器量なしのオメガの僕は

いちみやりょう

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泉が四宮と千秋の検査をしてから1週間後、屋敷に訪れた泉は、大きな荷物を抱えて部屋に入ってきた。

「泉先生、どうしたんですか? その荷物」
「あ? おう。これはな、お前ら2人にっていうか、まぁ、千秋にプレゼントだ……おい、四宮、そう睨むな。今から説明するからよ」

言葉の途中で、呆れたようにそう言った泉の言葉に、四宮が肩を竦めた。

「別に睨んでない。だがなんで千秋にプレゼント?」

四宮が静かに尋ねた言葉に、泉はうなずき、持っていた荷物を下ろした。

「2人ともおめでとう。不妊検査どころか、まだほんの小さいけど子供が出来ています」

泉が検査結果の紙を見せるとともに、初めて医者のような口調でそう言った。

「「え?」」
「千秋は妊娠しています。しかも腹の中で結構元気」
「「えぇっ」」

千秋が四宮を見ると、四宮もまた千秋を見ていた。

「は、晴臣……」
「千秋」

千秋の中に、なんとも言えないくらいの嬉しさが込み上げる。
それは四宮も同じようで、千秋からは今までで一番嬉しそうな顔をしているように見えた。

千秋はまだ膨らんでいないお腹を撫でた。

「っ……」

千秋は驚きと嬉しさから、言葉も出なかった。
そんな千秋を四宮がそっと抱き寄せる。

「まぁ、俺から言える事は安静に過ごしてくれってことくらいだが、このプレゼントは妊娠祝いっつうか。これから色々制限されるもんもあるし、少しでもストレスがないようにな」
「あ、ありがとうございます。泉先生」
「ああ」

千秋がプレゼントを開封して見てみると、カフェインレスの飲み物や、食べやすそうなゼリーがたくさん入っていた。

「千秋?」
「あ……、僕」

四宮に目元を拭われて、千秋はやっと涙が出ていたことに気がついた。

「嬉しくて、涙が出たの初めて」
「千秋……。俺、千秋も、子供も大切にするよ」
「うん」

千秋は嬉しすぎて、幸せすぎて、それなのに何故だか不安になった。

「どうしたの?」
「晴臣、僕、こんなに幸せでいいのかな。だって、なんだかうまくいきすぎている気がするんだ。晴臣と一緒にいられて、晴臣の両親にも受け入れてもらえて、その上、晴臣との赤ちゃんまで……幸せすぎて……怖い」
「千秋。千秋は幸せになっていいんだよ。今までとても辛い思いをしてきたから、これから先は、きっと幸せになる。いや俺が、千秋と子供を絶対に幸せにするよ」
「……僕も、晴臣と赤ちゃんを幸せにする」

千秋と四宮が静かに喜ぶのを、泉はただ静かに待っていてくれた。

それから2人が落ち着いたのを見計らってこれからの日程や、参加した方がいい胎児教室などを説明して、泉は帰って行った。

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