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第3章 接近
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しおりを挟む「あーいや、一応他にも色々あるよ!内申点とか、純粋に生徒会気になってたってのもあるし」
「でも今の言い分だと、サボれるってのが理由の半分を占めてそうだよね」
そこは麻美ちゃんのご指摘通り。他は所詮付加価値みたいなもので、正当にサボれるから生徒会に入ったと言っても過言ではない。生徒会室で駄弁って、終わり頃にタイミングを見計らって顔だけ出しておく。「生徒会で遅れました!」と顧問に言えば無罪放免。この裏技を教えてくれたサッカー部の先輩には感謝だ。それでも、生徒会のメリットは入ってこそ他にもあった。仕事が無いのに駄弁れるのはもちろん、本来許可必須のパソコン室なんかも自由に出入り可能。生徒会室で堂々と宿題なんかやっていると、流石に顧問が通りかかった場合危険すぎるから、こっそり終わらすには最適な場所だった。まあ、窓の鍵然り、基本的に良くない方面でのメリットだから他人には言えないけれど。
「でも、それなら副会長じゃなくて別の委員長の方が良かったんじゃない?」
次いで、栞ちゃんが僕に向かって尋ねる。その質問はごもっともだ。
「あーえっと、確か……最初は一番楽そうな書記にしてたんだけど、他に立候補者が出てきて色々たらい回しにされた挙句余ってた副会長になった感じ」
「ハハッ。明希君って、やっぱり面白いなぁ」
そんな感じで続いた約二十分間は、振り返ると結構な質問攻めの時間だったかもしれない。でも、目の前の女子二人が笑ってくれるものだから、僕は全然悪い気はしなかった。
長いようで短かった旅路を終えバスを降りると、目の前には横一杯に遊園地特有の乗り物が広がっていた。遠目だからか高さは感じないし、三六〇度見渡しても大きな建物はなく、その分広々とした青空と園内を囲む木々が映えている。第一印象としては、田舎に造った超広大な昔ながらの遊園地って感じだ。
「アトラクションの数と敷地面積は日本トップクラスらしいぜ。絶叫系で俺が気になってんのは、左奥に見える立ち乗りと座り乗りのやつ、それと観覧車の手前にあるやつ。あとお化け屋敷はマジで『出る』らしい」
寝起きの浩大が、大あくびを挟みながら僕に解説する。その情報はきっと、徹夜で調べた時のものだろう。
正面ゲートをくぐってまず僕たちを出迎えたのは、四つ足の恐竜を模る巨大なジェットコースター。どうやらここの“シンボル”らしい。レールの下から見上げると、まるで聳え立つ鉄の要塞だ。挨拶代わりというか定番の流れなのか、園内に入ったお客さんたちは皆そこへと向かうものだから、僕らもその流れに従った。
「明希、お前ちょっと緊張してねえか?」
待ち列の途中で、浩大に一度そんな感じの耳打ちをされた。もしかすると、若干の不安は顔に出ていたのかもしれない。段々と乗り場が近づくにつれて心拍数が上がっているのは正直間違いない。
「まあ、みなまで言うな。最初は俺が一緒に乗ってやるよ。女子に情けない顔見せれねえからな」
「僕は別に、誰とでもいいけど」
と言いつつ、その配慮はありがたかった。なにせ女子二人は「こわー」とは口にしても表情は全然余裕そうだったから。アニメでは多々女子の方が絶叫に強く描かれていたりするけれど、あれは意外と事実に基づいているのだろうか。
いよいよ目の前に車両が到着し、浩大に続いて乗り込むと、浩大は何やら苦悶の表情を浮かべながら囁いた。
「おい明希、この車両くそ狭えじゃねえか。こりゃミスったな」
「ミスったって、なにを?」
「お前ホント疎いな?ワンチャン女子とくっついて乗れたんだぜ?席の予習までは流石にしてねえって」
さすが、目の付け所が違う。僕はそんなことより、ここまでで蓄積した不安の方が先行してそんな考え微塵も生まれなかったのに——。
とはいえ、いざ乗り終わってみると、案外大したことはなかった。怖かったのは最初の巻き上げの時だけで、浩大も「高え!ちょ高え!」と騒いではいたものの、終わった後は「遊覧って感じだったな」と謎の余裕を見せてきた。
「お二人さんはどうだった?」
「うん、風が気持ちよかった。しーちゃんの髪が気になったけどっ」
「ふふっ、ごめんね。次からは乗る前に括っとく」
挨拶代わりのジェットコースターを終えてからは、適当に歩いては近くにあるアトラクションに乗ることにした。まずは既に目の前に見えていたティーカップ。アトラクション数が多い中で「え、これに乗るの?」と僕は思ったけれど、やはりそれには意図があった。
「このティーカップ小さい上に乗り口ドアがねえじゃん!危ねえから二人先に座って。落ちないように俺らが守るわ」
そんな紳士的な発言をしておきながら、カップが動き始めると浩大は全力でハンドルをぶん回した。遺憾ながら毎度一組は居るであろう痛い連中に成り下がったわけだけど、それと引き換えにヤツは麻美ちゃんとの密着を楽しんでいた。急に「やっぱ乗っとこうぜ」と言い出したのはきっと、ヤツの“センサー”が直感的に働いたのだろう。本当に感心する。
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