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石像、目覚める
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国家魔法士に合格したギルバートが十八となり、成人したのを見届けると、何も言わずに師は一時的にこの世界からいなくなった。
その冷たく真っ白な体を見つけたのは、お使いから戻ったギルバートだ。眠るように目を閉じ、ご丁寧に胸の上で手を組んだ状態で眠りに就いた師の姿は儚げで愛くるしく、天使の彫像のようだった。
突然突きつけられた別離に、明日を断たれたような気がした。生じた悲憤は、比喩ではない胸の痛みをもたらした。
それほどの衝撃に打ちのめされたあの状況は、一方で、ずっと不可解だったのだ。何故硬く寒々しい玄関ホールなどで、眠りに就こうと思ったのかと。
「だって、あの家で石張りの床は玄関と台所だけだろう? そりゃあ僕もベッドで寝たかったけど、ベッドが潰れそうだし、寝室は二階だから床が抜けるかもしれないじゃないか。台所だと、バーティーが使う時に邪魔になるし」
「玄関を開けた途端、変死体のような貴方を発見した弟子の心臓を止めるかもしれないとは思わなかったんですか……?」
「バーティー、ちゃんと生きてるじゃないか」
何か問題でも?と本気で思っている呑気な笑顔に殺意を覚えるが、その無防備さも今は好都合だ。
気の流れを塞いでいる今、アーネストは魔法を使えない。
師の体を宙に浮かせるのと同時に、ギルバートは師が直前まで座っていた椅子に詠唱無しで空間移動し、シャツ一枚を羽織っただけの隙だらけの体を──血の通ったあたたかい体を膝の上に横抱きにした。
その冷たく真っ白な体を見つけたのは、お使いから戻ったギルバートだ。眠るように目を閉じ、ご丁寧に胸の上で手を組んだ状態で眠りに就いた師の姿は儚げで愛くるしく、天使の彫像のようだった。
突然突きつけられた別離に、明日を断たれたような気がした。生じた悲憤は、比喩ではない胸の痛みをもたらした。
それほどの衝撃に打ちのめされたあの状況は、一方で、ずっと不可解だったのだ。何故硬く寒々しい玄関ホールなどで、眠りに就こうと思ったのかと。
「だって、あの家で石張りの床は玄関と台所だけだろう? そりゃあ僕もベッドで寝たかったけど、ベッドが潰れそうだし、寝室は二階だから床が抜けるかもしれないじゃないか。台所だと、バーティーが使う時に邪魔になるし」
「玄関を開けた途端、変死体のような貴方を発見した弟子の心臓を止めるかもしれないとは思わなかったんですか……?」
「バーティー、ちゃんと生きてるじゃないか」
何か問題でも?と本気で思っている呑気な笑顔に殺意を覚えるが、その無防備さも今は好都合だ。
気の流れを塞いでいる今、アーネストは魔法を使えない。
師の体を宙に浮かせるのと同時に、ギルバートは師が直前まで座っていた椅子に詠唱無しで空間移動し、シャツ一枚を羽織っただけの隙だらけの体を──血の通ったあたたかい体を膝の上に横抱きにした。
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