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続編
第31話『七夕祭り③-2人きりで・後編-』
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ラムネを飲み終わり、俺達は再び屋台が並ぶエリアに戻る。
「次はどこの屋台に行くか?」
「そうだね……これまで色々なものを食べたり、ラムネを飲んだりしたからね。今のところは『ここに行きたい!』っていう屋台はないかな。洋平君はどう?」
「俺も千弦と同じだ」
「そっか。分かった。じゃあ、とりあえず歩いて、気になったり、いいなって思ったりした屋台へ行こうか」
「そうしよう。もし、そういう屋台があったら遠慮なく言ってくれよ」
「うん、分かった。洋平君もね」
「ああ、分かった」
俺達は屋台が並ぶエリアを歩いていく。これまで廻った屋台のことを中心に話しながら。
千弦と2人きりだし、話すのが楽しいから、こうして特に目的地もなく会場内を歩くのも楽しいな。
会場は特別広いわけではないので、星野さん達やデート中の琢磨と吉岡さんとも会う。ただ、デート中なのもあり、手を振り合ったり軽く話したりする程度に留めた。
「あっ……」
と、声を漏らして、千弦は歩みを止める。
「どうした、千弦」
「……あそこにあるペンギンのぬいぐるみが可愛いなって思って」
そう言い、千弦が指さしたのは……射的の屋台の景品台に乗っているペンギンのぬいぐるみだった。丸っこいフォルムが特徴的で可愛い。大きさは……千弦が抱きしめるとちょうど良さそうな感じだ。
「可愛いぬいぐるみだな」
「可愛いよねっ。ペンギンも好きだし、丸みがあって抱きしめやすそうな雰囲気もいいなって」
「そうか。そういえば、春にクレーンゲームでゲットした猫のぬいぐるみも、丸っこくて抱きしめやすい感じだったな」
「そうだね。あのハチワレ猫のぬいぐるみ……本当に抱き心地が良くて癒やされてるよ」
「そうか。嬉しいな」
そう言うのは、猫のぬいぐるみは俺がプレイしてゲットしたものだから。千弦はクレーンゲームがあまり得意ではなく、何回かプレイしても取れる気配がなかったので、俺がゲットしたのだ。
「あのペンギンのぬいぐるみ……欲しいな」
「そうか。ちなみに……射的は得意なのか?」
「ううん、得意じゃない。クレーンゲームと同じだね。全く取れないわけじゃないけど……目的のものをゲットするためには結構お金がかかっちゃうことが多いね。まあ、射的だから、意外な方向に飛んだコルクが別のものに当たってゲットするってこともあるけど」
「そうなんだ」
「ちなみに、洋平君はどう?」
「得意だよ。クレーンゲームと同じで、結菜とか琢磨とか友達に頼まれて経験を積んだよ。100円で景品1つは取れることが多いよ」
「そうなんだ! 凄いね!」
千弦は目を輝かせながらそう言ってくる。千弦の前で射的をしたことはないけど、恋人の千弦から凄いって言ってもらえるのは嬉しい。
「洋平君。ペンギンのぬいぐるみをゲットするのをお願いしてもいいかな? 私が挑戦してもお金が無駄にしちゃいそうだから」
「分かった。俺がペンギンのぬいぐるみをゲットするよ」
「ありがとう!」
千弦はニコッとした笑顔でお礼を言う。千弦が今以上の笑顔になれるためにも、ペンギンのぬいぐるみを頑張ってゲットしよう。
俺達は射的の屋台へ向かう。
銃が置かれている台には『3発100円』と書かれた紙が貼られている。100円で景品を取れることが多いと言った手前、3発で取りたいな。
千弦は屋台にいるスキンヘッドのおじさんに100円を渡す。
すると、おじさんはコルク3つを乗せた皿を俺達の前に置いてくれた。その際、景品を後ろに倒したらゲット判定になると説明された。
「よし、頑張るぞ。千弦、俺の巾着袋を持っていてくれるか」
「うん!」
「ありがとう」
千弦に巾着袋を渡す。
台に置いてある銃を手に取り、銃口にコルクを装着する。
景品台に置かれているペンギンのぬいぐるみに銃口を向ける。狙いはペンギンの額の真ん中。そこに当てればぬいぐるみは後ろに倒れるはずだ。
集中して、
――パンッ!
1発目のコルクを放つ。
銃口から放たれたコルクはペンギンのぬいぐるみの方へ飛んでいき……ペンギンの右胸に当たった。ただ、場所が悪かったのかぬいぐるみは倒れる気配すらない。
「右胸じゃ全くダメか」
「倒れそうな感じはなかったけど、1発目からぬいぐるみに当たるなんて凄いよ! 私、1発目から狙ったものに当たることなんてないもん」
千弦はちょっと興奮気味な様子でそう言ってくれる。ぬいぐるみを倒せなかったけど、千弦の反応に嬉しい気持ちになる。
「そうか。とりあえず、ぬいぐるみには当てられて良かった」
「うんっ。あと、銃を構えて集中している洋平君が凄くかっこいいよ。キュンとした……」
うっとりとした様子でそう言う千弦。千弦にかっこいいと言われて嬉しい限りだ。
「そう言ってくれて嬉しいよ。ありがとう。……額の真ん中を狙っているんだ。1発目でぬいぐるみには当てられたから、少し修正すれば倒せると思う」
「そっか。経験を積んでるから言える言葉だね。頑張って!」
「ああ」
2発目のコルクを銃口にセットして、銃口をペンギンのぬいぐるみの方に向ける。
さっきはぬいぐるみの右胸に当たったから、銃口を少し上に向けて、右にずらすか。
――パンッ!
2発目のコルクを放つ。
コルクはぬいぐるみに向かって飛んでいき……左目の少し上に当たった。ぬいぐるみは少しだけ後ろに傾いたけど、すぐに元の姿勢に戻った。
「あぁ、惜しかった……」
「惜しかったね。ただ、ぬいぐるみが倒れかけたよ! さっきはピクリとも動かなかったからゲットに近づいてるよ! それに、2発連続でぬいぐるみに当てられて凄いよ!」
惜しいところまでいったからか、千弦はさっきよりも興奮した様子でそう言ってくれる。千弦はコメント上手だな。惜しかったけどがっかりした気持ちにならない。
「ありがとう、千弦。着実に額の真ん中に近づいてるから……次で取れると思う」
「そっか! 頑張ってね!」
「ああ」
千弦のお金でプレイしているんだし、次のコルクでゲットしたい。
3発目のコルクを銃口にセットして、銃口をペンギンのぬいぐるみの方に向ける。
高さは2発目と同じで大丈夫だろう。そして、2発目のときよりも少しだけ左に銃口を移動して、
――パンッ!
3発目のコルクを放つ。
コルクはぬいぐるみに向かって飛んでいき……狙っていた額の真ん中に命中した。
俺の読みは正しく、額の真ん中にコルクが当たったペンギンのぬいぐるみは後ろに傾き……仰向けに倒れた!
「よしっ!」
「やったね、洋平君! 100円で取れて凄いよ! かっこいいよ!」
千弦はとても嬉しそうな様子でそう言ってくれた。これまでも凄いとかかっこいいって言われたけど、今が一番嬉しいな。
「ありがとう、千弦」
「うんっ。取ってくれてありがとう!」
お礼を言うと、千弦は右手を顔の高さまで挙げる。ハイタッチをしようってことかな。
パンッ、と俺はニッコリとした笑顔の千弦とハイタッチした。
「兄ちゃん凄いな!」
「ありがとうございます」
「手提げに入れるからちょっと待ってな」
屋台のおじさんは俺が倒したペンギンのぬいぐるみを紙の手提げに入れる。さっきの俺達の会話を聞いていたのか、その手提げは千弦に手渡した。
「はいよ、姉ちゃん」
「ありがとうございますっ!」
千弦はお礼を言うと、紙の手提げの中に入っているペンギンのぬいぐるみを見てニコニコと笑っている。この笑顔を見ると、ぬいぐるみを取れて本当に良かったなって思う。
「凄く可愛いよ! 本当にありがとう、洋平君!」
「いえいえ。喜んでくれて嬉しいよ」
「うんっ。洋平君に何かお礼をしたいな。屋台で奢るとか」
「じゃあ……チョコバナナを奢ってもらおうかな。お祭りで食べることが多いし」
「うん、分かった!」
「ただ、その前に……ぬいぐるみを抱いた千弦の写真を撮りたいな。今日の思い出の一つに」
「もちろんいいよ!」
その後、人通りの少ないところまで移動し、俺はペンギンのぬいぐるみを抱きしめた千弦をスマホで撮影する。
屋台で見たときに思った通り、ペンギンのぬいぐるみは千弦が抱きしめてちょうど良さそうな大きさだ。ぬいぐるみはもちろん可愛いけど、嬉しそうにぬいぐるみを抱きしめる千弦はもっと可愛い。写真を見てそう思う。撮影した写真はLIMEで千弦のスマホに送った。
「写真撮らせてくれてありがとう」
「いえいえ。……このペンギンのぬいぐるみ、凄く抱き心地がいいよ」
「そうなんだ。そう言われると抱きしめたくなるな」
「いいよ。はいっ」
「ありがとう」
俺は千弦からペンギンのぬいぐるみを渡してもらい、抱きしめる。
「……本当だ。柔らかくていい抱き心地だ」
「でしょう? 今夜はそのぬいぐるみを抱きしめて寝ようかな。よく眠れそう」
「眠れるといいな」
「うんっ。あと、ぬいぐるみを抱きしめてる洋平君の写真を撮ってもいい? 可愛くてキュンとなってる」
「ああ、いいぞ」
「ありがとう!」
千弦は自分のスマホで、ペンギンのぬいぐるみを抱きしめている俺を撮影する。
LIMEで写真を送ってくれたので、さっそく確認する。ペンギンのぬいぐるみは相変わらず可愛いけど、自分はさすがに可愛いとは思わないかな。ただ、この姿がいいと千弦が言ってくれるから、ぬいぐるみを抱きしめる自分の姿は悪くない。
「撮らせてくれてありがとう!」
「いえいえ」
「じゃあ、チョコバナナの屋台に行こうか」
「ああ。あと、千弦が良ければ、洲中に帰るまでぬいぐるみは俺が持っていようか。なかなか大きいし」
「ありがとう。じゃあ、お願いします」
「了解」
その後、俺達はチョコバナナの屋台に行く。約束通り、俺は千弦にチョコバナナを奢ってもらった。
お祭りでチョコバナナを食べたことは何度もあるけど、千弦に奢ってもらったから今日食べたチョコバナナが一番美味しい。千弦と一口食べさせ合ったけど、そのチョコバナナは特に美味しかった。
「次はどこの屋台に行くか?」
「そうだね……これまで色々なものを食べたり、ラムネを飲んだりしたからね。今のところは『ここに行きたい!』っていう屋台はないかな。洋平君はどう?」
「俺も千弦と同じだ」
「そっか。分かった。じゃあ、とりあえず歩いて、気になったり、いいなって思ったりした屋台へ行こうか」
「そうしよう。もし、そういう屋台があったら遠慮なく言ってくれよ」
「うん、分かった。洋平君もね」
「ああ、分かった」
俺達は屋台が並ぶエリアを歩いていく。これまで廻った屋台のことを中心に話しながら。
千弦と2人きりだし、話すのが楽しいから、こうして特に目的地もなく会場内を歩くのも楽しいな。
会場は特別広いわけではないので、星野さん達やデート中の琢磨と吉岡さんとも会う。ただ、デート中なのもあり、手を振り合ったり軽く話したりする程度に留めた。
「あっ……」
と、声を漏らして、千弦は歩みを止める。
「どうした、千弦」
「……あそこにあるペンギンのぬいぐるみが可愛いなって思って」
そう言い、千弦が指さしたのは……射的の屋台の景品台に乗っているペンギンのぬいぐるみだった。丸っこいフォルムが特徴的で可愛い。大きさは……千弦が抱きしめるとちょうど良さそうな感じだ。
「可愛いぬいぐるみだな」
「可愛いよねっ。ペンギンも好きだし、丸みがあって抱きしめやすそうな雰囲気もいいなって」
「そうか。そういえば、春にクレーンゲームでゲットした猫のぬいぐるみも、丸っこくて抱きしめやすい感じだったな」
「そうだね。あのハチワレ猫のぬいぐるみ……本当に抱き心地が良くて癒やされてるよ」
「そうか。嬉しいな」
そう言うのは、猫のぬいぐるみは俺がプレイしてゲットしたものだから。千弦はクレーンゲームがあまり得意ではなく、何回かプレイしても取れる気配がなかったので、俺がゲットしたのだ。
「あのペンギンのぬいぐるみ……欲しいな」
「そうか。ちなみに……射的は得意なのか?」
「ううん、得意じゃない。クレーンゲームと同じだね。全く取れないわけじゃないけど……目的のものをゲットするためには結構お金がかかっちゃうことが多いね。まあ、射的だから、意外な方向に飛んだコルクが別のものに当たってゲットするってこともあるけど」
「そうなんだ」
「ちなみに、洋平君はどう?」
「得意だよ。クレーンゲームと同じで、結菜とか琢磨とか友達に頼まれて経験を積んだよ。100円で景品1つは取れることが多いよ」
「そうなんだ! 凄いね!」
千弦は目を輝かせながらそう言ってくる。千弦の前で射的をしたことはないけど、恋人の千弦から凄いって言ってもらえるのは嬉しい。
「洋平君。ペンギンのぬいぐるみをゲットするのをお願いしてもいいかな? 私が挑戦してもお金が無駄にしちゃいそうだから」
「分かった。俺がペンギンのぬいぐるみをゲットするよ」
「ありがとう!」
千弦はニコッとした笑顔でお礼を言う。千弦が今以上の笑顔になれるためにも、ペンギンのぬいぐるみを頑張ってゲットしよう。
俺達は射的の屋台へ向かう。
銃が置かれている台には『3発100円』と書かれた紙が貼られている。100円で景品を取れることが多いと言った手前、3発で取りたいな。
千弦は屋台にいるスキンヘッドのおじさんに100円を渡す。
すると、おじさんはコルク3つを乗せた皿を俺達の前に置いてくれた。その際、景品を後ろに倒したらゲット判定になると説明された。
「よし、頑張るぞ。千弦、俺の巾着袋を持っていてくれるか」
「うん!」
「ありがとう」
千弦に巾着袋を渡す。
台に置いてある銃を手に取り、銃口にコルクを装着する。
景品台に置かれているペンギンのぬいぐるみに銃口を向ける。狙いはペンギンの額の真ん中。そこに当てればぬいぐるみは後ろに倒れるはずだ。
集中して、
――パンッ!
1発目のコルクを放つ。
銃口から放たれたコルクはペンギンのぬいぐるみの方へ飛んでいき……ペンギンの右胸に当たった。ただ、場所が悪かったのかぬいぐるみは倒れる気配すらない。
「右胸じゃ全くダメか」
「倒れそうな感じはなかったけど、1発目からぬいぐるみに当たるなんて凄いよ! 私、1発目から狙ったものに当たることなんてないもん」
千弦はちょっと興奮気味な様子でそう言ってくれる。ぬいぐるみを倒せなかったけど、千弦の反応に嬉しい気持ちになる。
「そうか。とりあえず、ぬいぐるみには当てられて良かった」
「うんっ。あと、銃を構えて集中している洋平君が凄くかっこいいよ。キュンとした……」
うっとりとした様子でそう言う千弦。千弦にかっこいいと言われて嬉しい限りだ。
「そう言ってくれて嬉しいよ。ありがとう。……額の真ん中を狙っているんだ。1発目でぬいぐるみには当てられたから、少し修正すれば倒せると思う」
「そっか。経験を積んでるから言える言葉だね。頑張って!」
「ああ」
2発目のコルクを銃口にセットして、銃口をペンギンのぬいぐるみの方に向ける。
さっきはぬいぐるみの右胸に当たったから、銃口を少し上に向けて、右にずらすか。
――パンッ!
2発目のコルクを放つ。
コルクはぬいぐるみに向かって飛んでいき……左目の少し上に当たった。ぬいぐるみは少しだけ後ろに傾いたけど、すぐに元の姿勢に戻った。
「あぁ、惜しかった……」
「惜しかったね。ただ、ぬいぐるみが倒れかけたよ! さっきはピクリとも動かなかったからゲットに近づいてるよ! それに、2発連続でぬいぐるみに当てられて凄いよ!」
惜しいところまでいったからか、千弦はさっきよりも興奮した様子でそう言ってくれる。千弦はコメント上手だな。惜しかったけどがっかりした気持ちにならない。
「ありがとう、千弦。着実に額の真ん中に近づいてるから……次で取れると思う」
「そっか! 頑張ってね!」
「ああ」
千弦のお金でプレイしているんだし、次のコルクでゲットしたい。
3発目のコルクを銃口にセットして、銃口をペンギンのぬいぐるみの方に向ける。
高さは2発目と同じで大丈夫だろう。そして、2発目のときよりも少しだけ左に銃口を移動して、
――パンッ!
3発目のコルクを放つ。
コルクはぬいぐるみに向かって飛んでいき……狙っていた額の真ん中に命中した。
俺の読みは正しく、額の真ん中にコルクが当たったペンギンのぬいぐるみは後ろに傾き……仰向けに倒れた!
「よしっ!」
「やったね、洋平君! 100円で取れて凄いよ! かっこいいよ!」
千弦はとても嬉しそうな様子でそう言ってくれた。これまでも凄いとかかっこいいって言われたけど、今が一番嬉しいな。
「ありがとう、千弦」
「うんっ。取ってくれてありがとう!」
お礼を言うと、千弦は右手を顔の高さまで挙げる。ハイタッチをしようってことかな。
パンッ、と俺はニッコリとした笑顔の千弦とハイタッチした。
「兄ちゃん凄いな!」
「ありがとうございます」
「手提げに入れるからちょっと待ってな」
屋台のおじさんは俺が倒したペンギンのぬいぐるみを紙の手提げに入れる。さっきの俺達の会話を聞いていたのか、その手提げは千弦に手渡した。
「はいよ、姉ちゃん」
「ありがとうございますっ!」
千弦はお礼を言うと、紙の手提げの中に入っているペンギンのぬいぐるみを見てニコニコと笑っている。この笑顔を見ると、ぬいぐるみを取れて本当に良かったなって思う。
「凄く可愛いよ! 本当にありがとう、洋平君!」
「いえいえ。喜んでくれて嬉しいよ」
「うんっ。洋平君に何かお礼をしたいな。屋台で奢るとか」
「じゃあ……チョコバナナを奢ってもらおうかな。お祭りで食べることが多いし」
「うん、分かった!」
「ただ、その前に……ぬいぐるみを抱いた千弦の写真を撮りたいな。今日の思い出の一つに」
「もちろんいいよ!」
その後、人通りの少ないところまで移動し、俺はペンギンのぬいぐるみを抱きしめた千弦をスマホで撮影する。
屋台で見たときに思った通り、ペンギンのぬいぐるみは千弦が抱きしめてちょうど良さそうな大きさだ。ぬいぐるみはもちろん可愛いけど、嬉しそうにぬいぐるみを抱きしめる千弦はもっと可愛い。写真を見てそう思う。撮影した写真はLIMEで千弦のスマホに送った。
「写真撮らせてくれてありがとう」
「いえいえ。……このペンギンのぬいぐるみ、凄く抱き心地がいいよ」
「そうなんだ。そう言われると抱きしめたくなるな」
「いいよ。はいっ」
「ありがとう」
俺は千弦からペンギンのぬいぐるみを渡してもらい、抱きしめる。
「……本当だ。柔らかくていい抱き心地だ」
「でしょう? 今夜はそのぬいぐるみを抱きしめて寝ようかな。よく眠れそう」
「眠れるといいな」
「うんっ。あと、ぬいぐるみを抱きしめてる洋平君の写真を撮ってもいい? 可愛くてキュンとなってる」
「ああ、いいぞ」
「ありがとう!」
千弦は自分のスマホで、ペンギンのぬいぐるみを抱きしめている俺を撮影する。
LIMEで写真を送ってくれたので、さっそく確認する。ペンギンのぬいぐるみは相変わらず可愛いけど、自分はさすがに可愛いとは思わないかな。ただ、この姿がいいと千弦が言ってくれるから、ぬいぐるみを抱きしめる自分の姿は悪くない。
「撮らせてくれてありがとう!」
「いえいえ」
「じゃあ、チョコバナナの屋台に行こうか」
「ああ。あと、千弦が良ければ、洲中に帰るまでぬいぐるみは俺が持っていようか。なかなか大きいし」
「ありがとう。じゃあ、お願いします」
「了解」
その後、俺達はチョコバナナの屋台に行く。約束通り、俺は千弦にチョコバナナを奢ってもらった。
お祭りでチョコバナナを食べたことは何度もあるけど、千弦に奢ってもらったから今日食べたチョコバナナが一番美味しい。千弦と一口食べさせ合ったけど、そのチョコバナナは特に美味しかった。
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