外みんなジャケットを着ていたから、服装のことが話題になるのも自然な流れかな。

「今日は結構暖かくなるから、白石はジャケットを着ないってあたしは予想してた」
「私は、もしバイトがあったら夜になるから、白石君はジャケットを着るかもって予想したよ」
「ジャケット好きだから、ブレザーのジャケットを着てくるかなって思ってた」
「俺は着ないと思ってたぜ!」
「あたしもね。去年も5月になると着ない日があったから」
「なるほどな。……神崎さんと琢磨と吉岡さんが正解だったな。理由も当たっている神崎さんが一番正解だな」
「ふふっ、そっか」

 神崎さん、結構嬉しそうだ。可愛いな。
 正解した琢磨と吉岡さんはもちろん、外れてしまった千弦と星野さんも笑顔だ。

「みんな、ワイシャツ姿とかベスト姿が似合ってるな。琢磨と吉岡さんは懐かしいし、千弦と星野さんと神崎さんはあんまり見たことないから新鮮だ」
「おう、ありがとな! 洋平のベスト姿も懐かしいぜ!」
「ありがとね。このブラウンのベストは気に入っているから、今年も着ることにしたんだ。白石君のグレーのベスト姿も懐かしいよ」
「あたしもこの赤いベストを気に入っているからね。赤が好きだし。だから、ありがとう、白石。白石も似合っているわ」
「似合っているよね、玲央ちゃん。私も去年から着ているベストだから、似合っているって言ってくれて嬉しいよ」
「私もこのベストが好きだから、洋平に似合っているって言ってもらえて嬉しいよ。洋平も似合ってるよ。かっこいい」
「みんなありがとう」

 みんなから似合っていると言ってもらえて嬉しいな。特に、今年初めて同じクラスになって友達になった千弦と星野さんと神崎さんに言われたことが。

「そういえば、千弦と白石……下の名前で呼ぶようになったのね」
「玲央の言う通りだね。昨日、パークランドで遊んだときは名字で呼んでいたし」
「……私が洋平と名前呼びしたいと思ってね。昨日、洲中に帰ってきたときに、洋平にお願いしたんだ。そうしたら、洋平は快く「いいよ」って言ってくれて」

 千弦はちょっと照れくさそうな様子でそう言った。洲中駅で俺と2人きりになってお願いしたし、2人きりで話したいと千弦が言ったときに星野さんと琢磨がいたからかな。
 ちなみに、星野さんと琢磨は……星野さんはいつもと変わらない優しい笑顔で俺と千弦を交互に見ており、琢磨はどこか納得した様子だった。きっと、2人とも、昨日の帰りに千弦が俺と2人きりになりたいと言った理由が分かったのだと思われる。

「なるほど。そういうことがあったのね。良かったわね、千弦」
「良かったね、千弦」
「千弦ちゃん、良かったね」
「良かったじゃないか」

 神崎さん達は優しい笑顔で千弦に言う。

「うん、ありがとう」

 千弦はニコッとした笑顔になる。俺が名前呼びすることを許可したからだと思うと、何だか嬉しい気持ちになるな。そして、千弦が可愛く思える。

「ねえ、みんな。似合っているし、ベスト姿とかワイシャツ姿の写真を撮ってもいい?」

 神崎さんはスマホを手に持ちながらそう言ってくる。似合っていると言うだけあって、ワクワクした様子になっていて。
 俺達は神崎さんのお願いに快諾し、神崎さんのスマホで今の制服姿の写真をたくさん撮影した。千弦達女子4人の写真や、俺と琢磨の男のツーショットなど。神崎さんの友達の女子に頼んで、6人での写真も撮ってもらった。それらの写真はLIMEのグループトークに送ってもらった。
 写真撮影会が終わった後は、昨日遊びに行ったパークランドの話で盛り上がった。それもあり、

 ――キーンコーンカーンコーン。
「はい、みんな。席に着いてね」

 朝礼を知らせるチャイムが鳴り、それと同時に山本先生が教室に来るまであっという間だった。今日は暖かくなる予報だからか、先生はロングスカートにノースリーブのブラウスという涼しげな服装だ。
 山本先生を見ていると、昨日のパークランドで楽しそうにしていた先生を思い出す。そんな中、教卓に立っている先生と目が合うと、先生は俺に微笑みかけてくれた。そんな先生がとても可愛くて。
 今週の学校生活が始まる。
 千弦や琢磨達と一緒に授業を受けるし、今日は山本先生が担当する現代文の授業もある。だから、今日の授業も放課後のバイトも頑張れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!

みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!  杉藤千夏はツンデレ少女である。  そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。  千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。  徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い! ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ

桜庭かなめ
恋愛
 高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。  あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。  3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。  出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!  ※特別編6が完結しました!(2026.1.21)  ※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

処理中です...