とっていただく責任などありません

まめきち

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気づき

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夜の静けさに包まれた路地。
団長は、昨夜のあの女性――リザ――の存在を思い返していた。
あの微かな息遣い、ぎりぎりまで近づいた距離、手の感触……

胸の奥が、まだ熱くざわつく。
しかし、気づけばその女性は消えていた。
その場に残されたのは、ただの静寂と、薄紙に書かれた小さな置き手紙だけ。



サイドテーブルのそばには置き手紙が

紙を開くと、見覚えのある筆跡――
ほんの少し、硬くも女性的な曲線が混ざる文字。
「昨夜は、突然失礼しました……。あなたの優しさに感謝しています。リザより」

団長は目を細め、紙をじっと見つめる。
筆跡のクセ、文字の流れ……
心の奥で何かがはじけた。

(……間違いない……)

舞踏会のあの夜、そして昨夜の路地――
あの女性の立ち居振る舞い、視線、手の動かし方。
そして、この文字……

すべてが繋がる。

団長は紙を握りしめ、深く息をついた。
「……ヘイゼル……」

まだ口には出さない。
でも、確信した。
舞踏会で見た女性も、夜に触れ合ったリザも、
目の前で微笑む騎士団の元部下、ヘイゼルだったのだ。

心の奥で、胸が熱くなる。
あの夜、間近に感じた温もりが、筆跡一つで、確かに現実のものとなった。

団長はしばらく、紙を握ったまま立ち尽くした。
そして静かに、心の中で誓う――

(……絶対に、君を逃がさない)

夜の余韻と、文字に込められた想いが、二人の距離をさらに近づける。
まだ名を明かしていない秘密が、二人の恋を甘く、もどかしく彩っていた。
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