眠れる石像の献身

音羽夏生

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石像、目覚める

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 大魔導師に次ぐ魔力を具えた月読は、すでに五百年を生きるが、その姿は二十代後半の若さを保っている。
 ほぼ同い年のアーネストは、童顔ということもあり、成人した姿もどこか甘やかさを漂わせる若々しい青年だ。魔導師には及ばないまでも、強い魔力と長い寿命を持っており、その彼が百年眠りに就いたところで、月読は変人の長い冬眠程度の認識しか持たなかった。
 しかし、それは長命な者だけが抱ける認識だ。
 魔力計で計測したギルバートの魔力は、国家魔法士として最下級であることを示していた。
 下級魔法士の寿命は、百五十歳前後と言われている。すでに成人しているギルバートが、生きて元気な姿で、甦った師に再会できる可能性は低い。再会できたとしても、体は老人のそれになっている。
 百年という時間は、師弟の間に渡ることのできない大河となって横たわるだろう。師が石像になったあの日、弟子の想いは断たれたのだ。
 そのことに納得し、気持ちの整理がつくまでは、身勝手な旧友の石像をギルバートに託していいだろう、と月読は判断した。残された者が失った者と訣別し、前を向くためには必要な時間だと。

「それにしてもあなたの気脈を塞ぐとは、ギルバートの魔力はアーニーをも上回るようですね。ついでに大魔導師に報告しておきましょう」
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