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「そうだな、度を超えてるわ」
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「あっ、あっ、…やだ、やだ、…んんっ、あ、っ…ん…」
朝から俺が盛ってる。
……10時頃起きて、どちらからともなくイチャイチャしてたら、こうなってしまった。
朝飯も食わないで、慶を食った、みたいな…。
イチャついてたら「休みが合わなくて寂しい」だの「離れたくない」だのと、単純な俺を一瞬にしてヒラヒラと舞い上がらせるような事を言うもんだから、俺はあっさり襲う事を選んだ。
親の帰国で、多分慶の俺に対する好きの度合いが増してる。
更に昨日、工藤と会ってまだ自分を好きなままだって分かった事で、その反動なのか分かんねぇけどどうやら俺と離れるのが嫌なようだ。
昨日から今までに「侑利くんとずっと一緒に居たい」と、何回言われたか分からない。
まぁ、俺的には何回言ってくれても良いフレーズだけど。
好きな奴が、一緒に居たいって思ってくれるのは喜ばしい事だしさ。
今も………イッた後の整わない呼吸のまま、俺に巻き付いて来る。
「侑利くん…」
「ちょ、抜くから待って」
「やだ」
「ん?」
「やだ」
「何が」
「抜いちゃやだ」
「は?」
どうしたんだ、お前。
細くて長い腕で抱き付いて来る。
「離れたくないんだよぉ」
フワフワした口調で言う。
「や、抜かねぇと」
「やだ」
「どうすんの」
「もうちょっと…」
「このまま居んの?」
「うん」
「…変な奴」
「んふふ…」
慶の上に被さってる俺の頭を引き寄せて、慶がキスをする。
拒否する理由も無い俺は、素直にそれを受け入れる。
「侑利くん…大好き……ほんとに……」
キスの合間で囁かれる俺への告白。
「すげぇ知ってるわ、それ」
「…ふふ……でも、言いたいんだ」
「そうなの?」
「うん…」
……可愛い奴。
「まだ、抜いたらダメ?」
「…ダメ」
……まだOKが出ない。
気長に待ってる俺も俺だけどさ…。
「あ、そうだ」
「何」
思い出したように言うから何かと思えば……「今日もバイト送ってね」と可愛く言われ「うん」と返事をすると「迎えも来てね」とお願いされた。
「送ってんだから、迎えも行くだろ普通」
「あはは、そうだけど~」
「しかも来ねぇとか思ってねぇだろ、絶対」
「え、うん」
ほら見ろ。
そもそも送迎を好き好んでやる派の俺には苦でも何でもない。
「送りも迎えもやってやるからさぁ、」
「うん」
「…もう、抜いて良い?」
「…ダメ」
却下されたぞ…。
マジで俺らバカだなって思う。
朝からこんな事やってたら、1日持たねぇぞ、多分…。
~~~~~~~~
「侑利~、こっち」
呼ぶ声がしてそっちを見ると、巴流が手を振ってる。
巴流から、久々に飲み会の誘いがあった。
巴流、大和、天馬、奏太、俺……まぁ、いつものメンバーだけど、でも今みたいに店が休みって時じゃないとこのメンバーで集まるのはちょっと難しいから、集合かけてくれて良かった。
「慶ちゃん、来れなかったの?」
「あー、バイト」
「「「「え~~~~~っ」」」」
揃ってるし…。
「何だよ、俺だけじゃ不満なのかよ」
「侑利~~~っ、そんな事ねぇよっ、俺、侑利が居たら良い」
巴流のバカ発言。
大和がすんげぇ顔して見てんぞ…。
「送ってったから、9時半頃に迎え行く」
「じゃあ、まだ飲んでたらもっかい来たら良いじゃん」
「あー、じゃ、そうする」
こんな風に、慶の事を全員受け入れてくれてさ……ほんとに感謝してるわ、お前らに。
メニューをテーブルに広げて、それぞれ食べたい物を決めて行く。
「ところで、巴流と大和は上手く行ってんの?」
「あ~、俺も聞きてぇ」
天馬も乗っかって来た。
「上手く行ってるよ、なぁ、大和」
タッチパネルでせっせと注文してくれてる大和に向かって巴流が言う。
「……行ってんの?俺、イライラさせられっ放しだけど?」
あれ……大和、何か怒ってんじゃん。
「え、上杉さん、どうしたんですか?」
奏太が心配そうに聞く。
「巴流、言ってあげたら?」
大和……怖ぇぞ。
「巴流、お前……何やったんだよ」
「お前、早速浮気とかしたんじゃねぇだろうなぁ?」
「してないしてない絶対してない」
チラッと大和を見るも、冷たい視線を送られて撃沈しそうになってるし…。
「巴流の事好きな女の子が居てね、酔っ払ったら夜な夜な電話してくんの」
あー……アイドルだな。
巴流がバツの悪そうな顔して俺を見てるけど……俺に助けを求めんな。
「ええぇ~~!?宮永さんの事好きな子が居るんですか!?」
奏太が大きな目を丸くして言う。
「お前の反応、失礼だぞ」
「ぷっ、はははっ」
「天馬、何笑ってる、俺何気にモテんだぞ」
奏太に悪意は無いだろうけど、確かにちょっと失礼だったな、今の。
面白かったけど…。
「もう何回もかかって来てんだから、マジでいい加減何とかしろよ」
「俺もそう言ってんだって、お前とは友達だって」
「でも、酔うとかかって来るんですか?」
「そう」
「それは上杉さんが怒るの僕分かります!」
奏太が巴流を説教し始めた…。
レアだわ…。
テーブルには注文した料理が次々運ばれて来てて…巴流はもう、食べるのに集中して完全に聞こえないフリしてる……まぁ、そんなの通用しねぇくらい奏太にめっちゃ言われてるけど…。
「侑利は?」
「あ?」
奏太の攻撃に困った巴流が、唐突に俺に話を振って来た。
「最近どう」
「何が」
「慶ちゃんとは、バカップルのままか?」
適切なワードでどうも…。
「そうだな、度を超えてるわ」
「「「「おおぉ~~~~」」」」
いちいち揃えんな。
「度を超えるバカップルって……痛ぇじゃん」
「ははっ、まぁ、そうかもな」
否定はしねぇよ。
だって、離れたくないから挿入してるモノを抜かせねぇなんて、多分痛ぇだろ。
「侑利は最初から慶ちゃんにやられっ放しだもんな」
天馬に肩をポンッと叩かれる。
「何とでも言ってくれ」
今は特に、俺の慶への好き度も増してるからさ。
何言われても肯定するわ…。
「…侑ちゃん…?」
不意に…あんまり言われた事のない呼び方で呼ばれた。
少し高めの、すごく知ってる声。
……俺をこう呼んでたのは………
「…真由…」
……やっぱり…。
俺らの席の隣の通路を通った女の人数人のグループ。
その中に真由(まゆ)が居た。
……俺が、BIRTHに入る前に、割と真面目に付き合ってた2つ年上の元カノだ。
「やっぱり侑ちゃんだ」
笑顔だけど……その笑顔になる直前、一瞬だけど泣くのかなって思った。
そんな顔に見えた。
「あれっ、天馬くんも」
「あぁ、真由ちゃん、すんごい久しぶり」
天馬だけは真由を知ってる。
付き合ってる間にも、何回も会った事がある……当時天馬が付き合ってた子と4人でどっか行ったりとかしてたし…。
「飲み会?」
「あぁ、うん。そっちは?」
「女子会~」
真由がそう言うと、他の女子達もこっちにお辞儀する。
昔より少し長く伸ばした髪と、左手薬指に光ってる指輪。
付き合ってた頃の感じを一気に思い出して、少し懐かしい気がした。
「真由、こっちだよ~」
「あ、うんっ、じゃあね、侑ちゃん。天馬くんもっ」
友達に呼ばれた真由は、俺らにもう一度お辞儀をして奥の席に歩いて行く。
……昔より、少しだけ痩せた気がした。
「侑利っ、お前っ、あんな美人とも知り合いなのかっ」
巴流に責められる。
「知り合いって言うか……元カノ」
「「「え~~~っ」」」
だから、揃ってんだって、お前ら。
「天馬も知ってたじゃん、BIRTH来る前?」
「そう」
真由が、天馬の名前呼んだ時、奏太がすげぇ不安そうな顔してた。
俺の元カノって事で、不安は退いたみたいだけど……。
「何か、侑利が遊び倒してた女の子達とは雰囲気違うね」
「遊び倒してねぇよ」
大和に突っ込んでやった。
「どれぐらい付き合ったの?」
「1年くらい」
「何で別れたの」
「振られた」
「「「ええーーーっ」」」
…どっかで揃える練習して来てんのか?
「久我さん、振られる事あるんですか?」
「え、あるよ」
「振られるような事したの?」
「別にしてねぇけど」
「侑利を振るなんて、勿体無い」
「お前にはコメントしねぇ」
巴流だけ思考がおかしい事になってるし。
「じゃあ、何で振られたんですか?」
「…向こうの会社の先輩に取られた」
「「「……………」」」
揃って憐れむなっ!
別に良いんだよ、同情しなくてっ。
そこでうまく行ってたら、今、慶とはこうなってない訳だし…。
慶と出会わなかった人生を考えたら、ほんとに……損したなって思うと思うんだ、俺。
慶と出会った事で…俺の生活も激変した。
そもそも、誰かと一緒に住んだのも初めてだしさ…。
俺は、慶が居る今の生活が幸せで仕方ない。
~~~~~~~~
「じゃあ、ちょっと出て来る」
「お~、まだ居るから連れて来な」
「分かった」
慶を迎えに行く時間。
飲み会はまだ続きそうで、慶を迎えに行ったらまたここへ戻る事にした。
店から一歩出たら………
「あ、侑ちゃんっ」
真由たちのグループが居た。
「あぁ、」
「終わったの?」
「や、ちょっと用事で抜ける」
「そうなんだ、こっちは次どこ行くか決めてるとこ」
二軒目ね。
徹底的に女子会すんだな、今日は。
「真由に聞きました。元カレだって」
「ちょっと、香織っ」
「盛り上がったんですよ~、カッコいい~~って」
「こらっ、ちょっとっ、」
香織って子の発言に真由がすんげぇ焦ってる。
「やっぱさぁ、あっちの新しいとこにしよっか」
1人がそう言うと、全員賛成して二軒目が決まったようだ。
パーキングへ向かう俺と、歩く方向が同じみたいで……少しだけ並んで歩いた。
いつもは慶が隣に居るから……真由の、女の子の中でも低い方の身長が、少し慣れないなどと考えてたら…
「私、結婚したんだよ」
と、突然言われた。
「え…」
「もう3年目に入ったんだ~」
「…そうなんだ、あの時の人?」
「あ~…うん、そう」
少しだけ、申し訳無さそうに言う。
俺と別れた後、割と直ぐに結婚したんだな…。
「へぇ…良かったじゃん」
何て言ったら良いのか分からず、とりあえず結婚を祝した。今更だけど。
「うん……ありがと」
真由も少し…困った感じ。
「仕事は?」
「結婚と同時に辞めた」
「あ~、寿退社」
「言い方、古いなぁ、何か」
「そう?だってそうじゃん」
「そうだけど~」
クスクスと笑う。
昔と変わらない、口元を抑える仕草。
「じゃあ、うまく行ってんだ」
3年目だもんな。
「あ~…うん…どうかな」
ちょっと、予想外の返事だった。
「何だよ、うまく行ってねぇの?」
「う~ん…まぁ、ね…色々あるよ~、結婚したら」
何となく、誤魔化してんなって思ったけど……
「上手く行ってくれねぇと、俺、振られ損じゃん」
「あははっ、ほんとだねっ、侑ちゃんの為にも頑張るよ」
そんな風に言ったら、真由もそれに乗って来たから……深く追求するのは止めた。
「あ~、じゃあ、俺こっちだから」
立ち止まった俺に向かい合って真由も止まる。
「あ、そっか。分かった。久しぶりに会えて、元気そうで良かった」
「うん、俺も話せて良かったわ」
「じゃあ…行くね」
「あぁ」
手を振って、友達を追いかけようとした真由を呼び止めた。
「真由」
ん?と言って振り返った顔は、居酒屋で会った時に最初に一瞬見せた泣きそうな顔に見えた。
「無理すんなよ」
何か、無理してるように見えた。
「…うん」
泣くかも知れないって思ったから……
「女子会で発散して来な」
深刻にはしなかった。
「ありがと、侑ちゃん」
そう言って、もう一度俺に手を振って、友達の所まで走って行った。
その姿を何となく見送って、車に向かう。
真由は今……幸せなんだろうか…。
朝から俺が盛ってる。
……10時頃起きて、どちらからともなくイチャイチャしてたら、こうなってしまった。
朝飯も食わないで、慶を食った、みたいな…。
イチャついてたら「休みが合わなくて寂しい」だの「離れたくない」だのと、単純な俺を一瞬にしてヒラヒラと舞い上がらせるような事を言うもんだから、俺はあっさり襲う事を選んだ。
親の帰国で、多分慶の俺に対する好きの度合いが増してる。
更に昨日、工藤と会ってまだ自分を好きなままだって分かった事で、その反動なのか分かんねぇけどどうやら俺と離れるのが嫌なようだ。
昨日から今までに「侑利くんとずっと一緒に居たい」と、何回言われたか分からない。
まぁ、俺的には何回言ってくれても良いフレーズだけど。
好きな奴が、一緒に居たいって思ってくれるのは喜ばしい事だしさ。
今も………イッた後の整わない呼吸のまま、俺に巻き付いて来る。
「侑利くん…」
「ちょ、抜くから待って」
「やだ」
「ん?」
「やだ」
「何が」
「抜いちゃやだ」
「は?」
どうしたんだ、お前。
細くて長い腕で抱き付いて来る。
「離れたくないんだよぉ」
フワフワした口調で言う。
「や、抜かねぇと」
「やだ」
「どうすんの」
「もうちょっと…」
「このまま居んの?」
「うん」
「…変な奴」
「んふふ…」
慶の上に被さってる俺の頭を引き寄せて、慶がキスをする。
拒否する理由も無い俺は、素直にそれを受け入れる。
「侑利くん…大好き……ほんとに……」
キスの合間で囁かれる俺への告白。
「すげぇ知ってるわ、それ」
「…ふふ……でも、言いたいんだ」
「そうなの?」
「うん…」
……可愛い奴。
「まだ、抜いたらダメ?」
「…ダメ」
……まだOKが出ない。
気長に待ってる俺も俺だけどさ…。
「あ、そうだ」
「何」
思い出したように言うから何かと思えば……「今日もバイト送ってね」と可愛く言われ「うん」と返事をすると「迎えも来てね」とお願いされた。
「送ってんだから、迎えも行くだろ普通」
「あはは、そうだけど~」
「しかも来ねぇとか思ってねぇだろ、絶対」
「え、うん」
ほら見ろ。
そもそも送迎を好き好んでやる派の俺には苦でも何でもない。
「送りも迎えもやってやるからさぁ、」
「うん」
「…もう、抜いて良い?」
「…ダメ」
却下されたぞ…。
マジで俺らバカだなって思う。
朝からこんな事やってたら、1日持たねぇぞ、多分…。
~~~~~~~~
「侑利~、こっち」
呼ぶ声がしてそっちを見ると、巴流が手を振ってる。
巴流から、久々に飲み会の誘いがあった。
巴流、大和、天馬、奏太、俺……まぁ、いつものメンバーだけど、でも今みたいに店が休みって時じゃないとこのメンバーで集まるのはちょっと難しいから、集合かけてくれて良かった。
「慶ちゃん、来れなかったの?」
「あー、バイト」
「「「「え~~~~~っ」」」」
揃ってるし…。
「何だよ、俺だけじゃ不満なのかよ」
「侑利~~~っ、そんな事ねぇよっ、俺、侑利が居たら良い」
巴流のバカ発言。
大和がすんげぇ顔して見てんぞ…。
「送ってったから、9時半頃に迎え行く」
「じゃあ、まだ飲んでたらもっかい来たら良いじゃん」
「あー、じゃ、そうする」
こんな風に、慶の事を全員受け入れてくれてさ……ほんとに感謝してるわ、お前らに。
メニューをテーブルに広げて、それぞれ食べたい物を決めて行く。
「ところで、巴流と大和は上手く行ってんの?」
「あ~、俺も聞きてぇ」
天馬も乗っかって来た。
「上手く行ってるよ、なぁ、大和」
タッチパネルでせっせと注文してくれてる大和に向かって巴流が言う。
「……行ってんの?俺、イライラさせられっ放しだけど?」
あれ……大和、何か怒ってんじゃん。
「え、上杉さん、どうしたんですか?」
奏太が心配そうに聞く。
「巴流、言ってあげたら?」
大和……怖ぇぞ。
「巴流、お前……何やったんだよ」
「お前、早速浮気とかしたんじゃねぇだろうなぁ?」
「してないしてない絶対してない」
チラッと大和を見るも、冷たい視線を送られて撃沈しそうになってるし…。
「巴流の事好きな女の子が居てね、酔っ払ったら夜な夜な電話してくんの」
あー……アイドルだな。
巴流がバツの悪そうな顔して俺を見てるけど……俺に助けを求めんな。
「ええぇ~~!?宮永さんの事好きな子が居るんですか!?」
奏太が大きな目を丸くして言う。
「お前の反応、失礼だぞ」
「ぷっ、はははっ」
「天馬、何笑ってる、俺何気にモテんだぞ」
奏太に悪意は無いだろうけど、確かにちょっと失礼だったな、今の。
面白かったけど…。
「もう何回もかかって来てんだから、マジでいい加減何とかしろよ」
「俺もそう言ってんだって、お前とは友達だって」
「でも、酔うとかかって来るんですか?」
「そう」
「それは上杉さんが怒るの僕分かります!」
奏太が巴流を説教し始めた…。
レアだわ…。
テーブルには注文した料理が次々運ばれて来てて…巴流はもう、食べるのに集中して完全に聞こえないフリしてる……まぁ、そんなの通用しねぇくらい奏太にめっちゃ言われてるけど…。
「侑利は?」
「あ?」
奏太の攻撃に困った巴流が、唐突に俺に話を振って来た。
「最近どう」
「何が」
「慶ちゃんとは、バカップルのままか?」
適切なワードでどうも…。
「そうだな、度を超えてるわ」
「「「「おおぉ~~~~」」」」
いちいち揃えんな。
「度を超えるバカップルって……痛ぇじゃん」
「ははっ、まぁ、そうかもな」
否定はしねぇよ。
だって、離れたくないから挿入してるモノを抜かせねぇなんて、多分痛ぇだろ。
「侑利は最初から慶ちゃんにやられっ放しだもんな」
天馬に肩をポンッと叩かれる。
「何とでも言ってくれ」
今は特に、俺の慶への好き度も増してるからさ。
何言われても肯定するわ…。
「…侑ちゃん…?」
不意に…あんまり言われた事のない呼び方で呼ばれた。
少し高めの、すごく知ってる声。
……俺をこう呼んでたのは………
「…真由…」
……やっぱり…。
俺らの席の隣の通路を通った女の人数人のグループ。
その中に真由(まゆ)が居た。
……俺が、BIRTHに入る前に、割と真面目に付き合ってた2つ年上の元カノだ。
「やっぱり侑ちゃんだ」
笑顔だけど……その笑顔になる直前、一瞬だけど泣くのかなって思った。
そんな顔に見えた。
「あれっ、天馬くんも」
「あぁ、真由ちゃん、すんごい久しぶり」
天馬だけは真由を知ってる。
付き合ってる間にも、何回も会った事がある……当時天馬が付き合ってた子と4人でどっか行ったりとかしてたし…。
「飲み会?」
「あぁ、うん。そっちは?」
「女子会~」
真由がそう言うと、他の女子達もこっちにお辞儀する。
昔より少し長く伸ばした髪と、左手薬指に光ってる指輪。
付き合ってた頃の感じを一気に思い出して、少し懐かしい気がした。
「真由、こっちだよ~」
「あ、うんっ、じゃあね、侑ちゃん。天馬くんもっ」
友達に呼ばれた真由は、俺らにもう一度お辞儀をして奥の席に歩いて行く。
……昔より、少しだけ痩せた気がした。
「侑利っ、お前っ、あんな美人とも知り合いなのかっ」
巴流に責められる。
「知り合いって言うか……元カノ」
「「「え~~~っ」」」
だから、揃ってんだって、お前ら。
「天馬も知ってたじゃん、BIRTH来る前?」
「そう」
真由が、天馬の名前呼んだ時、奏太がすげぇ不安そうな顔してた。
俺の元カノって事で、不安は退いたみたいだけど……。
「何か、侑利が遊び倒してた女の子達とは雰囲気違うね」
「遊び倒してねぇよ」
大和に突っ込んでやった。
「どれぐらい付き合ったの?」
「1年くらい」
「何で別れたの」
「振られた」
「「「ええーーーっ」」」
…どっかで揃える練習して来てんのか?
「久我さん、振られる事あるんですか?」
「え、あるよ」
「振られるような事したの?」
「別にしてねぇけど」
「侑利を振るなんて、勿体無い」
「お前にはコメントしねぇ」
巴流だけ思考がおかしい事になってるし。
「じゃあ、何で振られたんですか?」
「…向こうの会社の先輩に取られた」
「「「……………」」」
揃って憐れむなっ!
別に良いんだよ、同情しなくてっ。
そこでうまく行ってたら、今、慶とはこうなってない訳だし…。
慶と出会わなかった人生を考えたら、ほんとに……損したなって思うと思うんだ、俺。
慶と出会った事で…俺の生活も激変した。
そもそも、誰かと一緒に住んだのも初めてだしさ…。
俺は、慶が居る今の生活が幸せで仕方ない。
~~~~~~~~
「じゃあ、ちょっと出て来る」
「お~、まだ居るから連れて来な」
「分かった」
慶を迎えに行く時間。
飲み会はまだ続きそうで、慶を迎えに行ったらまたここへ戻る事にした。
店から一歩出たら………
「あ、侑ちゃんっ」
真由たちのグループが居た。
「あぁ、」
「終わったの?」
「や、ちょっと用事で抜ける」
「そうなんだ、こっちは次どこ行くか決めてるとこ」
二軒目ね。
徹底的に女子会すんだな、今日は。
「真由に聞きました。元カレだって」
「ちょっと、香織っ」
「盛り上がったんですよ~、カッコいい~~って」
「こらっ、ちょっとっ、」
香織って子の発言に真由がすんげぇ焦ってる。
「やっぱさぁ、あっちの新しいとこにしよっか」
1人がそう言うと、全員賛成して二軒目が決まったようだ。
パーキングへ向かう俺と、歩く方向が同じみたいで……少しだけ並んで歩いた。
いつもは慶が隣に居るから……真由の、女の子の中でも低い方の身長が、少し慣れないなどと考えてたら…
「私、結婚したんだよ」
と、突然言われた。
「え…」
「もう3年目に入ったんだ~」
「…そうなんだ、あの時の人?」
「あ~…うん、そう」
少しだけ、申し訳無さそうに言う。
俺と別れた後、割と直ぐに結婚したんだな…。
「へぇ…良かったじゃん」
何て言ったら良いのか分からず、とりあえず結婚を祝した。今更だけど。
「うん……ありがと」
真由も少し…困った感じ。
「仕事は?」
「結婚と同時に辞めた」
「あ~、寿退社」
「言い方、古いなぁ、何か」
「そう?だってそうじゃん」
「そうだけど~」
クスクスと笑う。
昔と変わらない、口元を抑える仕草。
「じゃあ、うまく行ってんだ」
3年目だもんな。
「あ~…うん…どうかな」
ちょっと、予想外の返事だった。
「何だよ、うまく行ってねぇの?」
「う~ん…まぁ、ね…色々あるよ~、結婚したら」
何となく、誤魔化してんなって思ったけど……
「上手く行ってくれねぇと、俺、振られ損じゃん」
「あははっ、ほんとだねっ、侑ちゃんの為にも頑張るよ」
そんな風に言ったら、真由もそれに乗って来たから……深く追求するのは止めた。
「あ~、じゃあ、俺こっちだから」
立ち止まった俺に向かい合って真由も止まる。
「あ、そっか。分かった。久しぶりに会えて、元気そうで良かった」
「うん、俺も話せて良かったわ」
「じゃあ…行くね」
「あぁ」
手を振って、友達を追いかけようとした真由を呼び止めた。
「真由」
ん?と言って振り返った顔は、居酒屋で会った時に最初に一瞬見せた泣きそうな顔に見えた。
「無理すんなよ」
何か、無理してるように見えた。
「…うん」
泣くかも知れないって思ったから……
「女子会で発散して来な」
深刻にはしなかった。
「ありがと、侑ちゃん」
そう言って、もう一度俺に手を振って、友達の所まで走って行った。
その姿を何となく見送って、車に向かう。
真由は今……幸せなんだろうか…。
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一年生の頃、同じクラスだった時にはほとんど喋らず、あの日以降は一言も喋ったことがなかったのにどうして急に二年になってお昼を誘ってくるようになったのか。
それだけじゃない。月影君月影君と月影攻撃が止まない。
にこにことした笑顔になんとか愛想笑いを返し続けるも、どこか夜宮の様子がおかしいことに気づいていく。
そうして夜宮を知れば知るほどーー
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