器量なしのオメガの僕は

いちみやりょう

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ふわりふわりと体が浮いている感覚で目が覚めると、目の前には四宮の顔があった。
千秋の体は薬によって熱を持っていて、触れられている箇所が熱くて熱くて仕方がない。

「は、るおみ、ごめんっ……ぅんぁ……から、だ熱いぃ」
「うん。分かってるよ。もう少しでベットに着くから待ってね」

口調は穏やかながら、千秋には四宮自身も余裕がなさそうな様子に見え、千秋だけではないのだと少しだけ安心した。
周りを見渡すと四宮の屋敷で、帰ってきたことに気がつき、さらに安心した。

四宮はベットに着くと優しく千秋を下ろして、千秋の体のあちこちを隅々まで見た。

「んぁ……はる、おみっ、入れて……入れてよぉ」
「待って、傷がないか確認しないと……」
「あぁ……んんっ…はぁ…ん」

四宮の手は、千秋の体を優しく這って、それが否応無しに千秋の体の熱を高めた。

「縄の跡が少し残ってるね……千秋、ごめんね。守れなくてごめん」

四宮は、千秋の体を弄りながらも、ずっとそう呟いた。
けれど千秋は、媚薬のような薬を直接体に注射されたからか、意識はふわふわで入れてもらうことしか頭になかった。

「んぁっ……も、入れてっおねがっ、抱いてっ」
「……っ。分かった。力を抜いて」

静かにそう言った四宮は、ゆっくりと千秋に押し入ってきた。

「んぁぁ……ゃ、ぁん」

千秋の中を満たす四宮の熱はかつてないほど熱く感じた。

何度も何度も四宮を求め、気を失い、気がつけばカーテンの外は明るすぎると感じるほど、日が上がっていた。

千秋のベトベトだったはずの体はすっかりと清められて、シーツなどもさっぱりと綺麗な状態だった。横には四宮の匂いがほんの少し残っているだけで、シーツに温もりは残っていない。

『入れて!! ぁあ!! いれて!!!』

昨日の自分が、四宮以外の男になんと言ってしまったのか、千秋は思い出していた。
結局、入れられる前に四宮が助けに来てくれたからよかったものの、少しでも遅れていれば千秋はあの男たちに汚されていた。

「ぁ……ぃやだ。僕、あんなこと言ったくせに、晴臣に抱いてなんて」

千秋が、四宮以外に入れてなどと懇願していたところ見て、四宮は不快に思っただろう。

ーー僕がこんなはしたないとは思ってなかったって言われるかな。幻滅、したかな……。せめて忘れていたかったっ


けれど、そんなことを思っても昨日の記憶はほとんど残っていた。
頭は朦朧としてふわふわとしていたものの、拉致をされてから四宮に助けてもらって、それから屋敷に帰ってきて抱いてもらったことまで断片的に覚えている。

ーー僕は、晴臣に……いや、四宮様に相応しくない

それに、四宮は以前、千秋をラブホで抱いた時、何度も何度も"俺の子を孕んで"と言っていた。

ーーそれって、子供が欲しいってことだよね

千秋は自分の空っぽのお腹を撫でながらギュッと胸が苦しくなった。
考えれば考えるほど思考はどんどんネガティブになり、千秋が四宮に相応しくない理由なんて、考えればいくつも、いくつも出てきた。
それは今まで考えないようにしていただけで、千秋の頭の隅にはいつもあった。

四宮以外に入れてとはしたなく頼んだことも、千秋に子供が出来ないことも、石崎家の事の問題に巻き込んだことも、四宮に対して申し訳なさで一杯だった。

千秋はそろりとベットから降りる。

ーーちゃんと四宮様にお話しして、迷惑をかけたことを謝ってここを出て行こう。

そう決意した。

昨日、四宮に抱いてもらってすっかり熱が引いた体は、けれど抱かれたことによって腰に力が入りづらかった。

それでもリュックに着替えを入れて出ていく準備をした。

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