器量なしのオメガの僕は

いちみやりょう

文字の大きさ
17 / 43

16ー2 ※

しおりを挟む
ーーだめだ、四宮様。だって、僕を抱けば四宮様が後悔する

けれど、乱暴な手つきで千秋の目隠しを取り去った四宮の顔を見た時、千秋はそんな心配は無用だったことを思い知った。
四宮の目は虚で、アルファの本能でただ目の前のオメガを捕食しようとしているだけだ。

おそらく、五十嵐が言ったようにここで千秋を抱いて番にしたところで四宮はそのことについて思い出すことも知ることもないのだろう。

「ぁぁっ」

四宮はそのまま千秋の体を乱暴に抱き上げるとベットまで運び、全く体に力が入らない千秋は、されるがままベットにうつ伏せに転がされた。

「ぁ、はぁっ!!」

間髪入れずにすでに濡れたそこに、四宮の長い指を差し込まれびくりと動いた体を、逃げようとしていると思ったのか四宮が上から押さえつけ、さらに奥まで差し込まれた。
指はすぐに2本、3本とすぐに増やされてバラバラに蠢く。
それは、千秋の体を傷つけないよう慣らそうとしているかのような動きで、千秋の体を高めていった。

けれど理性を保っていない状態でも、こんなふうに相手の体を気遣えるということは、結衣斗だけを想っていたと言いつつも、今までセフレなどはいたんじゃないだろうか。そんなことを考えた。千秋が他に意識を向けていたことが気に食わなかったのか、四宮の指が前立腺を執拗に攻め始めた。

「ぅぁ……はっ、んん」

千秋は自分から発せられる甘い声が嫌に耳について不快だった。
その上、クチュクチュと四宮が弄るたびに千秋の後孔で鳴っている卑猥な音も千秋をひどく不快にさせた。

けれど、四宮から香る薔薇の匂いは千秋の興奮を誘う。

千秋の頭の中はいっぱいいっぱいでパンクしそうになっていた。

人に触られたことも、ましてや自分で触ったことすらない後孔は、四宮によってそうとは思えないほど広げられている。千秋の体はもう準備万端で、四宮が入ってくるのを今か今かと待っているかのように疼いた。

「ふ……ん、ぁ、め……あっ!!」

突然中からズルリと指を抜かれて、千秋の後孔は先ほどまで入っていたものを追い求めるようにハクハクと動いていた。

背後からは四宮の息遣いと低い唸り声が聞こえ、次の瞬間には先ほどまでとは比べものにならないほどの質量が、千秋のそこに侵入してきた。

「あぁ!! ぁぁあ」

十分に慣らされたそこは、それでもやはり初めてだったので衝撃が走った。
痛みはほとんどなく圧迫感だけが襲ってくる。
けれど四宮のそれは、先ほどの準備の段階で見せた優しさなど忘れたかのように、ズッズッと奥に押し入ってきた。

「はっ、あっ、ぁ、ゃ、めぁあ」

コツリと最奥に当たったような感覚で、千秋の体には今までにない快感が走った。

「ひっぁああっ!!」

ズルズルと限界まで引き出し、それから最奥まで差し込まれる。
その速度はどんどんと早くなっていった。
千秋の動かぬ体を、まるで人形のように抱え込み奥深くまで挿入されて、まるで獣のようなセックスだと千秋は頭の隅で思った。

前を触ることもできない千秋の体は、それでも絶頂を迎えようとしていた。
その時、ふと首筋に息がかかった。

ぞわりと体に危険信号が走る。

ーー噛まれる!!

ーー噛まれたら、僕はどうなるんだろう

ーー噛まれたい、噛まれたい。例え形だけでも四宮様のモノになりたい

ーーだめだ。噛まれたらだめだ。万が一、四宮様がそのことを知ったらきっと自分自身を責めてしまう

相反する思いがいくつも頭の中を駆け巡った。
けれどそれは時間にして数秒だったのだろう。

べろりと首筋を舐められた。
濡れた部分に空気が触れ、ひんやりとした感覚が走る。

千秋は力の入らない体に無理やり力を込めて逃げようとした。
ほんの少しだけ前に動けたと思ったその瞬間、四宮の手によって腰を掴まれ最奥に突きつけられた。

「あ゛ぁ! んんぁぁああ!!」

次の瞬間にはズブリと首筋に歯を立てられ、千秋の視界にチカチカと光が走った。
千秋の全身が、四宮のものになったことを喜んでいるかのように震え、絶頂した。

首筋から流れ出た血をペロリと舐められるのさえ、千秋の体は快感と認識し喜ぶ。

「ぁっ、だめっ、四宮様……んん゛ぁ、ひ」

大好きな四宮に奥の奥まで暴かれて、千秋はもはや考えるのをやめた。
口からは絶えず、四宮を誘うような喘ぎ声が漏れ出た。
四宮も低く呻き声を上げ、何度も何度も千秋の中で果てた。

四宮から与えられる快感に耐えられず千秋はそのまま意識を失った。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

隣国のΩに婚約破棄をされたので、お望み通り侵略して差し上げよう。

下井理佐
BL
救いなし。序盤で受けが死にます。 文章がおかしな所があったので修正しました。 大国の第一王子・αのジスランは、小国の王子・Ωのルシエルと幼い頃から許嫁の関係だった。 ただの政略結婚の相手であるとルシエルに興味を持たないジスランであったが、婚約発表の社交界前夜、ルシエルから婚約破棄するから受け入れてほしいと言われる。 理由を聞くジスランであったが、ルシエルはただ、 「必ず僕の国を滅ぼして」 それだけ言い、去っていった。 社交界当日、ルシエルは約束通り婚約破棄を皆の前で宣言する。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

知らないだけで。

どんころ
BL
名家育ちのαとΩが政略結婚した話。 最初は切ない展開が続きますが、ハッピーエンドです。 10話程で完結の短編です。

当たり前の幸せ

ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。 初投稿なので色々矛盾などご容赦を。 ゆっくり更新します。 すみません名前変えました。

胎児の頃から執着されていたらしい

夜鳥すぱり
BL
好きでも嫌いでもない幼馴染みの鉄堅(てっけん)は、葉月(はづき)と結婚してツガイになりたいらしい。しかし、どうしても鉄堅のねばつくような想いを受け入れられない葉月は、しつこく求愛してくる鉄堅から逃げる事にした。オメガバース執着です。 ◆完結済みです。いつもながら読んで下さった皆様に感謝です。 ◆表紙絵を、花々緒さんが描いて下さいました(*^^*)。葉月を常に守りたい一途な鉄堅と、ひたすら逃げたい意地っぱりな葉月。

運命はいつもその手の中に

みこと
BL
子どもの頃運命だと思っていたオメガと離れ離れになったアルファの亮平。周りのアルファやオメガを見るうちに運命なんて迷信だと思うようになる。自分の前から居なくなったオメガを恨みながら過ごしてきたが、数年後にそのオメガと再会する。 本当に運命はあるのだろうか?あるならばそれを手に入れるには…。 オメガバースものです。オメガバースの説明はありません。

処理中です...