眠れる石像の献身

音羽夏生

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石像、目覚める

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 目覚めは突然訪れた。──実際のところ、それは突然ではなく、百年前に設定した通りの目覚めだった。
 アーネストは全裸で、あたたかな体温をまとった体はベッドに寝かされていた。肌に当たる敷布はパリッとしており、洗濯したての清潔なものだとわかる。
 やけに低い天井をしばらく眺め、そこから垂れる紗の天幕に目を遣り、自分が横たわるのは豪奢な天蓋付きのベッドであることにようやく気づく。無駄な装飾に彩られたこれは、自分のものではない。
 つまりここは、自宅の寝室ではない。
 重厚な家具を備え、塵一つなく綺麗に整頓された室内に目を向けるまでもなく、アーネストは現状を訝しんだ。

(管理費は百年分前払いして、結界も張ってもらったのに……ここは一体どこだ?)

 そう思いつつも、取るべき行動は限られている。着る物を探し、我が家に帰るのだ。
 アーネストを保護する可能性がある二人のどちらも、簡素な生活を好み、天蓋付きのベッドなどには縁のない人たちである。そもそも書き置いた手紙で事情を説明した彼らなら、場所を移すことなどせずに、自宅に放置してくれるだろう。
 しかしそれも百年前の事情である。社会的に不在にしていた間に、アーネストを運び出さなければならない何かが起きたのかもしれない。
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